1600

火村

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11通称・『穴』の多き謎

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「しくしく・・」

「うう・・」

「お母ちゃん何でお家に入ったらいけないのぉ?」

「ええーん、眠いよぅお母ちゃんっ」



・・・こっちが泣いていい?全力で。



「殿に差し上げる食事はまだかぁ!」五助

「五助っ!」大谷



もう呼び捨てだぞ。

やれ村長呼べだとか若い女子はおらぬのかとか・・

割と鮮度のいい魚が主役の濃い味の料理がいいとか

深夜だぞ・・村中の奴たたき起こせとか・・



「みんな入りなさい。遠慮せずに。」大谷

「おお!殿は何と慈悲深い。ああ慈悲深いっ!」五助



・・また下手くそな演技だな・・

もうやだぁ・・五助。



それでもやっぱ場面は必要で・・



「某それがしが敦賀城城主、大谷吉継でござる・・」大谷

「ははあ!」



えっと・・こたびは・・それがしを・・

うんたらかんたら・・



「礼を言うでござる・・」大谷

「いえっ!ありがたき事でございまする」農民



よしっ!盛り返せそうだな。

そして駆け付ける村長や商人



「大谷殿こちらを・・」商人

「・・・うむ。」大谷



本当いつの時代でもか・・



賄賂・・だが必要だ今は。戦は近い。

そして来年とか再来年なんて必要ない・・今が大事だ。



「そんな!年貢を今年まとめて出せなんて!」村長

「大谷殿、税も今年まとめてとはさすがに」商人



「・・・戦が近いのだ」大谷

「ござる。」五助



とにかく金だ。

だが不満を口にする有力者に・・



「敦賀四天王っ湯浅五助がお相手してやろうか!?」五助

「いやっ・・」

「め・・めっそうもない」



もうやだぁ・・

他にもこのクラスのバカ侍が3人もいるの?



でも五助って結構顔利くんだな助かったな。

そして他にもこの有力者達と、

ああじゃないこうじゃないと話してる時に・・

この家の周りに集まってきた、

ギャラリーの中の一人の婆様がこちらに向かって・・



「・・・弥助?弥助でねぇかい?」

「ああ!?誰だ私の名を間違えて呼ぶのは!」五助

「・・・・・」大谷



「こらっ!とめさんっ!筆頭家老の五助様だ!」

「すいませんもう年でボケが入ってまして」



周りの人がこのとめさんを無理に引っ張って下がらす。



(やばい・・殿の顔・・お怒りになられたぞ・・)

(いくらなんでも、ただの農民が・・)



筆頭家老になれなれしく話しかけるなど・・

何もお咎めなしにすれば秩序が乱れる



(えっと・・・)五助



ここは・・



「今日は殿の慈悲深さに感謝せよ!」五助



えっと、それで・・

普通なら斬り捨てる所であるぞ!・・・だな。

これで殿の評価もまた上がるはず。



「今回は殿が居られっ・・」五助

「斬り捨てろ五助・・」大谷



えっ?



「くっ・・」村長

「くっ・・向こうに連れて行け!」商人



威厳も必要だ・・

民を動かす為には・・



「ズバっ!!」

「う・・・」

「う・・とめさん・・」

「うわぁああん御婆ちゃんが」



「・・殿、失礼仕りました」商人

「なにとぞこれからも我が村を・・」村長

「うむ・・」



そしてまた衝撃が走る・・・



「line♪」



届いた電波・・



そう・・こちらが歴史変換しても穴は開く・・



佐和山城でも・・



「line♪」



「ん?大谷さんか?・・」左近



こちらの携帯に電波が・・

当然緊急用かと思ってlineを開くが・・



「広告ですね・・」左近



来てるのは広告や現代でのグループlineの通知ばかり。

だがまた一つ仕組みを理解。

穴の近辺、電波が届く範囲内での歴史変換で穴は開く。

だからこの場合上田に居る真田さんの電波はない。



謎は多い穴の設定だが・・



「こちらから現代への送信は不可・・」左近



ただその穴にスマホを投げ込めば可能かも・・

だがそれだとスマホを失う。

真田さんや大谷さんにも説明した事だが・・



「帰るには一旦、穴に飛び込む事・・」左近



その穴は閉じるまで、その空間に何か漂ったままだ。

一度試験的に日本刀を投げ込んだら・・



「何か宙に浮いたままの状態だった」左近



そして穴が閉じると共に消えてなくなった。

そして次の日のヤフーニュースで・・



『謎の日本刀が国道に』



誰かが落としたであろう歴史ある刀だと・・

鑑定の結果戦国時代に作られた貴重な物だと。

これで確信に変わった。戻れると。

だが人が飛び込める程の大きな歴史変換が必要だ・・



「ここか真田さんの上田城に家康を連れて行き・・」左近



処刑すればいい・・



「大谷さんの穴の位置が分からないからなぁ・・」左近



守るべき二つの穴。



やはり私か真田さんのどちらかは関ケ原に出陣は無理か?



「歴史の謎が我々の行動と結びついていくな・・」左近



史実ではなぜか関ケ原に来ず上田城に立てこもった真田幸村

きっと、この真田さんが穴を守る為だったのだろう。



気持ちが悪いくらいに歴史に嵌っていく・・・

何もかも私達が・・



崩すのは無理なのか?

帰りたい・・



「・・・ん?左近息子の写真でござるか?」三成

「はい。まだかわゆいばかりの歳で」左近



毎日眺めるスマホの中の家族の写真



「スッ・・スッ・・」



届かないのは分かってるけど、

何か現代と繋がっていないと不安になる



「お父さん元気でやってるよ・・っと。送信っと。」左近



今はね・・

でもね・・



「もうすぐある関ケ原で亡くなるんだ・・ごめん」左近

「・・・・・・・・・・・」三成



ほぼ変わらない・・

歴史は。

唯一、大谷吉継という大名が居ないのが気がかりだったが、

それも大谷さんの出現で歴史に嵌り込んだ。



出来上がった・・

もう歴史が・・



後は淡々と答え合わせしていくだけ・・



「・・・勝ちまする」三成

「・・・はい。必死にもがきます」左近



だが私一人じゃ無理。

私は歴史には弱いので何をどう変えればいいのやら・・

真田さんも所詮まだ15の少女



頼む・・大谷さん・・

もっと歴史を変えてくれ・・

そしてまずは突破しよう・・

この1600年を。

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