10 / 29
全員の人生が狂う
第10話 告白の行方
しおりを挟む
金曜日の昼休みが始まってすぐの頃──。
碧斗のクラスに一人の少女が訪れた。 隣に風紀委員長、鬼塚遥希という学校一強いと名高い女子を連れて。
「碧斗くんいる~?」
由佳里のおっとりとした口調の声が教室中に響く。
「おい碧斗どういう意味か説明しろ」
「俺は知り合ったばかりだ」
と、誰よりも早く碧斗に苦情を言いに来た冬馬に言う。
真面目な顔で言われ、嘘では無いことが分かった冬馬であったが、それはそれで引っかかることがあるようだ。
そして「お前はこの学校の美女達と仲が良すぎだ。 この女たらしめ。 と言い捨ててこの場を去ってゆく。
勝手に苦情を言いに来て、帰り去った冬馬の背中をぼんやりと眺め、碧斗は「なんだアイツ」と思う。
「見つけた、碧斗く~ん♡」
「うわっ!」
耳元で由佳里の声がしたと思うと、いきなり後ろから強く抱きしめられる。 いわゆるバックハグと言うやつだ。
碧斗の防衛反応が働き直ぐに由佳里の腕を解くが、周囲は激しくザワついている。
「碧斗くんのお陰で、お母さんが知らない男の人を家に連れてくることがなくなったよ。 家の外ではどうかは知らないけれどね」
「そうですか。 やはり俺のお陰ですよね」
嬉しそうに言う由佳里に、碧斗はわざとらしくドヤ顔を決める。
碧斗はつい周りから見られていることを忘れている。 そんな時に由佳里は意を決して口を開いた。
「碧斗くん、実は今日私がここに来たのは理由があってね」
「理由?」
いきなり言われ、碧斗は首を傾げる。
「碧斗くんのことが好き♡ 私と付き合って!」
「「「「「はぁ~!?」」」」」
由佳里は出会ってから一週間も経ってない男の子に告白をする。 しかしそれに答えたのは碧斗ではなく、クラスメイト達。
この出来事はすぐに隣の教室へ、そして違う学年へ、そして最終的には学校中に広まる。
「え、えと……。 白石先輩は俺に告白をしたってこと?」
今ここにいる人の中で、碧斗は一番状況を理解出来ずに一人混乱していた。
「そうなの。 私は碧斗くんのことが好きすぎちゃって告白しちゃった♡」
この光景を見ている男子はハンカチを噛み締め、女子は黄色い声援をあげる。
碧斗はと言うと……。
(う、嘘だろ。 俺、白石先輩と会って間もないんだけど……。 絶対に告白ドッキリとかそんなんだろ。 だって隣に鬼塚先輩もいるし……)
この告白はドッキリだと勘違いしていた。
しかし勘違いをしているなどと周りは気づいていない。 碧斗が返した言葉は──。
「ごめんなさい。 俺、好きな人がいるんです」
まさかの嘘をついた。
良くないことだが、由佳里の隣から遥希の睨むような視線をひしひしと感じる。 それに怯え、つい嘘をついてしまったのだ。
(白石先輩もドッキリということは実質嘘ですよね? だ、だから俺も嘘をついても大丈夫なはず)
由佳里は振られた。 しかしその表情には一切悲しさは見当たらない。
「振られるのわかってた。 でもね、私は諦めないからねあおくん♡」
(その呼び方って……。 いや、ないか)
碧斗の心の中に何かが引っ掛かったが、すぐに忘れ、コンビニパンの入った袋を持ち屋上に向かう。
教室でその様子を見ていた生徒は、全員静止していたのだった。
この告白イベントは、碧斗には好きな人がいるというところまで含め、学校中に広まった。
もちろん碧斗に思いを寄せるヒロイン達。 そして碧斗の元カノである瑠花や、その今の彼氏の颯斗までも。
この時は誰も知らなかった。 この告白が様々な人の人生を狂わすということを──。
碧斗のクラスに一人の少女が訪れた。 隣に風紀委員長、鬼塚遥希という学校一強いと名高い女子を連れて。
「碧斗くんいる~?」
由佳里のおっとりとした口調の声が教室中に響く。
「おい碧斗どういう意味か説明しろ」
「俺は知り合ったばかりだ」
と、誰よりも早く碧斗に苦情を言いに来た冬馬に言う。
真面目な顔で言われ、嘘では無いことが分かった冬馬であったが、それはそれで引っかかることがあるようだ。
そして「お前はこの学校の美女達と仲が良すぎだ。 この女たらしめ。 と言い捨ててこの場を去ってゆく。
勝手に苦情を言いに来て、帰り去った冬馬の背中をぼんやりと眺め、碧斗は「なんだアイツ」と思う。
「見つけた、碧斗く~ん♡」
「うわっ!」
耳元で由佳里の声がしたと思うと、いきなり後ろから強く抱きしめられる。 いわゆるバックハグと言うやつだ。
碧斗の防衛反応が働き直ぐに由佳里の腕を解くが、周囲は激しくザワついている。
「碧斗くんのお陰で、お母さんが知らない男の人を家に連れてくることがなくなったよ。 家の外ではどうかは知らないけれどね」
「そうですか。 やはり俺のお陰ですよね」
嬉しそうに言う由佳里に、碧斗はわざとらしくドヤ顔を決める。
碧斗はつい周りから見られていることを忘れている。 そんな時に由佳里は意を決して口を開いた。
「碧斗くん、実は今日私がここに来たのは理由があってね」
「理由?」
いきなり言われ、碧斗は首を傾げる。
「碧斗くんのことが好き♡ 私と付き合って!」
「「「「「はぁ~!?」」」」」
由佳里は出会ってから一週間も経ってない男の子に告白をする。 しかしそれに答えたのは碧斗ではなく、クラスメイト達。
この出来事はすぐに隣の教室へ、そして違う学年へ、そして最終的には学校中に広まる。
「え、えと……。 白石先輩は俺に告白をしたってこと?」
今ここにいる人の中で、碧斗は一番状況を理解出来ずに一人混乱していた。
「そうなの。 私は碧斗くんのことが好きすぎちゃって告白しちゃった♡」
この光景を見ている男子はハンカチを噛み締め、女子は黄色い声援をあげる。
碧斗はと言うと……。
(う、嘘だろ。 俺、白石先輩と会って間もないんだけど……。 絶対に告白ドッキリとかそんなんだろ。 だって隣に鬼塚先輩もいるし……)
この告白はドッキリだと勘違いしていた。
しかし勘違いをしているなどと周りは気づいていない。 碧斗が返した言葉は──。
「ごめんなさい。 俺、好きな人がいるんです」
まさかの嘘をついた。
良くないことだが、由佳里の隣から遥希の睨むような視線をひしひしと感じる。 それに怯え、つい嘘をついてしまったのだ。
(白石先輩もドッキリということは実質嘘ですよね? だ、だから俺も嘘をついても大丈夫なはず)
由佳里は振られた。 しかしその表情には一切悲しさは見当たらない。
「振られるのわかってた。 でもね、私は諦めないからねあおくん♡」
(その呼び方って……。 いや、ないか)
碧斗の心の中に何かが引っ掛かったが、すぐに忘れ、コンビニパンの入った袋を持ち屋上に向かう。
教室でその様子を見ていた生徒は、全員静止していたのだった。
この告白イベントは、碧斗には好きな人がいるというところまで含め、学校中に広まった。
もちろん碧斗に思いを寄せるヒロイン達。 そして碧斗の元カノである瑠花や、その今の彼氏の颯斗までも。
この時は誰も知らなかった。 この告白が様々な人の人生を狂わすということを──。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる