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第26話 正義のヒーロー喫茶店へ向かう

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 ―― 例によって翌朝

 楽しい食後のコーヒータイムである。
 大画面で凌辱シーンを見ながら談話をする様は変態集団以外の何者でもない。
 正秀に至っては「可哀そうだ、可哀そうだ」と言いながらもガマン汁を垂らしながら食い入るように見ている始末だ。

 「いやぁ、今回も最高だったぜ。特に喫茶店ではあんなことまで…… 為次、容赦ないなっ!」

 「隣に居た私に内緒で酷いのですー! むきぃー!!」

 少々スイはご立腹の様子だ。
 あるじの襟元を掴みながらガクガクと揺さぶり文句を言っている。

 「ぬぉぉぉ…… スイ落ち着いてぇ」

 「むっふー、今度はスイにもするのですっ」

 「わ、分かったからー。やめてぇ……」

 「だったらタメツグ様の体液の抗体を私だけカットしとくです!」

 「ぐぇぇぇ……」

 「ですーっ!!」

 「お、おけ、おけ、約束するから、離してぇ……」

 「絶対ですよっ」

 「はぃー」

 などと茶番をしている間にも映像は進み、総合結果のステータスが表示される。

 ◆ ◆ ◆ PeachYell's Status ◆ ◆ ◆

 【 名前 】:ピーチエール
 【 職業 】:魔法少女

 【 淫乱 】:077%
 【 感度 】:069%

 【 破瓜 】:002回
 【 出産 】:009.3回

 【 口腔 】:037%
 【 乳房 】:068%
 【 陰核 】:022%
 【 尿道 】:044%
 【 陰部 】:076%
 【 子宮 】:088%
 【 尻穴 】:089%

 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

 「うむっ、これは素晴らしいのう! 尻穴が一気に上がってトップじゃわい」

 ステータス画面を見て絶賛したのはもりもり博士であった。
 どうやら肛門にお熱な様子だ。

 スイも為次から手を離すと映像を凝視する。

 「ぬぉぉぉ、ビッチ様が羨ましいのです」

 「スイちゃんは勉強熱心だからな。頑張れよ為次」

 「ちょっと意味が分かんない……」

 「なんにせよ、この調子ならば次回にも尻穴は最高値になりそうじゃのう」

 「糞爺ぃ、尻ばかり上げようとするなって」

 「そう言ってやるなよ為次。誰にでもフェチズムってのはあるもんだぜ」

 「そうじゃ、マサヒデの言う通りじゃ」

 「……はぁ、まあいいや。とりあえず数値的には次で行けるかどうかってとこかな……」

 「だな。ピーチちゃんも良く頑張ったぜ」

 「となるとクリトリスが低いからクリ責めかぁ」

 「お、おう……」

 「ク、クリ…… ゴクリなのです」

 「尻も忘れるでないぞ」

 「はいはい…… そいじゃ余った虫で良さそうなのでも選ぶか」

 「うむ、さっそく怪人造りを開始するかの」

 と、怪人造りを始めようとする為次ともりもり博士だが正秀は特にやることは無かった。
 元々1人でやっていた作業なので手伝う必要も無いしクリトリス責めに特化した虫などまったく思い浮かばない。
 なので、せっかく違う星に来たのだから少しは遊びにでも行こうかと思う。

 「なあ、為次」

 「何? マサ」

 「俺も街に遊びに行ってみたいんだ。怪人造りに人手は要らないだろ? ちょっと出て来てもいいか?」

 「ああ、別にいいよ。爺さんに小遣い貰うといいかも」

 「なんじゃと、またか」

 「いいじゃない、別に減るもんでもないし」

 「減るわいっ!」

 「もりもり博士、無理にとは言わないぜ」

 「いや、渡しておくわい。ほれ」

 そう言いながら、もりもり博士は財布から5千円を取り出し正秀に差し出した。
 二人で8百円しか貰っていない為次は不満そうだ。

 「うわ、マサばっかり贔屓ひいきだは」

 「お主、為次よ。あの時、喫茶店でお金が足らなかったら暴れるつもりじゃったろう?」

 「うっ(バレてる……)」

 「俺は別に暴れないから大丈夫だぜ」

 「まあよい、持って行くのじゃ」

 「そうか悪りぃな。じゃ、遠慮なく。スイちゃんはどうする?」

 「私はタメツグ様のお世話をするです」

 「おう、それじゃ行ってくるぜ」

 「いてら」

 「いってらしゃいませです」

 「暗くなる前に戻るんじゃぞ」

 「俺は子供じゃないけどな…… だけど、ま、晩飯までには戻るぜ、昼は要らないからな」

 そう言い残すと正秀は研究室を出て倉庫へと向かって行った。
 下水通路は反対方向の筈だがと為次は思ったが、あまり気にはしなかった。

 「さてと、マサも行ったし虫を選ぼうかな」

 「尻にはどれがいいかのう」

 もりもり博士は楽しそうに虫カゴを棚から持って来ると、2人はアレでもないコレでもないと話し始めた。
 しばらくして虫が決まりそうになった時であった。
 正秀がまた研究室に戻って来た。

 「じゃあな、もう行くぜ」

 「ああ、うん…… うんん?」

 振り返った為次は中途半端に扉から体を覗かせている正秀を二度見した。
 なんと背中に愛用の大剣を背負っているのだ。
 名前はジャスティスプリンス。
 身長よりも長く片刃で装飾の美しい大剣で目立つこと間違い無しだ。
 正秀の爆属性にも耐えられる特殊合金制でナノマシンも添付してあるお陰で自動修復機能もある。
 どうやらレオパルト2まで取りに行ったらしい。

 「ちょ、マサ待っ……」

 バタン

 為次は静止しようとしたが出て行ってしまった。

 「行っちゃった……」

 「なんじゃ? あの背中に背負っておったのは?」

 「大剣。剣だよ」

 「ほう、大きいのう。お主らも持っておるかの?」

 「俺のはもっと小さいけど車内に置いてあるよ」

 「スイのはこれです」

 と、スイは腰にぶら下げていたの無い柄だけの物を見せびらかす。
 持ち手の所にトリガーの付いている奇妙な剣だ。

 「ふむ? それが剣かの? 刃も見当たらないが…… 奇妙じゃのう」

 「ライトブレードです。これを引くと出てくるのです。タメツグ様に買ってもらったです」

 そう言いながらトリガーを引くと、ブヨーンと音がして光のヤイバが現れた。

 「ほう、これは凄いの。どれ儂にも貸してみるのじゃ」

 「どうぞです」

 もりもり博士はライトブレードを受け取るとブンブンと振り回す。
 狭い部屋で危ないが、次第にやいばは小さくなり消えてしまった。

 「どうしたのじゃ? 消えてしまったわい」

 「それはスイしか使えないです」

 「スイってより魔法使いしか使えないってさ」

 「魔法使いじゃと!?」

 為次の魔法使いという言葉にもりもり博士は驚いた。
 ピーチエールも魔法を使い攻撃してくる。
 その力はアブベーンによってもたらされると考えていただけに、目の前の少女も関係があるのではと疑った。
 つい、怪訝そうな顔でスイを睨んでしまう。

 「爺さん心配しなくても大丈夫だよ。スイの魔法はナノマシンによって潜在能力を引き出したモノだから」

 「です。付与魔法しか使えないのです」

 「ふむ…… そうか…… 付与魔法とな?」

 もりもり博士は少し安心した表情で訊いた。

 「ピーチに飲ませてる水があるでしょ。アレをスイが作ってんの」

 「あの、どんな怪我でも治ると言っておるやつかの?」

 「そうだよ」

 「ならば儂にも1本貰えるかのう…… どうにも痔が酷くて堪らんのじゃ」

 「どんだけケツきだよ……」

 その後、もりもり博士はヒールポーションを貰い無事に痔が治った。
 長年、わずらってきただけに大喜びであった。

 そんな多少の無駄な時間は使ってしまったものの、予定通り怪人造りは開始された。
 新たなるクリトリス責めが得意な怪人を目指して……

 ※  ※  ※  ※  ※

 その頃、正秀は……

 商店街へ入る手前の道端で澄み切った青い空を見上げていた。
 張り巡らされた電線が異様な雰囲気を醸し出している。
 通り過ぎる車はどれもが一本の長い金属棒を伸ばし電線より電気を受け取りながら走っているのが面白く思えた。

 「走り辛くないのか?(ま、俺達には関係ねーか)」

 そして架線の間からは白い月が3つ大空に浮かんでおり、ここが地球とは違う星であることを実感させてくれていた。

 「ふぅ(暑いぜ)」

 眩しい太陽の光を遮ろうと目の上に掲げていた左手で額の汗を拭う。
 狭い車内や薄暗い地下施設と違い、実に清々すがすがしい気分だ。

 「よし、小遣いも貰ったし何か飲むか」

 とりあえず宛の無い正秀は商店街を進み喫茶店でも探す事にした。
 名古屋生まれの名古屋育ちだけに喫茶店は大好きだから。
 それ故に不安もあった。
 東京のようにコーヒーを頼んだらコーヒーしか出さないとか、ふざけた喫茶店であったらどうしようかと。
 まだ午前中なのでコーヒーだけでモーニングセットが付いてこなければはなはだ遺憾である。

 それに、お腹が空いたら喫茶店に行くのは当たり前だ。
 唐揚げ定食や焼き肉定食がメニューに無いなど言語道断である。
 喫茶店は定食屋と紙一重でなければならない。

 そんなことを考えながら歩くが、背中に背負った大剣がヤケに目立つ。
 巨大な剣を背にブツブツと独り言を呟きながら歩く姿は不審者そのものであった。

 「どれどれ、この店はどうだ?」

 とある喫茶店の前で足を止めると、メニューの模型が並べてあるショーケースを覗き込んだ。
 謎の動物の模型が「モニューモニュー」と鳴きながら飲食物の模型を持ちながら並んでいる。
 そこは偶然にも為次とスイが入った店であった。

 「うーむ…… モーニングセットはあるみたいだが、別料金になってるぜ。だけど、定食関係は多そうだな…… 良しっ」

 何が良しなのか分からないが、この店に決めたらしい。
 扉の取手に手を掛けた、その時であった……

 「そこのあなた、待ちなさい」

 後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 なんだろうと振り向く正秀。
 目の前には国家警備隊の制服を着た銀髪の少女が1人立っており、お互いの目が合う。

 「「あっ!?」」

 同時に驚きの声を上げた。

 「あ、あなたは…… 昨夜、触手怪人と一緒に居た……」

 「誰かと思えばピーチちゃんじゃないか」

 「……今はその名で呼ばないで下さい。私はモモです」

 「お、おう、悪りぃ。俺は正秀。よろしくな、ピーチ…… じゃなくてモモちゃん」

 「何故あなたがここに……? また、善からぬことを企んでいるのでは」

 「ち、違うぜ! 勘違いしないでくれ。俺は只、喫茶店でコーヒーでも飲もうと思ってな」

 「では、その背に背負しょっている物騒な物はなんなのですかっ!」

 「おお、こいつは俺の愛棒でな。悪者が現れた時に成敗しようと思ってな」

 「はぁ? 悪者はあなたでしょう」

 「おいおい、俺は悪者じゃなくて正義のヒーローだぜ。宇宙の平和を守るな!」

 「何を言って……?」

 悪党と一緒に居る所を見られているので到底信じてはもらえない。
 益々、怪しい者を見る目で睨まれてしまう。

 とは言え正秀は気にした様子もなく……

 「折角だからモモちゃんも一緒にお茶しようぜ」

 などとデートのお誘いをするのであった。
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