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異世界編 1章
第50話 必殺技その3
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為次の元を離れたスイは、一人でトボトボと泣きながら屋台街を歩いていた。
辺りは暗くなっているが、人通りはまだまだ多い。
しかし、そんな街の喧騒とは裏腹に、スイは一人ぼっちで不安と悲しさで胸が張り裂けそうな思いであった。
「ご主人様…… ご主人様…… うぇ……」
帰る場所を無くしたスイは為次を思い、只々そう呟きながら行く宛もなく歩いていた。
スイは為次に嫌われ、自分が近くに居れば迷惑ばかり掛ける邪魔な存在だろうと思い込み、それならいっそ居ない方がご主人様は幸せなのだろう考えた。
だから、大好きなご主人様の元を去ったのだ。
もっとも、為次は迷惑とかそんなことは全く思っていない。
それよりも、いちいち、そんなことを考える方が面倒臭い。
だが、あの捻くれた性格のせいでスイはそう思っていたのだ。
そんな時であった、聞き覚えのある声がスイを呼び止める。
「あらまあ、スイでしたかしら? タメツグの奴隷じゃないですのー」
ターナはめっちゃわざとらしく、偶然出会ったかのように声を掛けた。
「こんな所で、一人でどうしたのかしらー」
「…………」
なんと言うか、ターナは意外と演技が下手くそなのだ。
スレイブはちょっと戸惑い気味だ。
「うぇ?」
スイは泣きながら声の方を振り向くと、ターナとスレイブが居る。
「そんなに泣いて…… 何かあったの?」
ターナは、わざとらしい微笑みを浮かべながらスイに近づいて行く。
「ターナ様……」
「どうしたの? 私で良ければ話を聞くわ」
「う、うえぇぇぇん…… うわぁーん……」
「あらあら、泣いちゃったわね」
「うぇぇぇ…… ぐすっ……」
「泣いてばかりだと、分からないですわよ」
「ごめんなさい…… ごめんなさーい! うえぇぇぇん!」
そんな泣いているスイを横目に、スレイブはターナの耳元で囁く……
「母さん、正秀とマヨーラがこちらに向かって来るようだよ」
「あら、大変ですわ」
ターナは急いで辺りを見回すと適当な店を探して言う。
「ねぇ、スイ、お腹も空いてるでしょう? 近くのお店で食事でもしながら話を聞きますわ」
「うぇ…… でも、ご迷惑では……」
「そんなことありませんわ、とにかく早くいらっしゃい」
「でも……」
「いいから来るのよ!」
「ほら、さっさと付いて来い、行くぞ」
「は、はぃ……」
スレイブはスイの腕を掴むと一軒の飲食店へと連れ込んだ。
店に入ると中は夕飯時なので結構混雑している。
人込みに紛れようと、客の多い店を選んだのもあるからだ。
奥の方に空いた席を見つけると、ターナとスレイブは席に着くのだがスイは立ったままであった。
スイが奴隷なのだから当たり前と思うのだが、さすがに冒険者区画で奴隷を連れているのは目立ってしまう。
「スイ、遠慮しないで座ってちょうだい」
「ですが……」
「いいから、座れ!」
「は、はい」
スレイブに怒鳴られたスイは、大人しく席に着くことにした。
スイが座るとスレイブは適当に注文をし、手に持っていた鏡を確認してみる。
手鏡には使い魔からの情報が映し出されているのだ。
そして、ターナとスレイブはお互いに、小さな声で囁き始める。
「どうかしら?」
「行ったみたいだね、どうやらギルドの方を探しに行ってる様子だ」
「そう…… それで、タメツグは?」
「ちょっと、待ってくれ」
そう言うと、もう一枚の別の手鏡を確認し始める。
「見えないな、だけどレオの中に居ると思うよ」
「そうですか、分かりましたわ」
「行くなら、今がチャンスかな」
「……それなら、直ぐに向った方がよろしいですわね」
「ああ、そうだね」
2人は相談が終わると、今度はスイに話しかける。
「ねぇスイ、何があったのかしら? 良ければ聞かせてくれて?」
「はぃ…… 実は、ご主人様に向かってバカと言ってしまいましてぇ……」
「それは、知ってますわ」
「はぅ……」
「しかし、奴隷にバカ呼ばわりされる奴も凄いな……」
スレイブは呆れていた。
「それで、タメツグが帰って来てから何かありましたのー?」
実際のとこ、それも覗いていたので知っているがターナはわざとらしく訊いた。
「はい、ご主人様が帰って来られたので謝ろうと思ったのですが、スイは迷惑を掛けてばかりだからと、怒ってつばい様に閉じ籠ってしまいましたのです」
「迷惑だって、タメツグ本人が言ったの?」
「いえ…… それは、マヨーラ様が……」
「ああ…… マヨーラも余計なことを…… 困った子ですわ」
「まあ、こっちは楽しめそうだからいいけどな」
「はう?」
「あ、いや、なんでもないぜ、こっちの話だ」
「……はぃ」
「ではスイ、いいですか?」
「?」
「あなたは、まだタメツグ本人がどう思っているのか聞いていないのですわ。だから、タメツグがどう思ってるのか直接本人に聞きに行きましょうか? ね?」
「でも…… スイは嫌われたのです」
「それは、まだ、分からないですわ」
「……あう」
「とにかく、つべこべ言ってないで行くぜ! いいな?」
「は、はぃ……」
「あっと、それとな、タメツグがお前のことを要らないって言うなら、俺が貰ってやるぜ、へへっ」
「…………」
それから、3人は手っ取り早く食事を済ませると、為次の所へと向かうのであった。
2人に連れられて行くスイは、どうせご主人様に会いに行くなら、食事を持って行きたいと思うのだ。
だから、洗面器を置き忘れて来たことをちょっと後悔していた……
※ ※ ※ ※ ※
一方、当の為次本人はレオパルト2の車内で何もしていなかった。
ちょっとは自分も探しに行った方がいいかな? なんて思ってもみたが、やっぱり面倒臭いので思うだけに留めておいた。
狭い車内で色々な思いが頭を巡る。
「……うーむ」
人とは、自分に都合の良い考えばかりする生き物なのである。
何か不測の事態が起こり、無理だと分かっていても、数有る選択肢の中から、常に自分に一番都合の良い行動を取ろうとするのだ。
しかし、それは間違いである。
何故なら、人生とは思い通りに行かなくて当たり前なのだから。
自分に都合の良い考えで、思い通りに事が運ぶなら、それこそ人生バラ色間違いなしだ。
だが、現実は違う。
人生には常に失敗が付き纏い、後悔を繰り返すことで、ようやく僅かな自分にとってのベストな選択肢を掴み取ることができる。
そうやって人々は、苦しみながら生きて行くのだ……
そんな、無駄な足掻きを繰り返す愚かな人間ではあるが、1つだけ正しい選択肢を選べる方法がある。
それは…… 何もしないことだ!
何もしなければ、過ちを犯すことも無い。
何もしなければ、そこから先に進む必要も無いのだ。
何かにチャレンジするなど、愚の骨頂であること間違いなしだ!
会社で同僚が失敗しても、黙って見ている方が良いに決まっている。
誰かが怪我をして倒れていても、見て見ぬ振りをするのが正解だ。
自分から厄介事に首を突っ込むなど言語道断! 愚か者の極みである。
だから、為次は戦車の中に閉じ籠り、自ら行動を起こすことは無いのである。
正に、ドゥ・セーフティー。
などと、為次が訳の分からないヘリクツを妄想していると、外から声が聞こえてくる。
「ん? 誰か来た?」
ペリスコープを覗いてみるが、暗くてよく分からない。
仕方ないので、ハッチを開けると頭を出してみる。
「お、ターナじゃない、それとスレイブも」
ターナとスレイブはゆっくりと、レオパルト2に近づいて来る。
その後ろにはもう一人、付いて来る人影が見えるのだ。
ターナは途中で立ち止まると、スレイブともう一人の人物が為次の前までやってきた。
その人物は、スレイブの後ろから申し訳なさそうな顔を覗かせる。
「お、スイ……」
後ろの人物は、探していたスイであった。
もっとも、探しているのは正秀とマヨーラであるが……
「よぉ、タメツグ」
「やあ、スレイブ、どしたの?」
「何、ちょっとお前に用があってな」
「ん? 俺に? 珍しいね」
「ああ」
「スイもお腹空いて、戻って来たのかなー」
「いえ…… 私は先程ターナ様達にご馳走になりました」
「え? あ、そうなんだ…… 食ってないの俺だけすかぁ」
「申し訳ございません……」
「別にいいけど」
「なあタメツグ」
「何? スレイブ」
「実はお前に頼みがあってな」
「頼みっすか……」
「ま、簡単なことだ。お前の持っている異世界の武器を見せてもらいたいんだが」
「えーっと、どれかな?」
「小さな銀色のヤツだ、初めて出会った時に俺達に向けていただろ」
「ああ、デザね、デザートイーグル」
「そう、それだ」
「別にいいけど、見てどうするの?」
「俺も戦士だからな、強い武器には興味があるんだぜ」
「そうなんだ、それじゃ、っと」
為次はレオパルト2から降車すると、スレイブの前に立ちホルスターからデザートイーグルを抜いた。
そして、マガジンを抜き取りチャンバーから弾丸を抜きセーフティを掛けるとスレイブに差し出した。
スレイブはデザートイーグルを受け取ると物珍しそうに見る。
「へぇ、こいつがガザフの腕をもぎ取った武器か……」
「え?」
為次はスレイブのセリフに困惑してしまった……
何故スレイブがガザフ邸での出来事を知っているのか?
何故スレイブがこの武器を要求したのだろうか?
急に不安と恐怖が為次を包み込む……
目の前には、楽しそうに笑うスレイブが立っているだけであった……
辺りは暗くなっているが、人通りはまだまだ多い。
しかし、そんな街の喧騒とは裏腹に、スイは一人ぼっちで不安と悲しさで胸が張り裂けそうな思いであった。
「ご主人様…… ご主人様…… うぇ……」
帰る場所を無くしたスイは為次を思い、只々そう呟きながら行く宛もなく歩いていた。
スイは為次に嫌われ、自分が近くに居れば迷惑ばかり掛ける邪魔な存在だろうと思い込み、それならいっそ居ない方がご主人様は幸せなのだろう考えた。
だから、大好きなご主人様の元を去ったのだ。
もっとも、為次は迷惑とかそんなことは全く思っていない。
それよりも、いちいち、そんなことを考える方が面倒臭い。
だが、あの捻くれた性格のせいでスイはそう思っていたのだ。
そんな時であった、聞き覚えのある声がスイを呼び止める。
「あらまあ、スイでしたかしら? タメツグの奴隷じゃないですのー」
ターナはめっちゃわざとらしく、偶然出会ったかのように声を掛けた。
「こんな所で、一人でどうしたのかしらー」
「…………」
なんと言うか、ターナは意外と演技が下手くそなのだ。
スレイブはちょっと戸惑い気味だ。
「うぇ?」
スイは泣きながら声の方を振り向くと、ターナとスレイブが居る。
「そんなに泣いて…… 何かあったの?」
ターナは、わざとらしい微笑みを浮かべながらスイに近づいて行く。
「ターナ様……」
「どうしたの? 私で良ければ話を聞くわ」
「う、うえぇぇぇん…… うわぁーん……」
「あらあら、泣いちゃったわね」
「うぇぇぇ…… ぐすっ……」
「泣いてばかりだと、分からないですわよ」
「ごめんなさい…… ごめんなさーい! うえぇぇぇん!」
そんな泣いているスイを横目に、スレイブはターナの耳元で囁く……
「母さん、正秀とマヨーラがこちらに向かって来るようだよ」
「あら、大変ですわ」
ターナは急いで辺りを見回すと適当な店を探して言う。
「ねぇ、スイ、お腹も空いてるでしょう? 近くのお店で食事でもしながら話を聞きますわ」
「うぇ…… でも、ご迷惑では……」
「そんなことありませんわ、とにかく早くいらっしゃい」
「でも……」
「いいから来るのよ!」
「ほら、さっさと付いて来い、行くぞ」
「は、はぃ……」
スレイブはスイの腕を掴むと一軒の飲食店へと連れ込んだ。
店に入ると中は夕飯時なので結構混雑している。
人込みに紛れようと、客の多い店を選んだのもあるからだ。
奥の方に空いた席を見つけると、ターナとスレイブは席に着くのだがスイは立ったままであった。
スイが奴隷なのだから当たり前と思うのだが、さすがに冒険者区画で奴隷を連れているのは目立ってしまう。
「スイ、遠慮しないで座ってちょうだい」
「ですが……」
「いいから、座れ!」
「は、はい」
スレイブに怒鳴られたスイは、大人しく席に着くことにした。
スイが座るとスレイブは適当に注文をし、手に持っていた鏡を確認してみる。
手鏡には使い魔からの情報が映し出されているのだ。
そして、ターナとスレイブはお互いに、小さな声で囁き始める。
「どうかしら?」
「行ったみたいだね、どうやらギルドの方を探しに行ってる様子だ」
「そう…… それで、タメツグは?」
「ちょっと、待ってくれ」
そう言うと、もう一枚の別の手鏡を確認し始める。
「見えないな、だけどレオの中に居ると思うよ」
「そうですか、分かりましたわ」
「行くなら、今がチャンスかな」
「……それなら、直ぐに向った方がよろしいですわね」
「ああ、そうだね」
2人は相談が終わると、今度はスイに話しかける。
「ねぇスイ、何があったのかしら? 良ければ聞かせてくれて?」
「はぃ…… 実は、ご主人様に向かってバカと言ってしまいましてぇ……」
「それは、知ってますわ」
「はぅ……」
「しかし、奴隷にバカ呼ばわりされる奴も凄いな……」
スレイブは呆れていた。
「それで、タメツグが帰って来てから何かありましたのー?」
実際のとこ、それも覗いていたので知っているがターナはわざとらしく訊いた。
「はい、ご主人様が帰って来られたので謝ろうと思ったのですが、スイは迷惑を掛けてばかりだからと、怒ってつばい様に閉じ籠ってしまいましたのです」
「迷惑だって、タメツグ本人が言ったの?」
「いえ…… それは、マヨーラ様が……」
「ああ…… マヨーラも余計なことを…… 困った子ですわ」
「まあ、こっちは楽しめそうだからいいけどな」
「はう?」
「あ、いや、なんでもないぜ、こっちの話だ」
「……はぃ」
「ではスイ、いいですか?」
「?」
「あなたは、まだタメツグ本人がどう思っているのか聞いていないのですわ。だから、タメツグがどう思ってるのか直接本人に聞きに行きましょうか? ね?」
「でも…… スイは嫌われたのです」
「それは、まだ、分からないですわ」
「……あう」
「とにかく、つべこべ言ってないで行くぜ! いいな?」
「は、はぃ……」
「あっと、それとな、タメツグがお前のことを要らないって言うなら、俺が貰ってやるぜ、へへっ」
「…………」
それから、3人は手っ取り早く食事を済ませると、為次の所へと向かうのであった。
2人に連れられて行くスイは、どうせご主人様に会いに行くなら、食事を持って行きたいと思うのだ。
だから、洗面器を置き忘れて来たことをちょっと後悔していた……
※ ※ ※ ※ ※
一方、当の為次本人はレオパルト2の車内で何もしていなかった。
ちょっとは自分も探しに行った方がいいかな? なんて思ってもみたが、やっぱり面倒臭いので思うだけに留めておいた。
狭い車内で色々な思いが頭を巡る。
「……うーむ」
人とは、自分に都合の良い考えばかりする生き物なのである。
何か不測の事態が起こり、無理だと分かっていても、数有る選択肢の中から、常に自分に一番都合の良い行動を取ろうとするのだ。
しかし、それは間違いである。
何故なら、人生とは思い通りに行かなくて当たり前なのだから。
自分に都合の良い考えで、思い通りに事が運ぶなら、それこそ人生バラ色間違いなしだ。
だが、現実は違う。
人生には常に失敗が付き纏い、後悔を繰り返すことで、ようやく僅かな自分にとってのベストな選択肢を掴み取ることができる。
そうやって人々は、苦しみながら生きて行くのだ……
そんな、無駄な足掻きを繰り返す愚かな人間ではあるが、1つだけ正しい選択肢を選べる方法がある。
それは…… 何もしないことだ!
何もしなければ、過ちを犯すことも無い。
何もしなければ、そこから先に進む必要も無いのだ。
何かにチャレンジするなど、愚の骨頂であること間違いなしだ!
会社で同僚が失敗しても、黙って見ている方が良いに決まっている。
誰かが怪我をして倒れていても、見て見ぬ振りをするのが正解だ。
自分から厄介事に首を突っ込むなど言語道断! 愚か者の極みである。
だから、為次は戦車の中に閉じ籠り、自ら行動を起こすことは無いのである。
正に、ドゥ・セーフティー。
などと、為次が訳の分からないヘリクツを妄想していると、外から声が聞こえてくる。
「ん? 誰か来た?」
ペリスコープを覗いてみるが、暗くてよく分からない。
仕方ないので、ハッチを開けると頭を出してみる。
「お、ターナじゃない、それとスレイブも」
ターナとスレイブはゆっくりと、レオパルト2に近づいて来る。
その後ろにはもう一人、付いて来る人影が見えるのだ。
ターナは途中で立ち止まると、スレイブともう一人の人物が為次の前までやってきた。
その人物は、スレイブの後ろから申し訳なさそうな顔を覗かせる。
「お、スイ……」
後ろの人物は、探していたスイであった。
もっとも、探しているのは正秀とマヨーラであるが……
「よぉ、タメツグ」
「やあ、スレイブ、どしたの?」
「何、ちょっとお前に用があってな」
「ん? 俺に? 珍しいね」
「ああ」
「スイもお腹空いて、戻って来たのかなー」
「いえ…… 私は先程ターナ様達にご馳走になりました」
「え? あ、そうなんだ…… 食ってないの俺だけすかぁ」
「申し訳ございません……」
「別にいいけど」
「なあタメツグ」
「何? スレイブ」
「実はお前に頼みがあってな」
「頼みっすか……」
「ま、簡単なことだ。お前の持っている異世界の武器を見せてもらいたいんだが」
「えーっと、どれかな?」
「小さな銀色のヤツだ、初めて出会った時に俺達に向けていただろ」
「ああ、デザね、デザートイーグル」
「そう、それだ」
「別にいいけど、見てどうするの?」
「俺も戦士だからな、強い武器には興味があるんだぜ」
「そうなんだ、それじゃ、っと」
為次はレオパルト2から降車すると、スレイブの前に立ちホルスターからデザートイーグルを抜いた。
そして、マガジンを抜き取りチャンバーから弾丸を抜きセーフティを掛けるとスレイブに差し出した。
スレイブはデザートイーグルを受け取ると物珍しそうに見る。
「へぇ、こいつがガザフの腕をもぎ取った武器か……」
「え?」
為次はスレイブのセリフに困惑してしまった……
何故スレイブがガザフ邸での出来事を知っているのか?
何故スレイブがこの武器を要求したのだろうか?
急に不安と恐怖が為次を包み込む……
目の前には、楽しそうに笑うスレイブが立っているだけであった……
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