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大切な君へ。
思い出せない君へ。
君がいなくなってしまってから、私はずっと抜け殻のように生きてきました。
夕暮れ時の窓から見えた飛行機雲がかすれていくのをじっと見つめると、君の笑顔が消えてしまうような寂しさを感じます。
私は君のそばにいるときの自分が一番好きでした。
君に出会ったその瞬間、私には分かりました。
この人をずっと待っていたんだって。
私は君に出会うために生まれてきたんだ。
運命なんだって、そう感じたんです。
理由なんて分かりません。
だけど、この気持ちはどうしたって消すことはできません。
君に会えたとき、私は救われたような気がしました。
君は私の毎日に思い出を刻みつける彫刻家だった。
なのに……。
どうして思い出せないの?
君がはっきりと刻んだ私たちの思い出はいったいどこへ消えてしまったの?
君への想いだけはこうしてはっきりと私の胸に残っているのに。
どうして君の存在だけが消えてしまったの?
思い出せない君のことを考えようとすると、とっくに乾いているのに細い枝にしがみつく枯れ葉みたいに心が震えます。
北風が容赦なく私の心をざわめかせ、飛び立った小鳥が木の葉を一枚落としていったかのように、君の存在が消えそうになる。
だけど、その枯れ葉が砂となって指の間からこぼれ落ちたとしても、たとえ一粒であったとしても私はそれを握りしめてみせます。
小さな砂時計に閉じ込められた私たちの未来を、もう二度と君と一緒に見ることはできないんでしょうか。
約束したよね。
来年の花火大会を見に行くって。
夜空の星がすべて降ろうとも、月が割れたとしても、君に会えることがないのなら、私はどうして今ここにいるの?
君のいないこの世に意味なんてない。
運命が私をもてあそんでいるの?
でも、私はおもちゃになんかなりません。
私を苦しめようとしたって無駄です。
絶対に耐えてみせます。
だって、君は私の大切な人だから。
言ったよね。
私、すごくわがままだからね。
だから、絶対にあきらめないんだからね。
君は知ってるよね。
私が甘えん坊だって。
忘れさせようとしたって無駄だよ。
君のそばにいたいから。
私、世界一のわがままだからね。
絶対にあきらめたりしないんだから。
だから、ね。
いいでしょ。
だって、それが……私が望むハッピーエンドなんだから。
――今、そちらへ行きます。
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