年下彼氏の策略

水無瀬雨音

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逃がさない

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 佑から口づけられて樹は軽く目をみはった。
 唇同士を触れ合わせるだけの稚拙なもので、震えた唇は触れるとすぐ離れたが樹を煽るには充分すぎた。
「……もう、逃がさないけどいいですか」
 佑が無言でうなづいたのを合図に樹は佑を抱き上げた。寝室に向かったのは最後の理性だ。

 勢いよくドアを開け放ち、ベッドにどさっと佑を下ろす。
「千堂君、シャワー……」
「ごめん、待てない。
 無理」
 佑の訴えを却下して、噛みつくような荒々しいキスをする。佑は一瞬身を固くしたが、たどたどしく応えてくるのが愛おしい。
「……んっ」
 思うまま口の中を蹂躙していると、佑の口から甘い声が漏れ出た。
 自分でも驚いたのかわずかに目が見開かれる。声を出さないために口を結ぶが、樹は舌で簡単にこじ開けた。
「あっ……」
 いやいやするように佑が弱弱しく首を振るが、樹は佑の口の中を探るのをやめなかった。
 舌で形の良い歯列を丹念になぞり、佑の舌先をつついたり側面を撫で上げる。上あごを撫で上げるとぴくんと佑の背が小さく跳ねた。佑の顎を伝う。
 互いの唾液が混ざり合い、口元からこぼれたものが
 激しいキスをしながら、佑のネクタイを抜き取りスーツとシャツのボタンを外す。
「……脱ぎましょうね。しわになるから」
 ぼんやりとした顔のまま佑がこくりと頷く。
 緩慢な動作で上半身を起こし、ジャケットを脱いでサイドテーブルにのせた。
「千堂君、も」
「……ああ」
 佑に言われて初めて自分もスーツを着たままだったと思い当たる。
 ボタンを外すのすらもどかしく感じながらようやく外し、ジャケットを床に放り投げる。ガチャガチャとベルトを外し、足から抜いたズボンも床に投げる。

 佑はジャケットを脱いだだけで、ズボンとはだけたシャツがそのままだった。
「オレが脱がせるの、待ってた?」
 ベルトに手を伸ばすと、
「あ、ちが」
 動揺した佑が樹の手を抑え込もうとするのを無視して、ベルトを外しズボンを引き抜いて床に投げる。佑が隠そうとしたものはすぐに分かった。
 ふっと樹はそれをみて笑った。
 バカにしたわけではなく、嬉しかったからだ。
「見せて」
 佑が顔を赤くして隠そうとしたが、片手だけで佑の両手を抑え込む。
「キスだけでこんなになった?……可愛い」
「可愛くなんか」
 佑のそれは下着を押し上げていた。下着を下ろすと息苦しそうにしていたものがぷるんと顔を出す。先からは透明な先走りがこぼれそうになっていた。
「先にいかせてあげる」
「え?や……あっ」

 樹は佑のものをためらいなくくわえ込んだ。すっかりたちあがっているはずの佑のものは樹の口に下まですっぽりと収まった。樹の口が特別大きいわけではなく本人には直接言えるはずもないが、身長に比例して佑のものは小さいのだ。
「汚い、からぁ……。だめっ」
 佑が慌てて樹の頭に手を当てて自分のものから離れさせようとする。
「佑のものは汚くない」
「やぁ……。くわえたまましゃべらないで……あんっ」
 舌を絡ませるようにしながら、ゆっくりとストロークする。
 ちらっと佑を見上げると快感をこらえるように唇をかみしめて激しく首を左右に振っていた。声を聞きたいがそれは後にする。
 裏筋を舐めあげ、かさを中心に舐め立てると
「やめ……。出る、でるからぁ!ああっ!」
 佑は樹の口の中であっさりと達した。
「出るって……言ったのに」
 恥ずかしいのか、涙目で佑が睨む。
 ごくん、と佑が出したものを嚥下する。佑のものだと思えば飲めるが、うまくはない。むしろ苦くてまずい。
「え?ちょ……飲んじゃったの?」
 睨みつけていた目を丸くして慌てるのがおかしくて樹は吹き出してしまった。

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