年下彼氏の策略

水無瀬雨音

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待ち伏せ3

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「マンガとかドラマで見たことある!すげーなお前」
 店員が立ち去ると、高田がにやけ顔でパスタをフォークでからめとる。傍目で見ている分にはうらやましい反面面白がれるのだろう。
「実際されても良くないですよ。あんなんされると二度と同じ店行けねーし」
 基本的にはああいうことをされると行かないが、万一行くことになって会ってしまうと、「なんで連絡くれないの?待ってるのに」となる。勝手に押し付けてきてひどい話だ。
 ともすればモテ自慢ともとられるため、あまり人に言わないようにしているのに、なぜかさっきから漏らしてしまうのは、高田の話しやすい雰囲気のせいだろうか。やはり営業に向いていると思う。
「イケメンも大変だなー」
 高田は同情的な顔になった。
「愚痴ぐらい聞いてやるからさ、また飯食いに行こうぜ。飲みでもいいし」
 「これやるから元気出せ」と自分のサラダからトマトを樹の皿に移してくる。多分嫌いなのだろう。
「あ、そうだ。これは言っとかないといけねーから」
 高田がスープをスプーンでかき混ぜて温度を冷ましながら声のトーンを落とす。
「……男同士でもナマはだめだからな?あと無理やりもやめとけよ」
 どうやら樹は同情の余地はある、とみなされているもののまだ完全には信用されていないらしい。
 何にしてもいくら声を落としているとはいえ、昼間のファミレスでする話題ではない。ただでさえ樹は店員からも客からも注目されているのだ。
 樹ははあ、とため息をついた。
「……マジで今んとこ付き合ってないですし、体の関係もないです。予定もないです。つーかオレフツーに女の子が好きなんで」
 だからそんな心配は無用だと言外に匂わせると、高田はバツが悪そうに頭をかいた。
「最初に言えよー。後輩シメてるみたいじゃん。瀬奈ちゃんに毒されすぎたわ」
 高田にまで瀬奈は何を吹き込んでいるのだろう。あまり知りたくないが。
「まあ、小鳩とふつーにでいいから仲良くしてやってくれよ。もしもなんやかんやで付き合うなら大事にしてやって」
 だからなぜノーマルだと言ってるのに、付き合う可能性があると思っているのだろう。瀬奈はともかく高田は毒されすぎだ。……そもそも佑にそんな気はないというのに。
 ともかく了承しないと高田は納得しないだろう。
 樹は渋々うなづいた。
「分かりました」
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