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あり得ない
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帰宅したのは21時前だった。
コンビニで買った弁当を食べながら、佑の作ってくれた食事は美味しかったと思い起こす。食べなれているはずなのに、なんだか味が濃い。
今日は佑と社内で会うことがなかったが、このままなにもしないのはマズい、とメールで「昨日はありがとうございました」とあたりさわりのないことを送る。
自分でも本当にチキンだと思う。
しばらくして「こちらこそありがとうございました」と丁寧な返事が戻ってくる。とりあえず佑は追及する気はないらしい。というよりは思い出したくないだけかもしれないが。
樹はスマホをテーブルに置いて、食事に専念することにした。
「オレ女の子に困ってないけど?」
「男だからじゃなくて小鳩さんだからですよね」
聖母のような微笑みで「大丈夫です。分かってます」と言うように頷いているのが腹が立つ。
「だから!そうじゃないんだって」
少し声高になってしまい、
「え?なにー?千堂君が揉めるのめずらしいね」
「てか痴話げんか?マジショックなんだけど」
周囲からひそひそと漏れ聞こえてきた声に、樹はこほん、と軽く咳をする。
ただでさえ目立つ取り合わせなのに、もめている様子を見せるのはマズい。
「……とにかく。嫉妬とかじゃないから。じゃあ」
聖母のような表情を崩さない瀬奈を置いて、逃げるようにそこで会話を終えたのだが、今思い出しても腹が立つ。
(嫉妬とか男同士で意味わかんねー)
樹は食べ終わった弁当の容器を洗って軽く水けを切ると、プラ用のゴミ箱に放り込んだ。
男同士の恋愛を好む人種がいるのは知識として知っていたが、瀬奈はそういうイメージとかけ離れていたので意外だった。
何を勘違いしているのか分からないが当面害はなさそうだ。放置することにする。佑にも変なことを触れ込んでいなければよいのだが。
樹は脱衣所に着替えを用意すると、浴槽にお湯をはった。
髪を洗いながらなんとなく昨日の佑を思い返す。
さり気なく触った細い腰や普段より少し高い声。
お世辞にも大きいとは言えない佑のものが、触っているうちに増していく硬度。
紅潮したおびえた顔……。
「……やっべぇマジかよ」
ふと気が付くと、下半身に血流が集中していた。
瀬奈が言うように自分はゲイなのだろうか。
……いやちがう。
これは最近ご無沙汰だっただけだ。
けして瀬奈に嫉妬はしていないし、佑が好きなわけでもない。
樹は言い訳しながら速やかに処理をした。
コンビニで買った弁当を食べながら、佑の作ってくれた食事は美味しかったと思い起こす。食べなれているはずなのに、なんだか味が濃い。
今日は佑と社内で会うことがなかったが、このままなにもしないのはマズい、とメールで「昨日はありがとうございました」とあたりさわりのないことを送る。
自分でも本当にチキンだと思う。
しばらくして「こちらこそありがとうございました」と丁寧な返事が戻ってくる。とりあえず佑は追及する気はないらしい。というよりは思い出したくないだけかもしれないが。
樹はスマホをテーブルに置いて、食事に専念することにした。
「オレ女の子に困ってないけど?」
「男だからじゃなくて小鳩さんだからですよね」
聖母のような微笑みで「大丈夫です。分かってます」と言うように頷いているのが腹が立つ。
「だから!そうじゃないんだって」
少し声高になってしまい、
「え?なにー?千堂君が揉めるのめずらしいね」
「てか痴話げんか?マジショックなんだけど」
周囲からひそひそと漏れ聞こえてきた声に、樹はこほん、と軽く咳をする。
ただでさえ目立つ取り合わせなのに、もめている様子を見せるのはマズい。
「……とにかく。嫉妬とかじゃないから。じゃあ」
聖母のような表情を崩さない瀬奈を置いて、逃げるようにそこで会話を終えたのだが、今思い出しても腹が立つ。
(嫉妬とか男同士で意味わかんねー)
樹は食べ終わった弁当の容器を洗って軽く水けを切ると、プラ用のゴミ箱に放り込んだ。
男同士の恋愛を好む人種がいるのは知識として知っていたが、瀬奈はそういうイメージとかけ離れていたので意外だった。
何を勘違いしているのか分からないが当面害はなさそうだ。放置することにする。佑にも変なことを触れ込んでいなければよいのだが。
樹は脱衣所に着替えを用意すると、浴槽にお湯をはった。
髪を洗いながらなんとなく昨日の佑を思い返す。
さり気なく触った細い腰や普段より少し高い声。
お世辞にも大きいとは言えない佑のものが、触っているうちに増していく硬度。
紅潮したおびえた顔……。
「……やっべぇマジかよ」
ふと気が付くと、下半身に血流が集中していた。
瀬奈が言うように自分はゲイなのだろうか。
……いやちがう。
これは最近ご無沙汰だっただけだ。
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樹は言い訳しながら速やかに処理をした。
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