年下彼氏の策略

水無瀬雨音

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お泊り4

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「ただいま」
 帰っただろうかと恐る恐る玄関のドアを開けると、玄関に佑の靴があり、まだ帰っていなかったとほっとする。
「おかえり」
 リビングのドアからひょこっと佑が顔を出す。
「ごめん。朝起きなくて。おにぎりありがとう」
「いいですよ。仕事じゃないんだから起きなくても」
 リビングに入った樹は、
「あれ?」
 朝出たときの光景と違いすぎて部屋の中を見渡した。物が散乱していたはずなのにきれいに片付いている。
 佑がいるので部屋は間違えていない。
「忙しくて片づける暇がないんだろうと思ってちょっと片づけた。勝手に触ってごめんね。引き出しの中とかは触ってないから」
「逆にすいません。助かりました」
 帰宅したら食事して寝るというような生活だったので、こんなに片付いた部屋は久しぶりに見た。
 散乱していた洗濯ものも片づけてくれたらしい。
「洗濯もの乾燥機が終わったからたたんでとりあえずベッドの上に置いておいたよ。ふとんとか干そうと思ったんだけど、こういうところって洗濯もの干しちゃいけないんだよね」
「景観がどーのでダメらしいですね」
 帰ったら誰かがいて、家事を引き受けてくれる生活もいいかもしれない。ただ相手がいないが。
 「樹仕事忙しいから大変でしょー?おうち行かせて☆」など言い寄ってくる女は多かったが、なんだかんだ理由をつけて断っていた。下心が見え隠れしていたので面倒だったのだ。
「お昼まだだったら一緒に食べよう。すぐ準備するから」
「掃除してもらって悪いんで、オレが」
「いいからやすんでてやすんでて」
 昨日のようにソファに追いやられる。
 本来佑が客なのに、もてなしと言えるようなことをしたのは昨日紅茶を出したときくらいの気がする。
 罪悪感は感じつつも、何もしないでいるのも佑が気にするだろう、と録画の消化に努めることにする。
「お待たせ」
 30分くらいして佑が料理を運んできてくれる。
 えびの入ったクリームパスタ、コンソメスープ、サラダだ。
 普段意識してとらないので、昨日今日と久しぶりに野菜を食べた気がする。
「小鳩さんが毎日料理作ってくれたらオレ健康になりそうです。一緒に住みますか?」
 半分本気で言ったが、
「ありがとう」
 冗談にとられたらしく佑に笑顔で流される。
 佑だったら問題なく共同生活が送れそうなのだが。
 すぐにでも喜んで家事を引き受けてくれるような女は何人も思い当たるが、たぶんなし崩しに結婚までさせられそうな気がする。
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