20 / 66
お泊り3
しおりを挟む
樹は課長とともに接待でゴルフ場に来ていた。
ホールを回り終わり、ゴルフ場内の休憩コーナーで休憩することになった。
「千堂くんがいるとスコアが伸びる気がするなあ」
はっは、と社長が恰幅の良い腹を震わせて笑う。
「またまたぁ。社長お上手ですね。そう言っていただけるとまた呼んでいただきたいです」
ゴルフ下手で定評のある社長だったが、今日は調子が良かったのか、いつになくスコアがよくご機嫌のようだ。接待は成功と言っていいだろう。
「この後はどうしましょう?社長のご予定が空いていればお食事でも……」
余計なことを言うな、課長。
社長が「そうだなぁ」と手帳を開いて考えこんでいる間に、樹は慌てて口を挟む。
「申し訳ありません。僕もぜひご一緒したいところなのですが、実は知人から猫を預かっていまして心配なので帰りたいんです」
「え、それは大変だ!」
なぜか社長が急に慌てだす。
「むしろどうして来たの。早く帰りなさい」
「先約でしたので。いえ、あのお見送りさせて下さい」
「いいからいいから」
そういえば社長はかなりの愛猫家だった。
ゴルフ場の出口に向かってぐいぐい押しやられる。
帰るにしてもロッカールームに着替えや荷物があるのだが、社長は猫のことで頭がいっぱいらしい。
「猫は?」
「アメリカンショートヘアだったかな?すみません。くわしくなくて」
「千堂君大丈夫だからいきなさい。預かりものなら何かあったら大変だ」
課長も後押ししてくれたので、ありがたく帰ることにする。
「ではお先にすみません。また埋め合わせをさせていただきますので。失礼します」
預かった猫の写真を今度見せるよう社長と約束させられる。
猫を飼っている知人に写真を送ってもらわなくては。
二人とも純粋に猫を心配してくれていることに多少胸が痛んだが、休日返上で真面目に仕事しているのだからたまに早く帰るくらい罰は当たらないだろう。
「犬か猫かっつったら犬だよな……」
ロッカールームで着替えて荷物を持って車に乗り込んだ樹はナビを自宅に設定した。
急いで戻ることにする。大人なので一人でも何の心配もないのだが。
ホールを回り終わり、ゴルフ場内の休憩コーナーで休憩することになった。
「千堂くんがいるとスコアが伸びる気がするなあ」
はっは、と社長が恰幅の良い腹を震わせて笑う。
「またまたぁ。社長お上手ですね。そう言っていただけるとまた呼んでいただきたいです」
ゴルフ下手で定評のある社長だったが、今日は調子が良かったのか、いつになくスコアがよくご機嫌のようだ。接待は成功と言っていいだろう。
「この後はどうしましょう?社長のご予定が空いていればお食事でも……」
余計なことを言うな、課長。
社長が「そうだなぁ」と手帳を開いて考えこんでいる間に、樹は慌てて口を挟む。
「申し訳ありません。僕もぜひご一緒したいところなのですが、実は知人から猫を預かっていまして心配なので帰りたいんです」
「え、それは大変だ!」
なぜか社長が急に慌てだす。
「むしろどうして来たの。早く帰りなさい」
「先約でしたので。いえ、あのお見送りさせて下さい」
「いいからいいから」
そういえば社長はかなりの愛猫家だった。
ゴルフ場の出口に向かってぐいぐい押しやられる。
帰るにしてもロッカールームに着替えや荷物があるのだが、社長は猫のことで頭がいっぱいらしい。
「猫は?」
「アメリカンショートヘアだったかな?すみません。くわしくなくて」
「千堂君大丈夫だからいきなさい。預かりものなら何かあったら大変だ」
課長も後押ししてくれたので、ありがたく帰ることにする。
「ではお先にすみません。また埋め合わせをさせていただきますので。失礼します」
預かった猫の写真を今度見せるよう社長と約束させられる。
猫を飼っている知人に写真を送ってもらわなくては。
二人とも純粋に猫を心配してくれていることに多少胸が痛んだが、休日返上で真面目に仕事しているのだからたまに早く帰るくらい罰は当たらないだろう。
「犬か猫かっつったら犬だよな……」
ロッカールームで着替えて荷物を持って車に乗り込んだ樹はナビを自宅に設定した。
急いで戻ることにする。大人なので一人でも何の心配もないのだが。
10
お気に入りに追加
479
あなたにおすすめの小説

男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。




ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる