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二章 スピード婚と結婚生活
初夜を迎えます2
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アンセル様の指が、私の陰唇をすっとなぞった。濡れそぼったそこは、くちゅりと音を立てて、私は顔を赤らめる。
「ん……」
何度も指が往復するたびに、私の体を軽い快感が走り抜ける。
アンセル様の指が、陰唇の上に移動した。
「あ……!」
そこにある何かに触れられたとたん、丸出しの神経に触れられたような感覚になった。
「気持ちいいか?」
私の反応を敏感に感じ取ったアンセル様が、そこをきゅうっと摘み上げる。
「あ……。そ、それ、なんですか……?」
恐る恐る私は尋ねる。自分の体などまじまじと見ないし触らないので、触れられるとこんな感覚になる部分があるなんて、知らなかった。
「……女性が気持ちよくなるだけにある部分だ」
「そ、そんなものがあるのですか……。んんっ……!」
くりゅくりゅとこねくり回すように、そこばかりを触られる。
最初はただ軽い快感を感じるだけだったのに、だんだんアンセル様の指が激しさを増していくにつれ、与えられる快感が怖いほどのものになってきた。
「いや……アンセル様……怖いぃ……!」
だんだんと頭が真っ白になってきて、感じたことのない快感が、恐ろしくてただただ恐怖で、自分がどこか分からない場所に行ってしまうようなきがして、私はいやいやするように首を振った。
口では上手く言い表せないのだけれど、何かよく分からない感覚が来るような気がした。
「プリシラ。大丈夫だ。怖くない」
涙目の私の訴えに、アンセル様は子供に言い聞かせるように、優しく言った。でも手は動かしたまま。
敏感な芽に触れていない方の手で、気を紛らわせるように、私の手を握る。
急速に登りつめさせられて、
「ふ……あ……アンセル様……!なんか来ちゃう……!あ、ああー……!」
自然と足がぴんとなって、頭の中から、足の先まで、私の体を熱い奔流が駆け抜けた。
「い、今の……なに?」
あらく息をつきながら、私は今まで感じたことのない快感に困惑していた。ものすごく気持ちよくて、でも全身にものすごい倦怠感がある。
「上手にイけたな、プリシラ」
「イク……ですか」
私の頭を子供にするように、優しく撫でるアンセル様。ぼんやりと復唱する。
すごく気持ちよかったけれど、何回もこんなことされたら疲れすぎて失神してしまいそうだ。
「先に進んでいいか?」
さ、先?これ以上何をするのだろう。もっと恥ずかしいこと?
でも一応夫婦なのだから、それが必要なものならばしないといけない。
私が無言で頷く。
ぼんやりと見惚れていると、アンセル様の自身がそそり立っていることに気づいた。
(お、大きい……!)
お父様のものを幼いときに一緒に湯殿に入った時に見たけれど、もっとだらんとしていたはずだ。
アンセル様のものには、お父様のものとちがって、骨でも入っているのだろうか。
思わず凝視してしまったらしい。
アンセル様がふっと笑う。
「僕のこれを、どこに受け入れるか分かるか?」
問われて、私はしばらく固まった。
え、ええと。私の体で受け入れられるところ……。
少し考え込んで、首を傾げる。
「く、口……ですか?」
入りそうなところと言えば、そこしかないと思う。
口でだって、かなり大変そうだけど。
アンセル様は私の答えを聞くなり、吹き出して顔を背けた。
「……ふっ」
「ど、どうして笑うんですかっ」
懸命に考えて本気で答えたのに、私はむくれる。
「ある意味間違っていないがな。
全く君って子は……」
アンセル様は珍しく優しい表情を浮かべた。かなりレアな表情に見とれていると、不意に蜜口の入り口に指を入れられる。そんな器官があったことも、私は初めて知った。
「ここだ」
「んん……!」
(ここ……。ここって……)
で、でもそんなところぜんぜん入りそうにないんだけど。指だけですでに違和感がすごい。
「まずは、慣れさせないとな……」
困惑した私をよそに、アンセル様が指を動かす。
最初は違和感しかなく、「本当にここにさっきのものが、入れられるの?口が正解なんじゃないの?」と思っていたけど、指が出し入れさせられるたび、だんだんと軽く快感を感じるようになった。
「は……ん……っ……」
アンセル様が指を動かすたびに蜜口はくちくちと淫らな音をたて、恥ずかしさに私の頬が熱くなる。私の狭かった隘路が、だんだんと広がっていくのが分かる。
「……そろそろだな」
アンセル様が私の両足を大きく押し広げる。これでは見せたくない部分が丸見えだ。暗くてはっきりとは見えないにしても、恥ずかしすぎる。
「あ、こんな格好、いや、です」
いやいやと首を振るのに、アンセル様はやめてくれなかった。
「最初は痛みがあるかもしれないが、我慢してくれ。すまないな」
「い、いえ……私は大丈夫です」
「痛い」と予告されたら身構えてしまうけれど、それが夫婦の営みなのであれば仕方がない。
「力を抜け」
抜けと言われて抜けるものではないけれど、私は意識して、なんとか少し力を抜いた。
熱くて硬いものが、蜜口にあてがわれる。アンセル様の楔だろう。
「入れるぞ」
アンセル様はそう言うと、一気に私の蜜口に熱い楔を入れた。
「ひっ……。んん……っ。ああ……!」
今まで感じたことのない、全身を引き裂かれるような痛み。指なんか比較にもならないほどの、圧倒的な圧迫感。こんなもの入れられたら、蜜口が裂けてしまうのではないか、と私は不安に思った。
足の間から何かつぅっと伝っていく。
「いた、痛いです……!」
アンセル様が困ってしまうと思ったけれど、思わず正直に言ってしまう。目に涙が浮かんでしまった。こぼれそうになるのは必死にこらえる。
「プリシラ……!すまない。君にだけ痛い思いをさせてしまって」
私の反応に、アンセル様はおろおろとし始めた。私の目元に口づけて、涙を吸い取ってくれる。
「君が辛いなら、やめるか?」
正直抜いてほしい。そしたらこの痛みから解放される。
でもいやだった。
夫婦の営みは私の義務だから。
(借金を返済してもらったんだもの!)
義務をお返ししなくては!
「やめ、ないでください……。続けてください。アンセル様。私はちゃんと、アンセル様と夫婦の営みがしたいんです……」
私はアンセル様の両腕をぎゅっと握った。決心が鈍らないように。
「え……?な、なんか大きく……?」
蜜口の中の楔がびくっと震えて、さらに大きくなった気がする。
(ただでさえ大きかったのに、これ以上……?)
「……今のは君が悪い」
「わ、私何もしてません……!」
そんなことを言われるなんて心外だ。
アンセル様とやりとりして気が紛れたのか、いつの間にか最初のとてつもない痛みは和らいでいた。
「そろそろ動いても大丈夫そうか?慣れてきたと思うんだが」
「は、はい。大丈夫、だと思います」
私が頷くと、アンセル様はゆるゆると腰を動かし始めた。
気を紛らわせるように、ちゅ、ちゅっと私の頬、首筋、胸に軽いキスの雨を降らせる。
アンセル様を歓迎するかのように、私の蜜口の奥から再び蜜が溢れ始めたのが分かる。
「……君とこうしているなど、今でも信じられないな……」
ゆっくりと律動しながら、アンセル様がぽつりとつぶやいた。
「アンセル様?」
聞き取れなくて首を傾げると、アンセル様ははっと我に返ったように首を振る。
「何でもない」
ごまかすように一旦腰を引き、一気に挿入した。
「んんっ」
お腹の裏側のあたりにあたった途端、快感で背筋を伸ばしてしまう。
それは私の中にも表れてしまっていたらしい。
「プリシラ。締めすぎ、だ!」
アンセル様が何かをこらえるように顔をしかめる。
うっすらと額に浮かべた汗が色っぽい。
「ご、ごめんなさい。痛いですか?」
「謝らなくていい。良すぎて……いきそうだ」
「大丈夫です。いって、ください」
私がうなづくのを見計らって、アンセル様が腰を速める。
「んっ……」
熱い楔で中を強くこすられるたびに、軽い快感に襲われる。さっきまではただ痛いだけだったのに、だんだんと慣れてきたようだ。花芯をこすられたときの快感には及ばないけれど。
「プリシラ……っ」
耳元でアンセル様が熱い吐息交じりにささやいて、蜜壺の中に熱いしぶきが飛び散った。
「体は辛くないか?」
ややあってアンセル様が尋ねてきたので、私はこくりとうなづく。
アンセル様のものは私の中に入ったままだ。
多少小さくなった気はするけれど、まだ硬度はそこそこ保たれている気がする。
「はい。大丈夫です」
多少違和感はあるけれど、今のところは。
疲れたのでよく眠れそうだ。
アンセル様がにやりと笑った。
「じゃあ、もう少ししても大丈夫だな」
「はい……?」
アンセル様の言葉に、私は目を丸くした。
(え?一回出したから、終わりではないの?)
そう何回もできるものなのだろうか?
「君が本当に辛かったら、やめる」
言うが早いか、アンセル様は一度腰を引くと再び奥まで突いた。
……結局初夜だというのに、アンセル様が三回出して終わりになった。
もっとも人とこういう話をしたことがないので、これが一般的なのかは分からない。
(ちょっと恥ずかしいけど、明日フェンリルに聞いてみよう……)
ぐったりとベッドに横になりながら、私は思った。
アンセル様が、そんな私を背中からぎゅうっと抱きしめた。
「……いやか?」
「……いいえ」
怖がるみたいに、小さな声でアンセル様が聞いてくる。
私は戸惑いながらも首を振った。いやなはずがない。偽りの夫婦だから、こんなふうに愛されていると思い込んでしまうようなスキンシップはしないものだと思っていた。
それに私の気持ちなんか、どうでもいいはずなのに。
私はくるりと身をひるがえして、アンセル様の胸に顔をうずめた。アンセル様は拒まなかった。
夫婦の営みをすることは、心を満たされるということなのだと、私は初めて知った。
例え偽りの夫婦で、この行為に愛はないのだとしても。勘違いするくらいに、最初から最後まで優しくしてくれたから。
(ね、眠れない……)
しばらくしても私は目が冴えてしまっていた。
人が隣にいると、こんなにも緊張して眠れないものらしい。相手が男性だからなのか、アンセル様だからなのかは分からないが。
それともさきほどまでの行為で、まだ気持ちが高ぶっているせいかもしれない。体はすごく疲れているのに。
アンセル様は先に眠ってしまったらしい。
すうすうと、規則正しい寝息を立て始める。
(私も寝ないと)
そう思ったところで、
「……プリシラ」
ぽそっとアンセル様が、呟いた。寝言だろう。
(私の夢を、見ているのかな?)
どんな夢なのだろう。
明日になったら聞いてみよう。覚えていないかもしれないけれど。
「……あ……してる」
それは隣にいる私の耳にやっと届くほどの、ものすごく小さな声。
「あい……してる?」
(おかしいな。幻聴が聞こえてきた)
そんなはずないのに。
本当に私を愛してくれているのだったら、ちゃんと伝えてくれているだろうし、「偽りの夫婦」だのなんだの言わないはずだもの。
うん!寝よう寝よう。疲れてるんだわ。
私はそっと目を閉じた。
視界が閉ざされたことで、他の感覚が鋭敏になる。
ふっとさっきも香った香水の香りが鼻をかすめる。
(とろけるような、バラの香り)
甘さの中にセクシーさのある、アンセル様のつけている、香水の香り。
(私、この香り知ってる……)
どこでだっけ……
私はぼんやり披露した頭で、必死に記憶を探った。けれど、たどり着けないまま、眠りについてしまった。
「ん……」
何度も指が往復するたびに、私の体を軽い快感が走り抜ける。
アンセル様の指が、陰唇の上に移動した。
「あ……!」
そこにある何かに触れられたとたん、丸出しの神経に触れられたような感覚になった。
「気持ちいいか?」
私の反応を敏感に感じ取ったアンセル様が、そこをきゅうっと摘み上げる。
「あ……。そ、それ、なんですか……?」
恐る恐る私は尋ねる。自分の体などまじまじと見ないし触らないので、触れられるとこんな感覚になる部分があるなんて、知らなかった。
「……女性が気持ちよくなるだけにある部分だ」
「そ、そんなものがあるのですか……。んんっ……!」
くりゅくりゅとこねくり回すように、そこばかりを触られる。
最初はただ軽い快感を感じるだけだったのに、だんだんアンセル様の指が激しさを増していくにつれ、与えられる快感が怖いほどのものになってきた。
「いや……アンセル様……怖いぃ……!」
だんだんと頭が真っ白になってきて、感じたことのない快感が、恐ろしくてただただ恐怖で、自分がどこか分からない場所に行ってしまうようなきがして、私はいやいやするように首を振った。
口では上手く言い表せないのだけれど、何かよく分からない感覚が来るような気がした。
「プリシラ。大丈夫だ。怖くない」
涙目の私の訴えに、アンセル様は子供に言い聞かせるように、優しく言った。でも手は動かしたまま。
敏感な芽に触れていない方の手で、気を紛らわせるように、私の手を握る。
急速に登りつめさせられて、
「ふ……あ……アンセル様……!なんか来ちゃう……!あ、ああー……!」
自然と足がぴんとなって、頭の中から、足の先まで、私の体を熱い奔流が駆け抜けた。
「い、今の……なに?」
あらく息をつきながら、私は今まで感じたことのない快感に困惑していた。ものすごく気持ちよくて、でも全身にものすごい倦怠感がある。
「上手にイけたな、プリシラ」
「イク……ですか」
私の頭を子供にするように、優しく撫でるアンセル様。ぼんやりと復唱する。
すごく気持ちよかったけれど、何回もこんなことされたら疲れすぎて失神してしまいそうだ。
「先に進んでいいか?」
さ、先?これ以上何をするのだろう。もっと恥ずかしいこと?
でも一応夫婦なのだから、それが必要なものならばしないといけない。
私が無言で頷く。
ぼんやりと見惚れていると、アンセル様の自身がそそり立っていることに気づいた。
(お、大きい……!)
お父様のものを幼いときに一緒に湯殿に入った時に見たけれど、もっとだらんとしていたはずだ。
アンセル様のものには、お父様のものとちがって、骨でも入っているのだろうか。
思わず凝視してしまったらしい。
アンセル様がふっと笑う。
「僕のこれを、どこに受け入れるか分かるか?」
問われて、私はしばらく固まった。
え、ええと。私の体で受け入れられるところ……。
少し考え込んで、首を傾げる。
「く、口……ですか?」
入りそうなところと言えば、そこしかないと思う。
口でだって、かなり大変そうだけど。
アンセル様は私の答えを聞くなり、吹き出して顔を背けた。
「……ふっ」
「ど、どうして笑うんですかっ」
懸命に考えて本気で答えたのに、私はむくれる。
「ある意味間違っていないがな。
全く君って子は……」
アンセル様は珍しく優しい表情を浮かべた。かなりレアな表情に見とれていると、不意に蜜口の入り口に指を入れられる。そんな器官があったことも、私は初めて知った。
「ここだ」
「んん……!」
(ここ……。ここって……)
で、でもそんなところぜんぜん入りそうにないんだけど。指だけですでに違和感がすごい。
「まずは、慣れさせないとな……」
困惑した私をよそに、アンセル様が指を動かす。
最初は違和感しかなく、「本当にここにさっきのものが、入れられるの?口が正解なんじゃないの?」と思っていたけど、指が出し入れさせられるたび、だんだんと軽く快感を感じるようになった。
「は……ん……っ……」
アンセル様が指を動かすたびに蜜口はくちくちと淫らな音をたて、恥ずかしさに私の頬が熱くなる。私の狭かった隘路が、だんだんと広がっていくのが分かる。
「……そろそろだな」
アンセル様が私の両足を大きく押し広げる。これでは見せたくない部分が丸見えだ。暗くてはっきりとは見えないにしても、恥ずかしすぎる。
「あ、こんな格好、いや、です」
いやいやと首を振るのに、アンセル様はやめてくれなかった。
「最初は痛みがあるかもしれないが、我慢してくれ。すまないな」
「い、いえ……私は大丈夫です」
「痛い」と予告されたら身構えてしまうけれど、それが夫婦の営みなのであれば仕方がない。
「力を抜け」
抜けと言われて抜けるものではないけれど、私は意識して、なんとか少し力を抜いた。
熱くて硬いものが、蜜口にあてがわれる。アンセル様の楔だろう。
「入れるぞ」
アンセル様はそう言うと、一気に私の蜜口に熱い楔を入れた。
「ひっ……。んん……っ。ああ……!」
今まで感じたことのない、全身を引き裂かれるような痛み。指なんか比較にもならないほどの、圧倒的な圧迫感。こんなもの入れられたら、蜜口が裂けてしまうのではないか、と私は不安に思った。
足の間から何かつぅっと伝っていく。
「いた、痛いです……!」
アンセル様が困ってしまうと思ったけれど、思わず正直に言ってしまう。目に涙が浮かんでしまった。こぼれそうになるのは必死にこらえる。
「プリシラ……!すまない。君にだけ痛い思いをさせてしまって」
私の反応に、アンセル様はおろおろとし始めた。私の目元に口づけて、涙を吸い取ってくれる。
「君が辛いなら、やめるか?」
正直抜いてほしい。そしたらこの痛みから解放される。
でもいやだった。
夫婦の営みは私の義務だから。
(借金を返済してもらったんだもの!)
義務をお返ししなくては!
「やめ、ないでください……。続けてください。アンセル様。私はちゃんと、アンセル様と夫婦の営みがしたいんです……」
私はアンセル様の両腕をぎゅっと握った。決心が鈍らないように。
「え……?な、なんか大きく……?」
蜜口の中の楔がびくっと震えて、さらに大きくなった気がする。
(ただでさえ大きかったのに、これ以上……?)
「……今のは君が悪い」
「わ、私何もしてません……!」
そんなことを言われるなんて心外だ。
アンセル様とやりとりして気が紛れたのか、いつの間にか最初のとてつもない痛みは和らいでいた。
「そろそろ動いても大丈夫そうか?慣れてきたと思うんだが」
「は、はい。大丈夫、だと思います」
私が頷くと、アンセル様はゆるゆると腰を動かし始めた。
気を紛らわせるように、ちゅ、ちゅっと私の頬、首筋、胸に軽いキスの雨を降らせる。
アンセル様を歓迎するかのように、私の蜜口の奥から再び蜜が溢れ始めたのが分かる。
「……君とこうしているなど、今でも信じられないな……」
ゆっくりと律動しながら、アンセル様がぽつりとつぶやいた。
「アンセル様?」
聞き取れなくて首を傾げると、アンセル様ははっと我に返ったように首を振る。
「何でもない」
ごまかすように一旦腰を引き、一気に挿入した。
「んんっ」
お腹の裏側のあたりにあたった途端、快感で背筋を伸ばしてしまう。
それは私の中にも表れてしまっていたらしい。
「プリシラ。締めすぎ、だ!」
アンセル様が何かをこらえるように顔をしかめる。
うっすらと額に浮かべた汗が色っぽい。
「ご、ごめんなさい。痛いですか?」
「謝らなくていい。良すぎて……いきそうだ」
「大丈夫です。いって、ください」
私がうなづくのを見計らって、アンセル様が腰を速める。
「んっ……」
熱い楔で中を強くこすられるたびに、軽い快感に襲われる。さっきまではただ痛いだけだったのに、だんだんと慣れてきたようだ。花芯をこすられたときの快感には及ばないけれど。
「プリシラ……っ」
耳元でアンセル様が熱い吐息交じりにささやいて、蜜壺の中に熱いしぶきが飛び散った。
「体は辛くないか?」
ややあってアンセル様が尋ねてきたので、私はこくりとうなづく。
アンセル様のものは私の中に入ったままだ。
多少小さくなった気はするけれど、まだ硬度はそこそこ保たれている気がする。
「はい。大丈夫です」
多少違和感はあるけれど、今のところは。
疲れたのでよく眠れそうだ。
アンセル様がにやりと笑った。
「じゃあ、もう少ししても大丈夫だな」
「はい……?」
アンセル様の言葉に、私は目を丸くした。
(え?一回出したから、終わりではないの?)
そう何回もできるものなのだろうか?
「君が本当に辛かったら、やめる」
言うが早いか、アンセル様は一度腰を引くと再び奥まで突いた。
……結局初夜だというのに、アンセル様が三回出して終わりになった。
もっとも人とこういう話をしたことがないので、これが一般的なのかは分からない。
(ちょっと恥ずかしいけど、明日フェンリルに聞いてみよう……)
ぐったりとベッドに横になりながら、私は思った。
アンセル様が、そんな私を背中からぎゅうっと抱きしめた。
「……いやか?」
「……いいえ」
怖がるみたいに、小さな声でアンセル様が聞いてくる。
私は戸惑いながらも首を振った。いやなはずがない。偽りの夫婦だから、こんなふうに愛されていると思い込んでしまうようなスキンシップはしないものだと思っていた。
それに私の気持ちなんか、どうでもいいはずなのに。
私はくるりと身をひるがえして、アンセル様の胸に顔をうずめた。アンセル様は拒まなかった。
夫婦の営みをすることは、心を満たされるということなのだと、私は初めて知った。
例え偽りの夫婦で、この行為に愛はないのだとしても。勘違いするくらいに、最初から最後まで優しくしてくれたから。
(ね、眠れない……)
しばらくしても私は目が冴えてしまっていた。
人が隣にいると、こんなにも緊張して眠れないものらしい。相手が男性だからなのか、アンセル様だからなのかは分からないが。
それともさきほどまでの行為で、まだ気持ちが高ぶっているせいかもしれない。体はすごく疲れているのに。
アンセル様は先に眠ってしまったらしい。
すうすうと、規則正しい寝息を立て始める。
(私も寝ないと)
そう思ったところで、
「……プリシラ」
ぽそっとアンセル様が、呟いた。寝言だろう。
(私の夢を、見ているのかな?)
どんな夢なのだろう。
明日になったら聞いてみよう。覚えていないかもしれないけれど。
「……あ……してる」
それは隣にいる私の耳にやっと届くほどの、ものすごく小さな声。
「あい……してる?」
(おかしいな。幻聴が聞こえてきた)
そんなはずないのに。
本当に私を愛してくれているのだったら、ちゃんと伝えてくれているだろうし、「偽りの夫婦」だのなんだの言わないはずだもの。
うん!寝よう寝よう。疲れてるんだわ。
私はそっと目を閉じた。
視界が閉ざされたことで、他の感覚が鋭敏になる。
ふっとさっきも香った香水の香りが鼻をかすめる。
(とろけるような、バラの香り)
甘さの中にセクシーさのある、アンセル様のつけている、香水の香り。
(私、この香り知ってる……)
どこでだっけ……
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