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二章 スピード婚と結婚生活
お仕置き
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メイドに案内してもらって、休憩するための部屋につく。アンセル様は私をバルコニーに連れて行った。手すりに私の背中を預けるようにして、いきなり口づけてくる。
「はぁ……んん……あ……!」
性急な、噛み付くようなキスをした。唇の間をぬるりと割り込んできた舌がいつもよりも熱い。歯列をなぞり、私の舌に絡みつく。喉奥までも私の口の中を蹂躙する。
「あ……。こんなところで……や、です……」
もともとふわふわしていた頭が、激しいキスにさらに霞みにかかったようになりながら、唇が離れた瞬間必死に抵抗を口にする。きっとキスだけじゃすまない。外でしてしまうのは嫌だ。
この部屋は二階だけど、真下は庭になっているのだ。今のところだれもいないけれど、外に出た人が上を見上げたら、見られてしまう。
けれどアンセル様はにやりと笑った。
「風にあたれば、いい酔い覚ましになるだろう?」
「人に、見られたら……」
「夜目に紛れてはっきりとは見えない」
はっきりと見えなくても嫌だ。
「お願いします。アンセル様。ベッドがいいです」
「君の願いはなるべく聞き入れると言ったが、それは無理だ。悪いな」
私の決死の訴えはアンセル様に届かなかったらしい。悪びれなく言ったアンセル様の唇が、私の首筋をつぅっとなぞる。
「んんっ……」
女性の体というのは、こんなにもどこもかしこも感じるものなのだろうか。それとも私だけが特別に感じやすいのだろうか。アンセル様に抱かれると、私の中の淫靡な部分が暴かれるようで、いつも恥ずかしいような気持ちになってしまう。
「あっ、んんぅ……」
アンセル様は私の首筋に舌を這わせながら、器用にドレスの背中のボタンを外していく。あっという間にコルセットまでも全てはずし、胸がまろび出た。
「あ、やだ、やだ!」
慌てて胸を隠そうとすると、後ろ手に腕をひとまとめにされてしまう。
片手で両手をつかまれているのに、まったく抵抗できない。もう片方の手で私の胸の量感を楽しむようにたぷたぷと持ち上げながら、耳元でアンセル様がささやく。
「こんなところで胸をさらして、恥ずかしいな?プリシラ」
かっと頬を熱くしながら、私は言い返す。
「脱がせたのはアンセル様じゃないですか!」
「でも恥ずかしいと感じるだろう」
「そんなこと、ありません!」
「……ふうん」
顔をそらすと、アンセル様が目を細めた。
つんと胸の頂をつつく。
「ここは、そうは言っていないようだが?」
まだキスしかされていないのに、そこはもう固くなっていた。
「し、知りません!寒いからだと思います!」
恥ずかしいことをされて感じてしまうような淫らな女だと思われたくなくて、ごまかす。するとアンセル様が私の下肢に触れた。意地悪くささやく。
「君のここは、寒いと濡れるのか?」
くちゅりとわざとらしく音を立てる。
「……」
何も言い返せなくて、私は黙ってしまった。
だめだ。なんだか分からないけど、いつもよりも頭がふわふわして、思考が働かない気がする。舞踏会という初めてのことに、浮かれてしまったからかもしれない。
私を抱きかかえるようにしたと思うと、ずんっといきなりアンセル様は、自身を蜜壺に突っ込んだ。
「や、あん……!」
突然の刺激に驚きながらも、落ちないようにアンセル様にしがみつく。
ならされていないはずのそこは、やすやすと受け入れた。そのことが、私の淫靡さを示しているようだ。
「んんっ……!アンセル様、いきなり深いぃ……!」
突かれながら私は必死に訴える。
「でも君のここは十分に僕を受け入れてくれているようだけど?酔っているといつもより、反応がいいな」
アンセル様に蜜壺をつかれて、
気持ちいい。
気持ちいい。
それなのに、決定的な絶頂が得られない。前戯でも花芽を触ってもらえなかったし、アンセル様が的確に私の感じる部分を外しているからだ。多分意図的に。
半端な快楽だけを与えられて、けれど達することができないのは、たまらなく辛い。ずっとこのままだと狂ってしまいそうだ。
「酔っている君は魅力的だが、絶対に僕のいないところで酔うな。誓え」
「約束します……!約束しますからぁ……!アンセル様、お願いします……イカせてぇ……!」
アンセル様のささやきに、私はこくこくと頷いた。素面だったら絶対にこんなこと言えない。
酔っているから。初めての舞踏会という、非日常だから。
そんなことを言い訳にして、私は恥ずかしいことを口にしてしまう。
「僕が欲しいか?」
心なしか、アンセル様の息が荒い。
普段はこのくらいでは、ここまで息を乱さないのに。
「アンセル様が、欲しいです……お願いです……早くください」
なんでもいい。どんな恥ずかしいことを言わされたって、私はアンセル様が欲しかった。早くあの天上の歓びを味わわせてもらえるのなら、なんでもいい。
涙目で訴えたとたん、私の蜜壺にある楔がぐんと質量を増す。アンセル様が荒々しく髪をかき上げた。普段と違う、野生的とも言える仕草に私の胸がドキッと高鳴る。
「上手くねだれたな、プリシラ。褒美だ……!」
いったん腰を引いたアンセル様が、一気に熱い楔を最奥まで貫く。
「ぁん!」
望んでいた部分に欲しいものを入れられる。
幾度も奥を突かれ、ぐりぐりと押し付けられ、私の快感は高まった。
「ああ……!だめぇ、アンセル様、イク、イクのぉ……!」
普段なら絶対に耐えきれないような、鼻にかかった甘い声が出てしまう。
「イけ、プリシラ。僕が何度でも連れて行ってやる」
耳に舌をはわせながら言われて、閉じたまぶたの裏にちかちかと白い光が飛び散る。
「ぁあああー!!」
頭の中で強い快感が弾けた。
でも、
「アンセル様……まだ足りないの……もっとぉ……もっとたくさんして……。もっと気持ちよくして……」
どんなにアンセル様に楔を打たれても、体の奥が熱くて、私はアンセル様の首元に腕を絡ませて甘く囁いた。アンセル様は驚きで目を見開きながらも拒まなかった。
腕でアンセル様の顔を引き寄せて、私は自分から舌を絡ませた。
「ん……あ……。アンセル様のキス、気持ちいい……」
私の中に入ったままの楔は、まだ硬度を保ったままだ。
「娼婦のようなプリシラも悪くないな……!もっとも僕が抱きたい娼婦は君だけだが、な!」
アンセル様が一端腰を引き、再び勢いよく私に熱い楔を打ち込む。
「やん……!」
「あ……!アンセル様、気持ちいい……!」
そのとき、ふいに下から人の声がした。庭に招待客が出てきたらしい。
「あ、アンセル様……もう中に……」
「見られると思ったほうが、君は感じるだろう?いやらしいプリシラ」
「そんなこと……」
「ほら、声を出すと気づかれて見られるぞ?」
「や、無理……!」
声を出したらいけない。
分かっているのに、アンセル様に触られて、気持ちのいいところを突かれると、我慢しようとしても自然と声を出してしまう。
「口を塞いでいてやる」
アンセル様が私の唇を、そっとふさいだ。
幸い気づかれることなく、私たちは情事を終えた。
簡単にアンセル様が、濡らしたタオルで私を清めてくれる。
ベッドに横たわって、アンセル様は私に上掛けをかけてくれた。
今夜はここに泊めてもらえるよう、アンセル様が交渉してくれたらしい。
「今日のこともきっと、君は忘れるんだろうな。酔っているのだから」
自虐するように、アンセル様が呟いた。
「今日の、こと、も?」
その言葉がひっかかって、私は首を傾げた。
「私、忘れませんよ?アンセル様とのことは、全部覚えています。初めて会ってから、いままでのこと。ずっと」
むしろ忘れられるはずがない。
アンセル様は初めて会った時からこんなに美しくて、優しくて、たまに意地悪で私の救世主で。アンセル様は私のたった一人の王子だから。
「君が、僕を、忘れない……?」
なぜか、目を見開くアンセル様。
そんなに不思議なことだろうか?
アンセル様の反応に戸惑いながらも私は頷いた。
「……? ええ」
「君が、それを言うのか……?」
「?」
「……君のその言葉だけで救われる」
細めたアンセル様の目が、泣きそうに揺れたのは、多分気のせいだっただろう。
「いい。いいんだ。プリシラ。むしろ君が忘れるなら、僕は言える」
私を見つめるアンセル様の目が優しくて、なぜだか涙が出そうになった。
「可愛いプリシラ。君は僕の唯一のお姫様だ」
「え?」
いきなりアンセル様が赤面もののセリフを言い始めて、私はまんまと頬を熱くしてしまった。
(アンセル様も酔ってらっしゃるのかしら?それとも寝ぼけてるの?)
偽物の妻である私に、「可愛い」だの「お姫様」だの愛し合っている夫婦や恋人のような言葉をアンセル様が口にするとは思ってもみなかった。
それとも、私が酔っているし、聞き間違いかもしれない。
ふわふわした頭でぐるぐる思考していると、私はだんだんと意識がもうろうとしてきた。
アンセル様がそっと私の頬に優しく手で触れる。
「僕は、君を――」
あとの言葉を聞く前に、私は意識を手放した。
アンセル様はなんと続けるつもりだったのだろう。
明日になったら、聞いてみよう。
「はぁ……んん……あ……!」
性急な、噛み付くようなキスをした。唇の間をぬるりと割り込んできた舌がいつもよりも熱い。歯列をなぞり、私の舌に絡みつく。喉奥までも私の口の中を蹂躙する。
「あ……。こんなところで……や、です……」
もともとふわふわしていた頭が、激しいキスにさらに霞みにかかったようになりながら、唇が離れた瞬間必死に抵抗を口にする。きっとキスだけじゃすまない。外でしてしまうのは嫌だ。
この部屋は二階だけど、真下は庭になっているのだ。今のところだれもいないけれど、外に出た人が上を見上げたら、見られてしまう。
けれどアンセル様はにやりと笑った。
「風にあたれば、いい酔い覚ましになるだろう?」
「人に、見られたら……」
「夜目に紛れてはっきりとは見えない」
はっきりと見えなくても嫌だ。
「お願いします。アンセル様。ベッドがいいです」
「君の願いはなるべく聞き入れると言ったが、それは無理だ。悪いな」
私の決死の訴えはアンセル様に届かなかったらしい。悪びれなく言ったアンセル様の唇が、私の首筋をつぅっとなぞる。
「んんっ……」
女性の体というのは、こんなにもどこもかしこも感じるものなのだろうか。それとも私だけが特別に感じやすいのだろうか。アンセル様に抱かれると、私の中の淫靡な部分が暴かれるようで、いつも恥ずかしいような気持ちになってしまう。
「あっ、んんぅ……」
アンセル様は私の首筋に舌を這わせながら、器用にドレスの背中のボタンを外していく。あっという間にコルセットまでも全てはずし、胸がまろび出た。
「あ、やだ、やだ!」
慌てて胸を隠そうとすると、後ろ手に腕をひとまとめにされてしまう。
片手で両手をつかまれているのに、まったく抵抗できない。もう片方の手で私の胸の量感を楽しむようにたぷたぷと持ち上げながら、耳元でアンセル様がささやく。
「こんなところで胸をさらして、恥ずかしいな?プリシラ」
かっと頬を熱くしながら、私は言い返す。
「脱がせたのはアンセル様じゃないですか!」
「でも恥ずかしいと感じるだろう」
「そんなこと、ありません!」
「……ふうん」
顔をそらすと、アンセル様が目を細めた。
つんと胸の頂をつつく。
「ここは、そうは言っていないようだが?」
まだキスしかされていないのに、そこはもう固くなっていた。
「し、知りません!寒いからだと思います!」
恥ずかしいことをされて感じてしまうような淫らな女だと思われたくなくて、ごまかす。するとアンセル様が私の下肢に触れた。意地悪くささやく。
「君のここは、寒いと濡れるのか?」
くちゅりとわざとらしく音を立てる。
「……」
何も言い返せなくて、私は黙ってしまった。
だめだ。なんだか分からないけど、いつもよりも頭がふわふわして、思考が働かない気がする。舞踏会という初めてのことに、浮かれてしまったからかもしれない。
私を抱きかかえるようにしたと思うと、ずんっといきなりアンセル様は、自身を蜜壺に突っ込んだ。
「や、あん……!」
突然の刺激に驚きながらも、落ちないようにアンセル様にしがみつく。
ならされていないはずのそこは、やすやすと受け入れた。そのことが、私の淫靡さを示しているようだ。
「んんっ……!アンセル様、いきなり深いぃ……!」
突かれながら私は必死に訴える。
「でも君のここは十分に僕を受け入れてくれているようだけど?酔っているといつもより、反応がいいな」
アンセル様に蜜壺をつかれて、
気持ちいい。
気持ちいい。
それなのに、決定的な絶頂が得られない。前戯でも花芽を触ってもらえなかったし、アンセル様が的確に私の感じる部分を外しているからだ。多分意図的に。
半端な快楽だけを与えられて、けれど達することができないのは、たまらなく辛い。ずっとこのままだと狂ってしまいそうだ。
「酔っている君は魅力的だが、絶対に僕のいないところで酔うな。誓え」
「約束します……!約束しますからぁ……!アンセル様、お願いします……イカせてぇ……!」
アンセル様のささやきに、私はこくこくと頷いた。素面だったら絶対にこんなこと言えない。
酔っているから。初めての舞踏会という、非日常だから。
そんなことを言い訳にして、私は恥ずかしいことを口にしてしまう。
「僕が欲しいか?」
心なしか、アンセル様の息が荒い。
普段はこのくらいでは、ここまで息を乱さないのに。
「アンセル様が、欲しいです……お願いです……早くください」
なんでもいい。どんな恥ずかしいことを言わされたって、私はアンセル様が欲しかった。早くあの天上の歓びを味わわせてもらえるのなら、なんでもいい。
涙目で訴えたとたん、私の蜜壺にある楔がぐんと質量を増す。アンセル様が荒々しく髪をかき上げた。普段と違う、野生的とも言える仕草に私の胸がドキッと高鳴る。
「上手くねだれたな、プリシラ。褒美だ……!」
いったん腰を引いたアンセル様が、一気に熱い楔を最奥まで貫く。
「ぁん!」
望んでいた部分に欲しいものを入れられる。
幾度も奥を突かれ、ぐりぐりと押し付けられ、私の快感は高まった。
「ああ……!だめぇ、アンセル様、イク、イクのぉ……!」
普段なら絶対に耐えきれないような、鼻にかかった甘い声が出てしまう。
「イけ、プリシラ。僕が何度でも連れて行ってやる」
耳に舌をはわせながら言われて、閉じたまぶたの裏にちかちかと白い光が飛び散る。
「ぁあああー!!」
頭の中で強い快感が弾けた。
でも、
「アンセル様……まだ足りないの……もっとぉ……もっとたくさんして……。もっと気持ちよくして……」
どんなにアンセル様に楔を打たれても、体の奥が熱くて、私はアンセル様の首元に腕を絡ませて甘く囁いた。アンセル様は驚きで目を見開きながらも拒まなかった。
腕でアンセル様の顔を引き寄せて、私は自分から舌を絡ませた。
「ん……あ……。アンセル様のキス、気持ちいい……」
私の中に入ったままの楔は、まだ硬度を保ったままだ。
「娼婦のようなプリシラも悪くないな……!もっとも僕が抱きたい娼婦は君だけだが、な!」
アンセル様が一端腰を引き、再び勢いよく私に熱い楔を打ち込む。
「やん……!」
「あ……!アンセル様、気持ちいい……!」
そのとき、ふいに下から人の声がした。庭に招待客が出てきたらしい。
「あ、アンセル様……もう中に……」
「見られると思ったほうが、君は感じるだろう?いやらしいプリシラ」
「そんなこと……」
「ほら、声を出すと気づかれて見られるぞ?」
「や、無理……!」
声を出したらいけない。
分かっているのに、アンセル様に触られて、気持ちのいいところを突かれると、我慢しようとしても自然と声を出してしまう。
「口を塞いでいてやる」
アンセル様が私の唇を、そっとふさいだ。
幸い気づかれることなく、私たちは情事を終えた。
簡単にアンセル様が、濡らしたタオルで私を清めてくれる。
ベッドに横たわって、アンセル様は私に上掛けをかけてくれた。
今夜はここに泊めてもらえるよう、アンセル様が交渉してくれたらしい。
「今日のこともきっと、君は忘れるんだろうな。酔っているのだから」
自虐するように、アンセル様が呟いた。
「今日の、こと、も?」
その言葉がひっかかって、私は首を傾げた。
「私、忘れませんよ?アンセル様とのことは、全部覚えています。初めて会ってから、いままでのこと。ずっと」
むしろ忘れられるはずがない。
アンセル様は初めて会った時からこんなに美しくて、優しくて、たまに意地悪で私の救世主で。アンセル様は私のたった一人の王子だから。
「君が、僕を、忘れない……?」
なぜか、目を見開くアンセル様。
そんなに不思議なことだろうか?
アンセル様の反応に戸惑いながらも私は頷いた。
「……? ええ」
「君が、それを言うのか……?」
「?」
「……君のその言葉だけで救われる」
細めたアンセル様の目が、泣きそうに揺れたのは、多分気のせいだっただろう。
「いい。いいんだ。プリシラ。むしろ君が忘れるなら、僕は言える」
私を見つめるアンセル様の目が優しくて、なぜだか涙が出そうになった。
「可愛いプリシラ。君は僕の唯一のお姫様だ」
「え?」
いきなりアンセル様が赤面もののセリフを言い始めて、私はまんまと頬を熱くしてしまった。
(アンセル様も酔ってらっしゃるのかしら?それとも寝ぼけてるの?)
偽物の妻である私に、「可愛い」だの「お姫様」だの愛し合っている夫婦や恋人のような言葉をアンセル様が口にするとは思ってもみなかった。
それとも、私が酔っているし、聞き間違いかもしれない。
ふわふわした頭でぐるぐる思考していると、私はだんだんと意識がもうろうとしてきた。
アンセル様がそっと私の頬に優しく手で触れる。
「僕は、君を――」
あとの言葉を聞く前に、私は意識を手放した。
アンセル様はなんと続けるつもりだったのだろう。
明日になったら、聞いてみよう。
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