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一章 出会い編
もう一度縁談を申し込みます
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差し迫ったからと言って、急に返済のめどが立つはずがない。決められた返済期限は、どんどん近づいていた。
「お嬢様、やはり屋敷を売りましょう。使用人のことはいいです。ご自分のことだけを心配なさってください。
とりあえず屋敷を売れば、借金のほとんどは返済されます。あとは少しずつ返済させてもらうよう、もう一度お願いして」
朝から晩まで、いろんなところを駆け回り、屋敷に戻れば執務室で頭を抱えている私を見かねて、ウォルトが優しく言ってくれた。彼の親切心からの申し出にも、私は首を振る。
「できないわ。あの人はそんなに甘い人間じゃない」
あの人が「返さないならお前を売る」と言うなら確実にそうする。1G足りなくても。決められた期限からは一日だって待ってはくれない。
それに使用人の居場所を奪って、「あとは自分でどうにかしてね」なんて真似私にはできない。使用人たちと私は雇用主と従業員の関係ではあるけれど、長く同じ屋敷で寝起きしていればほぼ家族のようなものなのだ。
私だけが幸せになんてそんなこと、絶対にできない。
悔しい。
もし私に、商売の手腕があれば。
世間知らずの貴族のお嬢様としてのほほんと暮らしてなくて、もし男できちんと経済について勉強していれば。
皆を守れたのに。
私に、何の力もないから。
だから私には、誰も、何も守れない。
私は自分の無力さに落ち込んだ。でもそうしていたって何も解決しない。
私が身売りすることなく、使用人たちも路頭に迷わない方法。
それはもう、一つしかなかった。
私は覚悟を決めた。
「……ウォルト。
もうあなたたちを助ける方法は一つしかないわ。
すぐ手紙を書くから、急いで届けるよう手配してくれる?」
「お嬢様……」
何も言わなくてもウォルトにも見当がついたのだろう。
「いけません」とやたら激しく言ってくるウォルトを押し切って、私は手紙を書いて彼に渡した。
私たちが助かるたった一つの方法。
それはアンセル様と結婚して、資金を援助していただくことだ。先日頂いてお断りした中で、一番のお金持ちだった。借金も多分返していただけるくらいの資産をお持ちだろう。
自分でも都合のよすぎる考えだと思う。
一度こちらからお断りしたのに、結婚してくださる保証はない。と言うよりその可能性のほうが高い。
お断りしてから一か月ほど経っているので、その間に別の縁談が入っているかもしれないし。
でも、もう、この可能性にかけるしかない。
私はすぐさま手紙を送った。アンセル様に先日せっかく頂いた縁談をこちらの都合で断ったお詫びを書き(お断りするさいにも丁寧にお詫びの文は書いたのだが)、急ぎでお会いしたい旨を書いて。
早馬で送ると、ありがたいことに了承の旨がアンセル様からも早馬で届いた。上手く返済期限の前日にお会いできることになった。
もともとの顔はもう変えられないけれど、少しでもよく見せたい。
メイドたちと私は、朝からドレス選びに余念がなかった。
「やっぱり成人のお祝いに着ていらしたドレスが、一番お似合いになるのではないでしょうか」
「真紅の色はプリシラ様の髪と目の色にぴったりですわ。なにより一番立派ですし」
「わかったわ。じゃあこれにしましょう」
メイドたちがうんうんと満場一致で頷くので、私には反対する理由はなかった。少しでも返済するために、高価なドレスや宝飾品はほとんど売ってしまったので、そもそも選択の余地はそんなになかったのだ。
私にとっても思い出深いドレスなので、両親が傍で見守ってくれるような気持ちになれるのも心強い。
合わせるのはもちろんこれも成人のお祝いでドレスとともに両親から送られたもので、ピンクダイアモンドが輝くペンダント。
「プリシラと私の髪の色と同じね」とお母様が嬉しそうに、私の胸に輝くピンクダイアモンドを指で撫でていたのが遠い昔のようだ。
感傷的になりそうだった私は、軽く首を振った。
思い出に浸っている暇はない。
私は今から戦いに行くのだ。
覚悟を決めて、私はメイドたちに命じた。
「始めてくれる?」
「まぁ!プリシラ様、お綺麗です!」
「普段以上にお美しいです!」
身だしなみを完璧に整えられた鏡に映る自分の姿を、私はしげしげと眺めた。身内の欲目もあると思うけど、メイドたちが口々に褒めてくれる。
「うん……そうかな。ありがとう」
メイドたちが時間をかけてくれたおかげで、自分でもかなり美しくなったと思う。特に最近の肌荒れっぷりから考えると、本当によくやってくれた。
「ありがとう皆!皆の努力は無駄にしないわ!」
私は力強くこぶしを握り締めた。
「頑張ってください!お嬢様!」
メイドたちがそろって拍手を送ってくれる。
そう。皆のために、絶対にアンセル様に了承をいただかなくてはならない。
アンセル様のタウンハウスは、私の住む屋敷から馬車を飛ばして数時間ほどで着く。(アンセル様は未婚だけど、パリスター男爵邸と別に自分のお屋敷を建てている)
私は使用人たちに見送られながら、馬車に乗り込んだ。
あー。緊張する。
私はドキドキする胸を押さえた。
お断りされたらどうしよう。
というか、その可能性の方が高いんだけど。
(だめよプリシラ!
弱気になっては)
なんとしてもみんなのためにこの戦いに勝利するのよ!
私は一人きりの馬車の中で、もう一度こぶしを握り締めた。
私の心の中の葛藤をよそに、どんどんアンセル様の屋敷に近づいてくる。
アンセル様の屋敷は私の屋敷よりも大分大きく、立派だった。
白くて上品な外壁に、繊細かつ美しい装飾。
庭もかなり腕のいい庭師がいるらしく、美しく整っている。
(わー。やっぱり稼いでいるのね)
馬車を降りた私は下世話なことを思いながら、茫然と屋敷を見上げた。
「プリシラ様、お待ちしておりました。
執事頭のビリーと申します」
どうぞ中へ。アンセル様がお待ちです」
ビリーは綺麗なロマンスグレーを持っていて、60歳くらいの壮年だった。ウォルトが若いだけで、普通執事頭と言ったらこれくらいの落ち着いた年代が一般的だ。
潤んだ目で私の顔をじーっと見つめているので、私は戸惑ってしまった。
(ど、どうしたのかしら。私、哀れまれるほど何かおかしい?)
使用人が主人の客人の顔を無言で見てくるなど、不躾と言ってもいい。嫌な気分になるほどではないけれど、気にはなる。
私が首を傾げると、
「申し訳ございません。つい懐かしくて。
いやぁ年を取ると涙もろくなっていけませんな。
どうぞ中へ。アンセル様がお待ちです」
(懐かしい?)
その言葉に違和感を感じたけれど、とりあえず早くアンセル様にお会いするのが先だ。私は追及することはせず、挨拶することにした。
「プリシラ・ド・リッジウェルです。よろしくお願いします、ビリーさん」
「わたくしに敬称は必要ありません。ビリーで結構です」
「ではビリー、案内をお願いします」
「かしこまりました。プリシラ様」
ビリーに続いて屋敷に入る。
「わぁー、すごい……!」
玄関ホールの時点でかなりすごい。
高い天井に描かれた天井画。壁にも有名な画家の絵があるし、いかにも高そうな壺が飾られていたりする。
思わず声をあげてしまった。
はしたないと慌てて口元に手を当てるが、ビリーはおおらかな性格らしく、咎める様子もなくにこにこと私を見ている。
「カントリーハウスも素晴らしいですよ。こちらより敷地が広くて凝っています」
「うーん。でも、私、そちらに行けるかしら……?」
ここよりすごいのか……。
それはぜひ見てみたいけれど。
今日お断りされたら、多分もうアンセル様と関わることはないだろうから、カントリーハウスにお招きいただけることはない。
「もちろんですとも!」
不安げに言った私に、ビリーが力強く同意してくれたので、驚いてしまう。
「何せアンセル様はずっとプリシラ様を……いやはや爺のたわ言です。お忘れくださいませ。
年を取るともうろくしていけませんなぁ」
何か言いかけて、ビリーは途中で止めてしまった。
え?何?
全然聞こえなかったけど、途中で止められると非常に気になる。
ビリーは執事頭なだけあって、年の割にかくしゃくとしていて、とてももうろくしているようには見えないけど……。
「この近くには王都でありながら小さな川があって、魚釣りが楽しめるんですよ」
などビリーが何気ない世間話をしていてくれたおかげで、ずいぶんと気が紛れて緊張がほぐれた。
「こちらがアンセル様のお部屋になります。どうぞ、プリシラ様」
「え?お部屋?」
応接室でなく?
普通私室に通すのは親しい人だけで、初対面の客は確実に応接室に通すものなのに。
応接室が埋まっていたのかしら?でもこれだけ大きい屋敷だし、いくつか応接室もありそうなものだけど。
疑問に思いながらも、ビリーが装飾の施された立派な扉を開けてくれたので、私は丁寧に淑女の礼を取る。
「初めましてアンセル様。
プリシラ・ド・リッジウェルです。
本日はお会いいただきありがとうございます」
正確にはお会いしたのは二回目だけれど話したことはないし、アンセル様はお忘れになっているだろう。
だから「はじめまして」と私は挨拶をした。
「お嬢様、やはり屋敷を売りましょう。使用人のことはいいです。ご自分のことだけを心配なさってください。
とりあえず屋敷を売れば、借金のほとんどは返済されます。あとは少しずつ返済させてもらうよう、もう一度お願いして」
朝から晩まで、いろんなところを駆け回り、屋敷に戻れば執務室で頭を抱えている私を見かねて、ウォルトが優しく言ってくれた。彼の親切心からの申し出にも、私は首を振る。
「できないわ。あの人はそんなに甘い人間じゃない」
あの人が「返さないならお前を売る」と言うなら確実にそうする。1G足りなくても。決められた期限からは一日だって待ってはくれない。
それに使用人の居場所を奪って、「あとは自分でどうにかしてね」なんて真似私にはできない。使用人たちと私は雇用主と従業員の関係ではあるけれど、長く同じ屋敷で寝起きしていればほぼ家族のようなものなのだ。
私だけが幸せになんてそんなこと、絶対にできない。
悔しい。
もし私に、商売の手腕があれば。
世間知らずの貴族のお嬢様としてのほほんと暮らしてなくて、もし男できちんと経済について勉強していれば。
皆を守れたのに。
私に、何の力もないから。
だから私には、誰も、何も守れない。
私は自分の無力さに落ち込んだ。でもそうしていたって何も解決しない。
私が身売りすることなく、使用人たちも路頭に迷わない方法。
それはもう、一つしかなかった。
私は覚悟を決めた。
「……ウォルト。
もうあなたたちを助ける方法は一つしかないわ。
すぐ手紙を書くから、急いで届けるよう手配してくれる?」
「お嬢様……」
何も言わなくてもウォルトにも見当がついたのだろう。
「いけません」とやたら激しく言ってくるウォルトを押し切って、私は手紙を書いて彼に渡した。
私たちが助かるたった一つの方法。
それはアンセル様と結婚して、資金を援助していただくことだ。先日頂いてお断りした中で、一番のお金持ちだった。借金も多分返していただけるくらいの資産をお持ちだろう。
自分でも都合のよすぎる考えだと思う。
一度こちらからお断りしたのに、結婚してくださる保証はない。と言うよりその可能性のほうが高い。
お断りしてから一か月ほど経っているので、その間に別の縁談が入っているかもしれないし。
でも、もう、この可能性にかけるしかない。
私はすぐさま手紙を送った。アンセル様に先日せっかく頂いた縁談をこちらの都合で断ったお詫びを書き(お断りするさいにも丁寧にお詫びの文は書いたのだが)、急ぎでお会いしたい旨を書いて。
早馬で送ると、ありがたいことに了承の旨がアンセル様からも早馬で届いた。上手く返済期限の前日にお会いできることになった。
もともとの顔はもう変えられないけれど、少しでもよく見せたい。
メイドたちと私は、朝からドレス選びに余念がなかった。
「やっぱり成人のお祝いに着ていらしたドレスが、一番お似合いになるのではないでしょうか」
「真紅の色はプリシラ様の髪と目の色にぴったりですわ。なにより一番立派ですし」
「わかったわ。じゃあこれにしましょう」
メイドたちがうんうんと満場一致で頷くので、私には反対する理由はなかった。少しでも返済するために、高価なドレスや宝飾品はほとんど売ってしまったので、そもそも選択の余地はそんなになかったのだ。
私にとっても思い出深いドレスなので、両親が傍で見守ってくれるような気持ちになれるのも心強い。
合わせるのはもちろんこれも成人のお祝いでドレスとともに両親から送られたもので、ピンクダイアモンドが輝くペンダント。
「プリシラと私の髪の色と同じね」とお母様が嬉しそうに、私の胸に輝くピンクダイアモンドを指で撫でていたのが遠い昔のようだ。
感傷的になりそうだった私は、軽く首を振った。
思い出に浸っている暇はない。
私は今から戦いに行くのだ。
覚悟を決めて、私はメイドたちに命じた。
「始めてくれる?」
「まぁ!プリシラ様、お綺麗です!」
「普段以上にお美しいです!」
身だしなみを完璧に整えられた鏡に映る自分の姿を、私はしげしげと眺めた。身内の欲目もあると思うけど、メイドたちが口々に褒めてくれる。
「うん……そうかな。ありがとう」
メイドたちが時間をかけてくれたおかげで、自分でもかなり美しくなったと思う。特に最近の肌荒れっぷりから考えると、本当によくやってくれた。
「ありがとう皆!皆の努力は無駄にしないわ!」
私は力強くこぶしを握り締めた。
「頑張ってください!お嬢様!」
メイドたちがそろって拍手を送ってくれる。
そう。皆のために、絶対にアンセル様に了承をいただかなくてはならない。
アンセル様のタウンハウスは、私の住む屋敷から馬車を飛ばして数時間ほどで着く。(アンセル様は未婚だけど、パリスター男爵邸と別に自分のお屋敷を建てている)
私は使用人たちに見送られながら、馬車に乗り込んだ。
あー。緊張する。
私はドキドキする胸を押さえた。
お断りされたらどうしよう。
というか、その可能性の方が高いんだけど。
(だめよプリシラ!
弱気になっては)
なんとしてもみんなのためにこの戦いに勝利するのよ!
私は一人きりの馬車の中で、もう一度こぶしを握り締めた。
私の心の中の葛藤をよそに、どんどんアンセル様の屋敷に近づいてくる。
アンセル様の屋敷は私の屋敷よりも大分大きく、立派だった。
白くて上品な外壁に、繊細かつ美しい装飾。
庭もかなり腕のいい庭師がいるらしく、美しく整っている。
(わー。やっぱり稼いでいるのね)
馬車を降りた私は下世話なことを思いながら、茫然と屋敷を見上げた。
「プリシラ様、お待ちしておりました。
執事頭のビリーと申します」
どうぞ中へ。アンセル様がお待ちです」
ビリーは綺麗なロマンスグレーを持っていて、60歳くらいの壮年だった。ウォルトが若いだけで、普通執事頭と言ったらこれくらいの落ち着いた年代が一般的だ。
潤んだ目で私の顔をじーっと見つめているので、私は戸惑ってしまった。
(ど、どうしたのかしら。私、哀れまれるほど何かおかしい?)
使用人が主人の客人の顔を無言で見てくるなど、不躾と言ってもいい。嫌な気分になるほどではないけれど、気にはなる。
私が首を傾げると、
「申し訳ございません。つい懐かしくて。
いやぁ年を取ると涙もろくなっていけませんな。
どうぞ中へ。アンセル様がお待ちです」
(懐かしい?)
その言葉に違和感を感じたけれど、とりあえず早くアンセル様にお会いするのが先だ。私は追及することはせず、挨拶することにした。
「プリシラ・ド・リッジウェルです。よろしくお願いします、ビリーさん」
「わたくしに敬称は必要ありません。ビリーで結構です」
「ではビリー、案内をお願いします」
「かしこまりました。プリシラ様」
ビリーに続いて屋敷に入る。
「わぁー、すごい……!」
玄関ホールの時点でかなりすごい。
高い天井に描かれた天井画。壁にも有名な画家の絵があるし、いかにも高そうな壺が飾られていたりする。
思わず声をあげてしまった。
はしたないと慌てて口元に手を当てるが、ビリーはおおらかな性格らしく、咎める様子もなくにこにこと私を見ている。
「カントリーハウスも素晴らしいですよ。こちらより敷地が広くて凝っています」
「うーん。でも、私、そちらに行けるかしら……?」
ここよりすごいのか……。
それはぜひ見てみたいけれど。
今日お断りされたら、多分もうアンセル様と関わることはないだろうから、カントリーハウスにお招きいただけることはない。
「もちろんですとも!」
不安げに言った私に、ビリーが力強く同意してくれたので、驚いてしまう。
「何せアンセル様はずっとプリシラ様を……いやはや爺のたわ言です。お忘れくださいませ。
年を取るともうろくしていけませんなぁ」
何か言いかけて、ビリーは途中で止めてしまった。
え?何?
全然聞こえなかったけど、途中で止められると非常に気になる。
ビリーは執事頭なだけあって、年の割にかくしゃくとしていて、とてももうろくしているようには見えないけど……。
「この近くには王都でありながら小さな川があって、魚釣りが楽しめるんですよ」
などビリーが何気ない世間話をしていてくれたおかげで、ずいぶんと気が紛れて緊張がほぐれた。
「こちらがアンセル様のお部屋になります。どうぞ、プリシラ様」
「え?お部屋?」
応接室でなく?
普通私室に通すのは親しい人だけで、初対面の客は確実に応接室に通すものなのに。
応接室が埋まっていたのかしら?でもこれだけ大きい屋敷だし、いくつか応接室もありそうなものだけど。
疑問に思いながらも、ビリーが装飾の施された立派な扉を開けてくれたので、私は丁寧に淑女の礼を取る。
「初めましてアンセル様。
プリシラ・ド・リッジウェルです。
本日はお会いいただきありがとうございます」
正確にはお会いしたのは二回目だけれど話したことはないし、アンセル様はお忘れになっているだろう。
だから「はじめまして」と私は挨拶をした。
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