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番外編 バレンタインの甘い夜 2
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「それ、覚悟ができていて言ってるの?」
「覚悟って何の?」
微笑んだランバートが微笑んで、エリオノールの髪を一房手に取った。そこに口づけて、
「そんなに可愛いこと言われたら当然抱くし、手加減できないよ?」
「えぇぇぇ!?」
当然自分の顔は見えないが、ゆでだこのように真っ赤になっているだろう。頬が熱い。そのくらいランバートはかっこよすぎた。妻の欲目を差し引いたとしても。
「いつも割と手加減されていないのだけれど!?」
手加減された夜があっただろうか? いや、ない。毎回事後はたいていぐったりしてしまい、気を失うこともしばしば。翌朝になっても疲れが残っている。
ランバートは怪訝な顔をしながらエリオノールを抱き上げた。
「少なくともオレは毎回我慢してるけど? 君がぐったりしたらやめてるし」
「ううん……。そう言われると何とも言えないんだけど……」
ランバートは軽々ベッドまで運んで、優しく下ろす。極上の笑顔を見せる。
「今夜は君を孕ませるまでしようか」
「は!?」
王子様のようないい笑顔で何ということを言うのか! ランバートはいつもそうなのだ。言い方!
ランバートとの子どもはいつかは欲しいけれど、急に言われても覚悟が決まっているはずがない。
「ええと、あの」
言葉を封じるように、ランバートの唇が下りてきて、エリオノールは甘いキスに酔いしれた。
「う……」
確かに普段手加減しているというのが体の隅々まで覚えこまされた。それはもう思い切りやられた。ぐったりしても気を失ってもあれこれされた。
「どうぞ」
ランバートが水を入れたコップを渡してくれる。
「……ありがとう」
エリオノールはゆっくりを身を起こして、水を飲んだ。ただの水だというのに、のどに染み入るように美味しい。飲み終わると、ランバートもそのコップに水を注いで自分も飲んだ。
泥のように眠りたい。むしろ疲れすぎて眠れないかもしれない。
しばらくしなくてもいいというくらいの疲労だが、口にすると「満足できなかった? ごめんね、足りなくて」とか言い出しかねないので絶対に言わない。
ランバートも横になって、エリオノールの頭を優しくなでてくる。
「そういえば君、他の女性の裸を見るなって言うのは分かるんだけどさ。エレンの裸を見るのもだめなの?」
「だ、だって恥ずかしいわ!」
「だって数えきれないくらい何度も見てるのに?」
「ん……! それでもだめなの! 大体そういう時は明かり消してるし!」
恋人ならばもう裸を見られたところで、いまさらという人もいるだろう。だがエリオノールは違う。そこまでだらしない体型とも思っていないが、自信満々で見せられるほどにはスタイルに自信がない。というか自信があったとして積極的に見られたくはない。
「まあたとえ今さら見なくたって、君の体の隅々まで記憶しているんだけどね」
「なによ、それ! そんなもの覚えなくていいわよ、忘れてぇぇぇー!」
「君にも覚えてほしいな。オレの体」
「い、嫌よ!」
どれだけ自信があるというのか。ランバートが服を脱いでいるときも、恥ずかしくてあまり見ないようにしているので、記憶にないし、これからもじろじろ見ることはないだろう。
「そ、そういえば、あなたいつから透視できるの? そうでないと私が廊下にいるなんて分からないわよね?」
「ははは」
ふき出したランバートが、機嫌よさそうに笑う。
「そういうことにしておいてもよかったけど。あんなに部屋の前を行ったり来たりしていたら分かるよ。ヒールのある靴を履いているのはこの屋敷で君くらいだしね。オレの部屋の前を無駄にうろうろするのも」
「……すごいわ」
多少カチンとくるところもあったが、超能力がなかったとしても洞察力がすごい。いや、超能力がないことには少しばかり残念だったけれど。
それこそ東洋のニンジャのようだ。
感心しているエリオノールの薄い腹を、ランバートがそっとなでた。
耳元でささやく。
「オレが手加減しすぎていたよ。これからは毎晩このくらいしようね? ここにオレと君の愛の結晶が宿るまで」
「……冗談よね?」
★★★
何となく書きたくなってのこの二人でしたが、書けたらホワイトデーも書きたいです。
「覚悟って何の?」
微笑んだランバートが微笑んで、エリオノールの髪を一房手に取った。そこに口づけて、
「そんなに可愛いこと言われたら当然抱くし、手加減できないよ?」
「えぇぇぇ!?」
当然自分の顔は見えないが、ゆでだこのように真っ赤になっているだろう。頬が熱い。そのくらいランバートはかっこよすぎた。妻の欲目を差し引いたとしても。
「いつも割と手加減されていないのだけれど!?」
手加減された夜があっただろうか? いや、ない。毎回事後はたいていぐったりしてしまい、気を失うこともしばしば。翌朝になっても疲れが残っている。
ランバートは怪訝な顔をしながらエリオノールを抱き上げた。
「少なくともオレは毎回我慢してるけど? 君がぐったりしたらやめてるし」
「ううん……。そう言われると何とも言えないんだけど……」
ランバートは軽々ベッドまで運んで、優しく下ろす。極上の笑顔を見せる。
「今夜は君を孕ませるまでしようか」
「は!?」
王子様のようないい笑顔で何ということを言うのか! ランバートはいつもそうなのだ。言い方!
ランバートとの子どもはいつかは欲しいけれど、急に言われても覚悟が決まっているはずがない。
「ええと、あの」
言葉を封じるように、ランバートの唇が下りてきて、エリオノールは甘いキスに酔いしれた。
「う……」
確かに普段手加減しているというのが体の隅々まで覚えこまされた。それはもう思い切りやられた。ぐったりしても気を失ってもあれこれされた。
「どうぞ」
ランバートが水を入れたコップを渡してくれる。
「……ありがとう」
エリオノールはゆっくりを身を起こして、水を飲んだ。ただの水だというのに、のどに染み入るように美味しい。飲み終わると、ランバートもそのコップに水を注いで自分も飲んだ。
泥のように眠りたい。むしろ疲れすぎて眠れないかもしれない。
しばらくしなくてもいいというくらいの疲労だが、口にすると「満足できなかった? ごめんね、足りなくて」とか言い出しかねないので絶対に言わない。
ランバートも横になって、エリオノールの頭を優しくなでてくる。
「そういえば君、他の女性の裸を見るなって言うのは分かるんだけどさ。エレンの裸を見るのもだめなの?」
「だ、だって恥ずかしいわ!」
「だって数えきれないくらい何度も見てるのに?」
「ん……! それでもだめなの! 大体そういう時は明かり消してるし!」
恋人ならばもう裸を見られたところで、いまさらという人もいるだろう。だがエリオノールは違う。そこまでだらしない体型とも思っていないが、自信満々で見せられるほどにはスタイルに自信がない。というか自信があったとして積極的に見られたくはない。
「まあたとえ今さら見なくたって、君の体の隅々まで記憶しているんだけどね」
「なによ、それ! そんなもの覚えなくていいわよ、忘れてぇぇぇー!」
「君にも覚えてほしいな。オレの体」
「い、嫌よ!」
どれだけ自信があるというのか。ランバートが服を脱いでいるときも、恥ずかしくてあまり見ないようにしているので、記憶にないし、これからもじろじろ見ることはないだろう。
「そ、そういえば、あなたいつから透視できるの? そうでないと私が廊下にいるなんて分からないわよね?」
「ははは」
ふき出したランバートが、機嫌よさそうに笑う。
「そういうことにしておいてもよかったけど。あんなに部屋の前を行ったり来たりしていたら分かるよ。ヒールのある靴を履いているのはこの屋敷で君くらいだしね。オレの部屋の前を無駄にうろうろするのも」
「……すごいわ」
多少カチンとくるところもあったが、超能力がなかったとしても洞察力がすごい。いや、超能力がないことには少しばかり残念だったけれど。
それこそ東洋のニンジャのようだ。
感心しているエリオノールの薄い腹を、ランバートがそっとなでた。
耳元でささやく。
「オレが手加減しすぎていたよ。これからは毎晩このくらいしようね? ここにオレと君の愛の結晶が宿るまで」
「……冗談よね?」
★★★
何となく書きたくなってのこの二人でしたが、書けたらホワイトデーも書きたいです。
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