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二度目の甘い夜
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「勝手にすれば?」
ランバートの目の輝きが増したのが気になったが、手を拘束したままでは何もできないだろうと思った。
「言質はとったよ? 可愛く啼いてね」
にこっと笑ったランバートが、エリオノールをソファーに押し倒してくる。
まぁ体制が変わったところで、手が使えないのだからキスされるだけだろう。そう思っていたら、両手を拘束された状態だと言うのに、ランバートは指をひっかけて器用にドロワーズを脱がしてきた。
「は? え、ちょ、や、やめ……」
慌てて起き上がろうとしたが、それどころかのしかかられて足を広げられる。
「君言ったよね。『勝手にすれば』って」
確かに言った。言ったが。
(こんな恥ずかしいことさせられるなんて思ってない!)
大きく開脚させられた状態では、ランバートから秘められた花園が丸見えだろう。
閉じようとしてバタバタするのに、ランバートには力で敵わない。
何をするのかと思ったら、
「ちょ、やめ、なんで、馬鹿じゃないの?!」
あろうことかランバートはエリオノールの花園に顔をうずめてしまった。花びらに舌をはわせてくる。生暖かい感触に、背中がぞくっとした。
何のためにこんなことをするのかまったく分からない。誰にも見せたことはない、ましてや舐めるところで何か、けしてないはずだ。しかも、
「やだ、やだぁ……そんなとこ汚い……! 湯あみもしてないのに!」
「湯あみしたら舐めてもいいの?」
花びらから唇を離しランバートが言った。ランバートの顔を見られないので表情は分からないが、からかうような声の口調からして、にやにやしているだろう。
「そ、そういうわけじゃ……んっ」
「それに、湯あみする前だと君の匂いが濃くて、オレは嬉しい」
「!……変態」
こんなことをするランバートは、頭がおかしい。変態だ。
いやなのに。いやなはずなのに。
ぴちゃぴちゃとした水音が、静かな部屋の中に響きわたって恥ずかしくなった。花びらを軽く甘噛みしていたランバートの舌が、花芯に触れる。
「は……、んっ」
そのとたん、甘い声がもれそうになって、エリオノールは指をかんだ。エリオノールの仕草に気づいたのか、ランバートがふと目線を上げる。
「気持ちいい?」
ぶんぶんと首を振って否定するエリオノールに、ランバートはくすっと笑った。
「……強情だね。君の声は聞きたいけど、それはあとでゆっくり聞かせてもらうとして。君の指が傷ついたら嫌だからこれ噛んでて?」
ポケットからハンカチを取り出して、エリオノールの口に噛ませた。もはやランバートの手を拘束していて意味はあるのか、と思うほど器用だ。
ランバートがまるで飴でも舐めるかのように、花芯を舌先で転がす。そうかと思えば押しつぶし、硬くなったそれを軽く甘噛みされる。
このときまで、存在すら知らなかった花芯を舌で愛撫されるのは、たまらなく気持ちがよかった。だが、それを認めてしまうのは悔しくて、エリオノールは声がもれないように、必死でハンカチをかむ。
花芯を強めにかまれた瞬間、頭が真っ白になって、エリオノールの全身を電流が走った。びくんと背中を震わせる。
「……! ~~!」
(今の……何?)
初めての感覚が消え去ると、エリオノールは茫然とした。すぎたほどの快感は、どこか知らないところに連れて行かれるようだった。
「いっちゃった? 気持ちよくなれて偉いね、エリオノール」
ランバートが顔をあげた。彼の言っている意味がよく分からなかったが、エリオノールはこくり、と頷いた。
「そろそろこれほどいて? そしたら、もっと気持ちよくしてあげる」
これ、とランバートが両手を上げて見せる。
(もっと……?)
先ほどの快感すら初めてで驚くほどだったのに、もっとというのは想像できない。さっきよりもすごい快感というのは怖かったが、今のランバートが与えてくれるものなら、大丈夫だと思えた。
エリオノールは起き上がって、するっとランバートの手からクラヴァットをほどいた。手首が少し赤くなっている。
「……痛い?」
軽く赤くなったところに手で触れると、ランバートは首を振った。
「いや。痛くはないよ」
にこっと微笑む。
「いい子だね? エリオノール」
「は……ん……っ。も、本当に、変態……!」
エリオノールは涙目で、ランバートを睨みつけた。
確かに気持ちよくしてくれている。
してくれているが。
ベッドに移動して、胸を愛撫されているときまでは良かった。乳児のように、胸の先端を吸われたときは驚いたが、足の付け根よりは抵抗がなかった。
だが、胸への愛撫を終えたランバートが次に始めたのは足への愛撫で。しかも今までと同様口で、だ。
「変態って褒め言葉だけど? 気持ちいいんでしょ?」
にやっと笑ったランバートが、仰向けに寝かせたエリオノールの足の指の間に、舌をはわせる。こんなに足に触られるのはメイドに湯あみしてもらっているときくらいだが、その時は快感など得たことはない。
足と言うのがもともと性感帯なのか、ランバートに触られて、舌で愛されるから気持ちがいいのか。多分後者だと思う。腹が立つので絶対に言わないが。
一本一本の指を丹念に舐めたり、ちゅうっとしゃぶったり、何が楽しいのだろう。
ランバートの舌が、指から足の裏に移動する。舌をはわせたり、ちゅ、ちゅっと軽く幾度も口付けたりする。
「は……んくぅ……!」
くすぐったくてむずがゆいのか、気持ちがいいのか、エリオノールには分からない。多分両方だと思う。
触られているのは足なのに、秘部のあたりがむずむずしてきて、エリオノールはもぞもぞと足を動かした。先ほどランバートに気持ちよくされた時の感覚に似ている。
ランバートが足から唇を離した。
「そろそろ欲しくなった?」
「何、が……?」
「君は分からなくても、エリオノールの体は分かってるみたいだけど」
説明はしてくれないまま、ランバートはエリオノールの蜜口に指を差し入れた。
「は……ん……! いきなり、何を入れてるの?!」
驚いたエリオノールは抗議するが、ランバートは飄々としている。
「入りそうだったから。実際痛くなかったよね? こんなに蜜が溢れだしてる」
「こんなに」とランバートはくちゅくちゅとわざと水音が聞こえるように、指を出し入れした。それがひどく恥ずかしいことのように思えて、エリオノールはかっと頬を熱くする。
「さっき十分舌で解したしもう大丈夫かな?」
何が、と聞く間もなくランバートの熱い切っ先が、エリオノールの蜜口にあてられる。いつの間にランバートのものを取り出したのだろう。ずっとエリオノールを愛撫していたのに。
「多分痛いけど、我慢して?」
エリオノールは無言でこくこくとうなづいた。痛いのは嫌だったが、ランバートにも気持ちよくなって欲しかった。
「できるだけ、力抜いて」
ランバートが楔を蜜口に一気に挿入した。
「ふっ、ぐ、んん……」
言われた通り力を抜いたが入れられたとたん、全身を割かれるような痛みがエリオノールを襲った。今まで生きていた中で感じた痛みを、全て合わさったくらいの凄まじいものだった。
痛みのあまり、エリオノールはランバートの背中に回した手を、無意識に爪を立ててしまう。ランバートは軽く眉をひそめたが、振り払おうとはしなかった。
「痛かったよね? ごめんね、エレン」
ランバートがエリオノールの額に軽く口づける。まだ腰を動かそうとはしなかった。エリオノールが慣れるまで、動かないでいてくれるらしい。
「いったい!終わったら……殴らせて。十発くらい!」
顔をしかめながらエリオノールが言うと、やっぱり微笑みながらランバートは答える。
「いいよ。それで君を抱けるなら、安いもんだ」
先ほどまでのエリオノールだったら、そのことにいら立ったはずなのに、なぜかいらだちは覚えなかった。それどころか、そうまでしてもエリオノールを抱きたいのだ、と思ってくれているのが嬉しかった。
つぅっと足の付け根から、何かが伝う。エリオノールの目線からはよく見えないが、
「これ……」
「ああ、純潔の証だね」
ランバートが視線を、足の付け根に向けて答える。疑っていたわけではないが、あの夜抱いていない、というのは本当だったのだ。
「よかった……」
「あの時、もしオレに抱かれていたら嫌だったよね?」
どこか不安そうなランバート。確かに嫌だった。だが、心が通じ合った今となっては、あの時もし抱かれていたとしても嫌ではなかった。エリオノールがよかったと思ったのは。
「嫌よ? ランバートとの初めてを覚えていないなんて。だから、私が酔っぱらってない今が初めてで、よかったって思ったの」
微笑んだとたん、蜜口の中にいるランバートの質量が、ぐんっと増した。
「え、ちょ、どうして大きくなるの!?」
意味が分からず、エリオノールは慌てる。ただでさえ初めて何かを受け入れて、痛くてたまらないでいるところなのに。
「君が可愛いこと言うから悪い。そろそろ動くね。オレもきっついから。痛みを忘れるくらい気持ちよくしてやるから、許して?」
腰を一旦引いたランバートが、ゆるゆると腰を動かし始めた。
ランバートが十分に待ってくれたからか、痛みはなかった。
円を描くようにしたり、ランバートは、ゆっくりと注挿を繰り返す。
お腹側のある一点をぐりぐりと突かれたとき、エリオノールの背中がびくんと跳ねた。
「ん? ここがいい?」
何も言わなくても、エリオノールの反応で分かったらしい。
「君の気持ちいいとこ、たくさん突いてあげる」
「あ、ふぁ……んん……」
気持ちのいいところを重点的に突かれ、知らず知らずのうちにエリオノールは蜜壺をぎゅうっと収縮してしまう。
「くっ……!そんなに締め付けないで。持っていかれそう」
「そんなこと言われても、わかんな……」
意識してやっていることではないので、やめろと言われても無理だ。
「ごめん。もっと君のいいところ見つけてあげたいんだけど、一回イクね」
荒く息を吐いたランバートが、腰の動きを激しくさせた。
激しく内壁をこすられるのが、気持ちがいい。
「う……く……!」
ランバートが顔をゆがめた瞬間、エリオノールの中に熱い飛沫が散った。
「は……う……ファん……!」
(これで、終わっ、た……?)
脱力感で、エリオノールはぐったりとした。
(疲れた……)
エリオノールは初めてなので比べようがないのだが、ランバートとの行為はひどく疲れた。このようなことを世の中の夫婦は頻繁に行っているのかと思うと、尊敬しかない。
「えーと。ランバート、抜かないの?」
終わったはずなのに、硬度のなくなったランバートのものは、エリオノールの中にとどまったままだ。
にこっとランバートが微笑む。先ほどまで肩を揺らすほど荒い息遣いをしていたのに、もう回復したらしい。
「これで終わりなんて言った覚えないよ?一・回・イ・ク・ね・って言っただろ」
つまり。
「え、や、なんでまた大きく………!あ……っ」
エリオノールはまだ休ませてもらえないらしい。
疲れた。全身どこも痛い。喉も痛い。結局あれからエリオノールは数え切れないほどイカされたし、ランバートは三回だった。
「初・め・て・だ・し・今夜はこれで終わりにするね?」
と恩着せがましく言われた。初めてでこれなら、このあとするときはどうなるのだろう、と思ったが、かんがえないことにした。
エリオノールがぐったりとしていると、
「左手出して?」
「? はい」
エリオノールは緩慢な動きで、左手を差し出した。手を取ったランバートは、薬指に口づけた。
「これが、オレが君を愛してるって言う証。明日、君に一番似合う指輪を買いに行こう?」
(指輪……)
じんわりと、ランバートと結婚するのだという実感が湧いてきた。
「あなたのもね?」
こくりとエリオノールがうなづくと、微笑んだランバートが抱き寄せた。エリオノールは目を閉じて、彼の腕の中で、幸福な眠りについた。
ランバートの目の輝きが増したのが気になったが、手を拘束したままでは何もできないだろうと思った。
「言質はとったよ? 可愛く啼いてね」
にこっと笑ったランバートが、エリオノールをソファーに押し倒してくる。
まぁ体制が変わったところで、手が使えないのだからキスされるだけだろう。そう思っていたら、両手を拘束された状態だと言うのに、ランバートは指をひっかけて器用にドロワーズを脱がしてきた。
「は? え、ちょ、や、やめ……」
慌てて起き上がろうとしたが、それどころかのしかかられて足を広げられる。
「君言ったよね。『勝手にすれば』って」
確かに言った。言ったが。
(こんな恥ずかしいことさせられるなんて思ってない!)
大きく開脚させられた状態では、ランバートから秘められた花園が丸見えだろう。
閉じようとしてバタバタするのに、ランバートには力で敵わない。
何をするのかと思ったら、
「ちょ、やめ、なんで、馬鹿じゃないの?!」
あろうことかランバートはエリオノールの花園に顔をうずめてしまった。花びらに舌をはわせてくる。生暖かい感触に、背中がぞくっとした。
何のためにこんなことをするのかまったく分からない。誰にも見せたことはない、ましてや舐めるところで何か、けしてないはずだ。しかも、
「やだ、やだぁ……そんなとこ汚い……! 湯あみもしてないのに!」
「湯あみしたら舐めてもいいの?」
花びらから唇を離しランバートが言った。ランバートの顔を見られないので表情は分からないが、からかうような声の口調からして、にやにやしているだろう。
「そ、そういうわけじゃ……んっ」
「それに、湯あみする前だと君の匂いが濃くて、オレは嬉しい」
「!……変態」
こんなことをするランバートは、頭がおかしい。変態だ。
いやなのに。いやなはずなのに。
ぴちゃぴちゃとした水音が、静かな部屋の中に響きわたって恥ずかしくなった。花びらを軽く甘噛みしていたランバートの舌が、花芯に触れる。
「は……、んっ」
そのとたん、甘い声がもれそうになって、エリオノールは指をかんだ。エリオノールの仕草に気づいたのか、ランバートがふと目線を上げる。
「気持ちいい?」
ぶんぶんと首を振って否定するエリオノールに、ランバートはくすっと笑った。
「……強情だね。君の声は聞きたいけど、それはあとでゆっくり聞かせてもらうとして。君の指が傷ついたら嫌だからこれ噛んでて?」
ポケットからハンカチを取り出して、エリオノールの口に噛ませた。もはやランバートの手を拘束していて意味はあるのか、と思うほど器用だ。
ランバートがまるで飴でも舐めるかのように、花芯を舌先で転がす。そうかと思えば押しつぶし、硬くなったそれを軽く甘噛みされる。
このときまで、存在すら知らなかった花芯を舌で愛撫されるのは、たまらなく気持ちがよかった。だが、それを認めてしまうのは悔しくて、エリオノールは声がもれないように、必死でハンカチをかむ。
花芯を強めにかまれた瞬間、頭が真っ白になって、エリオノールの全身を電流が走った。びくんと背中を震わせる。
「……! ~~!」
(今の……何?)
初めての感覚が消え去ると、エリオノールは茫然とした。すぎたほどの快感は、どこか知らないところに連れて行かれるようだった。
「いっちゃった? 気持ちよくなれて偉いね、エリオノール」
ランバートが顔をあげた。彼の言っている意味がよく分からなかったが、エリオノールはこくり、と頷いた。
「そろそろこれほどいて? そしたら、もっと気持ちよくしてあげる」
これ、とランバートが両手を上げて見せる。
(もっと……?)
先ほどの快感すら初めてで驚くほどだったのに、もっとというのは想像できない。さっきよりもすごい快感というのは怖かったが、今のランバートが与えてくれるものなら、大丈夫だと思えた。
エリオノールは起き上がって、するっとランバートの手からクラヴァットをほどいた。手首が少し赤くなっている。
「……痛い?」
軽く赤くなったところに手で触れると、ランバートは首を振った。
「いや。痛くはないよ」
にこっと微笑む。
「いい子だね? エリオノール」
「は……ん……っ。も、本当に、変態……!」
エリオノールは涙目で、ランバートを睨みつけた。
確かに気持ちよくしてくれている。
してくれているが。
ベッドに移動して、胸を愛撫されているときまでは良かった。乳児のように、胸の先端を吸われたときは驚いたが、足の付け根よりは抵抗がなかった。
だが、胸への愛撫を終えたランバートが次に始めたのは足への愛撫で。しかも今までと同様口で、だ。
「変態って褒め言葉だけど? 気持ちいいんでしょ?」
にやっと笑ったランバートが、仰向けに寝かせたエリオノールの足の指の間に、舌をはわせる。こんなに足に触られるのはメイドに湯あみしてもらっているときくらいだが、その時は快感など得たことはない。
足と言うのがもともと性感帯なのか、ランバートに触られて、舌で愛されるから気持ちがいいのか。多分後者だと思う。腹が立つので絶対に言わないが。
一本一本の指を丹念に舐めたり、ちゅうっとしゃぶったり、何が楽しいのだろう。
ランバートの舌が、指から足の裏に移動する。舌をはわせたり、ちゅ、ちゅっと軽く幾度も口付けたりする。
「は……んくぅ……!」
くすぐったくてむずがゆいのか、気持ちがいいのか、エリオノールには分からない。多分両方だと思う。
触られているのは足なのに、秘部のあたりがむずむずしてきて、エリオノールはもぞもぞと足を動かした。先ほどランバートに気持ちよくされた時の感覚に似ている。
ランバートが足から唇を離した。
「そろそろ欲しくなった?」
「何、が……?」
「君は分からなくても、エリオノールの体は分かってるみたいだけど」
説明はしてくれないまま、ランバートはエリオノールの蜜口に指を差し入れた。
「は……ん……! いきなり、何を入れてるの?!」
驚いたエリオノールは抗議するが、ランバートは飄々としている。
「入りそうだったから。実際痛くなかったよね? こんなに蜜が溢れだしてる」
「こんなに」とランバートはくちゅくちゅとわざと水音が聞こえるように、指を出し入れした。それがひどく恥ずかしいことのように思えて、エリオノールはかっと頬を熱くする。
「さっき十分舌で解したしもう大丈夫かな?」
何が、と聞く間もなくランバートの熱い切っ先が、エリオノールの蜜口にあてられる。いつの間にランバートのものを取り出したのだろう。ずっとエリオノールを愛撫していたのに。
「多分痛いけど、我慢して?」
エリオノールは無言でこくこくとうなづいた。痛いのは嫌だったが、ランバートにも気持ちよくなって欲しかった。
「できるだけ、力抜いて」
ランバートが楔を蜜口に一気に挿入した。
「ふっ、ぐ、んん……」
言われた通り力を抜いたが入れられたとたん、全身を割かれるような痛みがエリオノールを襲った。今まで生きていた中で感じた痛みを、全て合わさったくらいの凄まじいものだった。
痛みのあまり、エリオノールはランバートの背中に回した手を、無意識に爪を立ててしまう。ランバートは軽く眉をひそめたが、振り払おうとはしなかった。
「痛かったよね? ごめんね、エレン」
ランバートがエリオノールの額に軽く口づける。まだ腰を動かそうとはしなかった。エリオノールが慣れるまで、動かないでいてくれるらしい。
「いったい!終わったら……殴らせて。十発くらい!」
顔をしかめながらエリオノールが言うと、やっぱり微笑みながらランバートは答える。
「いいよ。それで君を抱けるなら、安いもんだ」
先ほどまでのエリオノールだったら、そのことにいら立ったはずなのに、なぜかいらだちは覚えなかった。それどころか、そうまでしてもエリオノールを抱きたいのだ、と思ってくれているのが嬉しかった。
つぅっと足の付け根から、何かが伝う。エリオノールの目線からはよく見えないが、
「これ……」
「ああ、純潔の証だね」
ランバートが視線を、足の付け根に向けて答える。疑っていたわけではないが、あの夜抱いていない、というのは本当だったのだ。
「よかった……」
「あの時、もしオレに抱かれていたら嫌だったよね?」
どこか不安そうなランバート。確かに嫌だった。だが、心が通じ合った今となっては、あの時もし抱かれていたとしても嫌ではなかった。エリオノールがよかったと思ったのは。
「嫌よ? ランバートとの初めてを覚えていないなんて。だから、私が酔っぱらってない今が初めてで、よかったって思ったの」
微笑んだとたん、蜜口の中にいるランバートの質量が、ぐんっと増した。
「え、ちょ、どうして大きくなるの!?」
意味が分からず、エリオノールは慌てる。ただでさえ初めて何かを受け入れて、痛くてたまらないでいるところなのに。
「君が可愛いこと言うから悪い。そろそろ動くね。オレもきっついから。痛みを忘れるくらい気持ちよくしてやるから、許して?」
腰を一旦引いたランバートが、ゆるゆると腰を動かし始めた。
ランバートが十分に待ってくれたからか、痛みはなかった。
円を描くようにしたり、ランバートは、ゆっくりと注挿を繰り返す。
お腹側のある一点をぐりぐりと突かれたとき、エリオノールの背中がびくんと跳ねた。
「ん? ここがいい?」
何も言わなくても、エリオノールの反応で分かったらしい。
「君の気持ちいいとこ、たくさん突いてあげる」
「あ、ふぁ……んん……」
気持ちのいいところを重点的に突かれ、知らず知らずのうちにエリオノールは蜜壺をぎゅうっと収縮してしまう。
「くっ……!そんなに締め付けないで。持っていかれそう」
「そんなこと言われても、わかんな……」
意識してやっていることではないので、やめろと言われても無理だ。
「ごめん。もっと君のいいところ見つけてあげたいんだけど、一回イクね」
荒く息を吐いたランバートが、腰の動きを激しくさせた。
激しく内壁をこすられるのが、気持ちがいい。
「う……く……!」
ランバートが顔をゆがめた瞬間、エリオノールの中に熱い飛沫が散った。
「は……う……ファん……!」
(これで、終わっ、た……?)
脱力感で、エリオノールはぐったりとした。
(疲れた……)
エリオノールは初めてなので比べようがないのだが、ランバートとの行為はひどく疲れた。このようなことを世の中の夫婦は頻繁に行っているのかと思うと、尊敬しかない。
「えーと。ランバート、抜かないの?」
終わったはずなのに、硬度のなくなったランバートのものは、エリオノールの中にとどまったままだ。
にこっとランバートが微笑む。先ほどまで肩を揺らすほど荒い息遣いをしていたのに、もう回復したらしい。
「これで終わりなんて言った覚えないよ?一・回・イ・ク・ね・って言っただろ」
つまり。
「え、や、なんでまた大きく………!あ……っ」
エリオノールはまだ休ませてもらえないらしい。
疲れた。全身どこも痛い。喉も痛い。結局あれからエリオノールは数え切れないほどイカされたし、ランバートは三回だった。
「初・め・て・だ・し・今夜はこれで終わりにするね?」
と恩着せがましく言われた。初めてでこれなら、このあとするときはどうなるのだろう、と思ったが、かんがえないことにした。
エリオノールがぐったりとしていると、
「左手出して?」
「? はい」
エリオノールは緩慢な動きで、左手を差し出した。手を取ったランバートは、薬指に口づけた。
「これが、オレが君を愛してるって言う証。明日、君に一番似合う指輪を買いに行こう?」
(指輪……)
じんわりと、ランバートと結婚するのだという実感が湧いてきた。
「あなたのもね?」
こくりとエリオノールがうなづくと、微笑んだランバートが抱き寄せた。エリオノールは目を閉じて、彼の腕の中で、幸福な眠りについた。
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