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第六章 次代を創る
多様な個性を活かす連邦経営
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価値観はますます多様化し、
事業の社会性が問われる、
ある意味
解のない時代が到来している
社会が変わるなら、
会社のあり方も見直す必要が
ありそうだ。
達社長が、今考えているのが
『新たな会社の形』である。
きっかけは、
税理士の所長先生に紹介された、
ある会社の運営スタイルにある。
メーカー向けに部品などを製造、
販売する同社。
顧客は
自動車、機械、医療など様々ゆえ
ゆうに10百万円を越える
大型の部品から、一ミリにも満たない
微細なネジなど、
造るモノも多彩なのだそうだ。
「それゆえ、チャネルごとに
会社を作り、専門を磨く形態を採用
しているのです」
そう語りながら
所長先生は、同社の組織図を
達社長に示した。
一番上には、グループ全体を
つなぐミッションが大きく
示されている。
「達社長にぜひ、
見てもらいたいかったのは
この、本社と各社の関係なんです」
「親子会社によくある、支配と服従
ではなく、自立と支援の関係」
それが、同社最大の特徴なのだと
説明を受けた。
1つ目の特徴が「自立」
子会社社長は、一部例外を除き、
親会社社長兼務ではなく
プロパーと呼ばれる
その事業出身の人が
事業会社のトップに就任。
事業会社によっては、
億単位の投資権限を
持つなど、
文字通りの社長として、
経営を任されている。
一方、事業においても
親会社の下請け的にモノ作り
するだけでなく、
例えば、
得意分野の領域を掘り下げる
ことで、新たな顧客開拓を
行うなど、独自の戦略が
奨励されている。
「まさに自立ですね」
達社長は、所長先生の説明を聞き
少し驚きを感じずに
いられなかった。
「投資も、営業戦略も
子会社に任せるんですね」
「そうです」
所長先生は、表情を変えず
シンプルに答え
更に特徴の説明を続けた。
もう1つの特徴が「支援」
だそうだ。
これは、親会社、
すなわち本社の役割を表す
キーワードである。
同社では、本社は
「事業会社支援カンパニー」
との使命(ミッション)を
掲げている。
具体的には、主に次の
4つの機能を有している
そうだ。
資材の購買から設計
などの仕入れ開発支援
資金の調達や資金管理などの
ファイナンス支援
人材の採用や、育成などの
人的支援
そして、顧客開拓や
顧客管理などの営業支援
これらの機能を
各事業会社の必要に応じ
支援する、
プラットフォームの
役割を、担っているのだ。
例えば、ある事業会社は
資材調達において
独自のノウハウがあり、
本社の助けを
あまり必要としないが、
大企業受注が中心だった
こともあり、営業が苦手。
ゆえに、営業支援を本社に
依頼する。
一方、別の事業会社は
取引先が中小企業中心で
開拓は得意。
しかし、開発は苦手ゆえ
仕入れ開発支援を本社に依頼。
『事業会社の強みを伸ばし、
苦手は、本社が支援する』
この関係が、うまく機能し
持続的な成長が実現して
いるのだそうだ。
「連邦経営スタイルと
呼ばれています」
所長先生
まっすぐ
達社長を見て、語りかける
ように言われた。
「多様な会社が自立する
連邦経営」
多事業化する
自身の会社が目指す形だと
そう直感した、達社長だった。
事業の社会性が問われる、
ある意味
解のない時代が到来している
社会が変わるなら、
会社のあり方も見直す必要が
ありそうだ。
達社長が、今考えているのが
『新たな会社の形』である。
きっかけは、
税理士の所長先生に紹介された、
ある会社の運営スタイルにある。
メーカー向けに部品などを製造、
販売する同社。
顧客は
自動車、機械、医療など様々ゆえ
ゆうに10百万円を越える
大型の部品から、一ミリにも満たない
微細なネジなど、
造るモノも多彩なのだそうだ。
「それゆえ、チャネルごとに
会社を作り、専門を磨く形態を採用
しているのです」
そう語りながら
所長先生は、同社の組織図を
達社長に示した。
一番上には、グループ全体を
つなぐミッションが大きく
示されている。
「達社長にぜひ、
見てもらいたいかったのは
この、本社と各社の関係なんです」
「親子会社によくある、支配と服従
ではなく、自立と支援の関係」
それが、同社最大の特徴なのだと
説明を受けた。
1つ目の特徴が「自立」
子会社社長は、一部例外を除き、
親会社社長兼務ではなく
プロパーと呼ばれる
その事業出身の人が
事業会社のトップに就任。
事業会社によっては、
億単位の投資権限を
持つなど、
文字通りの社長として、
経営を任されている。
一方、事業においても
親会社の下請け的にモノ作り
するだけでなく、
例えば、
得意分野の領域を掘り下げる
ことで、新たな顧客開拓を
行うなど、独自の戦略が
奨励されている。
「まさに自立ですね」
達社長は、所長先生の説明を聞き
少し驚きを感じずに
いられなかった。
「投資も、営業戦略も
子会社に任せるんですね」
「そうです」
所長先生は、表情を変えず
シンプルに答え
更に特徴の説明を続けた。
もう1つの特徴が「支援」
だそうだ。
これは、親会社、
すなわち本社の役割を表す
キーワードである。
同社では、本社は
「事業会社支援カンパニー」
との使命(ミッション)を
掲げている。
具体的には、主に次の
4つの機能を有している
そうだ。
資材の購買から設計
などの仕入れ開発支援
資金の調達や資金管理などの
ファイナンス支援
人材の採用や、育成などの
人的支援
そして、顧客開拓や
顧客管理などの営業支援
これらの機能を
各事業会社の必要に応じ
支援する、
プラットフォームの
役割を、担っているのだ。
例えば、ある事業会社は
資材調達において
独自のノウハウがあり、
本社の助けを
あまり必要としないが、
大企業受注が中心だった
こともあり、営業が苦手。
ゆえに、営業支援を本社に
依頼する。
一方、別の事業会社は
取引先が中小企業中心で
開拓は得意。
しかし、開発は苦手ゆえ
仕入れ開発支援を本社に依頼。
『事業会社の強みを伸ばし、
苦手は、本社が支援する』
この関係が、うまく機能し
持続的な成長が実現して
いるのだそうだ。
「連邦経営スタイルと
呼ばれています」
所長先生
まっすぐ
達社長を見て、語りかける
ように言われた。
「多様な会社が自立する
連邦経営」
多事業化する
自身の会社が目指す形だと
そう直感した、達社長だった。
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