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第四章 勝てる戦いを実行する
「重要だが緊急でない」への時間配分
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建設業は忙しい。
きっと他の業種も皆そうだろうが、
達社長は日頃の皆の動きを見ていて
よくそう感じる。
一品一様の現場仕事、
大小様々なクレームやトラブル
厳しすぎる事業主からの期限要求。
建設業は特殊。
達社長ですらそう感じることも
少なくない。
「だからダメなんだよ」
久しぶりに食事した
メーカーの先輩社長にそう言われた。
「外から見える建設業って」
先輩社長はビール片手に話し始めた。
「こういう時の話は長い」
達社長は、小さく覚悟して、
先輩社長の話を聞くことにした。
先輩社長の話を整理すると、
多忙、多忙で今に集中し過ぎて、
本来やるべき事が後回しになっている
それが、中小の建設業だと言うのだ。
先輩社長いわく
「重要だけど緊急じゃない事が
疎かになりがちな気がするんだよ」
実は、今から20年以上前の
メーカーと建設業の生産性を
比較すると、余り変わらなかった
そうなのだ。
しかし、
機械化や人や組織の仕事の革新で、
今は大きな差がついていると
いうのだそうだ。
「先輩は博学ですね」
達社長は、そう言いながらも
少し反論した。
「でも、建設現場は簡単に機械化
できないし、働く人も、自社だけでは
完結しないから、そこは仕方ない面も
あるんじゃないですか?」
「建設に染まってどうするんだよ」
先輩社長にたしなめられて、
ハッとした達社長。
「相談があるから、
俺を食事に誘ったんだろう」
ビールをおかわりしながら、
先輩社長は、
話を軌道修正してくれた。
実は、営業活動について、
先輩社長からアドバイスを
もらいたくてお誘いしたのだ。
部品製造業である先輩社長の会社。
いわゆる系列があると言う業界
ながら、新たな顧客を開拓し、
確実に成長している。
そのやり方から何かを学びたい。
そう考えてきたのに、
悪い意味で、
業界に染まってしまってどうする。
「営業活動なんてしてないよ」
先輩社長は、笑っていた。
「まあ、そう言うと格好いいが、
、出来なかったと言った方が
より正確かな」
「どういう意味ですか?」
余りお酒の飲めない
達社長のグラスは、
ウーロン茶に変わっている。
「用もないのに訪問出来なかった
と言うことだよ」
「だから用を作り出すことに
力を注いだんだ」
ビールをお代わりしながらの
先輩社長。
「俺たちのつくる部品の性能に
大差なんてないだ」
そう言って話してくれたのが
既存の顧客別の困りごとを
研究・勉強し、その解決の一助を
具体化し、提案する活動だと言う
今日必要なら今日届ける仕組みや
修理への対応力、果ては、
顧客の若手指導まで、
困りごとに寄り添う姿勢に徹し
『あそこは使える会社だよ』
との評判が高まり、
顧客からの紹介や評判からの
問い合わせにより、
新たなお客様が増えたのだそうだ。
「結果論だが、
緊急じゃないが、重要な事を
やったんだ」
顧客を増やす。
そのためには新規開拓が欠かせない。
でもだからこそ、
既存のお客様を通して、
困りごとの解決に力を注いだ。
結果、
新規開拓に成功したのだろう。
私達にとっての
『重要だが、緊急じゃない営業活動』
は何か?
急がば回れ。
「紹介がもらえる活動を
もっともっと強化しよう」
先輩に敬意を表し、
最後にビールを頼む達社長で
あった。
きっと他の業種も皆そうだろうが、
達社長は日頃の皆の動きを見ていて
よくそう感じる。
一品一様の現場仕事、
大小様々なクレームやトラブル
厳しすぎる事業主からの期限要求。
建設業は特殊。
達社長ですらそう感じることも
少なくない。
「だからダメなんだよ」
久しぶりに食事した
メーカーの先輩社長にそう言われた。
「外から見える建設業って」
先輩社長はビール片手に話し始めた。
「こういう時の話は長い」
達社長は、小さく覚悟して、
先輩社長の話を聞くことにした。
先輩社長の話を整理すると、
多忙、多忙で今に集中し過ぎて、
本来やるべき事が後回しになっている
それが、中小の建設業だと言うのだ。
先輩社長いわく
「重要だけど緊急じゃない事が
疎かになりがちな気がするんだよ」
実は、今から20年以上前の
メーカーと建設業の生産性を
比較すると、余り変わらなかった
そうなのだ。
しかし、
機械化や人や組織の仕事の革新で、
今は大きな差がついていると
いうのだそうだ。
「先輩は博学ですね」
達社長は、そう言いながらも
少し反論した。
「でも、建設現場は簡単に機械化
できないし、働く人も、自社だけでは
完結しないから、そこは仕方ない面も
あるんじゃないですか?」
「建設に染まってどうするんだよ」
先輩社長にたしなめられて、
ハッとした達社長。
「相談があるから、
俺を食事に誘ったんだろう」
ビールをおかわりしながら、
先輩社長は、
話を軌道修正してくれた。
実は、営業活動について、
先輩社長からアドバイスを
もらいたくてお誘いしたのだ。
部品製造業である先輩社長の会社。
いわゆる系列があると言う業界
ながら、新たな顧客を開拓し、
確実に成長している。
そのやり方から何かを学びたい。
そう考えてきたのに、
悪い意味で、
業界に染まってしまってどうする。
「営業活動なんてしてないよ」
先輩社長は、笑っていた。
「まあ、そう言うと格好いいが、
、出来なかったと言った方が
より正確かな」
「どういう意味ですか?」
余りお酒の飲めない
達社長のグラスは、
ウーロン茶に変わっている。
「用もないのに訪問出来なかった
と言うことだよ」
「だから用を作り出すことに
力を注いだんだ」
ビールをお代わりしながらの
先輩社長。
「俺たちのつくる部品の性能に
大差なんてないだ」
そう言って話してくれたのが
既存の顧客別の困りごとを
研究・勉強し、その解決の一助を
具体化し、提案する活動だと言う
今日必要なら今日届ける仕組みや
修理への対応力、果ては、
顧客の若手指導まで、
困りごとに寄り添う姿勢に徹し
『あそこは使える会社だよ』
との評判が高まり、
顧客からの紹介や評判からの
問い合わせにより、
新たなお客様が増えたのだそうだ。
「結果論だが、
緊急じゃないが、重要な事を
やったんだ」
顧客を増やす。
そのためには新規開拓が欠かせない。
でもだからこそ、
既存のお客様を通して、
困りごとの解決に力を注いだ。
結果、
新規開拓に成功したのだろう。
私達にとっての
『重要だが、緊急じゃない営業活動』
は何か?
急がば回れ。
「紹介がもらえる活動を
もっともっと強化しよう」
先輩に敬意を表し、
最後にビールを頼む達社長で
あった。
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