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第六章 次代を創る
総見直し 今一度
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築50年以上。
長年の懸案だった
本社社屋の建て替え。
老朽化の問題もあるが、
むしろ
多事業化や社員数の増加など
希薄化する
コミュニケーションの強化や
業務の非効率などを解消すると
同時に
明るく、かつ周りに誇れる
立派な本社社屋を建設したい。
つまり、成長する会社に
ふさわしい新しい本社社屋に
したい。
という目的が第一であった。
そのために
建築部長をリーダーにした
役員から若手までが、
参画したプロジェクトで
一年近い歳月をかけて
具体策を練り上げてきた。
そのプロジェクトが
今、大きな転換点を迎えている。
理由は、環境の大きな変化である
貿易摩擦による
顧客企業収益の悪化や
インバウンドの大幅減少による
地元商店街の落ち込みなど、
建設投資の大きな下振れリスクが
出てきたからだ。
実は、見直しを提言したのは、
税理士の所長先生。
「危機の時代の経営」
そう今の環境を認識し、
「総見直し」
もう一度、
理念や使命、ミッション以外の
あらゆるものを見直してはどうか。
いや、今はまさにその時期である
久しぶりに経営会議に出席し、
そう強く迫られた。
予想通り、
プロジェクトメンバー
からの反発は激しかった。
「どれだけ苦労して、今があるのか?
いくら所長先生でも、それは無茶だ」
しかし
プロジェクトリーダーである
建築部長は冷静だった。
「所長先生が経営会議に出席される
と聞き、半ば覚悟していました」
「今、直接利益を生む訳ではない
本社社屋への大きな投資を敢行
する訳にはいかないですよね」
建築部長のこの一言で、
本社社屋建て替えプロジェクト含む
投資や経費の総見直しを検討する
ことになった。
翌週に行われた、臨時の経営会議。
必要か不要・不急の投資や経費かで
ケンケンガクガク議論が交わされた。
建設事業中心に、
現時点で、大きな落ち込みが
現れていないこともあり
所長先生の言う「危機の時代」
を肌感覚で、実感出来ていない
こともあるだろう。
周知独裁。
本社社屋の建て替えは
社長決裁に委ねられた。
「無期限延期」
達社長は短く、
そう皆に宣言した。
それから二週間後。
建築部長が数名の若手と共に
「本社社屋の提案をしたい」
と言ってきた。
大部屋の一角にある達社長のデスク。
そこで、言い合いになるかも?
そう考えた達社長は
いつも経営会議で使う部屋を予約し
皆の話しを聞くことにした。
しかし、彼らの提案は
達社長の危惧を覆す、素晴らしい
ものであった。
名付けて
「町ともオフィス」
と言う提案である。
大きな本社を作るのではなく
町中に分散オフィスを作り
町の既存施設も活用しながら
町の活性化にも貢献しようと言う
提案である。
事業や部門の情報共有は
デジタル活用の工夫で解決しよう
ピンチをチャンスに
投資額を抑えつつ
街を元気にするビジョン実現にも
寄与する、新しい本社のあり方を
提言してくれたのだ。
むろん、投資は発生するし
その額も小さくはない。
しかし、私達らしさを表す
必要な投資だと、達社長は直感的に
そう感じた。
そして何より、
達社長すら考えなかった
新たな提案をしてくれた
社員の存在が何より嬉しかった。
「まずは所長先生を説得だ」
達社長は、ワクワクしながら
提案書を見つめ直していた。
長年の懸案だった
本社社屋の建て替え。
老朽化の問題もあるが、
むしろ
多事業化や社員数の増加など
希薄化する
コミュニケーションの強化や
業務の非効率などを解消すると
同時に
明るく、かつ周りに誇れる
立派な本社社屋を建設したい。
つまり、成長する会社に
ふさわしい新しい本社社屋に
したい。
という目的が第一であった。
そのために
建築部長をリーダーにした
役員から若手までが、
参画したプロジェクトで
一年近い歳月をかけて
具体策を練り上げてきた。
そのプロジェクトが
今、大きな転換点を迎えている。
理由は、環境の大きな変化である
貿易摩擦による
顧客企業収益の悪化や
インバウンドの大幅減少による
地元商店街の落ち込みなど、
建設投資の大きな下振れリスクが
出てきたからだ。
実は、見直しを提言したのは、
税理士の所長先生。
「危機の時代の経営」
そう今の環境を認識し、
「総見直し」
もう一度、
理念や使命、ミッション以外の
あらゆるものを見直してはどうか。
いや、今はまさにその時期である
久しぶりに経営会議に出席し、
そう強く迫られた。
予想通り、
プロジェクトメンバー
からの反発は激しかった。
「どれだけ苦労して、今があるのか?
いくら所長先生でも、それは無茶だ」
しかし
プロジェクトリーダーである
建築部長は冷静だった。
「所長先生が経営会議に出席される
と聞き、半ば覚悟していました」
「今、直接利益を生む訳ではない
本社社屋への大きな投資を敢行
する訳にはいかないですよね」
建築部長のこの一言で、
本社社屋建て替えプロジェクト含む
投資や経費の総見直しを検討する
ことになった。
翌週に行われた、臨時の経営会議。
必要か不要・不急の投資や経費かで
ケンケンガクガク議論が交わされた。
建設事業中心に、
現時点で、大きな落ち込みが
現れていないこともあり
所長先生の言う「危機の時代」
を肌感覚で、実感出来ていない
こともあるだろう。
周知独裁。
本社社屋の建て替えは
社長決裁に委ねられた。
「無期限延期」
達社長は短く、
そう皆に宣言した。
それから二週間後。
建築部長が数名の若手と共に
「本社社屋の提案をしたい」
と言ってきた。
大部屋の一角にある達社長のデスク。
そこで、言い合いになるかも?
そう考えた達社長は
いつも経営会議で使う部屋を予約し
皆の話しを聞くことにした。
しかし、彼らの提案は
達社長の危惧を覆す、素晴らしい
ものであった。
名付けて
「町ともオフィス」
と言う提案である。
大きな本社を作るのではなく
町中に分散オフィスを作り
町の既存施設も活用しながら
町の活性化にも貢献しようと言う
提案である。
事業や部門の情報共有は
デジタル活用の工夫で解決しよう
ピンチをチャンスに
投資額を抑えつつ
街を元気にするビジョン実現にも
寄与する、新しい本社のあり方を
提言してくれたのだ。
むろん、投資は発生するし
その額も小さくはない。
しかし、私達らしさを表す
必要な投資だと、達社長は直感的に
そう感じた。
そして何より、
達社長すら考えなかった
新たな提案をしてくれた
社員の存在が何より嬉しかった。
「まずは所長先生を説得だ」
達社長は、ワクワクしながら
提案書を見つめ直していた。
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