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最終章 私の守護者
私の守護者 ⑥
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ASHINAの重斗が権力と財力にものを言わせて、すぐに出て来たを知ったのは、あの日から一週間後だった。
「そう、でも一週間はいたのね」
「えぇ、一週間いたようで」
「ずいぶんと待遇がよかったんじゃい?」
「それはもちろん、高級ホテル並みかと」
もちろん、そんなわけはないと信じているが、あの人ならやりかねない。
しかし、彼がいてくれれば今後狙われる可能性は極めて低いだろう。
そして今日は父に私たちは呼ばれていた。
「お待たせいたしました」
「なに? お父様」
渋い顔をしながら、座るように促してくれる。
一度、強めに咳ばらいをしながら淡々と語りだした。
「さて、蒲生くん……。 娘の警護、ご苦労」
「はい、ありがとうございます」
「それで、今後のASHINAの動向ではあるが、おそらく再び娘が狙われる可能性は限りなく低いであろう、よって君の今後の処遇を考えたい」
ドクンッーー!
心臓が飛び跳ねる。 何を言っているの? 彼の処遇?
横目で彼を確認してみるが、微動だにしていない。
なんだかとても寂しい気持ちになった。
「これは、私の意見ではないが、君の存在を欲している人がいるそうだ。君の会社から連絡も入っている…。 ここまで面倒をかけて申し訳ないが、今後は元のよう……」
「まっ!」
私が声を出そうとしたとき、部屋の扉が勢いよく開いた。
「その話! ちょっと待ったぁぁあ!」
あまりの唐突さに、蒲生さんの顔も強張っている。
そして、こんな派手な登場をする人を私はこの世界で一人しかしらない。
「お、お母さん⁉」
「ハロー皆さん、急にごめなさいねぇ」
「急になんで‼」
父がうろたえる。
蒲生さんは、どうしてよいのかわからず私と母を交互にみるしかできないでいた。
「だって、彼との契約更新をしないってことでしょ? それはちょっとあんまりじゃないの?」
そう言って、母は彼の隣まで歩いて行く。
こう言ってはなんがら、母は凄くスタイルもよく美人だとおもう、いつも口癖で「あの人に似なくてよかった♪」と私に言ってくる。
もちろん、あの人とは父のことであるが。
「どれどれ……。 へぇ、ふむふむ」
ジロジロと蒲生さんの全身を見ていく。
「あ、あの何か?」
「よし! 合格! 文句なしのイケメン、しかも運動神経も抜群ときた。これは私の夢がまた一つ叶いそうね」
「ば、バカなことを言うな! 何を考えている⁉」
今まで以上に狼狽しだしたお父様、それをニタニタと見つめる母。
「あら、あなただって理解しているのでは? ASHINAの御曹司が綺麗さっぱり諦めてくれるっていう文言を本当に信じるの? そして、娘を守り切れるのは、現状彼だけよ」
そう言って、蒲生さんを振り向くとニッコリと微笑む。
「この顔と愛か……。 す、すごいのが誕生しそうね」
キラーン。
母の瞳が怪しく光りだし、背後に威圧感のようなモノが見えだしてきた。
「し、しかし。 い、イケメンはぁ」
何を先ほどから言っているのだこの二人は、なにか根本的に違う次元の話のように思えたてくる。
「だまらっしゃい! もうあなたは引っ込んでて!」
グチグチとこちらに聞こえないようにつぶやく父に対し、母一喝しその場を鎮めた。
「そうそう、なら今から契約を破棄してちょうだい、代わりに私個人があなたと契約するは、えっと…」
「蒲生 盛矢です」
「そうそう、盛矢くん、それで構わないでしょ?」
「え、えっと、それは個人的にという意味合いですか?」
「そう言ってるじゃない、あぁ、大丈夫あなたの会社の社長には私から言っとくから安心して、彼、私には逆らえないから」
ぐふふふふと、不敵に笑う母。
なんだか、彼女が現れてから世界の進む時間の感覚が早くなったように思える。
「え、そ、それでは、私は具体的になにをすれば?」
未だに理解が追いついていない蒲生さん、大丈夫だ私も理解できていない。
「そ、それはあまりにも横暴なのでは?」
お父様が何か必死に伝えようとしていが、母はついに聞く耳すらもたない。
「何を? そうね。 私と契約していただけるなら、今後、未来永劫! 娘の専属ボディーガードをやっていただきたいの、それこそ病める時も、健やかなときも」
なぜ、口角が下がりだらしのない顔になるのか!
セリフの端に含みのある単語が混ざっているのも気になる。
それでも、母の申し出は凄く嬉しかった。
純粋に、彼と一緒にいられるのを私は喜んでいる。
「どう? 愛と盛矢くん、異論はあるかしら?」
「そう、でも一週間はいたのね」
「えぇ、一週間いたようで」
「ずいぶんと待遇がよかったんじゃい?」
「それはもちろん、高級ホテル並みかと」
もちろん、そんなわけはないと信じているが、あの人ならやりかねない。
しかし、彼がいてくれれば今後狙われる可能性は極めて低いだろう。
そして今日は父に私たちは呼ばれていた。
「お待たせいたしました」
「なに? お父様」
渋い顔をしながら、座るように促してくれる。
一度、強めに咳ばらいをしながら淡々と語りだした。
「さて、蒲生くん……。 娘の警護、ご苦労」
「はい、ありがとうございます」
「それで、今後のASHINAの動向ではあるが、おそらく再び娘が狙われる可能性は限りなく低いであろう、よって君の今後の処遇を考えたい」
ドクンッーー!
心臓が飛び跳ねる。 何を言っているの? 彼の処遇?
横目で彼を確認してみるが、微動だにしていない。
なんだかとても寂しい気持ちになった。
「これは、私の意見ではないが、君の存在を欲している人がいるそうだ。君の会社から連絡も入っている…。 ここまで面倒をかけて申し訳ないが、今後は元のよう……」
「まっ!」
私が声を出そうとしたとき、部屋の扉が勢いよく開いた。
「その話! ちょっと待ったぁぁあ!」
あまりの唐突さに、蒲生さんの顔も強張っている。
そして、こんな派手な登場をする人を私はこの世界で一人しかしらない。
「お、お母さん⁉」
「ハロー皆さん、急にごめなさいねぇ」
「急になんで‼」
父がうろたえる。
蒲生さんは、どうしてよいのかわからず私と母を交互にみるしかできないでいた。
「だって、彼との契約更新をしないってことでしょ? それはちょっとあんまりじゃないの?」
そう言って、母は彼の隣まで歩いて行く。
こう言ってはなんがら、母は凄くスタイルもよく美人だとおもう、いつも口癖で「あの人に似なくてよかった♪」と私に言ってくる。
もちろん、あの人とは父のことであるが。
「どれどれ……。 へぇ、ふむふむ」
ジロジロと蒲生さんの全身を見ていく。
「あ、あの何か?」
「よし! 合格! 文句なしのイケメン、しかも運動神経も抜群ときた。これは私の夢がまた一つ叶いそうね」
「ば、バカなことを言うな! 何を考えている⁉」
今まで以上に狼狽しだしたお父様、それをニタニタと見つめる母。
「あら、あなただって理解しているのでは? ASHINAの御曹司が綺麗さっぱり諦めてくれるっていう文言を本当に信じるの? そして、娘を守り切れるのは、現状彼だけよ」
そう言って、蒲生さんを振り向くとニッコリと微笑む。
「この顔と愛か……。 す、すごいのが誕生しそうね」
キラーン。
母の瞳が怪しく光りだし、背後に威圧感のようなモノが見えだしてきた。
「し、しかし。 い、イケメンはぁ」
何を先ほどから言っているのだこの二人は、なにか根本的に違う次元の話のように思えたてくる。
「だまらっしゃい! もうあなたは引っ込んでて!」
グチグチとこちらに聞こえないようにつぶやく父に対し、母一喝しその場を鎮めた。
「そうそう、なら今から契約を破棄してちょうだい、代わりに私個人があなたと契約するは、えっと…」
「蒲生 盛矢です」
「そうそう、盛矢くん、それで構わないでしょ?」
「え、えっと、それは個人的にという意味合いですか?」
「そう言ってるじゃない、あぁ、大丈夫あなたの会社の社長には私から言っとくから安心して、彼、私には逆らえないから」
ぐふふふふと、不敵に笑う母。
なんだか、彼女が現れてから世界の進む時間の感覚が早くなったように思える。
「え、そ、それでは、私は具体的になにをすれば?」
未だに理解が追いついていない蒲生さん、大丈夫だ私も理解できていない。
「そ、それはあまりにも横暴なのでは?」
お父様が何か必死に伝えようとしていが、母はついに聞く耳すらもたない。
「何を? そうね。 私と契約していただけるなら、今後、未来永劫! 娘の専属ボディーガードをやっていただきたいの、それこそ病める時も、健やかなときも」
なぜ、口角が下がりだらしのない顔になるのか!
セリフの端に含みのある単語が混ざっているのも気になる。
それでも、母の申し出は凄く嬉しかった。
純粋に、彼と一緒にいられるのを私は喜んでいる。
「どう? 愛と盛矢くん、異論はあるかしら?」
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