12 / 28
後輩くんは愛したい、愛されたい 新発田 勇士のターン
寝顔
しおりを挟む
共同で暮らしを開始してから既に二週間が経過した。
最初は慣れない場面も多々あったが、今では順調に生活はまわっているので、かなりストレスはない。
ただ、一つ私が彼らのどちらかを選ぶということがなければかなり快適で楽しい空間であるのは間違いない。
「あ、今日も早いんだ……」
いっくんはいつも早く、私たちが起きてくる時間には居たことはない。
それに気づかれずに朝ごはんまで作っておいてくれているので、かなり大変だと思うのだけど、それをこなして会社もなんてすごすぎる。
ただ、よく疲れて無防備に眠っている姿をちょくちょく目撃するが、ユウはそれを見て起こすわけでも邪魔することなく、そっとしてくれているので理解はしているのだろう。
「ふぁ……先輩、おはようございます」
眠そうな後輩が起きて挨拶をしてくれたので、こちらも「おはよう」と伝えて朝食の準備をしちゃう。
と、言ってもただ温めなおして並べるだけで終わってしまうので簡単すぎて申し訳ない気持ちでいっぱいだが、甘えてしまう。
お皿を並び終えてユウの姿が無いことに気が付く、あれ? 今までそこで大きな欠伸をしていたと思ったのだけど? どこに行ってしまったのだろうか?
彼は極端に朝に弱くて、かなりの頻度でどこかで二度寝していることが多々ある。
今日もそんな感じだろうと思い、いつも顔を洗う洗面台の方へと行くと案の定足だけが入り口から飛び出していた。
「いや、これ軽くホラーでしょ」
最初はびっくりした。
だって、倒れていると思ったら寝ているだけってこんな人本当にいるんだって思ったが、大学のときは遅刻しないで来ていたような気もするけれど? 学年の違ったのであまり講義などでは一緒したことがないのでハッキリとは言えない。
「慣れるって恐ろしいわね」
グイっと力を入れて上を向かせると、すぴぃすぴぃと軽く寝息をたてながら気持ちよさそうにしていた。
慣れたとはいえ、彼の寝顔に関してはいつ見てもツイツイ見つめてしまう。
「相変わらず綺麗ね」
羨ましい、このきめ細かな肌に長いまつ毛ってこっちが全部ほしいの持っていた。
ツンツンと柔らかな頬を指で突っつくとぷわっと押し返してきた。
「普段どんなケアしているのかしら?」
元々地毛が薄いと言っていたので、カミソリなどは使っていないらしくその点も羨ましくて仕方がない。
「ほら、ユウ起きて」
ずっと見ていても大丈夫なのだが、さすがに仕事に遅れてしまうので起こすことにした。
トントンと肩を叩いて起こしてみると、すぐに薄っすらと目をあけてこっちを見つめてきた。
「んぁ、先輩……」
すっとそのまま起き上がるかと思ったら、今度は私にしがみついてくる。
「えっ⁉ ちょ、ちょっとユウってば」
すぴぃすぴぃと、耳元に寝息が触れた。
え? 寝たの? 嘘でしょ。
グイっと押して引き離そうとすると、腹筋と胸板に当たる。一見か細い印象がある彼だが触れてみるとよくわかった。
「か、かたい……」
良く鍛えられた腹筋に胸筋の熱が手のひらに伝わってきた。
意外とがっちりとした体形で、いっくんとは違った抱擁感があってドキドキしてしまう。
「ちょっと、起きて! ねぇ、起きてよ」
耳元で声で起こしてみる。
体格差などもあって女性の力では彼を持ち上げられないので、声で起こすしかなった。
「……? あ、れ?」
とろとろとした口調で状況を把握しようとしているが、何を思ったのかギュッと強く抱きしめてくる。
「な、なんでそうなるのよ⁉」
「なんでって、先輩とこうしたいからっすよ」
ちょっと低い声で囁きながら背中にまわした手が背骨のラインを撫でていく。
ぶるっと、甘い痺れが体の中を通っていった。
「こら、ご飯食べないと遅刻しちゃうわよ」
なんだか怪しい雰囲気になってきたので、キツメの口調で伝えると理解してくれたのか、小さなため息をついて私から離れていく。
名残惜しそうな表情に、温もりが尾を引いていくも身体が次第に冷えていった。
最初は慣れない場面も多々あったが、今では順調に生活はまわっているので、かなりストレスはない。
ただ、一つ私が彼らのどちらかを選ぶということがなければかなり快適で楽しい空間であるのは間違いない。
「あ、今日も早いんだ……」
いっくんはいつも早く、私たちが起きてくる時間には居たことはない。
それに気づかれずに朝ごはんまで作っておいてくれているので、かなり大変だと思うのだけど、それをこなして会社もなんてすごすぎる。
ただ、よく疲れて無防備に眠っている姿をちょくちょく目撃するが、ユウはそれを見て起こすわけでも邪魔することなく、そっとしてくれているので理解はしているのだろう。
「ふぁ……先輩、おはようございます」
眠そうな後輩が起きて挨拶をしてくれたので、こちらも「おはよう」と伝えて朝食の準備をしちゃう。
と、言ってもただ温めなおして並べるだけで終わってしまうので簡単すぎて申し訳ない気持ちでいっぱいだが、甘えてしまう。
お皿を並び終えてユウの姿が無いことに気が付く、あれ? 今までそこで大きな欠伸をしていたと思ったのだけど? どこに行ってしまったのだろうか?
彼は極端に朝に弱くて、かなりの頻度でどこかで二度寝していることが多々ある。
今日もそんな感じだろうと思い、いつも顔を洗う洗面台の方へと行くと案の定足だけが入り口から飛び出していた。
「いや、これ軽くホラーでしょ」
最初はびっくりした。
だって、倒れていると思ったら寝ているだけってこんな人本当にいるんだって思ったが、大学のときは遅刻しないで来ていたような気もするけれど? 学年の違ったのであまり講義などでは一緒したことがないのでハッキリとは言えない。
「慣れるって恐ろしいわね」
グイっと力を入れて上を向かせると、すぴぃすぴぃと軽く寝息をたてながら気持ちよさそうにしていた。
慣れたとはいえ、彼の寝顔に関してはいつ見てもツイツイ見つめてしまう。
「相変わらず綺麗ね」
羨ましい、このきめ細かな肌に長いまつ毛ってこっちが全部ほしいの持っていた。
ツンツンと柔らかな頬を指で突っつくとぷわっと押し返してきた。
「普段どんなケアしているのかしら?」
元々地毛が薄いと言っていたので、カミソリなどは使っていないらしくその点も羨ましくて仕方がない。
「ほら、ユウ起きて」
ずっと見ていても大丈夫なのだが、さすがに仕事に遅れてしまうので起こすことにした。
トントンと肩を叩いて起こしてみると、すぐに薄っすらと目をあけてこっちを見つめてきた。
「んぁ、先輩……」
すっとそのまま起き上がるかと思ったら、今度は私にしがみついてくる。
「えっ⁉ ちょ、ちょっとユウってば」
すぴぃすぴぃと、耳元に寝息が触れた。
え? 寝たの? 嘘でしょ。
グイっと押して引き離そうとすると、腹筋と胸板に当たる。一見か細い印象がある彼だが触れてみるとよくわかった。
「か、かたい……」
良く鍛えられた腹筋に胸筋の熱が手のひらに伝わってきた。
意外とがっちりとした体形で、いっくんとは違った抱擁感があってドキドキしてしまう。
「ちょっと、起きて! ねぇ、起きてよ」
耳元で声で起こしてみる。
体格差などもあって女性の力では彼を持ち上げられないので、声で起こすしかなった。
「……? あ、れ?」
とろとろとした口調で状況を把握しようとしているが、何を思ったのかギュッと強く抱きしめてくる。
「な、なんでそうなるのよ⁉」
「なんでって、先輩とこうしたいからっすよ」
ちょっと低い声で囁きながら背中にまわした手が背骨のラインを撫でていく。
ぶるっと、甘い痺れが体の中を通っていった。
「こら、ご飯食べないと遅刻しちゃうわよ」
なんだか怪しい雰囲気になってきたので、キツメの口調で伝えると理解してくれたのか、小さなため息をついて私から離れていく。
名残惜しそうな表情に、温もりが尾を引いていくも身体が次第に冷えていった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる