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奇妙な暮らしのスタート
再会
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「?」
じゃりっと音がするが、一人ではなく複数のような気がした。
またあの怖い人たちだろうか? これ以上何を私から奪っていくのだろう? そう思って、睨めながら顔をあげるとそこには意外な人たちの姿があった。
「え?」
「おいおいどうした? そんな酷い顔をして」
「先輩大丈夫ですか? 探しましたよ」
懐かしい姿に思わず固まってしまう。
「もしかして? い、いっくん? それと、ユウ?」
社会人なりたてのようなパリッとしたシャツに爽やかな鼻筋に、透き通るような瞳が印象的な大学の後輩の新発田勇士と、いかにも高級そうな腕時計とセンスのよいスーツにキリっとした顔のラインと知的な表情が印象的だが、どこか面影があって思い出すことができた。
昔、隣に住んでいた幼馴染の柿崎泉、いつもイジメられてメソメソしていた印象があって、護ってあげなくちゃ! なんて、年下の私が思っていた時期もあった。
「懐かしいな、元気? とは、言えそうもないが大丈夫か?」
「先輩、どうしたんすか? 困ったことがあったら俺になんでも言ってください!」
二人の声が被る。 そして、にらみ合う
「なんすかオッサン、先輩の何なんすか」
「初対面の人に対しオッサンとは随分と失礼じゃないのかな? キミこそ愛夏さんとどういった関係があるというのだい?」
バチバチと見えない火花を散らす二人、こちらはどうしてよいのかわからずとりあえず声をかけることにした。
「え、えっと、二人とも久しぶり……急にどうしたのかな?」
苦笑しながら、二人の間に入るように会話を投げ込むと、にらみ合いを辞めてこちらを見つめてくれた。
そして、なぜか二人で照れながら咳ばらいを一つすると、再度同時に声を発した。
「愛夏さん結婚しましょう」
「先輩、結婚しましょう」
「「は⁉」」
「へ?」
『拝啓 天国のお祖母ちゃん、お祖父ちゃんへ』
家と財産を失った日、なぜか大学の後輩と幼馴染にプロポーズを受けました。
「な、なに言ってるんすかオッサン! 先輩は俺と結婚するんですよ」
「ふっ、何を言うのかと思ったら、愛夏さんは私と結婚すると約束しているのだ」
明らかに喧嘩腰のユウと冷静に見せて、こめかみに【怒りマーク】が浮き出ているいっくん。
双方譲らない感じで、プロポーズを受けた私を置いて行っていた。
「あ、あのぁ……」
なんとか声を出そうとするが、二人はまた別の何かで盛り上がっている。
「愛夏さんは昔、私と婚約していたのだ」
「はぁ? 何言ってんすか? 先輩は俺と約束してくれてたんですよ」
どうしよう……どちらも覚えていない。
私はいったいいつ、彼らと結婚の約束をしたのだろうか?
いつまでも、収拾がつかない感じがするので無理やり間に入って、とりあえず二人の話を聞くことにした。
「覚えていない? ま、まさか……」
「まぢっすか……けっこうショックす」
落胆する二人、落ち込んでいるときにいきなり再会したかと思ったら、コロコロと表情が変わる感じのイメージが無かったのは二人とも共通していたイメージだったが、どうやら違うようだ。
「ご、ごめんなさい。えっと……急にそう言われても全然覚えていないの、それに今は――」
私の現状を説明すると、急に心配そうに私を見つめだした後輩と幼馴染。
その優しい瞳に心なしか鼓動が早くなる。
「そうだったのか、愛夏さん……辛かったでしょう。それならそうと早く言ってください我が家に案内します」
「は⁉ だから、なんでそうなるんだってばよ!! 先輩、俺と一緒に来てください。狭い場所ですが不自由はさせません」
いっくんが手を掴むと、ユウも空いている片方の手を掴んでくる。
またお互いにらみ合って、私を自分の方へと寄せよはじめた。
「いっ、痛いッ!」
段々と力が入って、無理やりな感じに思わず声を漏らしてしまう。
私の言葉に反応し、急いで手を離してくれたが困り果てた顔をしている。
じゃりっと音がするが、一人ではなく複数のような気がした。
またあの怖い人たちだろうか? これ以上何を私から奪っていくのだろう? そう思って、睨めながら顔をあげるとそこには意外な人たちの姿があった。
「え?」
「おいおいどうした? そんな酷い顔をして」
「先輩大丈夫ですか? 探しましたよ」
懐かしい姿に思わず固まってしまう。
「もしかして? い、いっくん? それと、ユウ?」
社会人なりたてのようなパリッとしたシャツに爽やかな鼻筋に、透き通るような瞳が印象的な大学の後輩の新発田勇士と、いかにも高級そうな腕時計とセンスのよいスーツにキリっとした顔のラインと知的な表情が印象的だが、どこか面影があって思い出すことができた。
昔、隣に住んでいた幼馴染の柿崎泉、いつもイジメられてメソメソしていた印象があって、護ってあげなくちゃ! なんて、年下の私が思っていた時期もあった。
「懐かしいな、元気? とは、言えそうもないが大丈夫か?」
「先輩、どうしたんすか? 困ったことがあったら俺になんでも言ってください!」
二人の声が被る。 そして、にらみ合う
「なんすかオッサン、先輩の何なんすか」
「初対面の人に対しオッサンとは随分と失礼じゃないのかな? キミこそ愛夏さんとどういった関係があるというのだい?」
バチバチと見えない火花を散らす二人、こちらはどうしてよいのかわからずとりあえず声をかけることにした。
「え、えっと、二人とも久しぶり……急にどうしたのかな?」
苦笑しながら、二人の間に入るように会話を投げ込むと、にらみ合いを辞めてこちらを見つめてくれた。
そして、なぜか二人で照れながら咳ばらいを一つすると、再度同時に声を発した。
「愛夏さん結婚しましょう」
「先輩、結婚しましょう」
「「は⁉」」
「へ?」
『拝啓 天国のお祖母ちゃん、お祖父ちゃんへ』
家と財産を失った日、なぜか大学の後輩と幼馴染にプロポーズを受けました。
「な、なに言ってるんすかオッサン! 先輩は俺と結婚するんですよ」
「ふっ、何を言うのかと思ったら、愛夏さんは私と結婚すると約束しているのだ」
明らかに喧嘩腰のユウと冷静に見せて、こめかみに【怒りマーク】が浮き出ているいっくん。
双方譲らない感じで、プロポーズを受けた私を置いて行っていた。
「あ、あのぁ……」
なんとか声を出そうとするが、二人はまた別の何かで盛り上がっている。
「愛夏さんは昔、私と婚約していたのだ」
「はぁ? 何言ってんすか? 先輩は俺と約束してくれてたんですよ」
どうしよう……どちらも覚えていない。
私はいったいいつ、彼らと結婚の約束をしたのだろうか?
いつまでも、収拾がつかない感じがするので無理やり間に入って、とりあえず二人の話を聞くことにした。
「覚えていない? ま、まさか……」
「まぢっすか……けっこうショックす」
落胆する二人、落ち込んでいるときにいきなり再会したかと思ったら、コロコロと表情が変わる感じのイメージが無かったのは二人とも共通していたイメージだったが、どうやら違うようだ。
「ご、ごめんなさい。えっと……急にそう言われても全然覚えていないの、それに今は――」
私の現状を説明すると、急に心配そうに私を見つめだした後輩と幼馴染。
その優しい瞳に心なしか鼓動が早くなる。
「そうだったのか、愛夏さん……辛かったでしょう。それならそうと早く言ってください我が家に案内します」
「は⁉ だから、なんでそうなるんだってばよ!! 先輩、俺と一緒に来てください。狭い場所ですが不自由はさせません」
いっくんが手を掴むと、ユウも空いている片方の手を掴んでくる。
またお互いにらみ合って、私を自分の方へと寄せよはじめた。
「いっ、痛いッ!」
段々と力が入って、無理やりな感じに思わず声を漏らしてしまう。
私の言葉に反応し、急いで手を離してくれたが困り果てた顔をしている。
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