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同棲開始
気だるい朝
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身体が重い、いや、体だけじゃなく瞼も重く寝返りすら億劫になってしまう。
だけども、不思議と嫌な感じの気だるさはなく、むしろ心地がよかった。
(起きなきゃ)
いつもの起床時間になると、勝手に目が覚めてしまいそうになる。
それでも、今日は仕事が休みであることを思い出すと、もう少しなんて考えてしまった。
(そういえば……)
段々と昨晩のことを思い出してきた。
あの細い指先が、優しく丁寧に私の全身を……⁉
ガバっと勢いよく起きると、キッチンから美味しいそうな香りと音が聞こえてくる。
「お、おはようございます」
気配を感じてか、志賀くんが出てきた。
少し気まずそうな感じで、私のほうをまっすぐ見れないでいる。
「お、おはよう」
急に恥ずかしくなって、慌てて寝室に戻ると鏡に私の姿が映る。
薄着で下着もはいていない、こんな露わな姿を人前に見せるなんて、久しぶりすぎた。
「うわ、本当にしちゃったのね」
下半身に残る違和感と、鎖骨に僅かに見えるキスマークが教えてくれる。
会社に出る時は、少し服装を考えないといけないのかもしれない。
「見えないように隠さないと」
でも、先ほども感じたが嫌な気はまったくしなかった。
むしろ、自分もまだまだイケるのかな? なんて、鏡に向かって変なポーズをとってしまっている。
しかし、わ、若いって凄いのね……。
昨晩のことを思い出してしまうと、ぼっと頬が熱くなっていく。
「あ、あの神薙さん?」
コンコンとノックされた後に、小さな声が聞こえてくる。
「え? ちょ、ちょっと待ってて」
慌てて変なポーズを解いて、ボロボロの部屋着ではなく、簡単でも清潔感のある私服に着替えると、ドアをゆっくりと開けた。
「お、お待たせ」
「いえ、あの、その」
お互いどう話して良いのかわからない。
ただ、彼の背後には美味しそうな朝食が並んでいるうえに、昨日は夕ご飯を食べ損ねたので、お腹が減っていた。
そんなことを考えていると、キュゥ~っと、お腹の虫が鳴ってしまい、慌てて手で押さえるとパチリと目があってしまう。
「よかった、ご飯できていますよ」
ニッコリと笑って、テーブルに案内してくれる。
軽く頭を下げて、恥ずかしさを隠しつつ椅子に座ると出来立ての朝食が私を出迎えてくれた。
「美味しいそう」
なんだろう、心が落ち着く。
凄く、優しい世界が広がっていた。
「いただきます」
私は彼が座るのを確認すると、箸をもって待ちきれずに食べ始めてしまう。
チラっと確認してみると、何かいいたげな感じでご飯茶碗をもったまま固まっていた。
「あ、あの、神薙さん」
「な、なに?」
改まって言われると、こっちまで緊張してきてしまった。
「昨日はすみませんでした! えっと、その」
勢いよく茶碗を置いて、頭を下げてくる志賀くん、勢いが強すぎてあやうくオデコをテーブルにぶつけそうになっていた。
「いくら、お酒に弱いっといっても、その神薙さんにあんなことを……」
弱い? 弱いというレベルではない気がしないわけでもないが、そこは今回はツッコまないでおこう。
「大丈夫よ、確かに最初はビックリしたけどね」
本音を伝えると、意外なことだったのか、困惑した表情で私を見つめてくる。
「お酒の勢いってことはダメかもしれないけど、私もほら、久々だったしそんなに悪い感じはしなかったというか」
なんて説明したら良いのかわからず、しどろもどろになっていくと、彼はもう一度頭を下げて謝ってくれた。
私はもう一度大丈夫と伝え、気にしないでと言うと、頭をあげてくれる。
「本当にすみませんでした。二度とこんなことがないようにいたします」
二度とね、私はあのとき抵抗しようと思えばいくらでもできた。
けれども、それはせずに流れに任せてしまっていたし、最終的にはキツかったが満足していたのは間違いない。
だから私は、ただ「冷めないうちにいただきましょう」とだけ伝えると、またご飯を食べ始める。
それをみた志賀くんも、ようやくご飯を食べ始めた。
「お酒弱いの?」
食後の珈琲を飲みながら、彼に尋ねてみると、お皿を洗いながら苦笑すしている。
「弱いってもんじゃないですよ。普段は飲まないようにしているのですが、昨日のは」
確かに、匂いを確認してもアルコール臭はまったくなかったし、ただのジュースと言えばバレないだろう。
「そう、わかった今度から気を付けるわね」
この感じからすると、料理にも気を付けないといけないのかもしれない。
お酒は彼にとってはダメだと、でも自分が飲みたいときは部屋で飲むことにしよう。
最悪、お酒の匂いだけでも酔ってしまう可能性がある。
「それで、今日の予定は?」
洗い物が終わり、こちらに戻ってくるとソファーに座り、経済新聞を読み始める。
読んでいた本もそうだったけど、ちょっとイメージと離れており意外性があった。
「うん、今日はアパートの物をこっちに持ってこようかなって、ある程度は処分しちゃったし、殆ど物はないけど」
心機一転! そう思って、マンションを買って家具も新しくしようと思い、殆ど捨ててしまっている。
最後に軽トラックに積まれた自分の荷物を見た時、こんなに少ないんだと思ってしまった。
「それじゃぁ、お手伝いいたしますよ」
それはありがたい、ぱっとアパートの現状を思い出し、見られてはマズイものはないかを一応確認するが、無いと判明するなり、彼にもお手伝いをお願いすることにした。
だけども、不思議と嫌な感じの気だるさはなく、むしろ心地がよかった。
(起きなきゃ)
いつもの起床時間になると、勝手に目が覚めてしまいそうになる。
それでも、今日は仕事が休みであることを思い出すと、もう少しなんて考えてしまった。
(そういえば……)
段々と昨晩のことを思い出してきた。
あの細い指先が、優しく丁寧に私の全身を……⁉
ガバっと勢いよく起きると、キッチンから美味しいそうな香りと音が聞こえてくる。
「お、おはようございます」
気配を感じてか、志賀くんが出てきた。
少し気まずそうな感じで、私のほうをまっすぐ見れないでいる。
「お、おはよう」
急に恥ずかしくなって、慌てて寝室に戻ると鏡に私の姿が映る。
薄着で下着もはいていない、こんな露わな姿を人前に見せるなんて、久しぶりすぎた。
「うわ、本当にしちゃったのね」
下半身に残る違和感と、鎖骨に僅かに見えるキスマークが教えてくれる。
会社に出る時は、少し服装を考えないといけないのかもしれない。
「見えないように隠さないと」
でも、先ほども感じたが嫌な気はまったくしなかった。
むしろ、自分もまだまだイケるのかな? なんて、鏡に向かって変なポーズをとってしまっている。
しかし、わ、若いって凄いのね……。
昨晩のことを思い出してしまうと、ぼっと頬が熱くなっていく。
「あ、あの神薙さん?」
コンコンとノックされた後に、小さな声が聞こえてくる。
「え? ちょ、ちょっと待ってて」
慌てて変なポーズを解いて、ボロボロの部屋着ではなく、簡単でも清潔感のある私服に着替えると、ドアをゆっくりと開けた。
「お、お待たせ」
「いえ、あの、その」
お互いどう話して良いのかわからない。
ただ、彼の背後には美味しそうな朝食が並んでいるうえに、昨日は夕ご飯を食べ損ねたので、お腹が減っていた。
そんなことを考えていると、キュゥ~っと、お腹の虫が鳴ってしまい、慌てて手で押さえるとパチリと目があってしまう。
「よかった、ご飯できていますよ」
ニッコリと笑って、テーブルに案内してくれる。
軽く頭を下げて、恥ずかしさを隠しつつ椅子に座ると出来立ての朝食が私を出迎えてくれた。
「美味しいそう」
なんだろう、心が落ち着く。
凄く、優しい世界が広がっていた。
「いただきます」
私は彼が座るのを確認すると、箸をもって待ちきれずに食べ始めてしまう。
チラっと確認してみると、何かいいたげな感じでご飯茶碗をもったまま固まっていた。
「あ、あの、神薙さん」
「な、なに?」
改まって言われると、こっちまで緊張してきてしまった。
「昨日はすみませんでした! えっと、その」
勢いよく茶碗を置いて、頭を下げてくる志賀くん、勢いが強すぎてあやうくオデコをテーブルにぶつけそうになっていた。
「いくら、お酒に弱いっといっても、その神薙さんにあんなことを……」
弱い? 弱いというレベルではない気がしないわけでもないが、そこは今回はツッコまないでおこう。
「大丈夫よ、確かに最初はビックリしたけどね」
本音を伝えると、意外なことだったのか、困惑した表情で私を見つめてくる。
「お酒の勢いってことはダメかもしれないけど、私もほら、久々だったしそんなに悪い感じはしなかったというか」
なんて説明したら良いのかわからず、しどろもどろになっていくと、彼はもう一度頭を下げて謝ってくれた。
私はもう一度大丈夫と伝え、気にしないでと言うと、頭をあげてくれる。
「本当にすみませんでした。二度とこんなことがないようにいたします」
二度とね、私はあのとき抵抗しようと思えばいくらでもできた。
けれども、それはせずに流れに任せてしまっていたし、最終的にはキツかったが満足していたのは間違いない。
だから私は、ただ「冷めないうちにいただきましょう」とだけ伝えると、またご飯を食べ始める。
それをみた志賀くんも、ようやくご飯を食べ始めた。
「お酒弱いの?」
食後の珈琲を飲みながら、彼に尋ねてみると、お皿を洗いながら苦笑すしている。
「弱いってもんじゃないですよ。普段は飲まないようにしているのですが、昨日のは」
確かに、匂いを確認してもアルコール臭はまったくなかったし、ただのジュースと言えばバレないだろう。
「そう、わかった今度から気を付けるわね」
この感じからすると、料理にも気を付けないといけないのかもしれない。
お酒は彼にとってはダメだと、でも自分が飲みたいときは部屋で飲むことにしよう。
最悪、お酒の匂いだけでも酔ってしまう可能性がある。
「それで、今日の予定は?」
洗い物が終わり、こちらに戻ってくるとソファーに座り、経済新聞を読み始める。
読んでいた本もそうだったけど、ちょっとイメージと離れており意外性があった。
「うん、今日はアパートの物をこっちに持ってこようかなって、ある程度は処分しちゃったし、殆ど物はないけど」
心機一転! そう思って、マンションを買って家具も新しくしようと思い、殆ど捨ててしまっている。
最後に軽トラックに積まれた自分の荷物を見た時、こんなに少ないんだと思ってしまった。
「それじゃぁ、お手伝いいたしますよ」
それはありがたい、ぱっとアパートの現状を思い出し、見られてはマズイものはないかを一応確認するが、無いと判明するなり、彼にもお手伝いをお願いすることにした。
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