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我……恋? しちゃった♡
闇夜に潜む影
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それから半日もたたないうちに回復した俺は、その日は帰ると言うとアイリスに「どこか泊まる場所決まっているんですか⁉」と聞かれ、森の中と言うと猛反対されてしまう、人間の世界ではオカネと呼ばれるモノが価値を決めていることは知っていたが、そんなモノを持っているはずもなく、困っていると彼女の父親が提案してくれた。
「なら、我が家に泊まっていなさい。娘の命の恩人を野宿させるなんてことはできません」
それ賛成! と、アイリスも言って喜んでいたが、待て待て! こっちは今人間の男の見た目をしているのだぞ? 父親としては、素性の知れない男を娘と一つ屋の下にいさせてもよいのか⁉ なんて、思ったが……後でチラッと見えた横顔はまだ俺のことを疑っている感じがした。
なるほど、どこかに隠れられるよりも手元に置いて監視したのだろう。
「なんとも息が詰まりそうだな」
そこまで気に掛ける必要もないのに、まぁ賊どもはちょっと力みすぎて跡形もなくしてしまったのが悪かったかな? 少し証拠が残るように骨ぐらいは残すべきだったかもしれない。
それに、後でアイリスから聞いた話によると賊などは殺しても犯罪にはならないうえに、逆にお金になる可能性も残っていたらしいが……判断できる証拠が一切残っていないので、無意味らしい。
「だが……この家族は素晴らしい」
父親の気配から察するに、おそらく戦士クラスのものを使役していると見て間違いない。あの下の下以下の存在ではないのは理解できる。
それにアイリス自身の召喚を見せてもらえた。契約できたのは綺麗な小鳥で治癒の力を持つと言っていたが、あの微弱に流れる魔力はおそらくカラドリウスの力を受け継いでいるのだろう、このまま順調にいけば病院などで勤務ができると言われ喜んでいた。
「うむ、俺も怪我して癒されるか」
まぁ、ちょっとやそっとでは怪我すらもしないんだが……こうアイリスが幸せに過ごせるように努力をしている父親に母の姿は見ない。
さすがの俺も察することぐらいはできた。ただ、自分には母と言う存在を認識したことはないので、これがどれほど人間は辛いのかも理解することはできない。だが、この家は今幸せそうに見えることが答えなのではないだろうか?
「さて、夜風にでもあたるか」
久しぶりの太陽、空気、風、そして月……。
「まったくお前らも俺と同じで何千年たっても変わらないな」
難しい話ではない。変わろうとすれば変われるのであろうが、あえてしなかった。
だが人間は違う、変わろと努力し我々にも打ち勝つことができたのだから……よく言われた。憎くないのか? 憎いと思ったことなど一度もない。なぜなら、それが摂理であるから。
「強い種が勝つのは当たり前、弱きは淘汰されるのが自然そのもの」
モンスター側から仕掛けた戦争に対し、人間は勝利した。ただそれだけのこと、俺がいたら変わっていた? そんなことはわからない。きっといつか俺を凌ぐ存在が現れたに違いない。
「で、いつまで見ているおつもりですか?」
部屋を出るあたりからずっと気配を感じていた。人間にしては上手に隠せているが、まだまだヒヨッコすぎて笑えてくる。
「やはり、君は只者ではないね……まったく気配を消していたつもりだったんだが」
「消しすぎです。あまりにも不自然だったので逆に気づいてしまいました」
アイリスの父親が陰から現れる。僅かに魔力の気配も感じられるのでいつでも戦闘が可能ということか……ヤレヤレ。
「いったい君は何者なんだい? もし、何か目的があって娘に近づいたのなら、私はここで君を刺し違えても倒す」
ある。目的は凄くある。む、娘さんを助けて一目見たら益々好きになってしまった。
そんなことは口が裂けても言えないが、今はこの場をやり過ごすことだけに集中しよう。
「目的なんてありません、彼女が襲われていたので助けた。それだけですよ」
「本当にそれだけなのか?」
「それだけです。明日には居なくなりますので安心してください」
そうだ、長くこの世界にいてはならない。一目見られただけでも良かったではないか、これからしばらく離れてしまうのだから、今日ぐらい近くにいても良いと考える。
「……そうか、だが森を抜けるのであれば注意したまえ、黒の盗賊団が仲間の仇を躍起になって探しているらしい」
俺は何も言わずにそのまま月を見上げていると、父親の気配は本当に無くなった。さて、少し散歩の続きでもしよう……。そう思い街を歩いていると異変を感じる。
「ん? これは? かすかだが夜風にのって昼の賊どもと同じ匂いが混じっているな」
遠く場所までは特定できないが、不穏な気配がした。急いで戻ると、家は何事もなく安心する。
「良かった。気にしすぎか」
そう思ったとき、スッと家から何者かが出ていく。俺は気になりそいつの後を追うことにした。
「なら、我が家に泊まっていなさい。娘の命の恩人を野宿させるなんてことはできません」
それ賛成! と、アイリスも言って喜んでいたが、待て待て! こっちは今人間の男の見た目をしているのだぞ? 父親としては、素性の知れない男を娘と一つ屋の下にいさせてもよいのか⁉ なんて、思ったが……後でチラッと見えた横顔はまだ俺のことを疑っている感じがした。
なるほど、どこかに隠れられるよりも手元に置いて監視したのだろう。
「なんとも息が詰まりそうだな」
そこまで気に掛ける必要もないのに、まぁ賊どもはちょっと力みすぎて跡形もなくしてしまったのが悪かったかな? 少し証拠が残るように骨ぐらいは残すべきだったかもしれない。
それに、後でアイリスから聞いた話によると賊などは殺しても犯罪にはならないうえに、逆にお金になる可能性も残っていたらしいが……判断できる証拠が一切残っていないので、無意味らしい。
「だが……この家族は素晴らしい」
父親の気配から察するに、おそらく戦士クラスのものを使役していると見て間違いない。あの下の下以下の存在ではないのは理解できる。
それにアイリス自身の召喚を見せてもらえた。契約できたのは綺麗な小鳥で治癒の力を持つと言っていたが、あの微弱に流れる魔力はおそらくカラドリウスの力を受け継いでいるのだろう、このまま順調にいけば病院などで勤務ができると言われ喜んでいた。
「うむ、俺も怪我して癒されるか」
まぁ、ちょっとやそっとでは怪我すらもしないんだが……こうアイリスが幸せに過ごせるように努力をしている父親に母の姿は見ない。
さすがの俺も察することぐらいはできた。ただ、自分には母と言う存在を認識したことはないので、これがどれほど人間は辛いのかも理解することはできない。だが、この家は今幸せそうに見えることが答えなのではないだろうか?
「さて、夜風にでもあたるか」
久しぶりの太陽、空気、風、そして月……。
「まったくお前らも俺と同じで何千年たっても変わらないな」
難しい話ではない。変わろうとすれば変われるのであろうが、あえてしなかった。
だが人間は違う、変わろと努力し我々にも打ち勝つことができたのだから……よく言われた。憎くないのか? 憎いと思ったことなど一度もない。なぜなら、それが摂理であるから。
「強い種が勝つのは当たり前、弱きは淘汰されるのが自然そのもの」
モンスター側から仕掛けた戦争に対し、人間は勝利した。ただそれだけのこと、俺がいたら変わっていた? そんなことはわからない。きっといつか俺を凌ぐ存在が現れたに違いない。
「で、いつまで見ているおつもりですか?」
部屋を出るあたりからずっと気配を感じていた。人間にしては上手に隠せているが、まだまだヒヨッコすぎて笑えてくる。
「やはり、君は只者ではないね……まったく気配を消していたつもりだったんだが」
「消しすぎです。あまりにも不自然だったので逆に気づいてしまいました」
アイリスの父親が陰から現れる。僅かに魔力の気配も感じられるのでいつでも戦闘が可能ということか……ヤレヤレ。
「いったい君は何者なんだい? もし、何か目的があって娘に近づいたのなら、私はここで君を刺し違えても倒す」
ある。目的は凄くある。む、娘さんを助けて一目見たら益々好きになってしまった。
そんなことは口が裂けても言えないが、今はこの場をやり過ごすことだけに集中しよう。
「目的なんてありません、彼女が襲われていたので助けた。それだけですよ」
「本当にそれだけなのか?」
「それだけです。明日には居なくなりますので安心してください」
そうだ、長くこの世界にいてはならない。一目見られただけでも良かったではないか、これからしばらく離れてしまうのだから、今日ぐらい近くにいても良いと考える。
「……そうか、だが森を抜けるのであれば注意したまえ、黒の盗賊団が仲間の仇を躍起になって探しているらしい」
俺は何も言わずにそのまま月を見上げていると、父親の気配は本当に無くなった。さて、少し散歩の続きでもしよう……。そう思い街を歩いていると異変を感じる。
「ん? これは? かすかだが夜風にのって昼の賊どもと同じ匂いが混じっているな」
遠く場所までは特定できないが、不穏な気配がした。急いで戻ると、家は何事もなく安心する。
「良かった。気にしすぎか」
そう思ったとき、スッと家から何者かが出ていく。俺は気になりそいつの後を追うことにした。
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