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⑤お風呂2

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 「あっっ!!」

 啓介が、体を大きく動かしたせいでお湯が大きく波打つ。腹のあたりを捕まえていた純也の手が、啓介のみっちりつまった胸筋まで這い上がってきた。

 「じゅんやっ、ここではっ、んっ♡」

 「啓介さん♡俺、そろそろ我慢できないです♡♡」

 純也が体を強く密着させると熱く硬いものが啓介にあたる。純也は熱い息を吹きかけるように啓介の耳元で囁くと、そのまま耳を口に含んで、舌を這わす。 

 「ひぅっん♡♡」

 脱力している胸筋は柔らかく、肌もすべすべで実に触り心地がいい。

 毎日、あれだけ体を動かし汗をかけば、代謝もあがるというものの。それに純也は、啓介には伝えてないが健康と美容のために高タンパクな食事メニューを心がけていた。
 植物性と動物性をバランスよく組み合わせることにもこだわっている。

 「っっ♡じゅんやっ、するなら、ベッドでっっ・・・。」

 「はい♡♡ベッド行きましょうね♡♡」

 口では、そう言ってるのに、純也の手が胸から離れない。寄せ上げるように揉まれたかと思うと、立ち上がりかけた先端を指の腹で擦られる。

 「んうっん♡じゅんやっ、もぅっ♡」

 啓介は、止めさせようと純也の手に自分の手を重ね後ろを振り返るが、今度は唇を奪われる。

 「ぁっ、んんっ、ちゅっ♡んっ♡」

 器用に動く純也の舌に、歯列をなぞられ舌を絡みとられて、口の内側すべてを愛撫される。

 二人の唇が離れた時には、啓介はくったりと純也にもたれかかり体を預けていた。 
  
 可愛いー♡♡このふにゃふにゃになっちゃった啓介さん、ほんと可愛い♡♡

 「んんっ・・・」
 
 純也に体を預けたままの啓介が、悩ましげな声を出して体を捩る。
 純也の手が、止まることなくずっと啓介の胸を触っているせいだ。

 温まって揉まれて柔らかくなったおっぱい最高♡♡

 「やっ・・・じゅんや・・・」

 弱々しいながらも啓介の手が純也の手を握るように抑える。

 「ごめんね、啓介さん♡続きはちゃんとベッドに行ってからにしますね♡」
 


 喉を通っていく冷たい水が気持ち良い。お風呂を出たあと、純也がグラスで用意してくれた水を飲むと、体も少し落ち着いてきた。

 寝室以外ではしたくないと言っているのに、毎回、純也はフライングで触ってくる。
 啓介自身も本気で怒ったり嫌がったりできないので、少しずつ甘くなってしまっている。

 「啓介さん、大丈夫?」

 「あぁ、大丈夫だ。」

 ベッドに腰掛け水を飲んでいると、純也も隣りに腰掛けてくる。
 すらりとした体にバスタオル一枚を巻いだけの格好だ。暖房が効いていると言っても、湯冷めしないか心配になってしまう。

 「純也、そんな格好でうろうろしていると風邪をひくぞ。」

 「大丈夫!だって、すぐ暑くなるでしょ?」

 純也は、飲みほして空になったグラスを啓介の手から取り上げると、サイドテーブルに置く。 

 啓介さんも、じゅうぶん薄着だけどね♡

 啓介は、湯上がりに純也の用意した白いTシャツを一枚着ただけの無防備な姿だった。

 純也が少しオーバー気味に着ているものなので、啓介が着ると更にオーバーサイズになる。もちろん、それ狙いで着せている。

 焼けた肌と白いTシャツは健康的な組み合わせであるのに、彼Tとなると少し性的な要素が加わる。
 啓介は、純也の思惑に気付いているのかいないのか何も言わずに身につけている。 

 純也はTシャツ越しの啓介の肩を抱き寄せ、唇を一舐めした。

 「っ!!」

 啓介は息を詰めたように肩を揺らして、反射的に目を閉じた。
 冷たい水を飲んだ後の啓介の唇は少し、ひんやりとしていた。
 唇を割って舌を入れると、口の中も少し冷たい。けれど、舌を絡めあっていると、あっという間に熱くなった。

 「んっ♡」

 啓介から、甘い吐息が漏れる。

 「啓介さん、いい?」

 「・・・いいから・・・もぅはやく・・・」

 先程から、啓介の体は触られては中断してを繰り返して、すごくもどかしい状態だった。

 落ち着いていた体の熱も深いキスを受けて、とうに再熱している。胸の二つの突起はTシャツの生地をぷくりと押し上げ、啓介の自身もTシャツの裾で辛うじて隠れているが反応してるのは純也の目にも明らかだった。

 二人でベッドに乗り上げ、純也は啓介をシーツに押し倒す。その拍子に捲れた裾から、啓介の立ち上がった陰茎がのぞく。

 「あっ!!」

 それに気付いた啓介は、Tシャツの裾を下へ引っ張った。

 「純也っ!!電気!!こんな明るいのはイヤだ!!」

 すでに、啓介に覆いかぶさっていた純也は、今回も駄目だったか・・・と少し残念に思いながら体を起こした。

 啓介は、営みの際に部屋が明るいのを嫌がる。真っ暗にしろとは言われないが純也としては、たまには明るい中で啓介を堪能したい。
 
 しかし、そこは惚れた弱み。ベッド以外で好き勝手に味見をしているくせに、やはり好きな相手のお願いは聞いてしまうのだ。

 喧嘩はしたくないし、嫌われたくもない。

 純也はリモコンで灯りを薄暗くすると、再び啓介に覆いかぶさった。
 
 啓介の顔を両手で、おさえこみ貪るようなキスをする。口の中を余すところなく舌で舐め取り、思う存分味わう。

 啓介さんって体中美味しい・・・♡

 外側も内側も、どこを舐めてもほんのり甘いような味を感じる。

 遺伝子レベルで相性の良い相手の口の中は美味しいと、酒の席で聞いたことがあった。
 あれが本当の話なら、口の中以外も美味しいなんて、相当相性が良いに決まっている。
 
 きっと、唯一無二の運命の相手だ。それが自分の一方的な思いであっても、純也は啓介を手放す気などない。
 
 「んんっ、ふっ・・・」

 啓介から苦しそうな息継ぎが聞こえ、純也はいったん唇を離した。

 「・・・啓介さん、好き・・・愛してる・・・」

 薄暗い中、僅かな距離だけ離れた唇で純也が言う。

 「・・・純也・・・俺も・・・」

 啓介は、小さいけれど通りのいい声でそう答えると純也の背に腕を回した。
 
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