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新しい村で愛されています(続々編)

番外編8:うちの嫁がかわいすぎる件について(3) イン視点

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 王の名が苗字かもしれないと知ったところでどうするというのか。

「もー、インさんてばとことん脳筋なんだからー」

 ロイが怒ったような顔をしながら説明した。
 宰相は王を溺愛している。王の名前をこちらが教えたら今後便宜を図ってもらえる可能性がある。

「そうすればさ、ルイのえっちを撮った水晶なんて売らなくてもよくなるでしょ?」
「……それもそうだな」

 天使さまを養うには金が必要だ。それをもし国から出させることができれば、童貞なんかに抱かせなくても済むだろう。
 できることならルイを閉じ込めて、ずっと抱いていたい。だが天使の身体は俺の精だけではもたないのだ。だから何人も側にいさせる必要がある。
 ルイが俺に好意を向けてくれていることはわかっている。そうでなければ乳は出なかっただろう。
 俺がルイをかわいくて愛しくてどうしようもないから、俺の想いをルイは感じ取ったのかもしれない。それでもいい。
 誰がなんと言おうと、ルイは俺のだ。
 俺以外見なくていい。

「お前に気を許してるのが気に食わない」

 ロイに八つ当たりした。

「えー? そんなのしょうがないじゃん。ルイは天使さまなんだから、僕がルイのことを好きーって思ってたらその想いを汲んじゃうんだよ? そうじゃなくたってあんなにかわいいんだもん。好きって思っちゃうじゃん。だから僕のせいでもルイのせいでもないですー」
「んなこたあわかってんだよ」
「エインとかケンもそうだよ。ファンもハレもみーんなルイのこと好きでしょうがないんだもん。それはそれとして割り切るしかないでしょ」
「……ああ」

 とりあえずルイをこれ以上他の奴に抱かせない為にも宰相に連絡を取った。
 宰相は最初不機嫌そうだったが、ルイの元の世界の者たちには当たり前に苗字があるということを話したら水晶の向こうで目を見開いた。

「で、では私は王の姓を呼んでいたというのかっ……!」
「コーヤマってのは苗字だとうちのが言ってたぞ」
「……わかった。コーヤマ様に確認を取ろう。……大した手柄だ」

 宰相は王にそのことを確認し、「コーヤマ」というのが苗字だということを確認したらしい。

「何が望みだ」
「うちの天使さまを一生養えるようにしてもらいたい」
「それぐらい造作もないことだ」

 宰相はこの村の隣にある小さな村が王領なのだと言った。現在の王は天使の為王領へ移動するということも難しい。だからその王領を俺にくれるという話になった。そんなうまい話があるのかと半信半疑だったが、きちんとした契約書も作るらしい。
 そうして俺は隣村の村長になることとなった。
 そのことをロイだけでなくみなに伝えた。
 委任状が届けば大手を振って隣村に移動できる。そうすれば童貞なんかにルイを抱かせなくてもいいのだ。
 だがどうしてもルイに好きだとか、愛してるとか言うことはできなかった。

「インさんもさ、ちゃんと言葉で言いなよー。キスしたり舐めたりする他にすることあるじゃん」

 ロイにも言われてしまったがどうしても伝えることができない。

「そうだな、ルイをたっぷり犯してやらないとな」
「ねえ、それボケてるつもり? 面白くないんだけどー」

 ロイがいらいらしたように言う。
 わかってはいるのだ。ルイが俺の言葉も求めていることぐらい。だが、最初にあんな脅すようにルイを犯したことが頭から消えない。どの面下げてこの俺が「愛してる」なんて言えるのか。
 ロイは今日は全く引き下がらなかった。
 ロイが言う通り、俺は天使とか全く関係なくルイを犯した。ルイを見た時、これは俺のだと思ったから。
 ルイが天使だからいくら抱いても壊れず、俺が何を言わなくても俺の気持ちを察して俺に寄り添ってくれているのだ。
 それでもいい。
 ルイが俺のものだということは変わらない。
 ロイは俺から愛の言葉を引き出させようとしていた。
 だがだめだ。俺がひとたびルイを好きだと、愛していると言ったなら誰にも抱かせられなくなってしまうだろう。それぐらい俺のルイへの独占欲は強かった。

「ロイ、大丈夫だから……」

 助け船を出してくれたのはルイだった。柔らかく微笑んでいる。ロイが不満そうな声を出した。

「えー」
「だって、インは俺の所有者なんだろ?」

 それは間違いない。所有者というより、ルイはもう俺の嫁で、俺はルイの夫だと思っている。
 俺は無言でルイを抱き上げ、寝室に運んだ。ルイを抱いているのに、まるで抱かれているようだと錯覚することがある。ルイが年上だからなのだろうか。この身体は世話をする者がいなければ生きていることもかなわないのに、その包容力は抜群だ。
 抱けば抱くほどルイの感度は上がるようだった。

「あっ、あっ、やっ、溶けちゃ……溶けちゃう……」

 涙をぼろぼろこぼし、縋りついてくるルイがたまらなくかわいい。ルイがイッたのがわかっても俺はそのまま腰を使い、散々啼かせた。

「やーっ、イッたっ、イッたからぁっ……!」
「イッたからなんだよっ!」

 ルイが愛しくてどうしようもなくて、意地悪をしてしまったりもしたが、ルイは泣きながらも俺が好きだと訴える。
 こんなに愛しい存在を、俺は知らなかった。
 ルイがどう思っているか知らないが、俺はすっかりルイに夢中だった。


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