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新しい村で愛されています(続々編)

番外編その4:仕事はできたんだよ? ホントだよ?(10)

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 このセイム村自体にもいろいろ思惑が絡んでいるようで、一つ一つ確認していて嫌になってきた。
 王領であるが故に、税金はよそとはあまり変わらないが住民サービスは悪くない。陳情すれば無視されることはなく、必ずなんらかの対応をしてくれるということで元代官には人気があった。
 しかし王が降臨したことで陳情の数が減り、また王が”天使”であったことで地方を巡遊することもなくなった。王が骨休めをする為に存在する村だったので、王が使わないのならば王領にしておく必要もない。税収と支出を考えた際、それほど旨みがないセイム村はすぐ国に返還されたという。
 今までは王領だったことで民からの陳情を解決する毎に解決金が払われていたが、他の土地では解決金は支払われても微々たる額であった。ただいきなりなくすのも困るだろうということで向こう一年は解決金を維持するという話があり、元代官は胸を撫で下ろした。
 とはいえ陳情が多すぎるということで宰相に目を付けられていた。故にセイム村のトップを入れ替えたいという意図でインに白羽の矢が立ったのだそうだ。
 俺は頭痛がするのを感じた。

「それって……ただ単に厄介な村を押し付けられただけじゃ……」

 そういうことは宰相も先に言っておけよ! と思う。道理で兵士の給料は国庫から払われるとか至れり尽くせりだったわけだ。
 これらの情報は統括官のリンカによってもたらされた。

「なんでそんな代官に解決金をまだ横流ししてたわけ?」
「私の幼なじみが元代官の妾でして」
「へえ?」
「知り合いだとバレて、幼なじみの待遇をよくしてほしければ言うことを聞けと」
「それで言うことを聞いたってことは、その幼なじみに惚れてたとか?」
「いいえ?」

 違うのか。じゃあ幼なじみとか関係ないだろう。

「それはただの口実ですね。宰相閣下は元代官の尻尾を掴みたかったようです。脅されているフリをしろと言われましたので幼なじみに惚れているフリをしました。彼もそろそろ元代官を見限って逃げる準備をしていることでしょう」

 なんだか頭がこんがらがってきた。インとエインはもう目があっちこっちへ泳いでいる。

「ってことは、アンタは代官と宰相の二重スパイだったのか。じゃあ俺の奴隷になんかなる必要ないだろ」
「いいえ。奥さまを一目見た時にわかったのです。奥さま以上にこの先愛せる方はいないと!」

 どうしてそこでポージングするんだろうこのマッチョ。

「ああ、奥さまにこの肉体美をお見せし、そそり立つイチモツで奥さまのおまんこに奉仕させていただきたい! ぐぎゃあっ!?」

 エインがマッチョの股間を思いっきり蹴った。うわあ、あれは超痛そうだ。しかもエインは笑顔でリンカを引き倒し、その股間を足で潰しにかかっている。俺は思わず股の間を押さえた。エインが怖いよぉ。

「奥さま、こんなイチモツは破壊してしまいましょう」

 エインが振り向いてにっこりした。こーわーいー。

「え、ええと……まだその、話終わってない、から……」
「そうでした。申し訳ありません」

 エインは足をどけ、半ば失神しかかっているリンカの顔を叩いた。

「奥さまの質問に答えろ」
「ひっ、ひぃいっ……!」

 大体のことはわかったからもういいだろう。宰相は元代官の汚職を暴きたかった。その為には村のトップを挿げ替える必要があった。元代官は解決金を惜しみ、統括官であるリンカを脅して(脅したつもりで)解決金の横流しをさせた。証拠は揃っている。元代官は何らかの罪に問われるだろう。
 しかし本来の目的であるインの仕事量を減らすということは全く解決していない。陳情の大部分は大したことではないからそういった陳情は取り合わないことにし、動物や魔物などの駆除についても冒険者ギルドへ依頼するようにさせる。ただこれを上から言ったところで村民からは反発を招くだけだろうから何かしっかの餌が必要だと思った。

「なぁ、宰相閣下に連絡ってどうやってとってんの?」

 あんまり顔は見たくないがしょうがない。

「れ、連絡用、の、水晶を……」
「へえ、すごいね」

 連絡用の水晶を貸与されているらしい。まだきっと仕事している時間だろうから、連絡を取るように言いつけた。村長の妻から話したいことがあると伝えさせて。
 連絡用の水晶を持ってこさせた。応接間で連絡させる。リンカが何か魔法的な呪文のようなものを唱えると、水晶がすぐに光を帯びた。ほどなくして、何も映っていなかったはずの水晶の表面が波打ち、不機嫌そうな宰相の顔が映った。

「……何用か?」
「宰相閣下、セイム村の統括官、リンカでございます」
「用件は?」
「はっ! 村長のレータ様の奥さまより話があると」
「……アイツから?」

 宰相は露骨に嫌そうな顔をした。俺だってお前の顔なんか一生見たくなかったよ。

「こんにちは、その節はどーも」

 リンカに場所を譲らせ、インに抱かれたまま水晶の正面に顔を出す。

「……用件を言え」
「俺の部下は元気か?」
「大した用件がないなら切るぞ」
「アイツの好きな食べ物とか知りたくないか? こっちの世界にトンカツってあんの?」

 宰相は眉間に皺を寄せた。

「……トンカツとはなんだ?」
「豚肉を使ったメニューだよ。衣をつけて油で揚げるんだ。他にも好きな食べ物はあるぜ?」
「……作り方を詳しく教えろ。何が望みだ」

 やっぱり宰相は使えない部下に関係することには反応するようだ。本当はカレーの作り方とかがわかればいいんだけどな。残念ながらスパイスはさっぱりだ。
 俺は内心ほくそ笑みながら宰相にこちらの要求を伝えた。その間、インは俺の椅子と化した。




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エロいルイをそろそろ書きたいし見たい(作者の頭はやばばです
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