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新しい村で愛されています(続々編)
22.見本を見せる必要があるらしい
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で、なんでこうなった?
俺の頭に大量の?が浮かんでいる。
古代ギリシャ風の布を着せられて、足はもちろん靴下を履かせられ、危ないからと靴も履かせられている。靴! こちらの世界に来てから一度も履いたことがない靴! だからって下ろしてもらえるわけじゃなくて、今俺は何故か護衛に志願してくれたというファンとハレの腹違いの兄にだっこされている。この人ついこの間まで国の魔法師団の副団長やってたんだって。背は俺と同じぐらいだけど、西洋系の美形ですっごく綺麗な人だ。
「奥様、そのようにまじまじと見つめられては困ります。私は妻帯者ですよ」
「ごめんなさい。ファンとハレのお兄さんだって聞いたから気になってしまって」
美形はそれだけでつい見てしまうものだ。
そう、この人妻帯者なのだ! それも自分よりがたいのいい元騎士が妻なのだと当たり前のように教えてくれた。
で、なんで今俺がこの人に抱き上げられているのかというと、”ルイさまのお嫁さんをだっこして障害を乗り越え、一番速い奴が勝ち!”の見本を見せる為らしい。意味がわからない。
俺を抱き上げたまま火の輪くぐりに水の輪くぐり、輪の大きさはそれなりにあるが実は長さもある。多分3mぐらい長さあるんじゃないかな。火の輪だと火傷しそう。フィールドに突き出た岩たちを50mほど走って飛び越えて、10mほどもある柵を上って越えるのが10回(上って下りて上って下りてというやつ)。最後は400mのトラックを走り抜けてゴールインという仕様だ。鬼か。
本当は網みたいなのをくぐるとか考えたらしいんだけど、それはさすがに抱き上げたままは無理だという話になったらしい。
これ、一人でもけっこうつらいコースじゃないのかな? と思ったんだけど、先にインがやってみせてくれた。うわん、カッコイイ。
火の輪をくぐる時は身体を縮めるようにして、途中何度か足をついて走り抜け、水の輪の中も同じようにして走り抜けた。火傷してないといいんだけど、心配。それから形も高さも違う岩を飛び越えて50m走り抜ける。ここも危なげなく通り越し、一応申し訳程度につかまるところとか足をかけるところがついている柵を上り、飛び降り、上り、飛び降りを10回繰り返して400mトラックを全力疾走して戻ってきた。
「インー!」
美形の腕の中から腕を伸ばす。火傷とか怪我とかしてないといいんだけど。
「おう。今はだめだ。さすがに汗だくだ」
「やだ、だっこ」
「汗だくだっつってんだろ」
「いい」
「しょうがねーな……」
インは一旦自分自身に洗浄魔法をかけると、美形の腕から俺を受け取った。でも後から後から汗が吹き出してくるからあまり効果はなかったと思う。俺はインの腕におさまった嬉しさでちゅっと口づけた。もうなんか俺、最近デレすぎじゃないかな。
「……ルイ、かわいいことすんな。ヤりたくなんだろ」
「怪我とかしてない? 火傷とかは?」
「するわけねーだろ。さすがに座ってばかりのせいか身体が鈍ってる。時間作って鍛えなおさないとな」
「インが怪我とかしてなくて、よかった……」
インは天を仰いだ。
「あーもう、なんだこれかわいすぎるだろ……。今すぐ押し倒してヤりてえ」
「イン様、奥様をこちらに」
「おう、頼んだぞ」
「イン……」
インの腕の中にいたかったのに、と思いながら美形の腕の中に戻される。俺は不満そうな顔を隠せなかった。
「はーい! ちゅうもーく! 今のが今回のコースです! まずルワンド氏が我らが愛しの奥様を抱えて見本を見せてくれます。よーく見て僕が最終的に怪我とかしないようにしてください。僕に怪我させたら奥様権限でクビです。では、お願いします」
ロイが参加者と見学者に向かってアナウンスした。どうも拡声魔法というのがあるらしく、無事全員にロイの声は届いたようだった。
「奥様、私によく捕まって、目をつぶっていてください。すぐに終わらせますので」
美形に言われた通りぎゅっと抱き着き目をつぶる。その後はなんか怒涛のようだった。
なんか熱いかな? と思ったらなんか湿っぽいなと思って、なんか跳ねてる? あれ、これってフリーフォール? なんか俺、風になってる? といろいろ疑問に思っているうちに終わってしまった。
「ゴール!」
ロイの嬉しそうな声が響く。どうやら終わったらしい。俺はやっと目を開けた。
「お疲れさまでした」
「はい、ありがとうございました……」
礼を言ってゴールで待っていたインに渡された。わーい。
インの腕におさまってぎゅうぎゅう抱き着く。やっぱりインが好き。インがいい。
美形に声をかけられた。
「奥様、こんなことを私が言うのもどうかと思いますが……どうかファンとハレのこともお願いします」
「……すいません、俺はインの妻なので……」
ファンとハレのことも嫌いじゃないけど、二人と同じくらい二人のことを想えるかって言われたらそうじゃない。
「理解しております。ただ、弟たちは本気で奥様に惚れているのです。どうか一生側にお仕えすることをお許しください」
「それは……」
俺に決められることじゃない。
「アイツらが、俺と妻を裏切らない限りは仕えさせるつもりだ」
インがきっぱりと答えた。美形は深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。そのお言葉だけで十分です。私も、全力でレータ様と奥様をお守りします」
「ルーイ! 僕のこと見ててね!」
ロイの声がして、俺はそちらを見やった。ロイはファンの腕に抱き上げられている。どうやらそろそろ本番が始まるようだった。
「ファン、ロイのことよろしくね!」
「お任せください!」
ファンはすごく張り切っているようだった。そうして、わけのわからない競技が始まった。
ーーーー
恒例の宣伝でふ。
8月に発売した電子書籍~♪
「初夜だから張り切って自分で拡げたら恋人に怒られちゃいました」
世界観は一緒(ナンシージエ)のエロエロどろ甘ストーリーです。人外魔法使い(混血)×マッチョ騎士。2万字程度です。
まだ読んでないなーって方、興味を持っていただけましたら検索してみてくださいませ。
もしくは私のtwitterから見ていただけると幸いです。
@kazuyafuziki
俺の頭に大量の?が浮かんでいる。
古代ギリシャ風の布を着せられて、足はもちろん靴下を履かせられ、危ないからと靴も履かせられている。靴! こちらの世界に来てから一度も履いたことがない靴! だからって下ろしてもらえるわけじゃなくて、今俺は何故か護衛に志願してくれたというファンとハレの腹違いの兄にだっこされている。この人ついこの間まで国の魔法師団の副団長やってたんだって。背は俺と同じぐらいだけど、西洋系の美形ですっごく綺麗な人だ。
「奥様、そのようにまじまじと見つめられては困ります。私は妻帯者ですよ」
「ごめんなさい。ファンとハレのお兄さんだって聞いたから気になってしまって」
美形はそれだけでつい見てしまうものだ。
そう、この人妻帯者なのだ! それも自分よりがたいのいい元騎士が妻なのだと当たり前のように教えてくれた。
で、なんで今俺がこの人に抱き上げられているのかというと、”ルイさまのお嫁さんをだっこして障害を乗り越え、一番速い奴が勝ち!”の見本を見せる為らしい。意味がわからない。
俺を抱き上げたまま火の輪くぐりに水の輪くぐり、輪の大きさはそれなりにあるが実は長さもある。多分3mぐらい長さあるんじゃないかな。火の輪だと火傷しそう。フィールドに突き出た岩たちを50mほど走って飛び越えて、10mほどもある柵を上って越えるのが10回(上って下りて上って下りてというやつ)。最後は400mのトラックを走り抜けてゴールインという仕様だ。鬼か。
本当は網みたいなのをくぐるとか考えたらしいんだけど、それはさすがに抱き上げたままは無理だという話になったらしい。
これ、一人でもけっこうつらいコースじゃないのかな? と思ったんだけど、先にインがやってみせてくれた。うわん、カッコイイ。
火の輪をくぐる時は身体を縮めるようにして、途中何度か足をついて走り抜け、水の輪の中も同じようにして走り抜けた。火傷してないといいんだけど、心配。それから形も高さも違う岩を飛び越えて50m走り抜ける。ここも危なげなく通り越し、一応申し訳程度につかまるところとか足をかけるところがついている柵を上り、飛び降り、上り、飛び降りを10回繰り返して400mトラックを全力疾走して戻ってきた。
「インー!」
美形の腕の中から腕を伸ばす。火傷とか怪我とかしてないといいんだけど。
「おう。今はだめだ。さすがに汗だくだ」
「やだ、だっこ」
「汗だくだっつってんだろ」
「いい」
「しょうがねーな……」
インは一旦自分自身に洗浄魔法をかけると、美形の腕から俺を受け取った。でも後から後から汗が吹き出してくるからあまり効果はなかったと思う。俺はインの腕におさまった嬉しさでちゅっと口づけた。もうなんか俺、最近デレすぎじゃないかな。
「……ルイ、かわいいことすんな。ヤりたくなんだろ」
「怪我とかしてない? 火傷とかは?」
「するわけねーだろ。さすがに座ってばかりのせいか身体が鈍ってる。時間作って鍛えなおさないとな」
「インが怪我とかしてなくて、よかった……」
インは天を仰いだ。
「あーもう、なんだこれかわいすぎるだろ……。今すぐ押し倒してヤりてえ」
「イン様、奥様をこちらに」
「おう、頼んだぞ」
「イン……」
インの腕の中にいたかったのに、と思いながら美形の腕の中に戻される。俺は不満そうな顔を隠せなかった。
「はーい! ちゅうもーく! 今のが今回のコースです! まずルワンド氏が我らが愛しの奥様を抱えて見本を見せてくれます。よーく見て僕が最終的に怪我とかしないようにしてください。僕に怪我させたら奥様権限でクビです。では、お願いします」
ロイが参加者と見学者に向かってアナウンスした。どうも拡声魔法というのがあるらしく、無事全員にロイの声は届いたようだった。
「奥様、私によく捕まって、目をつぶっていてください。すぐに終わらせますので」
美形に言われた通りぎゅっと抱き着き目をつぶる。その後はなんか怒涛のようだった。
なんか熱いかな? と思ったらなんか湿っぽいなと思って、なんか跳ねてる? あれ、これってフリーフォール? なんか俺、風になってる? といろいろ疑問に思っているうちに終わってしまった。
「ゴール!」
ロイの嬉しそうな声が響く。どうやら終わったらしい。俺はやっと目を開けた。
「お疲れさまでした」
「はい、ありがとうございました……」
礼を言ってゴールで待っていたインに渡された。わーい。
インの腕におさまってぎゅうぎゅう抱き着く。やっぱりインが好き。インがいい。
美形に声をかけられた。
「奥様、こんなことを私が言うのもどうかと思いますが……どうかファンとハレのこともお願いします」
「……すいません、俺はインの妻なので……」
ファンとハレのことも嫌いじゃないけど、二人と同じくらい二人のことを想えるかって言われたらそうじゃない。
「理解しております。ただ、弟たちは本気で奥様に惚れているのです。どうか一生側にお仕えすることをお許しください」
「それは……」
俺に決められることじゃない。
「アイツらが、俺と妻を裏切らない限りは仕えさせるつもりだ」
インがきっぱりと答えた。美形は深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。そのお言葉だけで十分です。私も、全力でレータ様と奥様をお守りします」
「ルーイ! 僕のこと見ててね!」
ロイの声がして、俺はそちらを見やった。ロイはファンの腕に抱き上げられている。どうやらそろそろ本番が始まるようだった。
「ファン、ロイのことよろしくね!」
「お任せください!」
ファンはすごく張り切っているようだった。そうして、わけのわからない競技が始まった。
ーーーー
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世界観は一緒(ナンシージエ)のエロエロどろ甘ストーリーです。人外魔法使い(混血)×マッチョ騎士。2万字程度です。
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