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第4部 四神を愛しなさいと言われました
130.愛が深すぎてあっぷあっぷしています ※R15
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わかっているつもりでわかっていなかった。
そう、言葉の上では理解したつもりでいたのだと、香子はやっと気づいた。
四神の愛はどこまでも深い。
更に白虎は嫉妬もするのだ。
香子の口を吸い、胸を吸い、そして白虎は下も甘く舐める。
このまま抱かれてしまうのかと、香子はぼんやり思った。それはそれでかまわないとも。
『白虎さま……白虎さまぁ……』
口を開けば甘い声が漏れる。肉厚の長い舌で舐められてしまえば、すぐに陥落してしまいそうだと香子は思った。
『あっ……』
白虎が本性を現わした。ふるり、と香子の身体が震える。それは本能的な恐れだった。
『香子……どうか……』
白虎は本性を現わすと更に声が低くなる。前足が香子の足を押さえた。怖い、と香子は思う。
(でも……)
『白虎さま……玄武様か、朱雀様を……』
『ああ……』
抱かれてもかまわない。だけどまだ今は付き添いがいないと難しい。
『……呼んだ。香子、よいか?』
『……はい』
返事をすれば、香子はすぐに身体をうつ伏せにされた。
『あああっ……!?』
いつ玄武が来たのかはわからなかった。昼間からとか、恐れとか、恥ずかしさとか、そんなことはもうどうでもよかった。
香子はそうして、白虎の愛に溺れた。
……正気に返れば、流されたとしか言いようがない。
『香子、大事ないか?』
白虎はまだ本性を現わしたままだった。香子を舐めながら気遣うように問う。香子は裸で、隠すものがない状態だったから白虎に抱きついた。
『……だいじょうぶ、ですけど……』
ものすごく恥ずかしいと香子は思った。
『香子……香子……』
なんというか、これ以上ないほど舐められて香子はどうしたらいいのかわからなかった。
『……おなか、すきました……』
『そろそろ夕飯の時間だ』
床の側で椅子に腰かけている玄武が教えてくれた。
『うー……着替え、とか。でもその前に……何か食べたいです……』
こういうことははっきり言わないと四神もわからない。察してもらうのは無理だと思った方がいいので、香子もしっかり要求は伝えるようにしている。
『軽い物を用意させよう。しばし待て』
『はい……』
『我も腹が減ったな……』
白虎が呟く。それはそうだろうと香子は思った。
白虎との交わりは決して穏やかではない。思い出して、香子は真っ赤になった。
おなかがすきすぎて動けないので、香子は観念して白虎の腕の中にいた。時折、『おなかすいたよぉ』と泣きながら。
やがて白雲に声をかけられて、香子は肉まんと野菜まんにかぶりついた。
『餡儿餅(中国版のおやきのようなもの)が食べたい……』
四神宮で出される肉まんと野菜まんも十分おいしいのだが、香子からすると皮の詰まったかんじと具材が足りないのだ。ようは、香子は元の世界にいた時そんなに上品な物はほとんど食べていなかった。日本の肉まんは別物だと香子は思っているので、そちらについては考えていない。
『餡儿餅ですか。伝えておきましょう』
白雲に言われて香子ははっとした。今すぐ食べたいというわけではない。
『あの、ええと……』
『伝えるだけです』
『でも……』
『香子、落ち着け』
白虎に言われて、香子は椅子になっている白虎を睨んだ。
『誰のせいですか!?』
『……我のせいなのか?』
『この空腹はどう考えたって白虎様のせいでしょう!?』
己も同意した結果なのだがそのことには目をつぶり、香子は白虎に八つ当たりした。
『……確かにそうだな』
胃が少し落ち着いたので、香子は部屋に戻ることにした。玄武が運んでくれるという。
『玄武様、あのぅ……私、自分の足で……』
『ならぬ』
玄武は口元に笑みを履いた。珍しいこともあるものだと、香子は目を丸くした。しかしその目が笑っていないことにも香子は気づいてしまった。
玄武は香子を白虎の腕から受け取ると、一瞬きつく香子を抱きしめた。
『……香子。今宵は、覚悟しておけ』
『お、お手柔らかにお願いします……』
香子もそうなることはわかっていたが、実際に言われると腰が引けてしまう。引けたところでがっしりと囚われてしまっているから逃げ場は絶対にないのだが。
玄武は香子を一旦部屋で降ろしてくれた。そのまま居間で香子を待つことにしたらしい。髪型も衣裳も乱れている香子を、侍女たちは嬉々として着替えさせ着飾った。
『……夕飯を食べるだけなのだけど……?』
『花嫁様はとてもお綺麗なのですから、更に美しくしなくてはいけません』
『化粧のしがいはないですが、こちらの紅はいかがでしょうか?』
侍女たちはたくさん口紅を用意している。とても楽しそうなので、香子は嘆息しつつも好きなようにさせていた。
香子からすると、香子を着飾らせて何が楽しいのかさっぱりわからない。
そうして玄武の瞳の色に合わせた淡い緑色の衣裳を着せられて、香子は玄武に差し出された。
『……お待たせしました』
『そなたは何を着ても美しいな』
玄武をそう言って、香子をふわりと抱き上げた。侍女たちが『きゃあ……』と控えめに声を上げる。
香子は玄武の胸に顔を伏せた。
できることなら、香子も『きゃあ』と周りで声を上げる側にいたかったと思ったのだった。
そう、言葉の上では理解したつもりでいたのだと、香子はやっと気づいた。
四神の愛はどこまでも深い。
更に白虎は嫉妬もするのだ。
香子の口を吸い、胸を吸い、そして白虎は下も甘く舐める。
このまま抱かれてしまうのかと、香子はぼんやり思った。それはそれでかまわないとも。
『白虎さま……白虎さまぁ……』
口を開けば甘い声が漏れる。肉厚の長い舌で舐められてしまえば、すぐに陥落してしまいそうだと香子は思った。
『あっ……』
白虎が本性を現わした。ふるり、と香子の身体が震える。それは本能的な恐れだった。
『香子……どうか……』
白虎は本性を現わすと更に声が低くなる。前足が香子の足を押さえた。怖い、と香子は思う。
(でも……)
『白虎さま……玄武様か、朱雀様を……』
『ああ……』
抱かれてもかまわない。だけどまだ今は付き添いがいないと難しい。
『……呼んだ。香子、よいか?』
『……はい』
返事をすれば、香子はすぐに身体をうつ伏せにされた。
『あああっ……!?』
いつ玄武が来たのかはわからなかった。昼間からとか、恐れとか、恥ずかしさとか、そんなことはもうどうでもよかった。
香子はそうして、白虎の愛に溺れた。
……正気に返れば、流されたとしか言いようがない。
『香子、大事ないか?』
白虎はまだ本性を現わしたままだった。香子を舐めながら気遣うように問う。香子は裸で、隠すものがない状態だったから白虎に抱きついた。
『……だいじょうぶ、ですけど……』
ものすごく恥ずかしいと香子は思った。
『香子……香子……』
なんというか、これ以上ないほど舐められて香子はどうしたらいいのかわからなかった。
『……おなか、すきました……』
『そろそろ夕飯の時間だ』
床の側で椅子に腰かけている玄武が教えてくれた。
『うー……着替え、とか。でもその前に……何か食べたいです……』
こういうことははっきり言わないと四神もわからない。察してもらうのは無理だと思った方がいいので、香子もしっかり要求は伝えるようにしている。
『軽い物を用意させよう。しばし待て』
『はい……』
『我も腹が減ったな……』
白虎が呟く。それはそうだろうと香子は思った。
白虎との交わりは決して穏やかではない。思い出して、香子は真っ赤になった。
おなかがすきすぎて動けないので、香子は観念して白虎の腕の中にいた。時折、『おなかすいたよぉ』と泣きながら。
やがて白雲に声をかけられて、香子は肉まんと野菜まんにかぶりついた。
『餡儿餅(中国版のおやきのようなもの)が食べたい……』
四神宮で出される肉まんと野菜まんも十分おいしいのだが、香子からすると皮の詰まったかんじと具材が足りないのだ。ようは、香子は元の世界にいた時そんなに上品な物はほとんど食べていなかった。日本の肉まんは別物だと香子は思っているので、そちらについては考えていない。
『餡儿餅ですか。伝えておきましょう』
白雲に言われて香子ははっとした。今すぐ食べたいというわけではない。
『あの、ええと……』
『伝えるだけです』
『でも……』
『香子、落ち着け』
白虎に言われて、香子は椅子になっている白虎を睨んだ。
『誰のせいですか!?』
『……我のせいなのか?』
『この空腹はどう考えたって白虎様のせいでしょう!?』
己も同意した結果なのだがそのことには目をつぶり、香子は白虎に八つ当たりした。
『……確かにそうだな』
胃が少し落ち着いたので、香子は部屋に戻ることにした。玄武が運んでくれるという。
『玄武様、あのぅ……私、自分の足で……』
『ならぬ』
玄武は口元に笑みを履いた。珍しいこともあるものだと、香子は目を丸くした。しかしその目が笑っていないことにも香子は気づいてしまった。
玄武は香子を白虎の腕から受け取ると、一瞬きつく香子を抱きしめた。
『……香子。今宵は、覚悟しておけ』
『お、お手柔らかにお願いします……』
香子もそうなることはわかっていたが、実際に言われると腰が引けてしまう。引けたところでがっしりと囚われてしまっているから逃げ場は絶対にないのだが。
玄武は香子を一旦部屋で降ろしてくれた。そのまま居間で香子を待つことにしたらしい。髪型も衣裳も乱れている香子を、侍女たちは嬉々として着替えさせ着飾った。
『……夕飯を食べるだけなのだけど……?』
『花嫁様はとてもお綺麗なのですから、更に美しくしなくてはいけません』
『化粧のしがいはないですが、こちらの紅はいかがでしょうか?』
侍女たちはたくさん口紅を用意している。とても楽しそうなので、香子は嘆息しつつも好きなようにさせていた。
香子からすると、香子を着飾らせて何が楽しいのかさっぱりわからない。
そうして玄武の瞳の色に合わせた淡い緑色の衣裳を着せられて、香子は玄武に差し出された。
『……お待たせしました』
『そなたは何を着ても美しいな』
玄武をそう言って、香子をふわりと抱き上げた。侍女たちが『きゃあ……』と控えめに声を上げる。
香子は玄武の胸に顔を伏せた。
できることなら、香子も『きゃあ』と周りで声を上げる側にいたかったと思ったのだった。
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