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第4部 四神を愛しなさいと言われました
116.少しずつ変化しているみたいです。とても甘く
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香子の胸の大きさを定着させるという話を、白虎としていた。
『さすがに三日ともなれば、準備が必要だな』
白虎もそこは考えてくれるらしい。香子は内心ほっとした。
『……その前に書を習いたいです』
『一度ぐらいならばいいのではないか』
白虎がまた喉の奥で笑う。笑いごとではないと、香子はムッとした。
全然張錦飛の顔を見ていない。結婚してからはなおさらである。このまま会えなくなるのは、香子は嫌だった。
『張老師に会いたいです』
『……妬けるな』
白虎が喉の奥でクククと笑う。
『……私がどなたかの領地に移動したらもう会えないのでしょうから、それぐらいよろしいではありませんか』
香子は苦笑した。
『そなたの言いたいことはわかる。だが許せるかどうかは別だ』
『それは……そうですね』
白虎は香子の胸に顔を埋めた。どんだけおっぱい星人なのかと、香子は呆れながらも白虎の頭を撫でたのだった。
夕飯の前に、香子は白雲に張に会いたいということを伝えた。これで白雲が趙に伝えてくれるはずである。
伝言ゲームのようになってしまうが、四神が香子を人間の男性には極力会わせたくないのだからしかたない。それならば手紙を書いた方がいいのかとも香子は考えたが、その為に延夕玲に書かせるというのもアレである。口頭で済むことであればなるべく口頭で済ませたかった。
夕飯だということで、白虎はしぶしぶ香子を部屋に運んだ。
衣裳や髪型などを整えたら、白虎が連れて行くという。
『もう、少しは歩かせてくださいませ』
『ならぬ』
なんとなく部屋が手狭になった気がすると香子は思った。部屋に控える侍女二人は当然として、夕玲と楊芳芳の女官二人、それだけでなく白風まで部屋の中にいるのだ。黒月は部屋の外にいるが、どんどん人数が増えていくことに香子は頭痛がしそうだった。
衣裳や髪型を整えることや化粧などは別の侍女たちがするので、香子の準備をする時は余計に部屋が手狭だと香子に思わせるには十分だった。
侍女たちは嬉々として香子の支度をし、満足そうに戻っていった。
「ふぅ……」
いつも嵐のようだと香子は思う。
『終わったのならば、参るぞ』
『はい』
居間で待っていた白虎に抱き上げられ、香子は食堂まで運ばれた。
今日の夕飯はいつも通りだった。
白虎の眷属と厨師が平和にやってくれればいいと香子は願う。香子の好物だと心得ているので、春巻は多めに運ばれてくるのが香子としては嬉しい。四神に抱かれたことで人ではなくなった香子は、いくら食べても太らない身体になっている。しかも食べようと思えば際限なく食べられるのだ。
(そう考えると、すごい身体よね……)
鏡で己の姿を見る度に、香子は「これが私?」と思ってしまう。四神の好みなのだろうか、肌は瑞々しく白く透き通るようで、白虎のせいで胸もたわわになっている。
今日も香子は海老春巻をいくつも食べた。
『そなたはほんにおいしそうに食べるな』
玄武に声をかけられて、香子は口の中の物がなくなってから返事をした。
『いつもおいしいですから!』
いつもの答えではあるが、食堂に控えていた侍女たちは香子の言葉を厨師に伝えようと思った。香子は意識していないが、四神宮に仕える者たちは香子を大事に思っている。香子が四神の誰かに嫁ぐことになったら着いていきたいと思うほどだ。だが四神宮に仕える者たちは基本的に皇帝の持ち物である。彼女たちは内心ため息をついた。
二日後、張から明日伺いますと返事があった。
書の練習は相変わらずあまりできていない。付き合ってくれるのが青龍だけなのだから仕方ないとはいえた。
『青龍様、書の練習がしたいです』
『……婚礼を挙げたというのにそなたは変わらぬな』
青龍は嘆息したが、香子に付き合ってくれた。
『ふふ……青龍様のそういうところ、私好きですよ』
嘆息しながらも真面目に付き合ってくれるところは好感度が高い。
『……我のところへ来るか?』
『それは……』
香子は婚礼を挙げた後もあまり変わらないが、四神はこうしてことあるごとに香子を口説こうとする。さすがに抱かれている時に言質を取るのはだめだと香子は厳命した。
閨での会話など、香子は毎回翌朝思い出して頭を抱えるのだが、朱雀の熱を受けるせいか抱かれている最中はぼんやりと四神の愛を受け止めるだけである。毎回気が遠くなるほど感じさせられてしまうことに、香子はなかなか慣れない。
(今思い出しちゃだめ)
青龍の腕の中である。
『……まだやることもありますし、今は決められません』
『ならば、そろそろ本気を出して口説かせてもらおう』
『えっ?』
青龍の本気とはなんだろう。いったいどういうことになってしまうのか、香子は頬を染めて狼狽えた。
『……香子はどれほど我らに抱かれても初々しいな。そんな姿も愛しくてならぬが、少しは大胆になってくれてもよいのだぞ?』
涼やかな声に色が混じる。それを耳元で甘く囁くのは止めてほしいと香子は思う。
『青龍、さま……』
『元の世界の倫理感などその時代の流行りにすぎぬ。我らはそなたがほしい。香子は我らに流されてしまえばいい』
それはなんとも甘い誘惑で、香子は理性を保つのが精いっぱいだった。
『さすがに三日ともなれば、準備が必要だな』
白虎もそこは考えてくれるらしい。香子は内心ほっとした。
『……その前に書を習いたいです』
『一度ぐらいならばいいのではないか』
白虎がまた喉の奥で笑う。笑いごとではないと、香子はムッとした。
全然張錦飛の顔を見ていない。結婚してからはなおさらである。このまま会えなくなるのは、香子は嫌だった。
『張老師に会いたいです』
『……妬けるな』
白虎が喉の奥でクククと笑う。
『……私がどなたかの領地に移動したらもう会えないのでしょうから、それぐらいよろしいではありませんか』
香子は苦笑した。
『そなたの言いたいことはわかる。だが許せるかどうかは別だ』
『それは……そうですね』
白虎は香子の胸に顔を埋めた。どんだけおっぱい星人なのかと、香子は呆れながらも白虎の頭を撫でたのだった。
夕飯の前に、香子は白雲に張に会いたいということを伝えた。これで白雲が趙に伝えてくれるはずである。
伝言ゲームのようになってしまうが、四神が香子を人間の男性には極力会わせたくないのだからしかたない。それならば手紙を書いた方がいいのかとも香子は考えたが、その為に延夕玲に書かせるというのもアレである。口頭で済むことであればなるべく口頭で済ませたかった。
夕飯だということで、白虎はしぶしぶ香子を部屋に運んだ。
衣裳や髪型などを整えたら、白虎が連れて行くという。
『もう、少しは歩かせてくださいませ』
『ならぬ』
なんとなく部屋が手狭になった気がすると香子は思った。部屋に控える侍女二人は当然として、夕玲と楊芳芳の女官二人、それだけでなく白風まで部屋の中にいるのだ。黒月は部屋の外にいるが、どんどん人数が増えていくことに香子は頭痛がしそうだった。
衣裳や髪型を整えることや化粧などは別の侍女たちがするので、香子の準備をする時は余計に部屋が手狭だと香子に思わせるには十分だった。
侍女たちは嬉々として香子の支度をし、満足そうに戻っていった。
「ふぅ……」
いつも嵐のようだと香子は思う。
『終わったのならば、参るぞ』
『はい』
居間で待っていた白虎に抱き上げられ、香子は食堂まで運ばれた。
今日の夕飯はいつも通りだった。
白虎の眷属と厨師が平和にやってくれればいいと香子は願う。香子の好物だと心得ているので、春巻は多めに運ばれてくるのが香子としては嬉しい。四神に抱かれたことで人ではなくなった香子は、いくら食べても太らない身体になっている。しかも食べようと思えば際限なく食べられるのだ。
(そう考えると、すごい身体よね……)
鏡で己の姿を見る度に、香子は「これが私?」と思ってしまう。四神の好みなのだろうか、肌は瑞々しく白く透き通るようで、白虎のせいで胸もたわわになっている。
今日も香子は海老春巻をいくつも食べた。
『そなたはほんにおいしそうに食べるな』
玄武に声をかけられて、香子は口の中の物がなくなってから返事をした。
『いつもおいしいですから!』
いつもの答えではあるが、食堂に控えていた侍女たちは香子の言葉を厨師に伝えようと思った。香子は意識していないが、四神宮に仕える者たちは香子を大事に思っている。香子が四神の誰かに嫁ぐことになったら着いていきたいと思うほどだ。だが四神宮に仕える者たちは基本的に皇帝の持ち物である。彼女たちは内心ため息をついた。
二日後、張から明日伺いますと返事があった。
書の練習は相変わらずあまりできていない。付き合ってくれるのが青龍だけなのだから仕方ないとはいえた。
『青龍様、書の練習がしたいです』
『……婚礼を挙げたというのにそなたは変わらぬな』
青龍は嘆息したが、香子に付き合ってくれた。
『ふふ……青龍様のそういうところ、私好きですよ』
嘆息しながらも真面目に付き合ってくれるところは好感度が高い。
『……我のところへ来るか?』
『それは……』
香子は婚礼を挙げた後もあまり変わらないが、四神はこうしてことあるごとに香子を口説こうとする。さすがに抱かれている時に言質を取るのはだめだと香子は厳命した。
閨での会話など、香子は毎回翌朝思い出して頭を抱えるのだが、朱雀の熱を受けるせいか抱かれている最中はぼんやりと四神の愛を受け止めるだけである。毎回気が遠くなるほど感じさせられてしまうことに、香子はなかなか慣れない。
(今思い出しちゃだめ)
青龍の腕の中である。
『……まだやることもありますし、今は決められません』
『ならば、そろそろ本気を出して口説かせてもらおう』
『えっ?』
青龍の本気とはなんだろう。いったいどういうことになってしまうのか、香子は頬を染めて狼狽えた。
『……香子はどれほど我らに抱かれても初々しいな。そんな姿も愛しくてならぬが、少しは大胆になってくれてもよいのだぞ?』
涼やかな声に色が混じる。それを耳元で甘く囁くのは止めてほしいと香子は思う。
『青龍、さま……』
『元の世界の倫理感などその時代の流行りにすぎぬ。我らはそなたがほしい。香子は我らに流されてしまえばいい』
それはなんとも甘い誘惑で、香子は理性を保つのが精いっぱいだった。
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