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第4部 四神を愛しなさいと言われました
107.やっぱりデリカシーは必要だと思うのです ※R15
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『疲れたか?』
馬車で白虎の館へ戻ってから、香子の口数は少なくなってしまった。白虎に問われ、香子は些か狼狽した。
『いえ……こんな風光明媚な土地で暮らされていたのだなとつい物思いに耽ってしまいました』
香子が言っていることは間違っていない。考えていたことはそれだけではなく、夜のこともあった。
(……どうしよう……)
白虎に抱かれるのは初めてではないのに、香子はとても困っていた。白虎のことが好きなのに変わりはないが、本性を現した白い虎の姿に抱かれるのはやはり怖いのである。それはもう本能からの恐れであった。
白虎の館に戻ってからも、香子は困ったままだった。
お茶をずず……と啜る。
お茶は口の中で転がすようにしながら、多少音を立てて飲むのがいいとされている。なので飲む時に音を立てるのを香子は気にしない。元の世界の他の国ではマナーが違うようだが、ここではそうなのだ。
『お茶がおいしいです』
それ以外何も言えなかった。
白虎は口数が多い方ではない。今は白虎の館の、白虎の室である。白風と白雲が控えている他は誰もいない。それにしても、とても広い室であった。なんとなく、小学校の体育館の半分程の広さはありそうだった。
確か朱雀と青龍の館の室もこれぐらい広かったと香子は思い出した。
本性を現わして過ごしたりするから、これぐらいの広さが必要なのだろう。そう考えると、今更ではあるが四神宮の室は四神にとってとても狭いのではないだろうか。
香子はそんなことを思った。
『香子、如何した?』
白虎が顔を覗き込んできた。いつのまにか香子の眉間に皺が寄っていたらしい。
『あ……! ええと、今更な話ではあるのですが、四神宮の四神の室は狭苦しいのはないかと……』
『狭いと言えば狭いが、本当に今更だな』
白虎はそう言ってクククッと喉の奥で笑った。
白風がすごい顔をしている。それは狭い室などとんでもないと思っているようだった。香子はそれに気づいて、話題としてはまずかったかと内心冷汗をかいた。
『室の狭さなど問題にはならぬ。ああ……そなたを抱く為の広さは必要だが、それ以上はどうでもいい。香子、そなたのいる場所が重要なのだ』
『……うっ……』
まっすぐに金の瞳を向けられて、香子は胸を抑えた。香子はメンクイな上に、今は白虎のことも好きなのである。そして未だに四神の人離れした美しさと、たまに降ってくるストレートな言動に慣れなかった。
『香子?』
胸を抑えた手を白虎に取られ、香子はそのまま口づけられた。
「……んっ……」
胸がきゅーんと甘くなって、香子は震えた。流されてはいけないと思うのに、白虎には逆らえない。
口づけをしたまま白虎は立ち上がった。香子は慌てて白虎の首に腕を絡める。
(夕飯食べられるかな……)
そんな、どうでもいいことを香子は考えた。
天蓋付のとても広い床で、香子は全身を愛でられた。
「あっ、あっ、あっ……」
『……耐えるというのはつらいものだな……』
いつもならすぐに本性を現わすというのに、白虎は耐えて人の姿を保ったまま香子に触れた。それもまた香子の胸に響いた。
『白虎……さ、ま……』
白虎がおっぱい星人なのはもうどうしようもないのだが、胸に吸い付かれながら香子は涙目で確認した。
『ぁっ……このまま、私を抱くことは、できそう……?』
『……それは難しいな。ああ……朱雀兄を呼ぶか』
『ええっ?』
確かに四神はお互いに念話でやりとりができるが、領地に呼びつけるのはいかがなものか。
『そんな……あっ、あっ……』
白虎は香子の胸の先端をちゅくちゅくとしゃぶる。白虎は胸を好きすぎて、それが困ると香子は思う。舌で舐め転がされるのが気持ちいいは気持ちいいのだけれど。
「ぁんっ……!」
白虎はちゅううっと胸の頂を吸い、やっと口を離した。
『夕飯の後で玄武兄と朱雀兄がこちらに来るそうだ。安心せよ』
『え……』
香子の胸を吸いながら念話でそんな話をしていたらしい。香子はカーッと顔が熱くなるのを感じた。
『そ、そんなこと……私に触れながら決めないでくださいっ!』
白虎のことだから今の香子の様子も伝えたに違いない。やっぱり白虎にはデリカシーが足りないと香子は怒った。
『……そういうものか?』
白虎はやはりピンとこない様子だった。それは火に油を注ぐようなものだった。
『そういうところですよっ! 察しろとは言いませんが覚えてくださいっ!』
『……善処しよう』
それ絶対考える気ないやつ! と香子は更に怒った。しかし白虎の眉が少し下がるのを見て、香子はその頭を胸に抱き寄せた。顔は良すぎるし、そんな表情は香子にしか見せないからこう胸にクるのだ。
『もう、白虎様はずるいです……ぁんっ』
香子がその胸に頭を抱き寄せたことで、白虎はその白い胸を再び舐め始めた。
『? 我はそなたが愛しくてたまらぬだけだ』
『そ、それがずるいって……あっ……』
身体でごまかされないんだからと思っても、香子は白虎のことも好きだからどうにもならなかった。胸だけでなくあらゆる場所を舐めてかわいがられ、
『……これ以上は、この姿を保てぬな』
白虎が残念そうにそう言った時には、香子はぐったりしていた。
白虎は香子の身体を綺麗にすると衣服を整えた。そうして香子を抱き上げる。
『したいことはあるか?』
『……外の風に当たりたいです……』
香子はこてんと白虎に頭をもたせながら答えた。
室を出て、渡り廊下に出る。そこから見える庭園はとても綺麗だと、香子は思ったのだった。
ーーーーー
やっぱり白虎にはデリカシーが足りない。
馬車で白虎の館へ戻ってから、香子の口数は少なくなってしまった。白虎に問われ、香子は些か狼狽した。
『いえ……こんな風光明媚な土地で暮らされていたのだなとつい物思いに耽ってしまいました』
香子が言っていることは間違っていない。考えていたことはそれだけではなく、夜のこともあった。
(……どうしよう……)
白虎に抱かれるのは初めてではないのに、香子はとても困っていた。白虎のことが好きなのに変わりはないが、本性を現した白い虎の姿に抱かれるのはやはり怖いのである。それはもう本能からの恐れであった。
白虎の館に戻ってからも、香子は困ったままだった。
お茶をずず……と啜る。
お茶は口の中で転がすようにしながら、多少音を立てて飲むのがいいとされている。なので飲む時に音を立てるのを香子は気にしない。元の世界の他の国ではマナーが違うようだが、ここではそうなのだ。
『お茶がおいしいです』
それ以外何も言えなかった。
白虎は口数が多い方ではない。今は白虎の館の、白虎の室である。白風と白雲が控えている他は誰もいない。それにしても、とても広い室であった。なんとなく、小学校の体育館の半分程の広さはありそうだった。
確か朱雀と青龍の館の室もこれぐらい広かったと香子は思い出した。
本性を現わして過ごしたりするから、これぐらいの広さが必要なのだろう。そう考えると、今更ではあるが四神宮の室は四神にとってとても狭いのではないだろうか。
香子はそんなことを思った。
『香子、如何した?』
白虎が顔を覗き込んできた。いつのまにか香子の眉間に皺が寄っていたらしい。
『あ……! ええと、今更な話ではあるのですが、四神宮の四神の室は狭苦しいのはないかと……』
『狭いと言えば狭いが、本当に今更だな』
白虎はそう言ってクククッと喉の奥で笑った。
白風がすごい顔をしている。それは狭い室などとんでもないと思っているようだった。香子はそれに気づいて、話題としてはまずかったかと内心冷汗をかいた。
『室の狭さなど問題にはならぬ。ああ……そなたを抱く為の広さは必要だが、それ以上はどうでもいい。香子、そなたのいる場所が重要なのだ』
『……うっ……』
まっすぐに金の瞳を向けられて、香子は胸を抑えた。香子はメンクイな上に、今は白虎のことも好きなのである。そして未だに四神の人離れした美しさと、たまに降ってくるストレートな言動に慣れなかった。
『香子?』
胸を抑えた手を白虎に取られ、香子はそのまま口づけられた。
「……んっ……」
胸がきゅーんと甘くなって、香子は震えた。流されてはいけないと思うのに、白虎には逆らえない。
口づけをしたまま白虎は立ち上がった。香子は慌てて白虎の首に腕を絡める。
(夕飯食べられるかな……)
そんな、どうでもいいことを香子は考えた。
天蓋付のとても広い床で、香子は全身を愛でられた。
「あっ、あっ、あっ……」
『……耐えるというのはつらいものだな……』
いつもならすぐに本性を現わすというのに、白虎は耐えて人の姿を保ったまま香子に触れた。それもまた香子の胸に響いた。
『白虎……さ、ま……』
白虎がおっぱい星人なのはもうどうしようもないのだが、胸に吸い付かれながら香子は涙目で確認した。
『ぁっ……このまま、私を抱くことは、できそう……?』
『……それは難しいな。ああ……朱雀兄を呼ぶか』
『ええっ?』
確かに四神はお互いに念話でやりとりができるが、領地に呼びつけるのはいかがなものか。
『そんな……あっ、あっ……』
白虎は香子の胸の先端をちゅくちゅくとしゃぶる。白虎は胸を好きすぎて、それが困ると香子は思う。舌で舐め転がされるのが気持ちいいは気持ちいいのだけれど。
「ぁんっ……!」
白虎はちゅううっと胸の頂を吸い、やっと口を離した。
『夕飯の後で玄武兄と朱雀兄がこちらに来るそうだ。安心せよ』
『え……』
香子の胸を吸いながら念話でそんな話をしていたらしい。香子はカーッと顔が熱くなるのを感じた。
『そ、そんなこと……私に触れながら決めないでくださいっ!』
白虎のことだから今の香子の様子も伝えたに違いない。やっぱり白虎にはデリカシーが足りないと香子は怒った。
『……そういうものか?』
白虎はやはりピンとこない様子だった。それは火に油を注ぐようなものだった。
『そういうところですよっ! 察しろとは言いませんが覚えてくださいっ!』
『……善処しよう』
それ絶対考える気ないやつ! と香子は更に怒った。しかし白虎の眉が少し下がるのを見て、香子はその頭を胸に抱き寄せた。顔は良すぎるし、そんな表情は香子にしか見せないからこう胸にクるのだ。
『もう、白虎様はずるいです……ぁんっ』
香子がその胸に頭を抱き寄せたことで、白虎はその白い胸を再び舐め始めた。
『? 我はそなたが愛しくてたまらぬだけだ』
『そ、それがずるいって……あっ……』
身体でごまかされないんだからと思っても、香子は白虎のことも好きだからどうにもならなかった。胸だけでなくあらゆる場所を舐めてかわいがられ、
『……これ以上は、この姿を保てぬな』
白虎が残念そうにそう言った時には、香子はぐったりしていた。
白虎は香子の身体を綺麗にすると衣服を整えた。そうして香子を抱き上げる。
『したいことはあるか?』
『……外の風に当たりたいです……』
香子はこてんと白虎に頭をもたせながら答えた。
室を出て、渡り廊下に出る。そこから見える庭園はとても綺麗だと、香子は思ったのだった。
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やっぱり白虎にはデリカシーが足りない。
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