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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました

37.どうしてか豹変されました ※R15

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 口づけられたまま青龍の室のベッドに下ろされる。
 一体どこで学んだのか聞きたくなるぐらいその口づけは甘くて、観念してしまいそうになる。というよりも、もう口づけは四神の誰にされても香子は許してしまっていた。ただその先となるとまだためらいはあるから、青龍の手が香子の漢服をくつろげようとしたのにひどく戸惑った。
 どうしたらいいのかと思っている間に青龍の手が漢服の中に入ってき、香子の形のいい胸にやんわりと触れた。

「…………っ!」

 咄嗟に漢服の上から青龍の手を押さえる。だが彼の手は止まらず、やわやわと片方の胸を揉み始めた。

(青龍様っ……!)

 彼の指先が胸の頂を掠めた時、香子の体がビクン! と跳ねた。きゅん、と腰の奥に甘い疼きを感じてしまい、香子はどうにかして口づけを解いた。

『青龍様っ……!!』

 一瞬、青龍ははっとしたような表情をした。だが漢服の中からその手が出ていくことはなかった。

『……すまぬ。こんなつもりではなかった』

 そう言いながら青龍は香子の顔中に優しく口づける。啄むような口づけはくすぐったいけれども、どうして胸を包む手が解かれないのか。香子が自分で外した方がいいのかと悩みはじめた時、

香子シャンズ、見せてくれ』

 と言われてしまった。
 何を? と聞きたかった。この流れでいくと香子の裸のようである。
 香子も困ってしまった。

『あの……どうかなさったのですか?』

 心当たりといえば延夕玲と話をしていたことぐらいである。さすがに理由も聞かぬまま流されたくはなかった。すると青龍もまたバツが悪そうな表情をした。香子は思わずうっ、とうなりそうになった。美形のそんな表情は破壊力抜群なのである。

『いや……はっきりはしないのだが煽られてな』

 香子は首を傾げた。青龍が笑む。

『だがそれも言い訳に過ぎぬ。我がそなたを想っているのは紛れもない事実だ』

 なんだかよくわからないが告白され、香子は頬を染めた。どうしてこう、四神はストレートなのだろうか。

『えっと、私……』

 なんと答えたらいいのかわからず言葉を濁すと青龍もまた頷いた。

『そなたを奪う気はない。だが……お互いを知り合うと言うからには体の相性を知るのも重要ではないか?』

 そんな色を含んだ眼差しで見ないでほしいと香子は思う。

『それは……詭弁です……』

 真っ赤になりながらしどろもどろに言う。
 今日は青龍の知らないところばかり見てしまい香子はどぎまぎしていた。

『出逢ったばかりは……最悪の印象だったかもしれない。だがそなたは未熟な我にこうして手を差し伸べてくれた』

 口唇を掠めるように口付けられる。

『そんなそなたが、我は愛おしくてならぬのだ』

 黒曜石のような綺麗な瞳が香子だけを見つめていた。香子は漢服の中に入っている青龍の手を押さえるような形で胸を押さえた。

(それって、反則……)
『見て、触れるだけだ。そなたが我と同じぐらい想ってくれるまでは抱かぬ。香子、どうか……』

 青龍の口調は頼んでいるように聞こえるのだが、その眼差しが裏切っていた。待ってと香子が言えるような雰囲気はなく、断ったなら奪われてしまいそうだった。
 香子は心の中でため息をついた。
 昼は共に過ごすと決めたのだからそれも想定内だったはずだ。
 青龍は出逢いが出逢いだし、三神に遠慮しているようなところがあったから勝手に香子がまだ安全圏だと思っていただけである。

『……胸だけ、なら……』

 いつにない青龍の様子に香子は掠れた声でそれだけ告げた。

『わかった。……今はそれだけで許そう』
(なんで許すとか上から目線なのー?)

 心の中でツッコミが入ったが、待ってましたとばかりに襟をくつろげられるともう他に何も考えられなくなってしまった。

『キレイな胸だ』

 感嘆したように言われやっぱり隠したくなってしまう。

『……小さいですよ……?』

 自分で言って情けなくなった。こればっかりはコンプレックスなのである。

『我は大きさは気にせぬと前にも言ったと思うが……。やはり気になるなら白虎兄に……』
『……いいです』

 白虎に抱かれれば胸が大きくなるとは聞いているが、それ目当てで抱かれるのは違うと思う。やっぱり抱かれたい程好きになってから抱かれたい。だからまだ青龍にも抱かれたくはなかった。
 青龍にやわやわと胸を揉まれているとなんだかへんな気分になってしまう。背筋を這い上るむずむずした感覚だとか、目が熱くなって潤んでしまうとか、これではまるで誘っているようではないか。

『あの……四神に抱かれることで影響力があることはわかったのですが……眷族はどうなのでしょう……?』

 気を散らす為にふと考えたことを尋ねると、咎めるように胸の頂をきゅっと摘まれた。

『あっ……!?』
『眷族に抱かれたいとでも?』

 透明なはずの声が低く聞こえて香子は身震いした。

『わ、私ではなくて……あの……侍女頭の陳さんと白雲がなんだかそういう関係っぽいなって……』
『……眷族でも多少は影響があるだろうな。さ、もう質問はなしだ』

 そう言って青龍は香子の胸に顔を落とした。

『そ、そんな……ああっ……!?』


 そうして夕飯の時間だと知らせがくるまで、香子の胸は青龍によって舐めたり甘噛みしたり揉まれたりと散々いじられてしまったのだった。
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