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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
33.お互いの本音 ※R13
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晩餐会の後香子は少しもやもやした気持ちでいたが、玄武と朱雀との営みによってそれはかき消されてしまった。
四神はお互いに対して嫉妬心はない。花嫁は四神のものであり、それは不文律である。そしてそういうものなのだと香子もやっと理解しはじめている。
だが何故かその夜は少し違う気がした。
二神が情熱的なのは変わらない。そして抱かれている間はなにがなんだかわからなくなるほど乱されることも。
翌朝前夜の自分の痴態を思い出し、香子は玄武の胸に顔を隠すように縋りついた。これもほぼ毎度のことである。
そうやって恥らっている香子を、玄武と朱雀は目がとろけんばかりの愛しさを溢れさせながら見つめている。しっかりと頭が覚醒するまで、そうして香子は前夜のことを反芻し身悶えるのだった。
その時はなにもかもめちゃくちゃなのに、翌朝それを事細かに思い出すというのは拷問なのではないかと香子は思う。
(んー……あれ? 確か何か言っていたような……)
さすがに相手の科白までは覚えていないが、少し気になることを二神が言っていたような気がした。おずおず顔を上げ玄武を窺うと、優しい緑の眼差しと目が合った。みるみるうちに頬が熱くなる。何度も言うようだが香子はメンクイなのだ。朝から至近距離で端正な美貌を目にしたら顔が真っ赤になるのも仕方がない。しかもその美貌の主と……。
『香子、如何した?』
いつだって真摯に向き合い、こう尋ねてくれる玄武が好きだと香子は思う。瞬きも忘れてぼおっと玄武に見惚れていると、後ろから胸の辺りに腕が回ってきた。
朱雀だった。
『香子』
耳元で甘いテナーが名を囁く。
(っ! 耳は弱いんだからやーめーてーーーー!!)
正確には四神の声に弱いのだ。だがそんなことを朱雀に言ったらやめてくれるどころか常に耳元で囁かれそうだと思う。
『……あ……おはようございます、玄武様、朱雀様』
かろうじて挨拶をし、朱雀の腕にそっと手をかけ玄武を見つめた。香子自身は別段四神に平等に接する必要はないのだがそれはなんだか嫌なのでできるだけ気にかけるようにしていた。元来香子は面倒臭がりののんびり屋だと自分で思っている。だから人一倍努力しなければ四神の愛を受け入れるに値しないとも思うのだ。その姿もまた真摯といえよう。もちろん花嫁であることは絶対条件だが、更に四神との未来を考えている香子を彼らが好ましく思わないわけはなかった。
そう、それ故に今まで花嫁を己だけのものにしたいという強い欲求はなかったのに、香子を欲しいと神ではなく動物の本能が叫んでいることに玄武と朱雀も気づきはじめていた。
だから彼らは昨夜呟いてしまった。
『玄武兄(朱雀)と共に交わるのもよいが、二人きりで交わってみたいものだ』と。
もちろん選ばれれば基本1:1で交わることになるが、それを待てないと思うほどに二神は香子に溺れていた。
領地の変化には四神の心の安定と花嫁への愛が如実に現れる。北と南の領地に変化が起きたということはそういうことなのだ。
『昨夜、その……あの時、何か言いませんでしたか……?』
香子が顔を真っ赤に染め、言いづらそうに聞く。そんな香子に玄武は優しく笑んだ。
『何か、とは?』
『えーと……なんか、大事なことを言われたような気がしたんですけど……あっ……』
いつのまにか朱雀の手が夜着の合わせ目から中に入り込み、香子の慎ましやかな胸をやわやわと揉み始めた。
『朱雀様!!』
香子は朱雀の腕を掴みどうにか外させようとする。それに朱雀が耳元で囁く。
『一日中そなたを抱いていたい』
『っっっっ!!』
とうとうたまらなくなって香子は目をぎゅっとつむった。頭を優しく撫でられる。それは玄武の手だった。
『我も、香子と一日中床で過ごしたいものだ……』
『もうっ! 朱雀様も、玄武様も反則!!!』
全身を朱に染めた香子はもう抵抗することができなかった。だが前夜ただひたすらに貪られた体は素直に空腹という要求を訴え、二神はしぶしぶながら居間へ移動することにしたのだった。
芽生えた独占欲はまだ荷が重かろうと、二神は言わなかったことにした。
四神はお互いに対して嫉妬心はない。花嫁は四神のものであり、それは不文律である。そしてそういうものなのだと香子もやっと理解しはじめている。
だが何故かその夜は少し違う気がした。
二神が情熱的なのは変わらない。そして抱かれている間はなにがなんだかわからなくなるほど乱されることも。
翌朝前夜の自分の痴態を思い出し、香子は玄武の胸に顔を隠すように縋りついた。これもほぼ毎度のことである。
そうやって恥らっている香子を、玄武と朱雀は目がとろけんばかりの愛しさを溢れさせながら見つめている。しっかりと頭が覚醒するまで、そうして香子は前夜のことを反芻し身悶えるのだった。
その時はなにもかもめちゃくちゃなのに、翌朝それを事細かに思い出すというのは拷問なのではないかと香子は思う。
(んー……あれ? 確か何か言っていたような……)
さすがに相手の科白までは覚えていないが、少し気になることを二神が言っていたような気がした。おずおず顔を上げ玄武を窺うと、優しい緑の眼差しと目が合った。みるみるうちに頬が熱くなる。何度も言うようだが香子はメンクイなのだ。朝から至近距離で端正な美貌を目にしたら顔が真っ赤になるのも仕方がない。しかもその美貌の主と……。
『香子、如何した?』
いつだって真摯に向き合い、こう尋ねてくれる玄武が好きだと香子は思う。瞬きも忘れてぼおっと玄武に見惚れていると、後ろから胸の辺りに腕が回ってきた。
朱雀だった。
『香子』
耳元で甘いテナーが名を囁く。
(っ! 耳は弱いんだからやーめーてーーーー!!)
正確には四神の声に弱いのだ。だがそんなことを朱雀に言ったらやめてくれるどころか常に耳元で囁かれそうだと思う。
『……あ……おはようございます、玄武様、朱雀様』
かろうじて挨拶をし、朱雀の腕にそっと手をかけ玄武を見つめた。香子自身は別段四神に平等に接する必要はないのだがそれはなんだか嫌なのでできるだけ気にかけるようにしていた。元来香子は面倒臭がりののんびり屋だと自分で思っている。だから人一倍努力しなければ四神の愛を受け入れるに値しないとも思うのだ。その姿もまた真摯といえよう。もちろん花嫁であることは絶対条件だが、更に四神との未来を考えている香子を彼らが好ましく思わないわけはなかった。
そう、それ故に今まで花嫁を己だけのものにしたいという強い欲求はなかったのに、香子を欲しいと神ではなく動物の本能が叫んでいることに玄武と朱雀も気づきはじめていた。
だから彼らは昨夜呟いてしまった。
『玄武兄(朱雀)と共に交わるのもよいが、二人きりで交わってみたいものだ』と。
もちろん選ばれれば基本1:1で交わることになるが、それを待てないと思うほどに二神は香子に溺れていた。
領地の変化には四神の心の安定と花嫁への愛が如実に現れる。北と南の領地に変化が起きたということはそういうことなのだ。
『昨夜、その……あの時、何か言いませんでしたか……?』
香子が顔を真っ赤に染め、言いづらそうに聞く。そんな香子に玄武は優しく笑んだ。
『何か、とは?』
『えーと……なんか、大事なことを言われたような気がしたんですけど……あっ……』
いつのまにか朱雀の手が夜着の合わせ目から中に入り込み、香子の慎ましやかな胸をやわやわと揉み始めた。
『朱雀様!!』
香子は朱雀の腕を掴みどうにか外させようとする。それに朱雀が耳元で囁く。
『一日中そなたを抱いていたい』
『っっっっ!!』
とうとうたまらなくなって香子は目をぎゅっとつむった。頭を優しく撫でられる。それは玄武の手だった。
『我も、香子と一日中床で過ごしたいものだ……』
『もうっ! 朱雀様も、玄武様も反則!!!』
全身を朱に染めた香子はもう抵抗することができなかった。だが前夜ただひたすらに貪られた体は素直に空腹という要求を訴え、二神はしぶしぶながら居間へ移動することにしたのだった。
芽生えた独占欲はまだ荷が重かろうと、二神は言わなかったことにした。
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