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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
17.ねむねむでもふもふ
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昼食後、香子はうっすらとした眠気におそわれた。ふんわりしててなんだか頭に靄がかかっているというかんじである。
この大陸中の国の位置を大体把握した香子であったが、中国以外の国は全くと言っていいほどわかっていないのでどうしたものかと考えた。香子の世界ではシーザン(チベット)は国ではなかったし、オロス(ロシア)ということはソビエト連邦はどうなってるのか疑問だし、インドがなくてバジスタン(パキスタン)があるということは水の問題で争いはないのだろうかとか、どうして中東のボースー(ペルシャ)があるのにトルコはないのかとかツッコミどころは満載である。
それより何より香子の世界の中国に繋がる唐の国の存在が最大の謎だ。
(いずれ歴史書も見せてもらえるかなぁ……)
見せてもらったところで読めるかどうかも謎ではあるのだが。
先日目録を見せてもらった時、文字は繁体字で、句読点がないことは確認していた。ということは書き言葉も香子の知る中国で言うところの漢文(古代漢語)である可能性が高い。漢文と現代中国語は、日本の古文と現代語ぐらい隔たりがある。つまりきちんと勉強しないとわからないレベルなのだ。
ちなみに香子は日本の古文が苦手である。はっきり言って、春はあけぼの、ようよう白くなりゆく山ぎは少しあかりて……なんて言われてもさっぱり意味がわからない。己の勉強不足は間違いないが、あれは絶対古文の先生が悪いと思うのだ。
当時の古文の先生は、「日本の古文の文法は英語の文法に似ている」とかわけのわからないことをのたまったのだ。何故日本語なのに英語の文法!? そんな昔に国交とかなかったはずなのに英語どっから来た!? とみんな頭にクエスチョンマークが浮かんだに違いない。中国語を話す今ならわかるが、日本の古文の文法は漢文の文法を使って書かれていたのだろう。確かに中国語の基本文型は英語と似ている。日本語の文法が主語+目的語+述語なのに対して英語も中国語も主語+述語+目的語なのだ。だからあの先生も、「古文の文法は漢文と同じ。漢文の文法は英語に似ている」と説明してくれればよかったのにと香子は思う。あのわけのわからない説明のおかげで香子は古文が苦手になったのだ。つまりは英語も苦手なんである。
閑話休題。
現在とにかく香子は眠かった。
一番近くにいた白虎がそれに気付き、
『香子、どうする? 寝るか?』
と優しく声をかけた。せっかく朝早く起きたのに昼寝をしてしまうのはもったいない気がしたが、急いですることがあるわけでもない。
『はい……寝ます……』
とうとうとしながら応えると、白虎に抱き上げられた。そのまま香子の部屋に運んでくれるのかと思ったら何故か白虎の室に運ばれた。白虎の床に下ろされ、あろうことか白虎は香子の目を塞いで元の姿になった。
『え? 白虎様?』
『共に午睡もよかろう』
戸惑いながらももふもふの毛皮に包まれて、香子は思わずにんまりした。こんな幸せがそうそうあるものではない。
(そういえば虎は夜行性だっけ……)
ふあぁ~とあくびをして香子は白虎に寄り添った。ふあふあというほどではないがもふもふである白虎の毛皮を軽く掴むようにしながら撫でる。そういえばこんなに穏やかな昼寝も久しぶりである。
今夜は朱雀と……玄武も一緒なのだろうか。
せめて昼は交流を深める為に、たまには白虎と青龍の二神と過ごすことを提案してみようかとも思う。そんなことをつらつらと考えている間に香子は眠ってしまった。
香子の呼吸が眠っているそれになっていることを確認して白虎は薄目を開ける。そして守るように香子をそっと抱き直した。
この大陸中の国の位置を大体把握した香子であったが、中国以外の国は全くと言っていいほどわかっていないのでどうしたものかと考えた。香子の世界ではシーザン(チベット)は国ではなかったし、オロス(ロシア)ということはソビエト連邦はどうなってるのか疑問だし、インドがなくてバジスタン(パキスタン)があるということは水の問題で争いはないのだろうかとか、どうして中東のボースー(ペルシャ)があるのにトルコはないのかとかツッコミどころは満載である。
それより何より香子の世界の中国に繋がる唐の国の存在が最大の謎だ。
(いずれ歴史書も見せてもらえるかなぁ……)
見せてもらったところで読めるかどうかも謎ではあるのだが。
先日目録を見せてもらった時、文字は繁体字で、句読点がないことは確認していた。ということは書き言葉も香子の知る中国で言うところの漢文(古代漢語)である可能性が高い。漢文と現代中国語は、日本の古文と現代語ぐらい隔たりがある。つまりきちんと勉強しないとわからないレベルなのだ。
ちなみに香子は日本の古文が苦手である。はっきり言って、春はあけぼの、ようよう白くなりゆく山ぎは少しあかりて……なんて言われてもさっぱり意味がわからない。己の勉強不足は間違いないが、あれは絶対古文の先生が悪いと思うのだ。
当時の古文の先生は、「日本の古文の文法は英語の文法に似ている」とかわけのわからないことをのたまったのだ。何故日本語なのに英語の文法!? そんな昔に国交とかなかったはずなのに英語どっから来た!? とみんな頭にクエスチョンマークが浮かんだに違いない。中国語を話す今ならわかるが、日本の古文の文法は漢文の文法を使って書かれていたのだろう。確かに中国語の基本文型は英語と似ている。日本語の文法が主語+目的語+述語なのに対して英語も中国語も主語+述語+目的語なのだ。だからあの先生も、「古文の文法は漢文と同じ。漢文の文法は英語に似ている」と説明してくれればよかったのにと香子は思う。あのわけのわからない説明のおかげで香子は古文が苦手になったのだ。つまりは英語も苦手なんである。
閑話休題。
現在とにかく香子は眠かった。
一番近くにいた白虎がそれに気付き、
『香子、どうする? 寝るか?』
と優しく声をかけた。せっかく朝早く起きたのに昼寝をしてしまうのはもったいない気がしたが、急いですることがあるわけでもない。
『はい……寝ます……』
とうとうとしながら応えると、白虎に抱き上げられた。そのまま香子の部屋に運んでくれるのかと思ったら何故か白虎の室に運ばれた。白虎の床に下ろされ、あろうことか白虎は香子の目を塞いで元の姿になった。
『え? 白虎様?』
『共に午睡もよかろう』
戸惑いながらももふもふの毛皮に包まれて、香子は思わずにんまりした。こんな幸せがそうそうあるものではない。
(そういえば虎は夜行性だっけ……)
ふあぁ~とあくびをして香子は白虎に寄り添った。ふあふあというほどではないがもふもふである白虎の毛皮を軽く掴むようにしながら撫でる。そういえばこんなに穏やかな昼寝も久しぶりである。
今夜は朱雀と……玄武も一緒なのだろうか。
せめて昼は交流を深める為に、たまには白虎と青龍の二神と過ごすことを提案してみようかとも思う。そんなことをつらつらと考えている間に香子は眠ってしまった。
香子の呼吸が眠っているそれになっていることを確認して白虎は薄目を開ける。そして守るように香子をそっと抱き直した。
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