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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
13.時間をください ※R13
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玄武に抱かれて戻ってきた香子を二神は咎めなかった。白虎の室の長椅子に、先程のように白虎を椅子にして腰掛ける。
香子は申し訳なくて頭を深く下げた。
『白虎様、青龍様、逃げてしまってごめんなさい!』
二神は笑んだ。
『我が悪かったのだ。そなたが気にすることではない』
白虎の科白に香子は首を振った。
『違うんです! 私、その、びっくりしたんです……ええと、白虎様に口づけられたことではなくて……』
『香子』
白虎が背後からやんわりと香子のおなかの部分に腕を回した。
『玄武兄が伝えてくれた。……そなたが我らを憎からず思ってくれていることも』
香子は真っ赤になった。
『……はい、あの……でも、もう少し待ってほしいんです……』
『どれぐらい待てばいい?』
青龍が聞く。その顔を見るとなんだか面白そうな色を浮かべていた。どうやらからかっているらしい。
(むーかーつーくーわー……)
香子はむーっとした顔になる。だが本当のところ、青龍は香子の沈んだ気持ちを持ち上げてくれようとしているのかもしれなかった。
『……そうですね。もう少しお互いを知るまで、ですかね』
最初からほぼ玄武、朱雀と共にいるので白虎や青龍との交流が少ない。その為彼らが何を考えてるのかわからない。香子には無条件に好意を持っているのだろうけれど、それはそれとして二神を知る時間がほしいと思うのだ。
『そうだな、だが……』
言いながら青龍の顔が近付いてくる。香子は思わず目をぎゅっと閉じた。何度も言うがイケメンにはとにかく弱いのだ。
ちゅっ……と啄むような口づけをされて香子は目を開けた。至近距離に青龍の顔がある。反射的にまた目を閉じてしまう。するとまたちゅっ。目を開ける。
『あああああの、青龍様?』
『なんだ?』
そんな至近距離で小首を傾げて微笑まないでほしい。香子の顔は真っ赤だった。しかもそれを咎めるように、おなかに回されている白虎の腕が力を持つ。
『香子……我のことは忘れていないか?』
白虎の低い声が耳に届いて腰が砕けそうだ。
『わ、忘れてなんか、いません……』
白虎の声は玄武より低いバスだ。それが元の姿に変態すると更に低いバスの音になる。
どうしてこう四神は顔といい体といい声といい完璧なのだろうか。やっぱり神様だからか。
(私をこんなに夢中にさせてどうするつもりなのー)
どきどきが止まらないではないか。しまいにはどきがむねむねするとか親父みたいなギャグまで連発しそうな勢いである。
『香子……口づけもだめか……?』
そんなにしっとりとした声音で言わないでほしい。もうかなり切実に。
『……ううう……口づけだけですよ?』
ともうやるかたなく答えると顔を引き寄せられた。はっとしてその顔を手で押さえる。
『香子……』
『ええと! 口づけは顔だけです! 他のところは絶対絶対だめですからね!』
なんだか嫌な予感がして強調すると、ちっと舌打ちするような音が聞こえた。青龍だった。
(あ、ああああぶなかったああああ……)
エロ本とかでキスだけとか女の子が言ったら全身キスとかそういうシチュエーションがあるではないか! といくらなんでもそんな展開にはならないと思いつつ言ってみたのだが、青龍的にはありだったらしい。男の考えることは人間でも神様でも変わらないようだ。
『……わかった。もういいな?』
顔を押さえられていた白虎が香子の手を外し、今度こそ口づけられる。こればかりは香子も阻むことはできなかった。
「……んんっ……」
長い舌が口腔内を舐めまわし香子の舌を捕える。舌と舌が触れあった時背筋に痺れを覚えて香子は震えた。そのまま体勢を器用に変えられ、抱き上げられる。香子はそっと腕を白虎の首に回した。
きっとこのまま寝室に運ばれるのだろう。
今はただ白虎の青龍の理性に縋るしかなかった。
香子は申し訳なくて頭を深く下げた。
『白虎様、青龍様、逃げてしまってごめんなさい!』
二神は笑んだ。
『我が悪かったのだ。そなたが気にすることではない』
白虎の科白に香子は首を振った。
『違うんです! 私、その、びっくりしたんです……ええと、白虎様に口づけられたことではなくて……』
『香子』
白虎が背後からやんわりと香子のおなかの部分に腕を回した。
『玄武兄が伝えてくれた。……そなたが我らを憎からず思ってくれていることも』
香子は真っ赤になった。
『……はい、あの……でも、もう少し待ってほしいんです……』
『どれぐらい待てばいい?』
青龍が聞く。その顔を見るとなんだか面白そうな色を浮かべていた。どうやらからかっているらしい。
(むーかーつーくーわー……)
香子はむーっとした顔になる。だが本当のところ、青龍は香子の沈んだ気持ちを持ち上げてくれようとしているのかもしれなかった。
『……そうですね。もう少しお互いを知るまで、ですかね』
最初からほぼ玄武、朱雀と共にいるので白虎や青龍との交流が少ない。その為彼らが何を考えてるのかわからない。香子には無条件に好意を持っているのだろうけれど、それはそれとして二神を知る時間がほしいと思うのだ。
『そうだな、だが……』
言いながら青龍の顔が近付いてくる。香子は思わず目をぎゅっと閉じた。何度も言うがイケメンにはとにかく弱いのだ。
ちゅっ……と啄むような口づけをされて香子は目を開けた。至近距離に青龍の顔がある。反射的にまた目を閉じてしまう。するとまたちゅっ。目を開ける。
『あああああの、青龍様?』
『なんだ?』
そんな至近距離で小首を傾げて微笑まないでほしい。香子の顔は真っ赤だった。しかもそれを咎めるように、おなかに回されている白虎の腕が力を持つ。
『香子……我のことは忘れていないか?』
白虎の低い声が耳に届いて腰が砕けそうだ。
『わ、忘れてなんか、いません……』
白虎の声は玄武より低いバスだ。それが元の姿に変態すると更に低いバスの音になる。
どうしてこう四神は顔といい体といい声といい完璧なのだろうか。やっぱり神様だからか。
(私をこんなに夢中にさせてどうするつもりなのー)
どきどきが止まらないではないか。しまいにはどきがむねむねするとか親父みたいなギャグまで連発しそうな勢いである。
『香子……口づけもだめか……?』
そんなにしっとりとした声音で言わないでほしい。もうかなり切実に。
『……ううう……口づけだけですよ?』
ともうやるかたなく答えると顔を引き寄せられた。はっとしてその顔を手で押さえる。
『香子……』
『ええと! 口づけは顔だけです! 他のところは絶対絶対だめですからね!』
なんだか嫌な予感がして強調すると、ちっと舌打ちするような音が聞こえた。青龍だった。
(あ、ああああぶなかったああああ……)
エロ本とかでキスだけとか女の子が言ったら全身キスとかそういうシチュエーションがあるではないか! といくらなんでもそんな展開にはならないと思いつつ言ってみたのだが、青龍的にはありだったらしい。男の考えることは人間でも神様でも変わらないようだ。
『……わかった。もういいな?』
顔を押さえられていた白虎が香子の手を外し、今度こそ口づけられる。こればかりは香子も阻むことはできなかった。
「……んんっ……」
長い舌が口腔内を舐めまわし香子の舌を捕える。舌と舌が触れあった時背筋に痺れを覚えて香子は震えた。そのまま体勢を器用に変えられ、抱き上げられる。香子はそっと腕を白虎の首に回した。
きっとこのまま寝室に運ばれるのだろう。
今はただ白虎の青龍の理性に縋るしかなかった。
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