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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
9.もふもふは至福なのです
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食後のお茶を飲み、これからどうしようかと香子は思う。午前中にお茶はしてしまったので午後もお茶、というのはおなかががぽがぽになりそうだ。そうは言っても他に行けるところもないし、と考えたところでここのところしていなかったことを思い出した。
『……白雲さん、贈物ってどうなってます?』
『目録は届いております』
香子は嘆息した。だから自分に贈物などしてどうするというのだ。
『確認したいので運んでもらうよう言ってください』
『承知しました』
目録を見ても香子はよくわからない為、今回はそのまま品物を持ってきてくれたらしい。
そうして謁見の間に広がった惨状を見て、香子は大きなため息をついた。
きっと後宮の女性たちが見たら目の色を変えて喜びそうな光景ではあるが香子にとっては惨状と言いたくなるような状況でしかない。広げられた品物を黒月と見て回り、キャッツアイの混じった装飾品だけは全て回収する。こればっかりは好きなのだから仕方がない。
中には豪華なカバーのついたメモ帳のような品物もあって、紙も貴重品なのだということが伺えた。メモ帳なども助かるので全て回収した。そうして残りはまた侍女たちに選ばせることにして、とりあえず茶室に移動した。
今日はため息をついてばかりだと香子は思う。
(誰のせいよ!?)
一部は朱雀のせいだと思う。今日香子の斜め隣に座るのは白虎と青龍だ。嫉妬してほしいわけではないが少しは気にしてほしいような……そんなもやもやした気持ちがあった。女心はいつだって複雑なのである。
(白虎様と一緒にいるのも生殺しだよね……だってあのもふもふ……)
香子の中で白虎は大きな猫みたいな物だった。けれど元の姿に戻ると本能が出てしまうと聞くし、そう思うと元の姿に戻ってくれとは言えない。でももふもふしたい。でもさすがに獣姦は嫌だ。悩ましいところである。
手が無意識のうちにわきわきしていたらしい。白虎が苦笑した。
『香子、そなに我に触れたいか』
『え、えええええっ!!?』
聞きようによってはとんでもない科白なのだが白虎は香子の狼狽に目を丸くした。
『……違ったか?』
『い、いえいえいえいいえ! あーと、うーと、えーと……白虎様の毛皮をなでなでしたいです!!』
正直な答えに白虎は笑んだ。
『まだ昼ではあるし……青龍と共であれば少しはよいぞ』
(も、もふもふーーーー!!!)
キラーン! と香子の目の色が変わる。その様子に四神は苦笑した。どうしてそんなに白虎に触りたいのかわからないが、一つ言えることは香子の目が獲物を狙うようなそれに変わったということである。
お茶をある程度飲み終えたところで白虎に抱きあげられ、香子はうきうきしながら白虎の室に入った。もちろん青龍も共にである。
(もふもふ、もふもふ……)
先日のように寝室に連れていかれ、優しく寝台の上に下ろされた。
「?」
先日は寝室に入ったところでその瞬間を待っていたはずである。なのに今日は寝台の上で元の姿に戻るというのだろうか。
『香子、目を閉じなさい』
威厳のある声で言われ、香子は反射的に目を閉じた。この間のようにぶわっと一瞬風が吹く。それがおさまると常より低い声で『目を開けてもよいぞ』と言われた。
寝台に立派な白い虎が悠然と横たわっていた。
それに香子はうっとりと見惚れる。
(なんて……キレイなの……)
そっと近寄り、『触ってもいいですか?』と聞く。白虎がぐるる……と喉を鳴らす。不快なかんじは受けなかったかので、香子は目の前に座ってその毛を撫でた。
(動物って目を合わせちゃいけないんだっけ?)
人型の時にはよく目が合った気がするが、元の姿だと本能が出るというぐらいだから目を合わせてはいけないのだろう。首の辺りから背中までの間を撫でていると、前足が崩して座っている香子の足に置かれた。
(ま、前足ーーーー!!!)
肉球を触らせてもらいたかったがいきなり触るのはダメだろうと、そっとその前足も撫でる。ぐるぐると心地よさそうに喉を鳴らされて香子は嬉しくなった。
『はーーーー! 幸せーーーー!!』
思わず本音が口から飛び出して二神に笑われたが、ようは香子が満足しているかどうかが問題なのだから無視することにした。
『……白雲さん、贈物ってどうなってます?』
『目録は届いております』
香子は嘆息した。だから自分に贈物などしてどうするというのだ。
『確認したいので運んでもらうよう言ってください』
『承知しました』
目録を見ても香子はよくわからない為、今回はそのまま品物を持ってきてくれたらしい。
そうして謁見の間に広がった惨状を見て、香子は大きなため息をついた。
きっと後宮の女性たちが見たら目の色を変えて喜びそうな光景ではあるが香子にとっては惨状と言いたくなるような状況でしかない。広げられた品物を黒月と見て回り、キャッツアイの混じった装飾品だけは全て回収する。こればっかりは好きなのだから仕方がない。
中には豪華なカバーのついたメモ帳のような品物もあって、紙も貴重品なのだということが伺えた。メモ帳なども助かるので全て回収した。そうして残りはまた侍女たちに選ばせることにして、とりあえず茶室に移動した。
今日はため息をついてばかりだと香子は思う。
(誰のせいよ!?)
一部は朱雀のせいだと思う。今日香子の斜め隣に座るのは白虎と青龍だ。嫉妬してほしいわけではないが少しは気にしてほしいような……そんなもやもやした気持ちがあった。女心はいつだって複雑なのである。
(白虎様と一緒にいるのも生殺しだよね……だってあのもふもふ……)
香子の中で白虎は大きな猫みたいな物だった。けれど元の姿に戻ると本能が出てしまうと聞くし、そう思うと元の姿に戻ってくれとは言えない。でももふもふしたい。でもさすがに獣姦は嫌だ。悩ましいところである。
手が無意識のうちにわきわきしていたらしい。白虎が苦笑した。
『香子、そなに我に触れたいか』
『え、えええええっ!!?』
聞きようによってはとんでもない科白なのだが白虎は香子の狼狽に目を丸くした。
『……違ったか?』
『い、いえいえいえいいえ! あーと、うーと、えーと……白虎様の毛皮をなでなでしたいです!!』
正直な答えに白虎は笑んだ。
『まだ昼ではあるし……青龍と共であれば少しはよいぞ』
(も、もふもふーーーー!!!)
キラーン! と香子の目の色が変わる。その様子に四神は苦笑した。どうしてそんなに白虎に触りたいのかわからないが、一つ言えることは香子の目が獲物を狙うようなそれに変わったということである。
お茶をある程度飲み終えたところで白虎に抱きあげられ、香子はうきうきしながら白虎の室に入った。もちろん青龍も共にである。
(もふもふ、もふもふ……)
先日のように寝室に連れていかれ、優しく寝台の上に下ろされた。
「?」
先日は寝室に入ったところでその瞬間を待っていたはずである。なのに今日は寝台の上で元の姿に戻るというのだろうか。
『香子、目を閉じなさい』
威厳のある声で言われ、香子は反射的に目を閉じた。この間のようにぶわっと一瞬風が吹く。それがおさまると常より低い声で『目を開けてもよいぞ』と言われた。
寝台に立派な白い虎が悠然と横たわっていた。
それに香子はうっとりと見惚れる。
(なんて……キレイなの……)
そっと近寄り、『触ってもいいですか?』と聞く。白虎がぐるる……と喉を鳴らす。不快なかんじは受けなかったかので、香子は目の前に座ってその毛を撫でた。
(動物って目を合わせちゃいけないんだっけ?)
人型の時にはよく目が合った気がするが、元の姿だと本能が出るというぐらいだから目を合わせてはいけないのだろう。首の辺りから背中までの間を撫でていると、前足が崩して座っている香子の足に置かれた。
(ま、前足ーーーー!!!)
肉球を触らせてもらいたかったがいきなり触るのはダメだろうと、そっとその前足も撫でる。ぐるぐると心地よさそうに喉を鳴らされて香子は嬉しくなった。
『はーーーー! 幸せーーーー!!』
思わず本音が口から飛び出して二神に笑われたが、ようは香子が満足しているかどうかが問題なのだから無視することにした。
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