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第1部 四神と結婚しろと言われました

154.収まるところに収まったらしい ※R13

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 玄武のベッドは広いので玄武と朱雀、香子が乗ってもそれほど狭くは感じない。そう考えるとどれだけ広くて丈夫なのだろうと香子は思う。……四神に本当の意味で重さがあればの話だが。
 床に下ろされたこの状況で考えると言ったら現実逃避でしかない。
 玄武も朱雀も好きだが、どうしても三人でというのが異常にしか思えない。
 しかも今夜はなんだか夜着がいつもと違う。けれどガウンの合わせを開く手は、今度は止まらなかった。

『だめっ……!』

 玄武は一瞬眉を上げ、朱雀は『ほぅ……』と面白そうな色を浮かべた。そのままガウンを脱がされ夜着を見られてしまう。香子はいたたまれなくなってぎゅっと目をつぶった。
 用意をしたのは侍女たちなのだから香子がそこまで恥ずかしがることはないのだが、着ることに抵抗するほどではなかった為なんとなく後ろめたい。
 二神の目が舐めるように香子を見ていたが幸い香子は気付かなかった。

『……婀娜っぽいものですな。真っ赤な夜着も似合いそうだ』

 朱雀のテノールが色を含んでいるのに香子は震えた。見なくても朱雀が自分の姿を眺めているのが感じられた。

『目を開けてはくれぬのか』

 目元に口づけられ開けることを促される。この声は玄武だ。
 夜着の上から二神の手が香子に触れる。大きな四つの手が好きなように香子を翻弄する。どれかの手を掴み止めようとしてもかえって取り上げられ、濡れた感触を指に覚えた時たまらずに目を開けた。

「……ああ……」

 香子を見つめている二神と目が合って、思わずため息をつくように声を上げた。
 元より惚れた相手の欲情した眼差しに逆らえるはずはないのだ。
 そうして香子は二神にその身を委ねた。


 *  *


 皇族の失態は皇帝の権威に陰りを帯びさせる。その為早急に処分を決定する必要があった。
 翌朝皇帝は妹である昭正公主の処遇を決めた。

 公主は嫁ぐまで謹慎処分となった。
 太極宮(公主個人の宮)の中は自由にしてもよいが表には一切出られない。つまりこれから先晩餐会があっても出られないし王城の中を歩くこともできない。文字通り軟禁である。
 それだけでなく面会も制限を設けた。
 そして四神の花嫁についていらぬ噂を公主に告げた侍女たちは捕えられ、皇后、公主の前で苔杖(木の棒や竹の棒で叩く刑罰)に処せられた。見せしめの為である。
 さすがに皇后、公主共に他人事とは思わなかったらしく侍女たちが刑を受けている間顔を蒼褪めさせていたという。
 皇后も十日間の謹慎処分とした。ただ後宮の中は自由に動けることとした。皇帝の寵を受けていないと誰もがわかっていても皇后は皇后である。それをわかっていない者はそれ相応の処罰を受けた。
 謹慎の期間を十日と定めたのにもわけがある。皇太后が王都に向かっていることは前述した。さすがにどんなに早くても十日で王都に着くことはありえないだろう。皇太后を迎える時に皇后を欠席させるわけにはいかなかった。
 これらの処分内容については王英明から眷族に伝えられ、その上で四神が改めて王英明から直接聞いた。香子には伝えられなかったが、香子自身も聞きたいとは思わなかった。
 それよりも翌朝はまた体が動かなくて香子は玄武と朱雀に怒ったのだが、その日は特にすることもないだろうとそのまままた床に押し倒されほぼ一日中玄武の室から出てこれなかった。
 結局食事と湯あみ以外では玄武の室から出られず、やっと一旦解放された翌翌日の朝、香子はあまりの爛れっぷりに全身を真っ赤に染めて頭を抱えたのである。
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