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第1部 四神と結婚しろと言われました

117.この状態は逆ハーですか? ※R13

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 全て写真を見終わった後、玄武が香子の髪に口づけた。

『そなたの世界にはこのように便利なものがあるのだな』
『はい、でもきっと生きているうちに消えてしまうと思いますけど……』
『消えてしまう?』

 朱雀に聞き返されて香子はちょっと考えるような顔をした。

『原理はよくわからないんですが、何十年かで退色して劣化していくはずなんです。だから大事にしないと……』
『ふむ……』

 玄武と朱雀は写真を見ながら何やら考えているようだった。

『このように精巧な写し絵を失うのはもったいない。明日にでも白虎と青龍を交えて相談しよう』
『……え……』

 たかが写真が大事になっていると香子は冷汗をかいた。もちろん香子にとっては”たかが”ではないが、なんだか申し訳ないような気持ちになってしまう。

『あ、あのー……無理ならいいので……』

 その気持ちだけでもすごく嬉しい。香子は恐縮しながらも微笑んだ。

『いや、どうにか保存する方法はあるはずだ。何日かかかるやもしれぬが待っていてほしい』

 玄武が真摯に言う。香子はそれにコクン、と頷いた。
 もしできなくても不満を顔に出さないようにしようと思う。

(なんて贅沢……)

 これがいわゆる逆ハーと呼ばれる現象だろうかと香子は考える。
 少女系のライトノベルでたまーに見かけるがついわくわくして読んでしまう。そんな現象がまさか自分の身に起こるなんて! というかんじである。

(うーん、でもライトノベルではここまでエロいことはないか……)

 そんなことを考えている間に朱雀に手を取られ抱き上げられていた。香子は首を傾げる。朱雀に抱き上げられるのは最初の頃ぶりかもしれない。

「?」

 香子の疑問に気付いたのか、朱雀が少し意地悪そうに笑んだ。

『昨夜は本懐を遂げられなかったのでな……今宵は我の腕の中で感じておくれ』

 その甘い科白に香子はぴきーんと固まった。全身が真っ赤に染まる。
 そんな香子を眺めながら朱雀は香子の部屋を出、自分の室に向かった。その後ろに玄武が続く。朱雀の寝室にまっすぐ運ばれ、口づけを受ける。
 さすが火の化身と言いたくなるぐらい朱雀は熱い。香子を抱き上げる腕も、口づけてくる唇も圧倒的な存在感を香子に与える。

「……んんっ……」

 けれど香子は抱かれる前に聞きたいことがあった。
 くちゅくちゅと音を立てて舌を吸われ口腔内を舐められる。響く音だけでもうどうにでもしてくれと言いたくなる自分がとても困る。朱雀の胸を軽くトントンと叩いてどうにか口づけを解いてもらった。

『どうした?』
『……はぁ……あの、聞きたいことがあって……』

 香子の科白に朱雀は眉を寄せる。正直朱雀としては今すぐにでも奪ってしまいたい心境だった。

『あとではいけないか?』

 朱雀が不満そうなのはよくわかる。けれどこれだけは聞いておかないと香子も集中できないのだ。
 抱かれてもいいほどの好きなのだから、気がかりがある状態で朱雀に抱かれたくはない。恥ずかしいけど、素直に感じたいと思うのだ。

『ええと、一応朱雀様に抱かれることと関係していると思うので……』

 赤くなりながら言うと、朱雀はそっと香子をベッドに下ろしてくれた。その両脇に朱雀と玄武が腰掛ける。
 香子は自分の長い髪に指を絡めた。根元の方は黒くなってきているのだろうが、毛先は相変わらずキレイなワインレッドである。そして朱雀の髪を見る。こちらも香子の現在の髪の色と似ていた。

『あの……朱雀様と同じ髪の色にするには抱かれないとならないのですよね』

 そんなことかというように朱雀が笑む。

『それから熱も、丸一日受ける必要があるとか……』
『すでにそなたは我の熱を何日か受け続けているから、そうだな……今夜を入れて五日程我に抱かれ続ければ髪の色も定着するはずだ』
(五日!?)

 香子は耳を疑った。いくら夜だけとはいえ五日も続けてあんな熱を受けながら朱雀に抱かれたら脳までぐずぐずに溶けてしまいそうである。
 それに。
 香子は指折り数えはじめた。

(やっぱり……)
『……熱を受けるのは続けてでないと意味がないのですよね?』
『まぁな。三日程度空けても問題はないが、それ以上空くと定着させるのは難しい』
『そっかー……』

 つまり日数を空けてしまうとふりだしに戻るというわけだ。

(もったいないけどしょうがないよね……)
『何か問題でも?』

 不思議そうに聞かれて、香子は嘆息した。こういうことは男性はわからないものなのだろう。

『予定通りなら私、明後日には生理がくるはずなんですよね』

 香子の科白に玄武と朱雀は目を丸くした。
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