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第1部 四神と結婚しろと言われました
106.四神の箍が外れてきているようです ※R13
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結局、香子がみなの顔を見ることができたのは夕食の時間になってからだった。
あれから玄武が拗ねたように、『そういえば昨夜あまりそなたの胸を愛でていない……』などとのたまったのだ。『そういうことは夜にお願いします!』と言ったのだが、一旦スイッチの入った玄武を止めることはできず、玄武が満足するまで胸を揉んだり舐めたり吸われたりとたっぷり刺激されることとなった。
おかげで解放された時には胸がじんじんと熱を持ってしまっていて、下着を身に付けるにも難儀してしまったのはないしょである。
(……私、早まったかしら……)
さすがにちらっと考えてしまう。ぐったりした香子とは対照的に玄武はご機嫌だった。
その日の夕食には北京ダックが出てきた。
それだけで香子はなんらかの意図を感じて頭を抱えたくなった。
(体力つけろってことかなー……)
元々北京ダックなんて誰かが来た時ぐらいしか食べに行くことはなかった。日本では何きれという単位でしか出てこないのだろうが、基本北京では一羽単位でしか出してくれない。二~三人で食べきれる量ではないので人が多くないと頼まないのだ。
北京ダックが丸のまま運ばれて来、それを調理人らしき者がすっすっときれいに切って皿に並べていく。卓に餃子の皮より一、二周り大きいクレープの皮のようなものを載せた皿、たれの入った皿、きゅうり、ねぎを細い棒状に切ったものを乗せた皿が並べられた。
基本北京ダックは皮に身をつけた状態の物だけを食べ、中身はチャーハンの具にするかスープのだしにする。外側の部分を全て切り取られた残りをどう調理するか聞かれたのでスープにしてほしいと言った。
さすがに北京ダックとチャーハンを同時に食べきるのは難しい。
『これは元の世界にもあるのか?』
香子が手慣れた仕草でクレープの皮のような物を手に取り、きゅうりとねぎを並べ、切り取られた北京ダックをたれにつけてその上に乗せ、それを皮に包んでいざ食べようとした時玄武に聞かれた。
『ありますよ。人が多くないと頼みづらいのでめったには食べませんでしたが』
そう言いながらどうせなのですでに包んだものを玄武にはい、と差し出した。
それに玄武は相好を崩した。
『いいのか?』
『北京ダックはみんなで食べないとおいしくないですから、どうぞ』
そう言ってもう一つを包みはじめると朱雀にも声をかけられた。
『香子、我にも用意してはくれまいか?』
『いいですよ。どうぞ』
渡された朱雀はとても嬉しそうにその包みを受け取った。二神にだけ作るというのも不公平な気がして、香子は白虎にも青龍にも包みを渡した。
『お、いいのか?』
『我にまで気を使わなくてもよいのだぞ?』
そう言いながら白虎と青龍もなんだか嬉しそうに見えた。そして自分の分を包み、やっと香子は食べることができた。
『おいしーい!』
北京ダック自体はかなり脂っこいのだがこういう風に食べるとすごくおいしい。たれの味が絶品で香子はにこにこした。
(名物にうまいものなしっていうけど、北京ダックはまずいと思ったことないなー)
北京ダックを売って(食べさせて)くれるのは一羽単位だが決して高いとはいえない。香子が北京に留学した当初の一九九八年、大学のそばで一羽十八元(1元=約十五円だったので二百七十円)で食べることができた。さすがに安いのでものすごくおいしいというほどではなかったが、こういうものなのかと満足した覚えがある。値段はピンキリで、香子が食べた十八元というものから一羽百元以上というのもあるが、それでも日本の物価から考えたら安いだろう。
さて、香子が北京ダックに舌鼓を打っている間に四神たちはとても幸せな誤解をしていた。四神にとって食べ物を渡すというのは一生共にありたいという求愛行動であったのだ。だから玄武は朝も昼も甲斐甲斐しく香子に食べ物を渡していたのだがそんなことを香子が知るわけはない。
ようは北京ダックの包みを渡したことで、四神とずーっと一緒にいたいと告白したことになってしまったのだが、香子は全く気付いてもいなかった。
あれから玄武が拗ねたように、『そういえば昨夜あまりそなたの胸を愛でていない……』などとのたまったのだ。『そういうことは夜にお願いします!』と言ったのだが、一旦スイッチの入った玄武を止めることはできず、玄武が満足するまで胸を揉んだり舐めたり吸われたりとたっぷり刺激されることとなった。
おかげで解放された時には胸がじんじんと熱を持ってしまっていて、下着を身に付けるにも難儀してしまったのはないしょである。
(……私、早まったかしら……)
さすがにちらっと考えてしまう。ぐったりした香子とは対照的に玄武はご機嫌だった。
その日の夕食には北京ダックが出てきた。
それだけで香子はなんらかの意図を感じて頭を抱えたくなった。
(体力つけろってことかなー……)
元々北京ダックなんて誰かが来た時ぐらいしか食べに行くことはなかった。日本では何きれという単位でしか出てこないのだろうが、基本北京では一羽単位でしか出してくれない。二~三人で食べきれる量ではないので人が多くないと頼まないのだ。
北京ダックが丸のまま運ばれて来、それを調理人らしき者がすっすっときれいに切って皿に並べていく。卓に餃子の皮より一、二周り大きいクレープの皮のようなものを載せた皿、たれの入った皿、きゅうり、ねぎを細い棒状に切ったものを乗せた皿が並べられた。
基本北京ダックは皮に身をつけた状態の物だけを食べ、中身はチャーハンの具にするかスープのだしにする。外側の部分を全て切り取られた残りをどう調理するか聞かれたのでスープにしてほしいと言った。
さすがに北京ダックとチャーハンを同時に食べきるのは難しい。
『これは元の世界にもあるのか?』
香子が手慣れた仕草でクレープの皮のような物を手に取り、きゅうりとねぎを並べ、切り取られた北京ダックをたれにつけてその上に乗せ、それを皮に包んでいざ食べようとした時玄武に聞かれた。
『ありますよ。人が多くないと頼みづらいのでめったには食べませんでしたが』
そう言いながらどうせなのですでに包んだものを玄武にはい、と差し出した。
それに玄武は相好を崩した。
『いいのか?』
『北京ダックはみんなで食べないとおいしくないですから、どうぞ』
そう言ってもう一つを包みはじめると朱雀にも声をかけられた。
『香子、我にも用意してはくれまいか?』
『いいですよ。どうぞ』
渡された朱雀はとても嬉しそうにその包みを受け取った。二神にだけ作るというのも不公平な気がして、香子は白虎にも青龍にも包みを渡した。
『お、いいのか?』
『我にまで気を使わなくてもよいのだぞ?』
そう言いながら白虎と青龍もなんだか嬉しそうに見えた。そして自分の分を包み、やっと香子は食べることができた。
『おいしーい!』
北京ダック自体はかなり脂っこいのだがこういう風に食べるとすごくおいしい。たれの味が絶品で香子はにこにこした。
(名物にうまいものなしっていうけど、北京ダックはまずいと思ったことないなー)
北京ダックを売って(食べさせて)くれるのは一羽単位だが決して高いとはいえない。香子が北京に留学した当初の一九九八年、大学のそばで一羽十八元(1元=約十五円だったので二百七十円)で食べることができた。さすがに安いのでものすごくおいしいというほどではなかったが、こういうものなのかと満足した覚えがある。値段はピンキリで、香子が食べた十八元というものから一羽百元以上というのもあるが、それでも日本の物価から考えたら安いだろう。
さて、香子が北京ダックに舌鼓を打っている間に四神たちはとても幸せな誤解をしていた。四神にとって食べ物を渡すというのは一生共にありたいという求愛行動であったのだ。だから玄武は朝も昼も甲斐甲斐しく香子に食べ物を渡していたのだがそんなことを香子が知るわけはない。
ようは北京ダックの包みを渡したことで、四神とずーっと一緒にいたいと告白したことになってしまったのだが、香子は全く気付いてもいなかった。
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