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第4部 四神を愛しなさいと言われました
56.新年明けて書を習いました
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さすがに二日続けて青龍に抱かれるというのは、香子も断った。
青龍はそれでも香子をもう一度寝室に連れ込んで、香子の全身を舐め回した。
「あっ、あっ、あっ、あっ……」
香子の身体はもう、かなり四神仕様に作り替えられているようで、胸にそっと触れられるだけでも香子は感じてしまうようになっている。
自分の身体の反応に翻弄されながらも、流されないようにするのが香子としてはたいへんだった。
四神は学習能力が高い。香子が特に感じる場所など、青龍も的確に刺激してくるから香子は困ってしまう。
「も……やぁあっ……」
『そなたを抱く回数を増やせるのならいいのだが。せめて五日に一度は許してくれまいか?』
ずるい、と香子は思う。
「む、無理っ、無理ぃ……」
そんなに抱かれたら頭がおかしくなってしまいそうだと香子は思った。五日に一度と言っても翌日の昼までは抱かれ続けるのだ。そんなことを許可するわけにはいかなかった。
『……強情だな』
青龍が苦笑する。
香子はどうにか耐えた。
私の忍耐力、えらい、と香子は思った。
その夜は玄武と朱雀と共に過ごすのは決まっていることで、二神も香子を休ませてくれる気はなかった。
『朱雀様』
『如何か』
『身体……ではなく、私の心が苦しいのです』
『心が苦しい?』
『なんと言ったらいいのかわからないのです。だから、優しくしてください……』
『わかった』
玄武も朱雀も嫉妬したのだろうということは香子も理解した。趙だけでなく人間の女性にも嫉妬する等面倒この上ない。しかしそれが四神なのだからしょうがないのだ。
明日は張錦飛が久しぶりに来てくれると聞いた。まだ正月の間だがいいのだろうかと香子は思う。それでも来てくれるのはありがたいことだった。
書はなかなか上達しない。
香子が筆で書くのをいつまでも苦手に思っているからだということは、香子にもわかっている。それでも集中して丁寧に書けば見られる字が書けるようにはなってきた。
『張老師、ありがとうございます』
『なぁに。屋敷にいたところでやることはございませんしな。正月の間は書庫も開きませぬ。花嫁様とお会いできるのは喜ばしいことでございます』
『そう言っていただけると嬉しいです』
香子は素直に笑んだ。一小時(一時間)ほどまた練習をしてから、茶室で香子は張にお茶を振舞った。
それにしても正月の間は王城の書庫も開かないとは困る問題であろう。休める時にしっかり休めということなのだろうが、平和な証拠だと香子は笑んだ。
『昨日の空中散歩は如何でしたかな?』
張に聞かれて香子はお茶を噴きそうになった。
茶室には延夕玲と黒月が控えている。
『あ、はい……とても楽しかったです』
張にも昨日青龍に乗って飛んで行った姿を見られていたのだろうか。
『北の方へ飛んでいく姿をお見掛けしましたが、どちらへ?』
やはり見られていたらしい。青龍の姿を見たのだろう。青龍の上に乗っていた香子の姿を見たわけではないはずだ。ということはカマをかけられたのかと、香子はやっと気づいた。
皇帝は知っているし、青龍も王城の上では低い位置を飛んでいたから香子の姿を見た人もいたのだろう。香子はそう思うことにした。
『長城を見に行ってきました』
『おお、それは素晴らしい。如何でしたかな?』
張は目を輝かせた。
『とても雄大でした。兵士たちが立っているのを見ましたよ。ああやって国を守っているのかと思うと、感無量でした』
『……一度この目で見てみたいものですなぁ』
張がしみじみ言う。香子は曖昧に笑んだ。
張を連れて行くことは香子には容易い。元の世界であれば香子は躊躇なく張を長城へ連れて行っただろう。
だがこの世界では無理だ。
『張老師、現在の長城はどれぐらい昔からあるものなのでしょうか』
『そうですな……発見された物で言いますと、楚の国に長城があったとは聞いております。北京より南の地でございますな』
『はぁ……』
楚の国というと春秋時代だろうか。万里の長城は秦の始皇帝が作ったということで有名だが、その前の時代から作られていたことを香子は知っていた。
『その長城は今はどうしているのでしょうか。やはり軍事施設として使っているのですか?』
『昔の城壁ですからな。皇上に尋ねた方が早いでしょう』
『わかりました。聞いてみます』
張も知りたいのだろうと香子は解釈した。
北京の近くにある長城は、元の世界であれば明代に作られたものである。この国は唐だが、大体似たような時期に作られたのだろうと香子は勝手に思っている。今から六、七百年ぐらい前の建造物と思っても間違いはない。
(日本だといつの時代かな……)
香子は日本史にはあまり詳しくないのでそこで思考が止まってしまった。
『張老師は、いろいろなところを見て回りたいと思いますか?』
『はい、それが可能であれば行ってみたいものです』
張はまだまだ元気らしい。香子は笑んだ。
(張老師を連れて遺跡巡りとかできたらいいけど、さすがに無理かなぁ)
気力はあっても身体は持たないだろう。香子はそれをひどく残念に思ったのだった。
ーーーーー
エールありがとうございます! 本当に嬉しいです!
青龍はそれでも香子をもう一度寝室に連れ込んで、香子の全身を舐め回した。
「あっ、あっ、あっ、あっ……」
香子の身体はもう、かなり四神仕様に作り替えられているようで、胸にそっと触れられるだけでも香子は感じてしまうようになっている。
自分の身体の反応に翻弄されながらも、流されないようにするのが香子としてはたいへんだった。
四神は学習能力が高い。香子が特に感じる場所など、青龍も的確に刺激してくるから香子は困ってしまう。
「も……やぁあっ……」
『そなたを抱く回数を増やせるのならいいのだが。せめて五日に一度は許してくれまいか?』
ずるい、と香子は思う。
「む、無理っ、無理ぃ……」
そんなに抱かれたら頭がおかしくなってしまいそうだと香子は思った。五日に一度と言っても翌日の昼までは抱かれ続けるのだ。そんなことを許可するわけにはいかなかった。
『……強情だな』
青龍が苦笑する。
香子はどうにか耐えた。
私の忍耐力、えらい、と香子は思った。
その夜は玄武と朱雀と共に過ごすのは決まっていることで、二神も香子を休ませてくれる気はなかった。
『朱雀様』
『如何か』
『身体……ではなく、私の心が苦しいのです』
『心が苦しい?』
『なんと言ったらいいのかわからないのです。だから、優しくしてください……』
『わかった』
玄武も朱雀も嫉妬したのだろうということは香子も理解した。趙だけでなく人間の女性にも嫉妬する等面倒この上ない。しかしそれが四神なのだからしょうがないのだ。
明日は張錦飛が久しぶりに来てくれると聞いた。まだ正月の間だがいいのだろうかと香子は思う。それでも来てくれるのはありがたいことだった。
書はなかなか上達しない。
香子が筆で書くのをいつまでも苦手に思っているからだということは、香子にもわかっている。それでも集中して丁寧に書けば見られる字が書けるようにはなってきた。
『張老師、ありがとうございます』
『なぁに。屋敷にいたところでやることはございませんしな。正月の間は書庫も開きませぬ。花嫁様とお会いできるのは喜ばしいことでございます』
『そう言っていただけると嬉しいです』
香子は素直に笑んだ。一小時(一時間)ほどまた練習をしてから、茶室で香子は張にお茶を振舞った。
それにしても正月の間は王城の書庫も開かないとは困る問題であろう。休める時にしっかり休めということなのだろうが、平和な証拠だと香子は笑んだ。
『昨日の空中散歩は如何でしたかな?』
張に聞かれて香子はお茶を噴きそうになった。
茶室には延夕玲と黒月が控えている。
『あ、はい……とても楽しかったです』
張にも昨日青龍に乗って飛んで行った姿を見られていたのだろうか。
『北の方へ飛んでいく姿をお見掛けしましたが、どちらへ?』
やはり見られていたらしい。青龍の姿を見たのだろう。青龍の上に乗っていた香子の姿を見たわけではないはずだ。ということはカマをかけられたのかと、香子はやっと気づいた。
皇帝は知っているし、青龍も王城の上では低い位置を飛んでいたから香子の姿を見た人もいたのだろう。香子はそう思うことにした。
『長城を見に行ってきました』
『おお、それは素晴らしい。如何でしたかな?』
張は目を輝かせた。
『とても雄大でした。兵士たちが立っているのを見ましたよ。ああやって国を守っているのかと思うと、感無量でした』
『……一度この目で見てみたいものですなぁ』
張がしみじみ言う。香子は曖昧に笑んだ。
張を連れて行くことは香子には容易い。元の世界であれば香子は躊躇なく張を長城へ連れて行っただろう。
だがこの世界では無理だ。
『張老師、現在の長城はどれぐらい昔からあるものなのでしょうか』
『そうですな……発見された物で言いますと、楚の国に長城があったとは聞いております。北京より南の地でございますな』
『はぁ……』
楚の国というと春秋時代だろうか。万里の長城は秦の始皇帝が作ったということで有名だが、その前の時代から作られていたことを香子は知っていた。
『その長城は今はどうしているのでしょうか。やはり軍事施設として使っているのですか?』
『昔の城壁ですからな。皇上に尋ねた方が早いでしょう』
『わかりました。聞いてみます』
張も知りたいのだろうと香子は解釈した。
北京の近くにある長城は、元の世界であれば明代に作られたものである。この国は唐だが、大体似たような時期に作られたのだろうと香子は勝手に思っている。今から六、七百年ぐらい前の建造物と思っても間違いはない。
(日本だといつの時代かな……)
香子は日本史にはあまり詳しくないのでそこで思考が止まってしまった。
『張老師は、いろいろなところを見て回りたいと思いますか?』
『はい、それが可能であれば行ってみたいものです』
張はまだまだ元気らしい。香子は笑んだ。
(張老師を連れて遺跡巡りとかできたらいいけど、さすがに無理かなぁ)
気力はあっても身体は持たないだろう。香子はそれをひどく残念に思ったのだった。
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