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第4部 四神を愛しなさいと言われました
53.四神が本性を現わすとどうなるかなんて知っているはずでした
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万里の長城というのは、いつ見ても美しいと香子は思う。
沢山の人が強制的に動員されて作られたということを香子は知っている。古くは二千年以上前から残存するこの建造物が、未だに北方からの脅威から国を守っているということが香子にとっては衝撃的であった。
《人ってすごいものを作りますよねぇ》
《そうだな》
青龍は長城の北側を飛びながら無感動に応じた。もしかしたら呆れているのかもしれない。
青龍にはそのまま長城に沿って、西の方角へ飛んでもらった。ところどころ崩れているところもある。何せ長いし、全てが繋がっているわけでもないから打ち捨てられているところもあるのだろう。修理などをさせるにも限りがあるし、その長城自体いつ頃作られたものなのかもわからない。
(そういえばローマ街道はメンテナンスをきちんとすれば何千年でも持つように作られていたって……)
きっと長城もそんな風に作られているのかもしれないと香子は思った。きちんとメンテナンスをすれば何千年も持つなんて、地震がほとんどない石造りの文化だからできることだ。
《青龍様》
《如何か》
《この国って地震はあるのですか?》
《特にはないな》
《そうなのですね》
やはりないようである。地震がないというだけで羨ましいと香子は思った。
似たような景色が続いて、感動も薄れてきた。雄大な景色には違いないが、あまりにも変化がなさすぎである。
そうなってくると余計なことを考えてしまうのも香子の悪い癖だ。
(そういえば、青龍様は今夜どうされたいのかしら?)
香子から今夜は? なんて聞くことはとてもできない。だがもし共に過ごしたいと言われたら、夕飯を多めに作ってもらうよう指示しないといけないだろう。青龍に抱かれる場合、とにかく抱かれている時間が長いからその後の空腹で身体が全く動かなくなってしまうのだ。
《……今宵はそなたと過ごしたいが、よいか?》
《あ》
何故失念してしまうのかと香子は頭を抱えた。
《厨師に夕飯を多めに用意させればいいのだな?》
(あああああ……)
香子は穴を掘って埋まりたいと思った。
《そ、その前に玄武様や朱雀様に……》
《香子が許可してくれるというのならば、連絡しよう》
《ううう……》
毎晩玄武と朱雀に抱かれていても、許可をするというのが香子は恥ずかしかった。玄武と朱雀に関して言えばもう暗黙の了解である。毎晩当たり前のように準備をされて、どちらかに攫われて流されていればそれでいい。しかし白虎や青龍と夜過ごすのはそうはいかない。香子の意志で許可を出さないといけないわけで。
(ああもうああもう……)
香子は青龍の背の上で身もだえた。それも全て青龍に伝わっているから、青龍もまた浮かれそうではあったがそこは抑えている。いくら香子を落とすことはないとはいえ、まだ飛んでいるのだ。
《……いいです、けど……お手柔らかにお願いします……》
香子は頬を真っ赤に染めて、そう青龍に告げたのだった。
《……では戻るか》
《そういうことをするのは夜ですからね……》
《わかっている。そなたには食べさせねばならぬしな》
心話なのに、青龍から伝わってくる声が弾んでいるように香子には感じられた。
(青龍様も浮かれているのかしら)
それならば嬉しいと香子は思う。一緒に過ごして楽しいと思ってくれるのが一番だ。四神にはやっぱり抱かれている方がいいみたいだが。
《……香子、あまり我を煽ってくれるな》
なんのことだろうと思ったが、四神宮に戻って遅めの昼食をとった後にその理由はわかった。
昼食後も香子は青龍と過ごすつもりであったが、食休み後に室へ運ばれて直接寝室へ連れて行かれた時はさすがに戸惑った。
『青龍様?』
『……そなたがかわいすぎるのが原因だ。最後まではせぬ故、愛でさせよ』
『そんな……』
昼食前まで本性を現わしていたということも原因の一つではある。四神は本性を現すと理性を保つのがなかなか難しいのだ。だからといって本性のまま香子を襲うのは白虎ぐらいである。ただ、タガが外れやすくなっているのは確かだった。
香子は衣裳をはだけられて、文字通り青龍に全身を愛でられた。
『……胸も随分と大きくなったな』
『あっ……大きい方が、いいです、か……』
『揉みがいはある。痛みなどは、ないか?』
『んっ……ありま、せん……んんっ……』
足の間もねっとりと舐められて、香子は息も絶え絶えになった。青龍の愛撫はなかなかにしつこい。
(やっぱり……龍というより蛇なのかしら……?)
余裕は全くないが、そんなことを考えてしまうぐらい青龍は香子を愛でた。香子としては蹂躙された気分である。
そうして夕飯の時間まで、香子はたっぷりと青龍にかわいがられた。
さすがに夕飯に向かう前に部屋に戻って衣裳や髪型などは直してもらったが、青龍は部屋から食堂までの移動も香子に歩かせたくはなかったらしく香子の部屋の居間で待っていた。
(だからなんでそんなに歩かせたくないよぅ……)
片時も離したくないという想いは伝わっているが、それ故に香子もたまらない。
そうして、夕飯を食べ始めてからやっと香子は黒月と趙文英のことを思い出したのだった。
沢山の人が強制的に動員されて作られたということを香子は知っている。古くは二千年以上前から残存するこの建造物が、未だに北方からの脅威から国を守っているということが香子にとっては衝撃的であった。
《人ってすごいものを作りますよねぇ》
《そうだな》
青龍は長城の北側を飛びながら無感動に応じた。もしかしたら呆れているのかもしれない。
青龍にはそのまま長城に沿って、西の方角へ飛んでもらった。ところどころ崩れているところもある。何せ長いし、全てが繋がっているわけでもないから打ち捨てられているところもあるのだろう。修理などをさせるにも限りがあるし、その長城自体いつ頃作られたものなのかもわからない。
(そういえばローマ街道はメンテナンスをきちんとすれば何千年でも持つように作られていたって……)
きっと長城もそんな風に作られているのかもしれないと香子は思った。きちんとメンテナンスをすれば何千年も持つなんて、地震がほとんどない石造りの文化だからできることだ。
《青龍様》
《如何か》
《この国って地震はあるのですか?》
《特にはないな》
《そうなのですね》
やはりないようである。地震がないというだけで羨ましいと香子は思った。
似たような景色が続いて、感動も薄れてきた。雄大な景色には違いないが、あまりにも変化がなさすぎである。
そうなってくると余計なことを考えてしまうのも香子の悪い癖だ。
(そういえば、青龍様は今夜どうされたいのかしら?)
香子から今夜は? なんて聞くことはとてもできない。だがもし共に過ごしたいと言われたら、夕飯を多めに作ってもらうよう指示しないといけないだろう。青龍に抱かれる場合、とにかく抱かれている時間が長いからその後の空腹で身体が全く動かなくなってしまうのだ。
《……今宵はそなたと過ごしたいが、よいか?》
《あ》
何故失念してしまうのかと香子は頭を抱えた。
《厨師に夕飯を多めに用意させればいいのだな?》
(あああああ……)
香子は穴を掘って埋まりたいと思った。
《そ、その前に玄武様や朱雀様に……》
《香子が許可してくれるというのならば、連絡しよう》
《ううう……》
毎晩玄武と朱雀に抱かれていても、許可をするというのが香子は恥ずかしかった。玄武と朱雀に関して言えばもう暗黙の了解である。毎晩当たり前のように準備をされて、どちらかに攫われて流されていればそれでいい。しかし白虎や青龍と夜過ごすのはそうはいかない。香子の意志で許可を出さないといけないわけで。
(ああもうああもう……)
香子は青龍の背の上で身もだえた。それも全て青龍に伝わっているから、青龍もまた浮かれそうではあったがそこは抑えている。いくら香子を落とすことはないとはいえ、まだ飛んでいるのだ。
《……いいです、けど……お手柔らかにお願いします……》
香子は頬を真っ赤に染めて、そう青龍に告げたのだった。
《……では戻るか》
《そういうことをするのは夜ですからね……》
《わかっている。そなたには食べさせねばならぬしな》
心話なのに、青龍から伝わってくる声が弾んでいるように香子には感じられた。
(青龍様も浮かれているのかしら)
それならば嬉しいと香子は思う。一緒に過ごして楽しいと思ってくれるのが一番だ。四神にはやっぱり抱かれている方がいいみたいだが。
《……香子、あまり我を煽ってくれるな》
なんのことだろうと思ったが、四神宮に戻って遅めの昼食をとった後にその理由はわかった。
昼食後も香子は青龍と過ごすつもりであったが、食休み後に室へ運ばれて直接寝室へ連れて行かれた時はさすがに戸惑った。
『青龍様?』
『……そなたがかわいすぎるのが原因だ。最後まではせぬ故、愛でさせよ』
『そんな……』
昼食前まで本性を現わしていたということも原因の一つではある。四神は本性を現すと理性を保つのがなかなか難しいのだ。だからといって本性のまま香子を襲うのは白虎ぐらいである。ただ、タガが外れやすくなっているのは確かだった。
香子は衣裳をはだけられて、文字通り青龍に全身を愛でられた。
『……胸も随分と大きくなったな』
『あっ……大きい方が、いいです、か……』
『揉みがいはある。痛みなどは、ないか?』
『んっ……ありま、せん……んんっ……』
足の間もねっとりと舐められて、香子は息も絶え絶えになった。青龍の愛撫はなかなかにしつこい。
(やっぱり……龍というより蛇なのかしら……?)
余裕は全くないが、そんなことを考えてしまうぐらい青龍は香子を愛でた。香子としては蹂躙された気分である。
そうして夕飯の時間まで、香子はたっぷりと青龍にかわいがられた。
さすがに夕飯に向かう前に部屋に戻って衣裳や髪型などは直してもらったが、青龍は部屋から食堂までの移動も香子に歩かせたくはなかったらしく香子の部屋の居間で待っていた。
(だからなんでそんなに歩かせたくないよぅ……)
片時も離したくないという想いは伝わっているが、それ故に香子もたまらない。
そうして、夕飯を食べ始めてからやっと香子は黒月と趙文英のことを思い出したのだった。
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