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第1部 四神と結婚しろと言われました
67.考え方の違いはいかんともしがたいです
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香子は今度こそ泣きそうになった。
金の瞳に捕らわれたようになり、香子はその唇を避けることができなかった。
(……どうして?)
今抱かれているのは玄武の腕の中なのに、どうして白虎に口づけられているのだろう。
恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいになって、香子は目頭が熱くなった。そして、白虎の唇が離れた時、ぽろりと涙がこぼれた。
その涙に白虎と玄武が慌てる。
『香子? そんなに嫌だったのか?』
『香子? 大丈夫か?』
「うー……」
香子にはわからなかった。四神全ての花嫁と言われていても、香子はただの人間である。玄武の腕に抱かれている間は香子は玄武の花嫁ではないのだろうか? どうして白虎に香子が口づけられても平然としていられるのか理解ができない。
(神様なんてわかんない!)
『どうしてキスするんですか!?』
『……あまりにそなたが愛らしくてな……』
これはもう徹底的に問いたださないと納得ができない。
『でも私、今玄武様に抱かれてるじゃないですか!?』
『? 玄武兄に抱かれていると駄目なのか?』
『だって青藍さんが……!』
怪訝そうに首を傾げる白虎に、昨日青藍に説明された内容を思い出しながら話す。四神の誰かの腕の中にいる間は香子はその誰かと過ごすことになっているはずだと、最後まで話しきったところで二神は嘆息した。
『……香子、我らはもう少しいろいろと意志の疎通をはかる必要がありそうだな』
『全くです……』
(なんか私の解釈が違ったのー?)
香子は眉を寄せて玄武の胸に頭をもたせかけた。神様の考え方というのもそうだが、もしかしたら言葉の解釈の違いもあるかもしれないと香子も考える。香子が普通に話しているからみんな忘れているようだが、ここの言葉は香子の母国語ではないのだ。
寝室を出て居間に移動する。
白雲が心得たようにお茶の準備を始めた。
長椅子に玄武が香子を横抱きにしたまま腰掛け、一人掛けのゆったりした椅子に白虎が座った。
『……香子、そなたは我らの花嫁であることはわかっているな?』
『はい』
玄武の問いに香子は頷く。それはわかっているつもりだ。
『青藍の説明も間違ってはおらぬのだが……。我らのうち誰がそなたを腕に抱いていても、そなたが我ら全ての花嫁であることに変わりはない』
香子は首を傾げた。
白雲がお茶を入れて卓に茶杯を置く。
『失礼ですが花嫁様はよくわかっておられないご様子、よろしければ我が説明いたしましょう』
穏やかに言われて、香子は白雲を見た。
『はい、お願いします!』
四神と話をしているといつまで経っても話が進まない時がある。普通は神様が人間にいろいろ説明をする場面なんかないだろうから仕方がないと言えば仕方がないのかもしれないが、これが香子にはとても困るのだ。
『それではご説明させていただきます。まず四神のどなたかが花嫁様を抱いている時はその方がお相手として優先されます』
(……ん?)
『例えば現在は玄武様に抱かれていますから玄武様が優先されますが、基本四神はお互いに寛容ですので、もし白虎様が花嫁様に触れることを望んだ場合それを玄武様が拒絶されることはまずないのです』
香子は頭を抱えたくなった。
『……そこに私の意志はないんですか?』
思ったより冷たい声が出たらしく、玄武と白虎が再び慌てる。
『その……本気で嫌がっているようには見えなかった……』
『触れるだけの口づけでも駄目なのか?』
(ああああああもうっ!)
なんというか香子の倫理観とかそういうものが間違っているのだろうか。ところかまわずキスするような文化圏で暮らしていたわけではないから、いくら嫌でなくてもとんでもなく恥かしいのだ。しかもそれを自分を花嫁だと公言してはばからない人に見られたら動揺するのが当たり前だと香子は思う。
『だから! 見ているのが四神だけだとしても他の方がいる時にそういうことをするのはやめてくださいってば!』
香子は顔を真っ赤にして怒鳴った。
(私の言ってること間違ってる!?)
間違いとかそういう問題ではないのだが、香子も冷静ではない為致し方ないだろう。
金の瞳に捕らわれたようになり、香子はその唇を避けることができなかった。
(……どうして?)
今抱かれているのは玄武の腕の中なのに、どうして白虎に口づけられているのだろう。
恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいになって、香子は目頭が熱くなった。そして、白虎の唇が離れた時、ぽろりと涙がこぼれた。
その涙に白虎と玄武が慌てる。
『香子? そんなに嫌だったのか?』
『香子? 大丈夫か?』
「うー……」
香子にはわからなかった。四神全ての花嫁と言われていても、香子はただの人間である。玄武の腕に抱かれている間は香子は玄武の花嫁ではないのだろうか? どうして白虎に香子が口づけられても平然としていられるのか理解ができない。
(神様なんてわかんない!)
『どうしてキスするんですか!?』
『……あまりにそなたが愛らしくてな……』
これはもう徹底的に問いたださないと納得ができない。
『でも私、今玄武様に抱かれてるじゃないですか!?』
『? 玄武兄に抱かれていると駄目なのか?』
『だって青藍さんが……!』
怪訝そうに首を傾げる白虎に、昨日青藍に説明された内容を思い出しながら話す。四神の誰かの腕の中にいる間は香子はその誰かと過ごすことになっているはずだと、最後まで話しきったところで二神は嘆息した。
『……香子、我らはもう少しいろいろと意志の疎通をはかる必要がありそうだな』
『全くです……』
(なんか私の解釈が違ったのー?)
香子は眉を寄せて玄武の胸に頭をもたせかけた。神様の考え方というのもそうだが、もしかしたら言葉の解釈の違いもあるかもしれないと香子も考える。香子が普通に話しているからみんな忘れているようだが、ここの言葉は香子の母国語ではないのだ。
寝室を出て居間に移動する。
白雲が心得たようにお茶の準備を始めた。
長椅子に玄武が香子を横抱きにしたまま腰掛け、一人掛けのゆったりした椅子に白虎が座った。
『……香子、そなたは我らの花嫁であることはわかっているな?』
『はい』
玄武の問いに香子は頷く。それはわかっているつもりだ。
『青藍の説明も間違ってはおらぬのだが……。我らのうち誰がそなたを腕に抱いていても、そなたが我ら全ての花嫁であることに変わりはない』
香子は首を傾げた。
白雲がお茶を入れて卓に茶杯を置く。
『失礼ですが花嫁様はよくわかっておられないご様子、よろしければ我が説明いたしましょう』
穏やかに言われて、香子は白雲を見た。
『はい、お願いします!』
四神と話をしているといつまで経っても話が進まない時がある。普通は神様が人間にいろいろ説明をする場面なんかないだろうから仕方がないと言えば仕方がないのかもしれないが、これが香子にはとても困るのだ。
『それではご説明させていただきます。まず四神のどなたかが花嫁様を抱いている時はその方がお相手として優先されます』
(……ん?)
『例えば現在は玄武様に抱かれていますから玄武様が優先されますが、基本四神はお互いに寛容ですので、もし白虎様が花嫁様に触れることを望んだ場合それを玄武様が拒絶されることはまずないのです』
香子は頭を抱えたくなった。
『……そこに私の意志はないんですか?』
思ったより冷たい声が出たらしく、玄武と白虎が再び慌てる。
『その……本気で嫌がっているようには見えなかった……』
『触れるだけの口づけでも駄目なのか?』
(ああああああもうっ!)
なんというか香子の倫理観とかそういうものが間違っているのだろうか。ところかまわずキスするような文化圏で暮らしていたわけではないから、いくら嫌でなくてもとんでもなく恥かしいのだ。しかもそれを自分を花嫁だと公言してはばからない人に見られたら動揺するのが当たり前だと香子は思う。
『だから! 見ているのが四神だけだとしても他の方がいる時にそういうことをするのはやめてくださいってば!』
香子は顔を真っ赤にして怒鳴った。
(私の言ってること間違ってる!?)
間違いとかそういう問題ではないのだが、香子も冷静ではない為致し方ないだろう。
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