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第1部 四神と結婚しろと言われました
60.お酒の上の過ちになるところでした ※R13
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重なった唇からは白酒の香りがした。
青龍の唇はひんやりしていて、お酒で火照った香子には心地いい。少し開かれた唇の間にするりと舌が差しこまれる。
「……んっ……」
長い舌が香子の熱い舌を絡め取り、甘く吸った。いつのまにか香子は青龍の膝の上に乗せられて抱きしめられていた。
きゅっきゅっと舌を吸われ唇が離される。香子はひんやりした感触がなくなるのを惜しんで青龍に縋りついた。
『香子……酒よりもそなたの香りに酔いそうだ……』
澄んだ水を思わせる声に色が混じる。その囁きに香子は身を震わせた。
ほんの少ししか飲んでいなかったというのに香子は酔っていた。それに気付きながらも青龍は苦笑する。
(触れたい……)
香子の香りはまるで甘い毒のようだと青龍は思う。
生娘ではないのにまだ四神を受け入れていないせいか香りが強いと朱雀が言っていたことを、青龍は思い出した。
今までそれほど感じたことのなかった欲望が身の内から膨れ上がる。
生娘でないなら自分が先に奪ってしまってもいいのではないかと青龍は思う。
ガウンの合わせ目から手を差し入れ、薄絹の夜着越しにその胸に触れた。
『……青龍様……?』
けれど香子の自分を呼ぶ声に青龍ははっとした。火照った体は熱く、青龍の手が冷たく感じられたのかもしれなかった。
『酔ってしまったようだな?』
そう言って青龍は立ち上がり、そっと香子を床に横たえた。そして横に潜り込む。
『今日もいろいろあって疲れただろう。もう眠るといい』
青龍の科白に、香子は安心したように目を閉じた。
いくら酒に弱いとはいえあんな少しの量で酔うというのは疲れている証拠だと青龍は思う。
(昨夜は玄武兄、朱雀兄と共にいたことだしな……)
最後まで抱かれていないとはいえイかされ続けるというのも疲れるに違いない。しかも低いとはいえ山登りまでしたのだ。この小さな体にどれほどの力があるというのか。
それなのに自分は衝動で香子を抱いてしまおうとした。
(若輩者と言われても仕方ない)
いつのまにか規則正しい寝息が聞えてき、青龍はそっと香子を抱き寄せた。
四神の中で一番若い自分は香子を抱くことはないかもしれない。
(玄武兄のように見守るのも一つの愛し方であろう……)
青龍は愛おしくてたまらないという表情でずっと香子の寝顔を見ていた。
* *
翌朝香子は青龍の腕の中で目覚めた。
(昨夜は……)
隣で肘をつき自分の顔を見下ろしている青龍を見て、香子は頭をフル回転させる。
ほうっと吐いた息が酒臭くて、そういえばと昨夜のことを思い出した。
(えーと……あれ以上のことはしてないよね……?)
少し焦りながら青龍を窺うと、何故かその顔が迫ってきている。
(ええええっ!?)
香子が目を見開いた時、ひんやりとした唇が重なった。香子がパニックを起こしている間に青龍はその唇を味わう。香子の上唇と下唇を何度もはむはむし、香子の頬がほんのりと赤く染まった頃やっと解放した。
『香子、よく眠れたか?』
「はっ、はいいいいいいいいいっ!?」
あまりにも平然とした青龍の科白に香子は動揺を隠せなかった。
青龍が目を丸くする。そしてすぐに嬉しそうに笑んだ。
わけがわからなくて香子が首を傾げると、
『そなたは元の国の言葉で話しても構わぬのだぞ? 我らがそなたの国の言葉を話すのは難しいが……』
青龍はそう言った。香子ははっとする。動揺しすぎてとっさに日本語で返事をしてしまったことに言われてやっと気付いたのだった。
『あー、いえ……。とりあえず今のところは大丈夫です。どうしても説明が難しい時は日本語で話すかもしれませんが』
『そうか。無理はせぬようにな』
四神の前では確かに日本語でもいいだろうが、眷族は理解しないようだし、やはり中国語を使える限りは使っていようと香子は思う。
けれど青龍のその気持ちが嬉しくて、香子はにっこりと笑んだ。
青龍の唇はひんやりしていて、お酒で火照った香子には心地いい。少し開かれた唇の間にするりと舌が差しこまれる。
「……んっ……」
長い舌が香子の熱い舌を絡め取り、甘く吸った。いつのまにか香子は青龍の膝の上に乗せられて抱きしめられていた。
きゅっきゅっと舌を吸われ唇が離される。香子はひんやりした感触がなくなるのを惜しんで青龍に縋りついた。
『香子……酒よりもそなたの香りに酔いそうだ……』
澄んだ水を思わせる声に色が混じる。その囁きに香子は身を震わせた。
ほんの少ししか飲んでいなかったというのに香子は酔っていた。それに気付きながらも青龍は苦笑する。
(触れたい……)
香子の香りはまるで甘い毒のようだと青龍は思う。
生娘ではないのにまだ四神を受け入れていないせいか香りが強いと朱雀が言っていたことを、青龍は思い出した。
今までそれほど感じたことのなかった欲望が身の内から膨れ上がる。
生娘でないなら自分が先に奪ってしまってもいいのではないかと青龍は思う。
ガウンの合わせ目から手を差し入れ、薄絹の夜着越しにその胸に触れた。
『……青龍様……?』
けれど香子の自分を呼ぶ声に青龍ははっとした。火照った体は熱く、青龍の手が冷たく感じられたのかもしれなかった。
『酔ってしまったようだな?』
そう言って青龍は立ち上がり、そっと香子を床に横たえた。そして横に潜り込む。
『今日もいろいろあって疲れただろう。もう眠るといい』
青龍の科白に、香子は安心したように目を閉じた。
いくら酒に弱いとはいえあんな少しの量で酔うというのは疲れている証拠だと青龍は思う。
(昨夜は玄武兄、朱雀兄と共にいたことだしな……)
最後まで抱かれていないとはいえイかされ続けるというのも疲れるに違いない。しかも低いとはいえ山登りまでしたのだ。この小さな体にどれほどの力があるというのか。
それなのに自分は衝動で香子を抱いてしまおうとした。
(若輩者と言われても仕方ない)
いつのまにか規則正しい寝息が聞えてき、青龍はそっと香子を抱き寄せた。
四神の中で一番若い自分は香子を抱くことはないかもしれない。
(玄武兄のように見守るのも一つの愛し方であろう……)
青龍は愛おしくてたまらないという表情でずっと香子の寝顔を見ていた。
* *
翌朝香子は青龍の腕の中で目覚めた。
(昨夜は……)
隣で肘をつき自分の顔を見下ろしている青龍を見て、香子は頭をフル回転させる。
ほうっと吐いた息が酒臭くて、そういえばと昨夜のことを思い出した。
(えーと……あれ以上のことはしてないよね……?)
少し焦りながら青龍を窺うと、何故かその顔が迫ってきている。
(ええええっ!?)
香子が目を見開いた時、ひんやりとした唇が重なった。香子がパニックを起こしている間に青龍はその唇を味わう。香子の上唇と下唇を何度もはむはむし、香子の頬がほんのりと赤く染まった頃やっと解放した。
『香子、よく眠れたか?』
「はっ、はいいいいいいいいいっ!?」
あまりにも平然とした青龍の科白に香子は動揺を隠せなかった。
青龍が目を丸くする。そしてすぐに嬉しそうに笑んだ。
わけがわからなくて香子が首を傾げると、
『そなたは元の国の言葉で話しても構わぬのだぞ? 我らがそなたの国の言葉を話すのは難しいが……』
青龍はそう言った。香子ははっとする。動揺しすぎてとっさに日本語で返事をしてしまったことに言われてやっと気付いたのだった。
『あー、いえ……。とりあえず今のところは大丈夫です。どうしても説明が難しい時は日本語で話すかもしれませんが』
『そうか。無理はせぬようにな』
四神の前では確かに日本語でもいいだろうが、眷族は理解しないようだし、やはり中国語を使える限りは使っていようと香子は思う。
けれど青龍のその気持ちが嬉しくて、香子はにっこりと笑んだ。
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