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第4部 四神を愛しなさいと言われました
49.気になることが多すぎます
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白虎はとうとう本性を現さなかった。
かなり忍耐力がついたようだと、香子は失礼なことを思った。
香子は触れられながら、今更ながら気づいた。やはり白虎はとても胸が好きなようである。揉んだりしゃぶったりと沢山されて、香子は胸だけで気持ちよくなってしまった。
(敏感になりすぎて困る……)
そんなことを言ったらたいへんなことになるから言わないが、白虎には伝わっているようだった。
ククッと白虎が喉の奥で笑う。本来胸自体は触られても気持ちいいということはないが、香子は最近触れられるだけで感じるようになっていた。もちろんそれは四神限定である。衣裳の着替えや自分で触っても特に感じるということはないから、香子は不思議に思った。でもそんなことを白虎に聞いたら今度こそ放してもらえないだろうということはわかっていたので、どうにか聞かないでいられた。
とはいえ気になることは気になるのである。
「……あっ、あっ、あっ……」
『香子はどんどん敏感になるな。そなたの快感はなんと心地良いことか……今宵は、いいだろう?』
『あ……玄武様と、朱雀様に……』
『そなたの許可が下りれば大丈夫だ』
そう言いながら白虎は香子に触れ続けた。
四神は離れていても四神同士で意志の疎通が可能なので、今夜のことは白虎も玄武と朱雀に連絡したようだった。
『んっ……一度部屋に戻らないと……』
『そうだな。連れていこう』
だいぶ衣裳が乱れてしまった。こうなってしまうと白虎も直せない。髪型もそれなりに崩れてしまっている。肌が露出しない程度に衣服の乱れを直し、香子は白虎に抱かれて部屋へ移動した。
慌てて侍女たちが香子の衣裳や髪型を直す。白虎は一旦己の室に戻った。少ししたらまた来るという。食堂まで香子を抱いていくつもりのようだ。香子はなんとなくそれを恥ずかしく、くすぐったくも感じた。
(はー……好き……)
四神に溺愛されている自覚はある。たまにごろんごろんと転がって叫び出したくなるのだ。
なにせ人外の美しさを目の当たりにしているのだ。四神が見ているのは香子だけであり、未だに夢を見ているのではないかと思う時もある。
白虎が再び訪れた時、黒月が戻ってきた。心なしか、真っ白い肌が上気しているように見えた。
『黒月?』
『……花嫁さま』
声をかけたら睨まれた。やはり未成年の女性を成人男性の元に遣わせたのはまずかっただろうか。香子はじっと黒月を見た。
黒月は珍しく、口をはくはくと動かした。表情はあまり動かないが、動揺しているらしいということは香子にもわかった。
香子は白虎に触れる。
《白虎様、少し待っていただけますか》
《わかった》
心話でお伺いを立てると、白虎は応じた。
『黒月』
香子は再び黒月に声をかけた。黒月はビクッと身体を震わせた。本当に珍しいこともあるものだと、香子は目を丸くした。
『……趙は……大丈夫でした』
搾り出すように黒月が報告した。『そう、ありがとう』香子はその場ではそれだけを言うに留めた。そして、
『黒月、後で一緒に入浴しない?』
と誘いの言葉をかけた。黒月はわずかに眉を寄せた。
『……お断りします』
『残念』
香子は笑った。
趙文英と何かあったようだが、それを香子に話せる状態ではないのだろう。もし趙に不快な感情を抱いたなら黒月のことだ。もう趙のところへはやるなとはっきり言うに違いない。そうでないというのならば……。
(あんまり趙には会ってないけど……絶対黒月を見てたと思うのよね)
『花嫁さま、お時間でございます』
延夕玲に窘められて、香子は白虎に抱かれたまま食堂へ向かった。
『……そなたは気が多すぎる』
入浴後、香子は白虎に文句を言われてしまった。
玄武の室である。玄武、白虎だけでなく朱雀もいた。朱雀は香子に熱を与えたら今夜のところは退散するらしい。そろそろ熱がなくても、とは香子も思うのだが、やはり正気で白虎に抱かれるのはまだハードルが高かった。慣れるまでは朱雀の熱がどうしても必要になる。
悪いことをしていると香子も思うだが、一晩で三神の相手はとてもできない。
ただでさえ愛欲の日々なのにこれ以上は勘弁してほしいと香子は思っている。
『白虎、それが香子なのだからしかたない』
珍しく玄武が寛容なことを言った。けれどこれを真に受けてはいけないことも香子は知っている。
『わかってはおりますが……このような状況では、もし香子を娶っても気が気ではありませんな』
白虎が苦笑するように呟いた。朱雀が喉の奥で笑う。
『昼夜問わず床から出さぬようにすればいいだけのことだ。香子は感じやすいからな』
『……朱雀様』
よく本人の前でそういうことを言えるものだと、香子は朱雀を睨んだ。
『如何か』
『……そのようなことを言われて私が朱雀様に嫁ぐと思いますか?』
朱雀は不思議そうな顔をした。
『今まで以上にそなたを愛すだけだが、いけないのか?』
『ううう……』
(今まで以上に愛されるって……朱雀様はいったい何をする気なのぉっ!?)
香子は両手で顔を覆って身もだえた。本当に朱雀にはかなわないと香子は思う。
『まぁいい。朱雀兄、熱を』
白虎が軽く嘆息した。
そうして香子はまた何も考えられなくなった。
かなり忍耐力がついたようだと、香子は失礼なことを思った。
香子は触れられながら、今更ながら気づいた。やはり白虎はとても胸が好きなようである。揉んだりしゃぶったりと沢山されて、香子は胸だけで気持ちよくなってしまった。
(敏感になりすぎて困る……)
そんなことを言ったらたいへんなことになるから言わないが、白虎には伝わっているようだった。
ククッと白虎が喉の奥で笑う。本来胸自体は触られても気持ちいいということはないが、香子は最近触れられるだけで感じるようになっていた。もちろんそれは四神限定である。衣裳の着替えや自分で触っても特に感じるということはないから、香子は不思議に思った。でもそんなことを白虎に聞いたら今度こそ放してもらえないだろうということはわかっていたので、どうにか聞かないでいられた。
とはいえ気になることは気になるのである。
「……あっ、あっ、あっ……」
『香子はどんどん敏感になるな。そなたの快感はなんと心地良いことか……今宵は、いいだろう?』
『あ……玄武様と、朱雀様に……』
『そなたの許可が下りれば大丈夫だ』
そう言いながら白虎は香子に触れ続けた。
四神は離れていても四神同士で意志の疎通が可能なので、今夜のことは白虎も玄武と朱雀に連絡したようだった。
『んっ……一度部屋に戻らないと……』
『そうだな。連れていこう』
だいぶ衣裳が乱れてしまった。こうなってしまうと白虎も直せない。髪型もそれなりに崩れてしまっている。肌が露出しない程度に衣服の乱れを直し、香子は白虎に抱かれて部屋へ移動した。
慌てて侍女たちが香子の衣裳や髪型を直す。白虎は一旦己の室に戻った。少ししたらまた来るという。食堂まで香子を抱いていくつもりのようだ。香子はなんとなくそれを恥ずかしく、くすぐったくも感じた。
(はー……好き……)
四神に溺愛されている自覚はある。たまにごろんごろんと転がって叫び出したくなるのだ。
なにせ人外の美しさを目の当たりにしているのだ。四神が見ているのは香子だけであり、未だに夢を見ているのではないかと思う時もある。
白虎が再び訪れた時、黒月が戻ってきた。心なしか、真っ白い肌が上気しているように見えた。
『黒月?』
『……花嫁さま』
声をかけたら睨まれた。やはり未成年の女性を成人男性の元に遣わせたのはまずかっただろうか。香子はじっと黒月を見た。
黒月は珍しく、口をはくはくと動かした。表情はあまり動かないが、動揺しているらしいということは香子にもわかった。
香子は白虎に触れる。
《白虎様、少し待っていただけますか》
《わかった》
心話でお伺いを立てると、白虎は応じた。
『黒月』
香子は再び黒月に声をかけた。黒月はビクッと身体を震わせた。本当に珍しいこともあるものだと、香子は目を丸くした。
『……趙は……大丈夫でした』
搾り出すように黒月が報告した。『そう、ありがとう』香子はその場ではそれだけを言うに留めた。そして、
『黒月、後で一緒に入浴しない?』
と誘いの言葉をかけた。黒月はわずかに眉を寄せた。
『……お断りします』
『残念』
香子は笑った。
趙文英と何かあったようだが、それを香子に話せる状態ではないのだろう。もし趙に不快な感情を抱いたなら黒月のことだ。もう趙のところへはやるなとはっきり言うに違いない。そうでないというのならば……。
(あんまり趙には会ってないけど……絶対黒月を見てたと思うのよね)
『花嫁さま、お時間でございます』
延夕玲に窘められて、香子は白虎に抱かれたまま食堂へ向かった。
『……そなたは気が多すぎる』
入浴後、香子は白虎に文句を言われてしまった。
玄武の室である。玄武、白虎だけでなく朱雀もいた。朱雀は香子に熱を与えたら今夜のところは退散するらしい。そろそろ熱がなくても、とは香子も思うのだが、やはり正気で白虎に抱かれるのはまだハードルが高かった。慣れるまでは朱雀の熱がどうしても必要になる。
悪いことをしていると香子も思うだが、一晩で三神の相手はとてもできない。
ただでさえ愛欲の日々なのにこれ以上は勘弁してほしいと香子は思っている。
『白虎、それが香子なのだからしかたない』
珍しく玄武が寛容なことを言った。けれどこれを真に受けてはいけないことも香子は知っている。
『わかってはおりますが……このような状況では、もし香子を娶っても気が気ではありませんな』
白虎が苦笑するように呟いた。朱雀が喉の奥で笑う。
『昼夜問わず床から出さぬようにすればいいだけのことだ。香子は感じやすいからな』
『……朱雀様』
よく本人の前でそういうことを言えるものだと、香子は朱雀を睨んだ。
『如何か』
『……そのようなことを言われて私が朱雀様に嫁ぐと思いますか?』
朱雀は不思議そうな顔をした。
『今まで以上にそなたを愛すだけだが、いけないのか?』
『ううう……』
(今まで以上に愛されるって……朱雀様はいったい何をする気なのぉっ!?)
香子は両手で顔を覆って身もだえた。本当に朱雀にはかなわないと香子は思う。
『まぁいい。朱雀兄、熱を』
白虎が軽く嘆息した。
そうして香子はまた何も考えられなくなった。
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