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第1部 四神と結婚しろと言われました
47.四神は嫉妬深いらしいです
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ひとしきり口唇を貪られた後、香子はぐったりと玄武にもたれた。
『玄武様……』
満足そうな玄武を睨む。
『こんなところでは嫌です……』
抗議したつもりが拗ねたような言い方になってしまったことに香子は頬を染めた。なんだか玄武はとても嬉しそうに香子を見つめている。香子はそれに自分がなにか間違ったことを言ったのではないかと軽く首を傾げた。
(……あ……)
こんなところでは嫌です、なんて。
(まるでここじゃなきゃそーゆーことしてもいいって言ってるみたいじゃないの、私のばかばかばかーーーーーー!!)
自分の科白に香子はますます赤くなった。
『そなたの部屋か、我の室であればよいか?』
(うわーーーーん!)
『あ、あのっ! それよりなんでいきなり……』
玄武の袍を掴んで顔を上げる。どうしてこうなったのかがわからないと次にどう対応していいか香子はわからない。尋ねると玄武は少し困ったような顔をした。
『趙文英のことはいたしかたないのだが……案内にともう一人来たであろう……』
(王さんのことかな?)
そういえば趙とはまた違ったタイプのイケメンではあった。
『王、英明さんでしたっけ? あの人が何か?』
首を傾げて聞くと、玄武は少し不快そうな顔をした。
(あれ? あの人なんかしたっけ?)
玄武が不快になる理由が思い当たらなくてどうしたものかと困っていると、玄武は香子を抱きなおした。
『わかってはいるのだ。そなたは我らの花嫁、例え他の男を想ったとしてもその想いがかなうことはないと……』
(……は……?)
なんの話だかわからない。
『すいません、意味がわからないんですけど……』
困って尋ねる。玄武もどうやら困っているように見えた。
『どう説明したらいいのかわからないのだ。ただ、そなたが人の男と共にあるだけでどうしたらいいのかわからなくなる……』
(えーと……)
神様の思考を理解するのは時にひどく難しい。
『それは……もしかして私が人間の男性と同じ空間にいるのが嫌だということですか?』
『そういうことになるな』
その衝動でここに連れて来られて散々キスされてしまったのか。香子は嘆息した。
『あのですね? こういうことあまり言いたくないんですけど、私すっごいメンクイなんです』
『?』
玄武が目を丸くした。香子が何を言おうとしているかわからないようである。
『それでですね、玄武様以下四神の顔は全部私の好みなんです』
『ふむ……?』
(ここまで言ってなんでわかんないのー?)
『もちろん顔だけじゃないですけど、その……ああいうことをあまりしないでくれたらきっともっとすっごく好きだと思うんです……』
香子は言いながら頬が再び熱くなるのを感じた。
(なんで私がこんなこと言ってるんだろう……)
玄武がすごく嬉しそうな表情をして香子の髪に口づける。
『ああいうこととは?』
(絶対わかってて聞いてる~~~~~~~~~~!!)
『……意地悪なことされるのも嫌です』
そう言って睨むと、玄武が目元に口づけてくる。
『意地悪などせぬ。そなたは大事な花嫁だ……』
そして再び口唇が重なってきて……。
それからどれだけ口づけられたか香子はわからなかった。どうやら玄武が趙や王に嫉妬したことはわかった。
きっとそういうことは理屈ではないのだろうということがなんとなくわかる。きっと他の三神も同じように嫉妬してしまうのだろう。
(四神以上にステキな存在なんていないと思うけど……)
そんなことを考えてから、元の世界で別れて来たばかりの彼氏の顔が浮かんで落ち込む。
(私、こんなに気が多かったかしら……)
また一瞬で部屋に連れ戻られて、玄武は一旦香子の部屋を出ていった。
触れられているせいなのか、元カレより玄武と朱雀のことが気になって仕方ない。
もう二十二歳だし初心なことを言うつもりはないが、なんだか性急すぎて流されてる感が否めない。
(日替わりでデートとかすれば少しは考えられると思うんだけどな……)
玄武と朱雀のどちらかをまずは選ぶにしても。
『玄武様……』
満足そうな玄武を睨む。
『こんなところでは嫌です……』
抗議したつもりが拗ねたような言い方になってしまったことに香子は頬を染めた。なんだか玄武はとても嬉しそうに香子を見つめている。香子はそれに自分がなにか間違ったことを言ったのではないかと軽く首を傾げた。
(……あ……)
こんなところでは嫌です、なんて。
(まるでここじゃなきゃそーゆーことしてもいいって言ってるみたいじゃないの、私のばかばかばかーーーーーー!!)
自分の科白に香子はますます赤くなった。
『そなたの部屋か、我の室であればよいか?』
(うわーーーーん!)
『あ、あのっ! それよりなんでいきなり……』
玄武の袍を掴んで顔を上げる。どうしてこうなったのかがわからないと次にどう対応していいか香子はわからない。尋ねると玄武は少し困ったような顔をした。
『趙文英のことはいたしかたないのだが……案内にともう一人来たであろう……』
(王さんのことかな?)
そういえば趙とはまた違ったタイプのイケメンではあった。
『王、英明さんでしたっけ? あの人が何か?』
首を傾げて聞くと、玄武は少し不快そうな顔をした。
(あれ? あの人なんかしたっけ?)
玄武が不快になる理由が思い当たらなくてどうしたものかと困っていると、玄武は香子を抱きなおした。
『わかってはいるのだ。そなたは我らの花嫁、例え他の男を想ったとしてもその想いがかなうことはないと……』
(……は……?)
なんの話だかわからない。
『すいません、意味がわからないんですけど……』
困って尋ねる。玄武もどうやら困っているように見えた。
『どう説明したらいいのかわからないのだ。ただ、そなたが人の男と共にあるだけでどうしたらいいのかわからなくなる……』
(えーと……)
神様の思考を理解するのは時にひどく難しい。
『それは……もしかして私が人間の男性と同じ空間にいるのが嫌だということですか?』
『そういうことになるな』
その衝動でここに連れて来られて散々キスされてしまったのか。香子は嘆息した。
『あのですね? こういうことあまり言いたくないんですけど、私すっごいメンクイなんです』
『?』
玄武が目を丸くした。香子が何を言おうとしているかわからないようである。
『それでですね、玄武様以下四神の顔は全部私の好みなんです』
『ふむ……?』
(ここまで言ってなんでわかんないのー?)
『もちろん顔だけじゃないですけど、その……ああいうことをあまりしないでくれたらきっともっとすっごく好きだと思うんです……』
香子は言いながら頬が再び熱くなるのを感じた。
(なんで私がこんなこと言ってるんだろう……)
玄武がすごく嬉しそうな表情をして香子の髪に口づける。
『ああいうこととは?』
(絶対わかってて聞いてる~~~~~~~~~~!!)
『……意地悪なことされるのも嫌です』
そう言って睨むと、玄武が目元に口づけてくる。
『意地悪などせぬ。そなたは大事な花嫁だ……』
そして再び口唇が重なってきて……。
それからどれだけ口づけられたか香子はわからなかった。どうやら玄武が趙や王に嫉妬したことはわかった。
きっとそういうことは理屈ではないのだろうということがなんとなくわかる。きっと他の三神も同じように嫉妬してしまうのだろう。
(四神以上にステキな存在なんていないと思うけど……)
そんなことを考えてから、元の世界で別れて来たばかりの彼氏の顔が浮かんで落ち込む。
(私、こんなに気が多かったかしら……)
また一瞬で部屋に連れ戻られて、玄武は一旦香子の部屋を出ていった。
触れられているせいなのか、元カレより玄武と朱雀のことが気になって仕方ない。
もう二十二歳だし初心なことを言うつもりはないが、なんだか性急すぎて流されてる感が否めない。
(日替わりでデートとかすれば少しは考えられると思うんだけどな……)
玄武と朱雀のどちらかをまずは選ぶにしても。
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