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第1部 四神と結婚しろと言われました
33.二神との朝
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瞼が、ひどく重かった。
まるで山登りをした翌日のような疲労が全身を覆っている。そして股関節が痛い、と思った時、香子の意識は一気に浮上した。
あまりの羞恥に全身を真っ赤に染めてぶるりと震えると、
『おはよう、体は大丈夫か?』
寝起きには非常に心臓に悪いバリトンが、すぐ横から聞こえた。
「……あ……」
思わず香子は声を上げる。
『おはよう、香子。体調はどうだ?』
反対側からは甘いテナーが気づかうように響く。
香子は自分の格好を見て悲鳴を上げた。急いで上掛けを引き上げ首元まで覆う。右を見ても左を見てもとんでもない美丈夫が香子を優しく見つめていて非常に恥ずかしい。
(なにこのイケメン地獄!?)
香子はぎゅっと目を閉じてふるふると首を振った。
その様子に玄武と朱雀は目を丸くし、そしてすぐ愛しくてたまらないというように微笑んだ。
香子は全くモテなかったわけではないが、この状況を楽しめるほど自分に自信があるわけでもない。両脇にとんでもない美貌の主がいて、しかも昨日は昼も夜もあーんなことやこーんなことをされてしまった。
しかもそれがすっごく気持ちよかったなんて口が裂けても言えないと香子は思う。
元々香子はあまり男性経験がなく、あんなに情熱的に愛撫をされたことはなかった。そのせいか胸に触れられても感じたことはないし、中での快感など論外だった。
(不感症じゃなかったんだ、私……)
現実逃避でそんなことをぼんやり思っていると、瞼に口づけが降ってきた。
『香子、体調はどうだ?』
耳元で甘いテナーが再び問う。香子は肩を竦めた。
『答えないなら、大丈夫と受け取ってもいいのかな?』
それにこくこくと頷くと、
『ならば朝食後にまた触れてもいいだろうか』
というバリトンにぴきっと香子は固まった。
『だっ、だめです! すっごく疲れてます! 足も痛いですし! ほっ、他のところも!』
そう叫ぶように訴えると二神はくすくす笑った。どうやらまたからかわれたらしい。
香子はむっとした。
なんだか手のひらの上で転がされている感が強い。
『腹はすいたか?』
そう聞かれておなかの具合を確認する。寝起きなのでまだよくわからなかった。正直に答えると、とりあえずというように二神は床を下り身支度をした。その様子を香子は床に寝転がったままぼうっと見ていた。
何をしていても様になるのは神様だからだろうか。それとも四神が特別なのだろうかなどととりとめもないことを考える。
二神は自分たちの支度が整うと表に声をかけた。ほどなくして侍女たちが香子の衣装を持って入ってくる。
『我らは居間で待っている故、支度が整ったら呼ぶように』
香子は侍女に促されるままに顔を洗い、漢服を着せられた。身支度が整うと侍女が居間に声をかけに行く。玄武が再びやってきて、しごく当たり前のように香子を抱き上げて居間に移動した。
居間には紅夏と黒月もいた。
侍女たちはお茶を入れると部屋を辞した。
『腹がすいたら言え。すぐに用意させる』
玄武の言葉に香子は頷き、入れてもらったお茶に口をつける。
『……おいしい』
一口飲んで、香子はひどく喉が渇いていたことに気付いた。
そしてここが玄武の室だということを思い出して、再び頬を染めた。
(玄武様も朱雀様もいて……ば、ばれた……絶対ばれたよね……?)
できることなら侍女たちを呼んで誤解だと叫びたい。最後まではしてない。そう、最後まではしていないのだ。
これではまるで複数のイケメンと関係を持って喜んでいるビッチのようではないか。
(これから私、どうなっちゃうんだろう……)
香子は朝から深く嘆息した。
まるで山登りをした翌日のような疲労が全身を覆っている。そして股関節が痛い、と思った時、香子の意識は一気に浮上した。
あまりの羞恥に全身を真っ赤に染めてぶるりと震えると、
『おはよう、体は大丈夫か?』
寝起きには非常に心臓に悪いバリトンが、すぐ横から聞こえた。
「……あ……」
思わず香子は声を上げる。
『おはよう、香子。体調はどうだ?』
反対側からは甘いテナーが気づかうように響く。
香子は自分の格好を見て悲鳴を上げた。急いで上掛けを引き上げ首元まで覆う。右を見ても左を見てもとんでもない美丈夫が香子を優しく見つめていて非常に恥ずかしい。
(なにこのイケメン地獄!?)
香子はぎゅっと目を閉じてふるふると首を振った。
その様子に玄武と朱雀は目を丸くし、そしてすぐ愛しくてたまらないというように微笑んだ。
香子は全くモテなかったわけではないが、この状況を楽しめるほど自分に自信があるわけでもない。両脇にとんでもない美貌の主がいて、しかも昨日は昼も夜もあーんなことやこーんなことをされてしまった。
しかもそれがすっごく気持ちよかったなんて口が裂けても言えないと香子は思う。
元々香子はあまり男性経験がなく、あんなに情熱的に愛撫をされたことはなかった。そのせいか胸に触れられても感じたことはないし、中での快感など論外だった。
(不感症じゃなかったんだ、私……)
現実逃避でそんなことをぼんやり思っていると、瞼に口づけが降ってきた。
『香子、体調はどうだ?』
耳元で甘いテナーが再び問う。香子は肩を竦めた。
『答えないなら、大丈夫と受け取ってもいいのかな?』
それにこくこくと頷くと、
『ならば朝食後にまた触れてもいいだろうか』
というバリトンにぴきっと香子は固まった。
『だっ、だめです! すっごく疲れてます! 足も痛いですし! ほっ、他のところも!』
そう叫ぶように訴えると二神はくすくす笑った。どうやらまたからかわれたらしい。
香子はむっとした。
なんだか手のひらの上で転がされている感が強い。
『腹はすいたか?』
そう聞かれておなかの具合を確認する。寝起きなのでまだよくわからなかった。正直に答えると、とりあえずというように二神は床を下り身支度をした。その様子を香子は床に寝転がったままぼうっと見ていた。
何をしていても様になるのは神様だからだろうか。それとも四神が特別なのだろうかなどととりとめもないことを考える。
二神は自分たちの支度が整うと表に声をかけた。ほどなくして侍女たちが香子の衣装を持って入ってくる。
『我らは居間で待っている故、支度が整ったら呼ぶように』
香子は侍女に促されるままに顔を洗い、漢服を着せられた。身支度が整うと侍女が居間に声をかけに行く。玄武が再びやってきて、しごく当たり前のように香子を抱き上げて居間に移動した。
居間には紅夏と黒月もいた。
侍女たちはお茶を入れると部屋を辞した。
『腹がすいたら言え。すぐに用意させる』
玄武の言葉に香子は頷き、入れてもらったお茶に口をつける。
『……おいしい』
一口飲んで、香子はひどく喉が渇いていたことに気付いた。
そしてここが玄武の室だということを思い出して、再び頬を染めた。
(玄武様も朱雀様もいて……ば、ばれた……絶対ばれたよね……?)
できることなら侍女たちを呼んで誤解だと叫びたい。最後まではしてない。そう、最後まではしていないのだ。
これではまるで複数のイケメンと関係を持って喜んでいるビッチのようではないか。
(これから私、どうなっちゃうんだろう……)
香子は朝から深く嘆息した。
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