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第1部 四神と結婚しろと言われました
24.四神に食べられかけました(玄武) ※R15
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誰でもよかったわけではないと後になって香子は思った。
自分を抱き上げるがっしりとした腕の中は心地よかった。四神は総じて端正な表をしており、その体は長袍に隠れて窺えないが抱かれている感触としてはかなりしっかりしている。身長も一五五センチメールの香子に比べて頭一つ分以上はあるので一八〇~一九〇センチメートルぐらいあるかもしれない。体格から見たらまるで大人と子供だ。
香子の家族はみな小さく、一番背が高い兄ですら身長一六七センチメートルしかない。だから母は絶対背の高い男性を捕まえるのよ! と香子が幼い頃から言い続けていた。
親からの刷り込みというのはやはりとても影響が大きかったらしく、香子が今まで付き合った相手は最低でも身長一七五センチメートル以上だった。しかも香子はメンクイで、外見だけなら、四神は一目見た時からストライクゾーンだった。
しかもそんな美丈夫たちに昨夜から何度も抱き上げられ、朝から床で同衾していたりして香子のカンカクが麻痺するのも無理はない。
おかしいということはなんとなく香子にもわかっていた。
香子は三、四日前に彼と別れてきたばかりで、恋愛なんてしばらくいいと思っていたのに。
だからこれは恋愛じゃないと香子は思う。
(ごめんなさい……)
ただとんでもなく心細くて、こんなにも素敵な神様たちが自分を求めてくれるなら差し出してもいいと思ってしまった。
香子は玄武の頬に自分の頬をそっと擦り寄せた。
それが答えだった。
玄武の手はきれいだった。水仕事や力仕事などしたことがないだろう滑らかな手は、器用に香子の腰帯を外し、何枚も重ねられた色とりどりの布の合わせ目をくつろげた。
『白香……』
香子がまとう衣装を脱がせながら口唇を重ねる。
至近距離で見た玄武の瞳は緑色をしていた。
(きれい……)
それに目を奪われながら香子は玄武の口づけを受けた。
何度も角度を変えて唇を重ねながら、玄武の手が耳の後ろ、首筋、鎖骨と撫でおろしていく。
そして大して大きくもない胸を包むように玄武の手が触れる。香子は恥ずかしさにその身を震わせた。
『怖がるな』
甘いバリトンが口づけの合間に香子に囁く。
香子は罪悪感に胸を痛めながらも、玄武に身を任せた。
* *
玄武はとても優しかった。
香子の逡巡に気付いて、最後まで抱くことはしなかった。
『いずれそなたが心から我を求めてくれた時は、もう待たぬぞ……』
耳元で囁かれるたびに身を震わせる香子の反応を楽しみながら、玄武は香子の床で彼女をずっと抱きしめていた。
いっぱい泣いて、巧みな玄武の腕の中で啼かされて、香子はとても疲れてしまいそのままうとうとと眠りについた。
そんな香子を玄武は愛しそうに腕に閉じ込め、再び彼女が目覚めるまでずっとその寝顔を見ていた。
太陽が中天を過ぎ、日が陰りはじめた頃やっと香子は目を覚ました。
泣きすぎたせいか瞼が腫れぼったい。
たかがバッグ一つにあそこまで泣きわめいた自分がとても恥ずかしくて、香子は真っ赤になる。しかもあの後……。
(……私ってば……な、な、なんてことを……!)
部屋に連れ帰られた後のあーんなことやこーんなことがありありと思い出されて身体が沸騰しそうである。
人ではありえないだろう長い舌に散々翻弄された。泣くだけでなくたっぷりと啼かされ、喉が少し痛むような気がする。
『腫れてしまったな』
上から覗きこむような形で玄武が声をかけてきた。香子は自分のことに精いっぱいで目の前に玄武の胸があったことに今頃気づいた。
『……げ、玄武様……』
(まだいてくれたなんて……!)
香子は恥ずかしさで泣きそうになった。その瞼に玄武の口唇が落とされる。
何をされたかわからなくて香子が顔を真っ赤にしたまま固まっている間に、玄武は何度も香子の瞼に口づけた。
『これで少しはおさまるだろう。気付かなくてすまなかった』
そう言われて目の腫れぼったさが治まったことに香子は気づいた。
『あ、ありがとうございます……』
(やっぱり神様なんだ……)
香子は改めてそのことを再認識した。
自分を抱き上げるがっしりとした腕の中は心地よかった。四神は総じて端正な表をしており、その体は長袍に隠れて窺えないが抱かれている感触としてはかなりしっかりしている。身長も一五五センチメールの香子に比べて頭一つ分以上はあるので一八〇~一九〇センチメートルぐらいあるかもしれない。体格から見たらまるで大人と子供だ。
香子の家族はみな小さく、一番背が高い兄ですら身長一六七センチメートルしかない。だから母は絶対背の高い男性を捕まえるのよ! と香子が幼い頃から言い続けていた。
親からの刷り込みというのはやはりとても影響が大きかったらしく、香子が今まで付き合った相手は最低でも身長一七五センチメートル以上だった。しかも香子はメンクイで、外見だけなら、四神は一目見た時からストライクゾーンだった。
しかもそんな美丈夫たちに昨夜から何度も抱き上げられ、朝から床で同衾していたりして香子のカンカクが麻痺するのも無理はない。
おかしいということはなんとなく香子にもわかっていた。
香子は三、四日前に彼と別れてきたばかりで、恋愛なんてしばらくいいと思っていたのに。
だからこれは恋愛じゃないと香子は思う。
(ごめんなさい……)
ただとんでもなく心細くて、こんなにも素敵な神様たちが自分を求めてくれるなら差し出してもいいと思ってしまった。
香子は玄武の頬に自分の頬をそっと擦り寄せた。
それが答えだった。
玄武の手はきれいだった。水仕事や力仕事などしたことがないだろう滑らかな手は、器用に香子の腰帯を外し、何枚も重ねられた色とりどりの布の合わせ目をくつろげた。
『白香……』
香子がまとう衣装を脱がせながら口唇を重ねる。
至近距離で見た玄武の瞳は緑色をしていた。
(きれい……)
それに目を奪われながら香子は玄武の口づけを受けた。
何度も角度を変えて唇を重ねながら、玄武の手が耳の後ろ、首筋、鎖骨と撫でおろしていく。
そして大して大きくもない胸を包むように玄武の手が触れる。香子は恥ずかしさにその身を震わせた。
『怖がるな』
甘いバリトンが口づけの合間に香子に囁く。
香子は罪悪感に胸を痛めながらも、玄武に身を任せた。
* *
玄武はとても優しかった。
香子の逡巡に気付いて、最後まで抱くことはしなかった。
『いずれそなたが心から我を求めてくれた時は、もう待たぬぞ……』
耳元で囁かれるたびに身を震わせる香子の反応を楽しみながら、玄武は香子の床で彼女をずっと抱きしめていた。
いっぱい泣いて、巧みな玄武の腕の中で啼かされて、香子はとても疲れてしまいそのままうとうとと眠りについた。
そんな香子を玄武は愛しそうに腕に閉じ込め、再び彼女が目覚めるまでずっとその寝顔を見ていた。
太陽が中天を過ぎ、日が陰りはじめた頃やっと香子は目を覚ました。
泣きすぎたせいか瞼が腫れぼったい。
たかがバッグ一つにあそこまで泣きわめいた自分がとても恥ずかしくて、香子は真っ赤になる。しかもあの後……。
(……私ってば……な、な、なんてことを……!)
部屋に連れ帰られた後のあーんなことやこーんなことがありありと思い出されて身体が沸騰しそうである。
人ではありえないだろう長い舌に散々翻弄された。泣くだけでなくたっぷりと啼かされ、喉が少し痛むような気がする。
『腫れてしまったな』
上から覗きこむような形で玄武が声をかけてきた。香子は自分のことに精いっぱいで目の前に玄武の胸があったことに今頃気づいた。
『……げ、玄武様……』
(まだいてくれたなんて……!)
香子は恥ずかしさで泣きそうになった。その瞼に玄武の口唇が落とされる。
何をされたかわからなくて香子が顔を真っ赤にしたまま固まっている間に、玄武は何度も香子の瞼に口づけた。
『これで少しはおさまるだろう。気付かなくてすまなかった』
そう言われて目の腫れぼったさが治まったことに香子は気づいた。
『あ、ありがとうございます……』
(やっぱり神様なんだ……)
香子は改めてそのことを再認識した。
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