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第1部 四神と結婚しろと言われました
18.そういえば荷物はどこでしょう?
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朝食を終えたはいいがこれからどうしたらいいだろうか。
『あっ! 私のバッグ……』
食後のお茶を飲み終えてから、食事の前に思い出した事柄が浮かぶ。
『? どうした?』
思わず口に出た言葉に朱雀が香子の顔を見た。香子ははっとして口を押さえる。
『……この世界に来た時に持ってたバッグ、預けたままでまだ返してもらってないんです……』
バッグの行方は誰に聞けばわかるのだろう。趙文英が香子を迎えに来た時、なくすと困るだろうからと保管してくれることになったのだ。王城に着けば勝手に手元に返ってくるだろうと思っていただけにどうしたらいいのかわからない。
『白香の荷物について知っている者は?』
食堂に控えている侍女たちが顔を見合わせる。
『あの……私をここに連れて来てくれた趙さんに御取次をお願いしたいのですが……』
そう侍女たちの方を向いて言うと何人かが頭を下げて退室していった。
『趙というのは何者だ?』
何故か青龍に聞かれる。
(今言ったじゃーん)
しょうがないので改めて説明することにする。
『石家荘の長官の副官をしている人です。私が召喚された場所の近くまで迎えにきてくれて、ここまで連れて来てくれました』
『それは礼を言わねばならぬな』
朱雀が笑みを浮かべて言うと、青龍が一瞬眉をしかめた。残念ながらそれが香子の目に入ってしまう。
(なんだかなー……)
『そういえば私がなんであそこにいたってわかったんだろう……って、なんかお告げかなんかあったのか……』
ぶつぶつと呟いていたら、目の端で青龍が呆れたような表情をしている。
(神様ってそんなに表情豊かでなくていいと思う)
『そなたが現れる前に我らや国の神官に、いつ、どの辺りの神殿にそなたが現れるか伝達されるのだ』
朱雀が淡々と告げる。
『日時までわかるんですか?』
『現れる日と大体の時間帯と言った方が正しい』
『だからあそこに人が来たんだ……』
香子は納得した。そんな話をしている間に侍女たちが戻ってきた。
『白香様、趙殿が参りましたのでどうぞ謁見の間にいらしてください』
『謁見の間?』
ここではいけないのだろうか。香子が首を傾げると、
『四神宮の前にある室にございます』
侍女が頭を深く下げて言う。
(ま、近くならいっか)
『わかりました』
遠いところではないようなので足を延ばすことし、香子は立ち上がろうとしたが、また横から手が伸びてきて朱雀に軽々と抱きあげられてしまった。
『わっ、わぁっ……! 何するんですか!?』
『我らも参ろう。趙という者に礼を言いたい』
(だからお姫様ダッコは頼むからやめてぇぇえええっ!)
昨夜から当然のように抱き上げられていて、それが普通になったら困ると香子は思う。下ろしてほしいとは思うものの、朱雀の腕の中は安定感があって気持ちがいいから余計に嫌だった。
『なんでいちいち抱き上げるんですか!?』
『案内せよ』
(人の話を聞けーーーーーー!!)
相変わらず神様は人の話を聞いてくれない。侍女たちは香子に羨望の眼差しを向けていたが、朱雀の声にはっとして食堂の扉を開けた。
香子を抱き上げた朱雀が先に出、その後に玄武、白虎、青龍が続く。どうやら全員趙に会うことにしたようだ。
侍女の言った通り四神宮を出てすぐ前に謁見の間があった。
壁際の一段高いところに豪奢な椅子が五脚置かれ、その前に長い卓が置かれている。そこから少し離れたところで趙が平伏して待っていた。
『趙さん!』
香子が声をかけると趙がはっとしたように顔を上げ、朱雀の腕の中にいることを確認するとすぐにまた頭を下げた。
『白香様、四神様におかれましてはご機嫌麗しく……』
『口上はよい。趙文英と言ったか。白香が持っていた荷物はどうした?』
壇上の椅子に腰を掛けるか掛けないかというところで朱雀が趙の挨拶を遮る。趙は香子のバッグのことを持ち出され、体を固くした。そして、
『たいへん申し訳ございません!』
と叫ぶように言い叩頭した。
『あっ! 私のバッグ……』
食後のお茶を飲み終えてから、食事の前に思い出した事柄が浮かぶ。
『? どうした?』
思わず口に出た言葉に朱雀が香子の顔を見た。香子ははっとして口を押さえる。
『……この世界に来た時に持ってたバッグ、預けたままでまだ返してもらってないんです……』
バッグの行方は誰に聞けばわかるのだろう。趙文英が香子を迎えに来た時、なくすと困るだろうからと保管してくれることになったのだ。王城に着けば勝手に手元に返ってくるだろうと思っていただけにどうしたらいいのかわからない。
『白香の荷物について知っている者は?』
食堂に控えている侍女たちが顔を見合わせる。
『あの……私をここに連れて来てくれた趙さんに御取次をお願いしたいのですが……』
そう侍女たちの方を向いて言うと何人かが頭を下げて退室していった。
『趙というのは何者だ?』
何故か青龍に聞かれる。
(今言ったじゃーん)
しょうがないので改めて説明することにする。
『石家荘の長官の副官をしている人です。私が召喚された場所の近くまで迎えにきてくれて、ここまで連れて来てくれました』
『それは礼を言わねばならぬな』
朱雀が笑みを浮かべて言うと、青龍が一瞬眉をしかめた。残念ながらそれが香子の目に入ってしまう。
(なんだかなー……)
『そういえば私がなんであそこにいたってわかったんだろう……って、なんかお告げかなんかあったのか……』
ぶつぶつと呟いていたら、目の端で青龍が呆れたような表情をしている。
(神様ってそんなに表情豊かでなくていいと思う)
『そなたが現れる前に我らや国の神官に、いつ、どの辺りの神殿にそなたが現れるか伝達されるのだ』
朱雀が淡々と告げる。
『日時までわかるんですか?』
『現れる日と大体の時間帯と言った方が正しい』
『だからあそこに人が来たんだ……』
香子は納得した。そんな話をしている間に侍女たちが戻ってきた。
『白香様、趙殿が参りましたのでどうぞ謁見の間にいらしてください』
『謁見の間?』
ここではいけないのだろうか。香子が首を傾げると、
『四神宮の前にある室にございます』
侍女が頭を深く下げて言う。
(ま、近くならいっか)
『わかりました』
遠いところではないようなので足を延ばすことし、香子は立ち上がろうとしたが、また横から手が伸びてきて朱雀に軽々と抱きあげられてしまった。
『わっ、わぁっ……! 何するんですか!?』
『我らも参ろう。趙という者に礼を言いたい』
(だからお姫様ダッコは頼むからやめてぇぇえええっ!)
昨夜から当然のように抱き上げられていて、それが普通になったら困ると香子は思う。下ろしてほしいとは思うものの、朱雀の腕の中は安定感があって気持ちがいいから余計に嫌だった。
『なんでいちいち抱き上げるんですか!?』
『案内せよ』
(人の話を聞けーーーーーー!!)
相変わらず神様は人の話を聞いてくれない。侍女たちは香子に羨望の眼差しを向けていたが、朱雀の声にはっとして食堂の扉を開けた。
香子を抱き上げた朱雀が先に出、その後に玄武、白虎、青龍が続く。どうやら全員趙に会うことにしたようだ。
侍女の言った通り四神宮を出てすぐ前に謁見の間があった。
壁際の一段高いところに豪奢な椅子が五脚置かれ、その前に長い卓が置かれている。そこから少し離れたところで趙が平伏して待っていた。
『趙さん!』
香子が声をかけると趙がはっとしたように顔を上げ、朱雀の腕の中にいることを確認するとすぐにまた頭を下げた。
『白香様、四神様におかれましてはご機嫌麗しく……』
『口上はよい。趙文英と言ったか。白香が持っていた荷物はどうした?』
壇上の椅子に腰を掛けるか掛けないかというところで朱雀が趙の挨拶を遮る。趙は香子のバッグのことを持ち出され、体を固くした。そして、
『たいへん申し訳ございません!』
と叫ぶように言い叩頭した。
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