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第3部 周りと仲良くしろと言われました
143.そんなに気軽に結婚していいものではないと思うのです
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本当に何をやっていたのだろうと香子は朝目覚めてから思った。
昨夜は玄武の胸をもみもみして、合流した朱雀の胸ももみもみさせてもらった。
『そなたの胸も好きだぞ』
玄武が嬉しそうに言って、香子も胸を散々揉まれて、舐められて吸われた。昨夜はかなりしつこくいじられた。
『玄武様、痛いです……』
『すまぬ……そなたがあまりにも愛しくてな』
腫れてしまった箇所を治されて、また舐められた。本当に香子は四神に甘いのだ。
胸をいっぱいいじられながら香子は二神に抱かれた。抱かれている間はなにもわからなくなってしまうから、香子は二神に抱かれることで現実逃避したのだった。
もちろん翌朝目覚めれば一人反省会が待っているのだが。
『春巻、おいしい……』
玄武の膝の上で香子は朝食をいただいていた。普通の春巻だけでなく海老がふんだんに入った春巻もある。今回は春巻多めであった。みな香子を気づかっているようで、香子はなんだかいたたまれなかった。
(春巻が好物って言ってあるもんね……)
餡儿餅(中国版おやきのようなもの)もあった。具だくさんで形が整っていて、とてもおいしい。厨師たちにも気を使わせてしまっているようだ。
『おいしい……どれもこれもおいしい……』
ごはんがおいしいのは幸せだと香子は思う。悩みの大半はおいしいごはんを食べればどうにかなるものだと香子は思っている。問題は食べられない程心身にダメージを受けている場合だ。香子はおいしいものを食べておいしいと言えているのだからいいのだと思った。
しかし、とも香子は考える。
香子のストレスの原因は朱雀の眷属だ。
”つがい”だからしかたないというのは眷属の言い分であって人には関係ないとやはり思う。お互いが相思相愛ならば言うことはないが、林雪紅を困らせているだけだというのならばやはり黙ってはいられない。
(でも、私を障害と認識して盛り上がられても困るんだよね……)
聞く耳持たんも困るが、障害のある恋ほど燃え上がられても困るのである。
香子は朱雀に一応聞いてみたが、やっぱり”つがい”はしょうがないのだと言われた。全く使えない神様である。
ここは香子の部屋だが、玄武と朱雀がいる為紅夏も控えていた。ちなみに香子が食事中なので紅児と林雪紅は朝食に行かせている。おかげで紅夏の機嫌がすこぶる悪い。
『……立場とか言ったら人間は下ですもんね。そりゃあ眷属が自分たちを優先するわけですよね』
結局はそういうことだ。”つがい”なんて言っても相手を対等には見ていない。そう香子は認識した。
『それは違います』
紅夏が反論した。
『じゃあ本能に抗えないの? 理性がきかない? そんなの獣と一緒でしょう。そりゃあ人間だって獣だけど一応理性は学ぶのよ。”つがい”なんて人間にはわからない。それを知ってて当然とばかりに押し付けるのはもはや愛ではないでしょう?』
四神だって似たようなものだ。香子に対してはまるで理性がきかない。
『どうしろと言うのですか』
『以前から言っているでしょう、話し合えって。エリーザはどうしたって紅夏には遠慮するのよ。あんまり我慢させてるとそのうち捨てられるわよ』
『……それは……』
『絶対ないなんて言いきれないわ。人は”つがい”なんて知らないんだから』
『そう、ですな』
『閉じ込めるとか、脅すとかしたら心が離れていくからね。もう少し相手に気をつかいなさい。夫婦なんでしょう?』
『はい』
というかんじで紅夏にはついいろいろと言ってしまった。ごめん紅児、と香子は思った。
だが「夫婦」という言葉がよかったらしく、翌日香子がおそるおそる紅児に聞いたら、紅児は嬉しそうにはにかんでいた。らぶらぶで何よりだと香子は思った。
じっと延夕玲を見つめる。
『私のことは気にせずとも大丈夫です』
夕玲はすました顔で答えた。
『本当に?』
『……花嫁様はそれよりもご自身のことを考えていただきたいのですが』
『ううう……』
自分のことはもう少し棚に上げておきたい香子だった。
今日は白虎と過ごす日なので、香子は白虎に頼んでもふもふを堪能した。すぐ側には青龍がいて、白虎にたわむれる香子を見守っている。これは白虎がいきなり香子を襲ったりしない為の措置だ。
(うー! もふもふーもふもふーもふもふー)
白虎はうっとりしながら白虎を撫でている香子を微妙な顔で見つめた。
『香子……』
本性を現すと白虎の声は更に低くなる。
『んー?』
『そなたから”もふもふー”としか感情が返ってこないのだが、大丈夫か?』
「ぶはぁっ!」
そんなところまで伝わるのかと香子は噴き出した。
『……そのまんまです。白虎様は私の癒し担当なので耐えてください』
香子、なんだかんだ言って横暴である。
『……なかなかに複雑な気分だな』
『それもこれも全て眷属が悪いんです。白雲はどうだか知りませんが、大事なはずの”つがい”なのに全然大切にしてるようには見えませんっ!』
『そうか』
『あ、でも。私がこうしていらいらしてるってことは眷属には伝えないでくださいね。”つがい”たちに当たられては困りますから』
『香子……そんなに眷属がそなたを困らせているのか?』
『どーせ私は首を勝手に突っ込んでるだけですよーだ!』
『……そうか』
香子だってお節介だということはわかっているのだ。でも眷属の”つがい”はただ夫婦になるだけではすまない。その寿命さえも歪めてしまう。
だから、そういう大事なことを話し合わずに”つがい”だからと手に入れようとするのが許せないのだ。
香子が許せなくてもどうにもなりはしないのだが。
ーーーーー
香子ぐるぐるの巻。
昨夜は玄武の胸をもみもみして、合流した朱雀の胸ももみもみさせてもらった。
『そなたの胸も好きだぞ』
玄武が嬉しそうに言って、香子も胸を散々揉まれて、舐められて吸われた。昨夜はかなりしつこくいじられた。
『玄武様、痛いです……』
『すまぬ……そなたがあまりにも愛しくてな』
腫れてしまった箇所を治されて、また舐められた。本当に香子は四神に甘いのだ。
胸をいっぱいいじられながら香子は二神に抱かれた。抱かれている間はなにもわからなくなってしまうから、香子は二神に抱かれることで現実逃避したのだった。
もちろん翌朝目覚めれば一人反省会が待っているのだが。
『春巻、おいしい……』
玄武の膝の上で香子は朝食をいただいていた。普通の春巻だけでなく海老がふんだんに入った春巻もある。今回は春巻多めであった。みな香子を気づかっているようで、香子はなんだかいたたまれなかった。
(春巻が好物って言ってあるもんね……)
餡儿餅(中国版おやきのようなもの)もあった。具だくさんで形が整っていて、とてもおいしい。厨師たちにも気を使わせてしまっているようだ。
『おいしい……どれもこれもおいしい……』
ごはんがおいしいのは幸せだと香子は思う。悩みの大半はおいしいごはんを食べればどうにかなるものだと香子は思っている。問題は食べられない程心身にダメージを受けている場合だ。香子はおいしいものを食べておいしいと言えているのだからいいのだと思った。
しかし、とも香子は考える。
香子のストレスの原因は朱雀の眷属だ。
”つがい”だからしかたないというのは眷属の言い分であって人には関係ないとやはり思う。お互いが相思相愛ならば言うことはないが、林雪紅を困らせているだけだというのならばやはり黙ってはいられない。
(でも、私を障害と認識して盛り上がられても困るんだよね……)
聞く耳持たんも困るが、障害のある恋ほど燃え上がられても困るのである。
香子は朱雀に一応聞いてみたが、やっぱり”つがい”はしょうがないのだと言われた。全く使えない神様である。
ここは香子の部屋だが、玄武と朱雀がいる為紅夏も控えていた。ちなみに香子が食事中なので紅児と林雪紅は朝食に行かせている。おかげで紅夏の機嫌がすこぶる悪い。
『……立場とか言ったら人間は下ですもんね。そりゃあ眷属が自分たちを優先するわけですよね』
結局はそういうことだ。”つがい”なんて言っても相手を対等には見ていない。そう香子は認識した。
『それは違います』
紅夏が反論した。
『じゃあ本能に抗えないの? 理性がきかない? そんなの獣と一緒でしょう。そりゃあ人間だって獣だけど一応理性は学ぶのよ。”つがい”なんて人間にはわからない。それを知ってて当然とばかりに押し付けるのはもはや愛ではないでしょう?』
四神だって似たようなものだ。香子に対してはまるで理性がきかない。
『どうしろと言うのですか』
『以前から言っているでしょう、話し合えって。エリーザはどうしたって紅夏には遠慮するのよ。あんまり我慢させてるとそのうち捨てられるわよ』
『……それは……』
『絶対ないなんて言いきれないわ。人は”つがい”なんて知らないんだから』
『そう、ですな』
『閉じ込めるとか、脅すとかしたら心が離れていくからね。もう少し相手に気をつかいなさい。夫婦なんでしょう?』
『はい』
というかんじで紅夏にはついいろいろと言ってしまった。ごめん紅児、と香子は思った。
だが「夫婦」という言葉がよかったらしく、翌日香子がおそるおそる紅児に聞いたら、紅児は嬉しそうにはにかんでいた。らぶらぶで何よりだと香子は思った。
じっと延夕玲を見つめる。
『私のことは気にせずとも大丈夫です』
夕玲はすました顔で答えた。
『本当に?』
『……花嫁様はそれよりもご自身のことを考えていただきたいのですが』
『ううう……』
自分のことはもう少し棚に上げておきたい香子だった。
今日は白虎と過ごす日なので、香子は白虎に頼んでもふもふを堪能した。すぐ側には青龍がいて、白虎にたわむれる香子を見守っている。これは白虎がいきなり香子を襲ったりしない為の措置だ。
(うー! もふもふーもふもふーもふもふー)
白虎はうっとりしながら白虎を撫でている香子を微妙な顔で見つめた。
『香子……』
本性を現すと白虎の声は更に低くなる。
『んー?』
『そなたから”もふもふー”としか感情が返ってこないのだが、大丈夫か?』
「ぶはぁっ!」
そんなところまで伝わるのかと香子は噴き出した。
『……そのまんまです。白虎様は私の癒し担当なので耐えてください』
香子、なんだかんだ言って横暴である。
『……なかなかに複雑な気分だな』
『それもこれも全て眷属が悪いんです。白雲はどうだか知りませんが、大事なはずの”つがい”なのに全然大切にしてるようには見えませんっ!』
『そうか』
『あ、でも。私がこうしていらいらしてるってことは眷属には伝えないでくださいね。”つがい”たちに当たられては困りますから』
『香子……そんなに眷属がそなたを困らせているのか?』
『どーせ私は首を勝手に突っ込んでるだけですよーだ!』
『……そうか』
香子だってお節介だということはわかっているのだ。でも眷属の”つがい”はただ夫婦になるだけではすまない。その寿命さえも歪めてしまう。
だから、そういう大事なことを話し合わずに”つがい”だからと手に入れようとするのが許せないのだ。
香子が許せなくてもどうにもなりはしないのだが。
ーーーーー
香子ぐるぐるの巻。
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