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第3部 周りと仲良くしろと言われました
117.後見人なので話し合うのは当然です
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詳細は「貴方色に染まる」91話です。
ーーーーー
場所が朱雀の室というだけで、玄武も一緒だった。
そこへ紅夏が顔を出し、今日あったことを淡々と伝えてから戻っていった。
『はー……たいへんなことですね』
紅夏が話していったことをどうにか咀嚼する。
紅児とその父が行方不明になってから、紅児の母と叔父夫婦がどう過ごしていたか。叔父夫婦の間に子どもが生まれたが、叔母はすでに亡くなり、叔父は実は紅児の母に懸想をしていた。紅児の母が叔父の子を育て、そして叔父と共にあることを決めた。
流れとしてはこんなかんじだ。実の母が叔父と再婚したなんて聞かされたらそりゃあショックだろう。だが紅夏が言うには紅児の叔父が言ったことには嘘も混じっているともいう。ただどの話が嘘なのかまでは紅夏にもまだ判別はつかないらしい。
考えてもしかたがない。香子は玄武と朱雀に向き直った。二神がそっと香子を抱き寄せる。
二神に抱きしめられることに、香子は幸せを感じていた。
『頭の中がぐちゃぐちゃなのです。ちゃんと眠れるように、愛してください』
香子はそう二神に頼んだ。
『……わかった』
朱雀は当たり前のように香子に”熱”を与える。身体が強制的に熱くなり、彼らを受け入れられるよう身体の準備ができた。けれど二神はがっついたりしない。優しく香子の全身に触れ、香子が本当の意味で蕩けてから身体を重ねるのだ。
『朱雀、さま……玄武、さまぁ……』
涙をぼろぼろこぼしながら、香子は二神に縋りついた。抱かれている間だけは紅児のことを忘れられた。やきもきしているヒマがあるのならば、四神に抱かれていればいいのだ。例え他のことを考えていてもすぐに夢中にさせてくれるだろう。
二神に抱かれ、香子は甘い快楽の中で意識を失った。
やはり四神にはかなわない。
翌朝朱雀の腕の中で目覚めた時、香子の頭にそんな言葉が生まれた。そしていつも通り空腹を覚え、居間に朝食が運ばれてきたタイミングで、朱雀に抱かれて居間へ移動した。今日は玄武は先に室へ戻ったようだった。やはり自分の室でないと落ち着かないようである。
(なんか不思議なかんじ)
四神宮に四神が来るのは基本1年に一度だ。正月の間だけ二、三日滞在してすぐに領地へ帰ってしまうという。そんなに滞在しない場所なのに自分の室以外は遠慮するのだろうか。
(でも、すでに1400年も経ってるんだっけ)
そうなると単純に一年に二日の滞在と考えても二八〇〇日。約七年半強はいた計算になる。実際には唐も遷都しているのでずっとここにいたわけではないのだが。そんなとりとめもないことを考えながら、香子は菜包(野菜まん)にかぶりついた。
セレスト王国の船が帰国するまであと六日ほどである。元々十日程の滞在期間だと香子は聞いていた。
あの話を聞いた紅児の心に何があったのかまでは香子は知らないが、もし今回紅児が帰国すると考えると、そろそろ紅夏に抱かれる必要があるだろう。ここから一番近い港は天津で、やはり移動を考えると半日はかかる。着いてすぐに船に乗るわけではないことを考えると、もう紅児は香子の部屋付でいてもらうわけにはいかなかった。
『こんなに早く手を放すことになるなんて……』
そう呟いてから、紅児が来たと教えられた。香子はまだ食事中だがこのままでいいだろう。
紅夏と共に入ってきた紅児は途方に暮れたような顔をしていた。
『おはよう、エリーザ』
『お食事中のところ邪魔をしましてたいへん申し訳ありません』
紅夏がおざなりに礼をとった。それが香子の癇に障ったが、いつものことなので気にしないことにした。
紅児は昨日のうちに報告もしなかったことにひどく恐縮している様子だったが、そんなことよりも紅児の方が大事である。気にすることはないからとそれについてはすぐに流した。
紅夏はセレスト王国から来た船が六日後には帰国するということを、正しく紅児に伝えたようだった。それを踏まえて、香子は紅児にこれからどうしたいのかを尋ねた。
『……ええと……ごめんなさい、わかりません……』
漠然とした質問では答えられなかったようだ。香子は質問を変えた。
紅夏と結婚するか、と。
紅児は即答した。
紅児が帰国する際には紅夏も連れて行かないと、そもそもこの大陸から出ることができない。それもただ一緒に向かうというだけでなく、大陸を出るには契っておく必要があった。はっきり言って香子は紅児を抱かせるのは嫌だった。だが船に乗るにはそれ以外の方法はない。
紅児は紅夏と結婚する気はあるようだが、今すぐ帰国したいかどうか聞かれても即答はできなかった。
ならば帰れるなら帰ればいいし、まだ無理そうならこちらにいればいいと香子は提案してみた。また半年後にはセレスト王国から船が来るだろう。その際に乗っていってもいいのだ。
なにより紅児は船に乗ることを恐れている。身体の反応からして紅児が船に乗ってセレスト王国に帰れるかはわからなかった。
帰れるのならば一旦帰ってもいい。
ただその前に準備を整えて、また叔父と話をしてきなさいと香子は紅児を諭した。
強張っていた紅児の顔にやっと笑みが浮かぶ。香子は内心ほっとした。
まだ紅児には話さなければいけないことがある。香子もまた笑みを浮かべた。
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「貴方色に染まる」は89~91話辺りです。
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場所が朱雀の室というだけで、玄武も一緒だった。
そこへ紅夏が顔を出し、今日あったことを淡々と伝えてから戻っていった。
『はー……たいへんなことですね』
紅夏が話していったことをどうにか咀嚼する。
紅児とその父が行方不明になってから、紅児の母と叔父夫婦がどう過ごしていたか。叔父夫婦の間に子どもが生まれたが、叔母はすでに亡くなり、叔父は実は紅児の母に懸想をしていた。紅児の母が叔父の子を育て、そして叔父と共にあることを決めた。
流れとしてはこんなかんじだ。実の母が叔父と再婚したなんて聞かされたらそりゃあショックだろう。だが紅夏が言うには紅児の叔父が言ったことには嘘も混じっているともいう。ただどの話が嘘なのかまでは紅夏にもまだ判別はつかないらしい。
考えてもしかたがない。香子は玄武と朱雀に向き直った。二神がそっと香子を抱き寄せる。
二神に抱きしめられることに、香子は幸せを感じていた。
『頭の中がぐちゃぐちゃなのです。ちゃんと眠れるように、愛してください』
香子はそう二神に頼んだ。
『……わかった』
朱雀は当たり前のように香子に”熱”を与える。身体が強制的に熱くなり、彼らを受け入れられるよう身体の準備ができた。けれど二神はがっついたりしない。優しく香子の全身に触れ、香子が本当の意味で蕩けてから身体を重ねるのだ。
『朱雀、さま……玄武、さまぁ……』
涙をぼろぼろこぼしながら、香子は二神に縋りついた。抱かれている間だけは紅児のことを忘れられた。やきもきしているヒマがあるのならば、四神に抱かれていればいいのだ。例え他のことを考えていてもすぐに夢中にさせてくれるだろう。
二神に抱かれ、香子は甘い快楽の中で意識を失った。
やはり四神にはかなわない。
翌朝朱雀の腕の中で目覚めた時、香子の頭にそんな言葉が生まれた。そしていつも通り空腹を覚え、居間に朝食が運ばれてきたタイミングで、朱雀に抱かれて居間へ移動した。今日は玄武は先に室へ戻ったようだった。やはり自分の室でないと落ち着かないようである。
(なんか不思議なかんじ)
四神宮に四神が来るのは基本1年に一度だ。正月の間だけ二、三日滞在してすぐに領地へ帰ってしまうという。そんなに滞在しない場所なのに自分の室以外は遠慮するのだろうか。
(でも、すでに1400年も経ってるんだっけ)
そうなると単純に一年に二日の滞在と考えても二八〇〇日。約七年半強はいた計算になる。実際には唐も遷都しているのでずっとここにいたわけではないのだが。そんなとりとめもないことを考えながら、香子は菜包(野菜まん)にかぶりついた。
セレスト王国の船が帰国するまであと六日ほどである。元々十日程の滞在期間だと香子は聞いていた。
あの話を聞いた紅児の心に何があったのかまでは香子は知らないが、もし今回紅児が帰国すると考えると、そろそろ紅夏に抱かれる必要があるだろう。ここから一番近い港は天津で、やはり移動を考えると半日はかかる。着いてすぐに船に乗るわけではないことを考えると、もう紅児は香子の部屋付でいてもらうわけにはいかなかった。
『こんなに早く手を放すことになるなんて……』
そう呟いてから、紅児が来たと教えられた。香子はまだ食事中だがこのままでいいだろう。
紅夏と共に入ってきた紅児は途方に暮れたような顔をしていた。
『おはよう、エリーザ』
『お食事中のところ邪魔をしましてたいへん申し訳ありません』
紅夏がおざなりに礼をとった。それが香子の癇に障ったが、いつものことなので気にしないことにした。
紅児は昨日のうちに報告もしなかったことにひどく恐縮している様子だったが、そんなことよりも紅児の方が大事である。気にすることはないからとそれについてはすぐに流した。
紅夏はセレスト王国から来た船が六日後には帰国するということを、正しく紅児に伝えたようだった。それを踏まえて、香子は紅児にこれからどうしたいのかを尋ねた。
『……ええと……ごめんなさい、わかりません……』
漠然とした質問では答えられなかったようだ。香子は質問を変えた。
紅夏と結婚するか、と。
紅児は即答した。
紅児が帰国する際には紅夏も連れて行かないと、そもそもこの大陸から出ることができない。それもただ一緒に向かうというだけでなく、大陸を出るには契っておく必要があった。はっきり言って香子は紅児を抱かせるのは嫌だった。だが船に乗るにはそれ以外の方法はない。
紅児は紅夏と結婚する気はあるようだが、今すぐ帰国したいかどうか聞かれても即答はできなかった。
ならば帰れるなら帰ればいいし、まだ無理そうならこちらにいればいいと香子は提案してみた。また半年後にはセレスト王国から船が来るだろう。その際に乗っていってもいいのだ。
なにより紅児は船に乗ることを恐れている。身体の反応からして紅児が船に乗ってセレスト王国に帰れるかはわからなかった。
帰れるのならば一旦帰ってもいい。
ただその前に準備を整えて、また叔父と話をしてきなさいと香子は紅児を諭した。
強張っていた紅児の顔にやっと笑みが浮かぶ。香子は内心ほっとした。
まだ紅児には話さなければいけないことがある。香子もまた笑みを浮かべた。
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「貴方色に染まる」は89~91話辺りです。
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