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第3部 周りと仲良くしろと言われました
115.もだもだしていてすみません ※R15
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『香子』
青龍は有無を言わさず香子を寝室へ運んでしまった。
『青龍様! お詫びってそういうことしか思いつかないんですかっ?』
青龍のことが嫌なわけではないし、触れられたくないわけでもない。だが香子への想いを伝える方法がそれしかないというのはどうかと思うのだ。
『香子……だめか?』
『だ、だめというわけでは……』
香子は青龍から目を反らした。青龍の色を含んだ眼差しもそうだが、そもそも四神はみな美形で、体格もいい。面食いの香子にとって、四神の顔そのものが甘い毒のようなものだ。青龍の声は爽やかなのに、そこに少し色を含むだけで耳の奥が震えるような気もする。
『何故あんな風にそなたにきついことを言ってしまったのか……後悔してもしかたがないのだが……』
床の上に腰掛けたまま、青龍は香子を抱きしめた。
『……そんなに後悔されているのですか?』
最初の頃、青龍がツンケンしていたことを香子は思い出す。香子にとっては地雷のようなことも言われた。香子が名前を隠していたとか、いろいろなことが重なっていたことはわかるがあれはない。
出会いとしては最悪で、きっと青龍が四神でなければこんな風に惹かれ合うこともなかっただろうと香子は思う。そういう意味では、立場というものも必要だったのだと香子は思うのだ。
『ふふ……』
香子はちょっとおかしくなった。
こんな美丈夫が香子に愛を乞うなんて不思議だと感じられた。
『香子?』
『私が四神の花嫁でなかったら、こんなやりとりもありえませんでしたね?』
『そうだな』
『すごい縁だと思います』
こればかりはしょうがない。香子が四神の花嫁でなかったらとか、そんなことは話題にするだけ無駄なことだ。
『青龍様はこんな私でも好いてくださるのですね』
『……元より、そなたしか見えてはおらぬ』
『そうでしたね……』
己の唯一無二だと思うだけで香子の心に優越感のようなものが生まれた。だがそれは決して悪い感情ではなく、この美しい人が自分だけのものなのだと思うだけで幸福感もまた生まれた。
『……抱かないでください』
『我慢はつらいな』
青龍が苦笑した。
『我慢してください』
香子はにっこりした。
『そなたにはかなわぬ』
青龍は笑んで、優しく香子を床に横たえた。
『口づけはよいのか?』
『……上半身だけでしたら』
『そうか』
青龍は残念そうに呟いた。ここでなんの条件も付けずに了承するとたいへんなことになってしまうのは、香子としても身に沁みている。
(エロマンガみたいな展開は嫌だし)
なんだかんだいって香子は失敗しているので、そこらへんは慎重だったりする。とはいえすでに先ほど余計なことを言ってこういう状況になっているのだから、手遅れといっても間違いではなかった。
『香子、愛している……』
『青龍様……』
顔中に口づけをされ、当たり前のように漢服の前を寛げられて香子は頬を染めた。香子の白い肌が青龍の前に晒される。ここに来た時はまだここまで白くなく、こんなにみずみずしくもなかった。四神に愛された身体は確実に美しくなっていて、その白い肌にも青龍は口づけた。
跡を残すような真似はしないが、柔らかくて以前よりも形よく膨らんだ胸を優しく揉む。
「あっ……」
そして香子の身体は以前よりも感度もよくなっている。
『青龍さま……口づけだけでは……』
『そんな約束はしておらぬぞ』
香子は真っ赤になった。確かに揉んではいけないとは言っていなかった。
『だが、口づけだけと言うのならば……』
「ああっ!?」
青龍は香子の薄紅色の乳首に口づけた。ちゅ、ちゅと触れればすぐにぽちりと膨らんだ乳首を、青龍は口に含んだ。
『青龍、さまっ……!』
青龍の舌が香子の乳首を舐め転がす。そうして香子は青龍からたっぷりと愛撫をされてしまったのだった。
上半身だけとはいえ、香子の精神的なダメージは大きかった。
『ううう……』
何度も言うが触れられたくないわけではないのだ。だがお詫びと称して触れられてしまうとか、そういうことにはまだ抵抗がある。香子自身、自分がすごく面倒くさいということもわかっている。
(気持ちいいから嫌なんだけど……)
毎晩のように四神に抱かれる身体は感度もよく、ゆっくりとだが確実に熟れ始めている。触れられると抱かれたくなってしまうから余計に嫌なのだ。
『香子。顔を見せてはくれぬか?』
青龍に床で抱きしめられながら、香子は恥ずかしくて顔を上げることができなかった。
『我に触れられるのは、嫌だったか?』
その透き通るような声に寂しそうな音を感じて、香子は青龍を抱きしめ返した。
『嫌なわけではないのです。……ただ、私がまだ自分の気持ちに折り合いをつけていないだけで……』
自分でも本当に面倒くさいと香子は思う。この恥じらいというか、納得がいかない気持ちにも折り合いがつけられる日が来るのだろうか。
『そなたはいろいろ考えすぎる。そなたにとっては嫌なことかもしれぬが、我らのことだけ考えてほしいものだ』
『嫌ではないですよ』
香子は笑んだ。
そうして今頃になって、紅夏との会話を思い出した。
『思いを、交し合った……?』
『香子、如何した?』
紅児が紅夏と想い合っていることは知っている。だが香子はそれを本当の意味で理解していなかったのかもしれなかった。
『嘘でしょう……』
思いを交わし合った番には、紅夏が見た情景を録画したように見せることができる。紅児が本当に紅夏のことを好きになってしまったのだと理解して、香子は今更ながら衝撃を受けたのだった。
ーーーーー
最近R表記を忘れている件について(ぉぃ
「貴方色に染まる」86話辺りです。
青龍は有無を言わさず香子を寝室へ運んでしまった。
『青龍様! お詫びってそういうことしか思いつかないんですかっ?』
青龍のことが嫌なわけではないし、触れられたくないわけでもない。だが香子への想いを伝える方法がそれしかないというのはどうかと思うのだ。
『香子……だめか?』
『だ、だめというわけでは……』
香子は青龍から目を反らした。青龍の色を含んだ眼差しもそうだが、そもそも四神はみな美形で、体格もいい。面食いの香子にとって、四神の顔そのものが甘い毒のようなものだ。青龍の声は爽やかなのに、そこに少し色を含むだけで耳の奥が震えるような気もする。
『何故あんな風にそなたにきついことを言ってしまったのか……後悔してもしかたがないのだが……』
床の上に腰掛けたまま、青龍は香子を抱きしめた。
『……そんなに後悔されているのですか?』
最初の頃、青龍がツンケンしていたことを香子は思い出す。香子にとっては地雷のようなことも言われた。香子が名前を隠していたとか、いろいろなことが重なっていたことはわかるがあれはない。
出会いとしては最悪で、きっと青龍が四神でなければこんな風に惹かれ合うこともなかっただろうと香子は思う。そういう意味では、立場というものも必要だったのだと香子は思うのだ。
『ふふ……』
香子はちょっとおかしくなった。
こんな美丈夫が香子に愛を乞うなんて不思議だと感じられた。
『香子?』
『私が四神の花嫁でなかったら、こんなやりとりもありえませんでしたね?』
『そうだな』
『すごい縁だと思います』
こればかりはしょうがない。香子が四神の花嫁でなかったらとか、そんなことは話題にするだけ無駄なことだ。
『青龍様はこんな私でも好いてくださるのですね』
『……元より、そなたしか見えてはおらぬ』
『そうでしたね……』
己の唯一無二だと思うだけで香子の心に優越感のようなものが生まれた。だがそれは決して悪い感情ではなく、この美しい人が自分だけのものなのだと思うだけで幸福感もまた生まれた。
『……抱かないでください』
『我慢はつらいな』
青龍が苦笑した。
『我慢してください』
香子はにっこりした。
『そなたにはかなわぬ』
青龍は笑んで、優しく香子を床に横たえた。
『口づけはよいのか?』
『……上半身だけでしたら』
『そうか』
青龍は残念そうに呟いた。ここでなんの条件も付けずに了承するとたいへんなことになってしまうのは、香子としても身に沁みている。
(エロマンガみたいな展開は嫌だし)
なんだかんだいって香子は失敗しているので、そこらへんは慎重だったりする。とはいえすでに先ほど余計なことを言ってこういう状況になっているのだから、手遅れといっても間違いではなかった。
『香子、愛している……』
『青龍様……』
顔中に口づけをされ、当たり前のように漢服の前を寛げられて香子は頬を染めた。香子の白い肌が青龍の前に晒される。ここに来た時はまだここまで白くなく、こんなにみずみずしくもなかった。四神に愛された身体は確実に美しくなっていて、その白い肌にも青龍は口づけた。
跡を残すような真似はしないが、柔らかくて以前よりも形よく膨らんだ胸を優しく揉む。
「あっ……」
そして香子の身体は以前よりも感度もよくなっている。
『青龍さま……口づけだけでは……』
『そんな約束はしておらぬぞ』
香子は真っ赤になった。確かに揉んではいけないとは言っていなかった。
『だが、口づけだけと言うのならば……』
「ああっ!?」
青龍は香子の薄紅色の乳首に口づけた。ちゅ、ちゅと触れればすぐにぽちりと膨らんだ乳首を、青龍は口に含んだ。
『青龍、さまっ……!』
青龍の舌が香子の乳首を舐め転がす。そうして香子は青龍からたっぷりと愛撫をされてしまったのだった。
上半身だけとはいえ、香子の精神的なダメージは大きかった。
『ううう……』
何度も言うが触れられたくないわけではないのだ。だがお詫びと称して触れられてしまうとか、そういうことにはまだ抵抗がある。香子自身、自分がすごく面倒くさいということもわかっている。
(気持ちいいから嫌なんだけど……)
毎晩のように四神に抱かれる身体は感度もよく、ゆっくりとだが確実に熟れ始めている。触れられると抱かれたくなってしまうから余計に嫌なのだ。
『香子。顔を見せてはくれぬか?』
青龍に床で抱きしめられながら、香子は恥ずかしくて顔を上げることができなかった。
『我に触れられるのは、嫌だったか?』
その透き通るような声に寂しそうな音を感じて、香子は青龍を抱きしめ返した。
『嫌なわけではないのです。……ただ、私がまだ自分の気持ちに折り合いをつけていないだけで……』
自分でも本当に面倒くさいと香子は思う。この恥じらいというか、納得がいかない気持ちにも折り合いがつけられる日が来るのだろうか。
『そなたはいろいろ考えすぎる。そなたにとっては嫌なことかもしれぬが、我らのことだけ考えてほしいものだ』
『嫌ではないですよ』
香子は笑んだ。
そうして今頃になって、紅夏との会話を思い出した。
『思いを、交し合った……?』
『香子、如何した?』
紅児が紅夏と想い合っていることは知っている。だが香子はそれを本当の意味で理解していなかったのかもしれなかった。
『嘘でしょう……』
思いを交わし合った番には、紅夏が見た情景を録画したように見せることができる。紅児が本当に紅夏のことを好きになってしまったのだと理解して、香子は今更ながら衝撃を受けたのだった。
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最近R表記を忘れている件について(ぉぃ
「貴方色に染まる」86話辺りです。
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